ドイツ、ベルリンで開催されているIFA2017のレポート第三弾はスマートウォッチだ。
Fitbitが開拓したフィットネストラッカーのマーケット。Apple Watchの発売以来、「スマートウォッチ」として大きく発展するかと考えられていた市場だが、なかなか「誰もが使っている」という状況にはならない。
それでも、後述するようにFitbitはすでに5,000万人の利用者を得ていて、ビッグデータとソーシャルデータを自社サーバに保有して日々利用している状況だ。筆者の周りでもファンが多く、一度つけると手放せないという方もいるほどだ。
Apple WatchやSAMSUNGのGalaxy GEARのように、高性能でファッショナブルな利用にも対応しようとする方向性に走っていたスマートウォッチだが、ここにきて、これまでのどのメーカーも同じような機能を持つ「横並び構造」から脱却して、「専門化」への流れが出来てきていることが展示から見て取れた。
デザイン・ブランド力で差別化するFossil

アパレルウォッチとしてすでにポジションを気づいているFossilグループは、Misfitを買収したのち、様々なブランドウォッチを作っている。
FOSSILはもちろんのこと、傘下のブランドとなるSKAGEN、DIESEL、EMPORIO ARMANI、kate spade new york、MICHAEL KORSとおなじみのブランドで次々とスマートウォッチをリリースしている。

今回展示されていたSKAGENのスマートウォッチなどは、どこがデジタルと融合しているのか、一見してわからないくらいだ。
エルメスはApple Watchにバンドを提供し、TAG Hueueはコネクテッドモニター45、Luis VuittonでもタンブールホライゾンというAndroid Wareをリリースしている。高級腕時計メーカーも参戦して、時計のスマート化はますます加速するだろう。
ヘルスケアの機能で圧倒するFitbit

スマートウォッチの最大手の一角を担うFitbitの最新モデル「ionic」は、これまでのヘルスケア関係の機能をより一層充実させ、利用場所も問わないものとなっている。

KEYNOTEで登壇したCEOのJames Park氏によると、5,000万人以上の利用者から上がってくる大量のデータを処理しているのだという。
今回紹介された最新のFitbit ionicでは、GPSが搭載され、50M防水にも対応した。

さらに、SpO2センサーというセンサーが取り付けられたことにより、血中ヘモグロビンの酸素濃度を測定できるようになった。これまでのFitbitでも、心拍を測定することができたが、SpO2センサーにより、より詳細な情報がわかり、将来的には睡眠時無呼吸症候群も把握できるようになるのだというのだ。
他にも、2.5GBの音楽を保持する為のストレージが準備されており、fitbit flyerと名付けられたイヤホンを使うことで、ワークアウト中にスマートウォッチから音楽再生させることが可能となる。

さらに、電子決済、「fitbit pay」にも対応している。アプリケーション開発はサードパーティでも可能となるという。
発売は秋だがすでに予約は受け付けている。
ヘルスケア向けウェアラブルバンドという意味では、Fitbitが一人勝ちしているように見える。しかし、Xaomiなどが低価格路線でこの手のフィットネストラッカー(Mi Band/2, 4,000円程度)を出してきており、販売台数も伸ばしてきていることから、個人的にトラッキングしたいだけであれば、低価格商品を買うユーザも増える可能性が高いといえる。
一方で、ここまでFitbitが蓄積してきたデータとソーシャルネットワークにおける人と人との関係性を、より強固で、広がりやすいものにすることができれば、Fitbitのデバイスというよりも、クラウドサービスとしての広がりに期待がもてる。
様々なスポーツに対応した、GARMINのスマートウォッチ

GARMINは、主に登山をする人や、ダイバーなど過酷な環境下に置かれるスポーツマンがつけるウェアラブルメーカーとしては老舗になるが、今回の展示では1台のスマートウォッチで対応することができるスポーツの種類が増えたことがポイントなのだという。
例えば、「登山者に必要な情報」と「ランニングに必要な情報」は異なる。しかし、アプリケーション化、デジタル化することで専用デバイスである必要がなくなってきていることに目をつけたのだろう。

これまで登山用、ランニング用、と専用機であったトラッカーつき腕時計だが、様々なセンサーを駆使して、いろんなスポーツ用途向けに展開するという流れは、デバイスの量産という意味でも大きい。
ここで見てきたように、スマートウォッチは「個性」を出し始めている。
他にも、様々なスマートウォッチが作られているが、単にApple WatchやFitbitの焼き直しを作るのではなく、用途やターゲットユーザを明確にしたプロダクト作りが今後肝となるだろう。
「すでに使ったことがある人」が多いスマートウォッチ。まずは、「実際に使ったことのある人」の不満を解消していくことがヒットのためのヒントとなるといえそうだ。