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  • ナレッジワーク、個社固有の営業プロセスに特化した「カスタマイズAIエージェント」を提供開始

    ナレッジワーク、個社固有の営業プロセスに特化した「カスタマイズAIエージェント」を提供開始

    企業の営業部門において、生成AIの導入が進む一方で、汎用的なAIツールでは企業ごとに異なる複雑な商流や独自の業務プロセスに対応しきれず、現場での定着や実質的な成果創出が停滞するという課題が顕在化している。

    こうした中、営業支援システム「ナレッジワーク」を提供する株式会社ナレッジワークは2026年2月6日、各社の固有業務に最適化したAIを設計・実装する新ソリューション「ナレッジワークカスタマイズAIエージェント」の提供を開始した。

    このソリューションは、同社のプロダクトに搭載されている標準のAI機能ではカバーしきれない、企業独自の業務フローや特殊な要件に対応するためのサービスだ。

    ツールを提供するだけでなく、専門のコンサルタントが設計段階から参画するのが特徴だ。

    具体的には、営業担当者の商談準備や日報作成、あるいは営業企画部門の戦略立案といった具体的な業務において、どのプロセスをAIに任せるべきかを分析し、その企業に最適なAIエージェントをカスタマイズして実装する。

    今後は、標準プロダクトによる汎用的な支援と、同ソリューションによる個別最適化な支援を組み合わせることで、国内企業の営業生産性向上を多角的に支援していく方針だ。

  • Anthropic、自律型タスク遂行能力を高めた「Claude Opus 4.6」を発表

    Anthropic、自律型タスク遂行能力を高めた「Claude Opus 4.6」を発表

    生成AIの活用フェーズが、単なる対話から業務を完遂する「エージェント」へと移行する中、複雑なタスクにおける計画能力やツール連携の精度が課題となっている。

    米Anthropicは2026年2月5日、同社の最上位モデル「Claude Opus 4.6」を発表した。

    「Claude Opus 4.6」は、前世代と比較してコーディングスキルや推論能力が大幅に向上しており、特に長時間の自律的なタスク遂行において高いパフォーマンスを発揮する。

    加えて、タスクの難易度に応じてAIが自ら思考の深さを調整する「Adaptive Thinking(適応型思考)」が実装された。

    「Adaptive Thinking」は、文脈の手がかりから、深く考えるべき場面か否かをモデル自身が判断するというものだ。

    これにより、複雑な問題には時間をかけて推論し、単純な処理は迅速に行うといった人間のようなメリハリのある動作が可能となる。

    開発者は「Effort(労力)」パラメータを調整することで、AIの知性、速度、コストのバランスを制御できる。

    また、開発者向けツール「Claude Code」では、複数のエージェントを束ねる「Agent Teams」機能が追加された。

    これにより、コードレビューのような読み込み負荷の高い作業において、複数のAIエージェントが並行して自律的に連携し、タスクを処理することが可能となる。

    他にも、一般のビジネスユーザ向けの機能も強化された。

    具体的には、「Claude in Excel」機能がアップデートされ、非構造化データの取り込みや推論、複数ステップにわたる変更処理が可能となった。

    さらに「Claude in PowerPoint」(リサーチプレビュー版)が登場し、Excelで整理したデータを基に、ブランドのテンプレートに沿ったプレゼンテーション資料をAIが自動生成するワークフローが実現する。

    トークンに関しては、大規模なデータを扱う企業ニーズに応えるため、Opusクラスとしては初めて100万トークンのコンテキストウィンドウ(ベータ版)に対応した。

    これにより、膨大なコードベースやドキュメントを読み込ませても、「コンテキストの腐敗(情報の見落とし)」を抑え、高い精度で情報を抽出することが可能だ。

    安全性に関しても、サイバーセキュリティ分野での悪用を防ぐ対策や、ユーザの意図しない動作(幻覚やへつらい)を低減させる調整が施されており、前世代と同等以上の安全性が確認されているとのことだ。

    価格は前モデル(Opus 4.5)から据え置きで、入力100万トークンあたり5ドル、出力100万トークンあたり25ドルで提供される。

  • OpenAI、企業向けAIエージェント統合基盤「Frontier」を発表

    OpenAI、企業向けAIエージェント統合基盤「Frontier」を発表

    生成AIの導入が進む中、多くの企業が「個別のタスク支援」から「自律型エージェントによる業務代行」へと関心を移している。

    しかし、概念実証(PoC)の段階では成果が出ても、セキュリティやガバナンス、既存システムとの連携といった課題が障壁となり、全社規模での実運用への移行に足踏みするケースが少なくない。

    こうした課題に対し、OpenAIは2026年2月5日、企業がAIエージェントを構築・展開・管理するための新プラットフォーム「Frontier(フロンティア)」を発表した。

    「Frontier」は、AIエージェントを単なるツールとしてではなく、組織の一員(AI同僚)として機能させるためのエンドツーエンドのプラットフォームだ。社内に散在するデータやシステムを統合し、エージェントに共通の「ビジネスコンテキスト」を提供する。

    具体的には、CRMやデータウェアハウス、社内アプリなどのサイロ化したシステムと連携することで、エージェントは情報の所在や業務の流れを正確に理解できるようになる。

    これにより、従来のエージェントが抱えていた「情報不足による精度の低さ」や「システムごとの分断」といった問題の解消に寄与する。

    また、企業利用に不可欠なガバナンス機能も標準装備されている。各エージェントには明確なアイデンティティと権限が付与され、あらかじめ定められた範囲内でのみ動作するよう制御される。

    これにより、規制の厳しい業界や機密情報を扱う業務であっても、安全にエージェントを展開することが可能となる。

    ユーザーインターフェース(UI)に関しては、特定のUIや単一のアプリケーションに閉じ込められることなく、ChatGPTとの対話や「Atlas」を用いたワークフロー、さらには既存の業務アプリケーション内など、多様なインターフェースから連携することが可能だ。

    加えて、社内で独自開発されたエージェントであれ、OpenAIから提供されたものであれ、あるいは他ベンダーのシステムから統合されたものであれ、出自を問わず同様に機能する柔軟性を備えている。

    導入後の実行環境においても、ローカル環境、エンタープライズ向けクラウドインフラ、OpenAIが提供するランタイム上で動作する。

    他にも「Frontier」には、エージェントの実務成果を評価・最適化する仕組みが組み込まれている。人間の管理者からのフィードバックや実務経験を通じて、エージェントは「何が良い成果なのか」を学習し、時間の経過とともにパフォーマンスを向上させていく。

    さらに、技術提供だけでなく、OpenAIのエンジニア(Forward Deployed Engineers:FDEs)が顧客チームと並走し、本番環境での構築・運用を支援する体制も強化する。FDEは、顧客の現場とOpenAIの研究部門を直接つなぐ役割も担い、現場のフィードバックをモデルの改善に直結させるとのことだ。

    「Frontier」は現在、HP、Oracle、Uberといった一部の顧客向けに提供が開始されており、今後数ヶ月以内に提供対象を拡大する予定だ。

    また、「Frontier」の活用において、Abridge⁠やClay、Ambienceなどの開発企業からなる少数のFrontier Partnersと協力しており、今後プログラムを拡大し、エンタープライズAIに注力する開発企業をさらに迎え入れていく予定だ。

  • AIはどんな業務を効率化できる?13の検証事例から見えた生成AI導入方法と活用を徹底解説

    AIはどんな業務を効率化できる?13の検証事例から見えた生成AI導入方法と活用を徹底解説

    現代のビジネス現場において、労働人口の減少に伴う人手不足は深刻な課題となっています。

    こうした背景から、AIによる業務効率化はもはや「余裕があれば検討するもの」ではなく、企業の競争力を維持するための「必須」フェーズへと突入しました。

    かつては専門的なプログラミング知識が必要だったシステム構築も、現在では生成AIやノーコードツールを組み合わせることで、現場主導でスピーディーに実現することが可能です。

    しかし、いざ導入しようとしても「具体的にどの業務をどう効率化すればいいのか分からない」という悩みを持つ方も少なくありません。

    そこで本記事では、筆者が実際にツールを操作して構築した13の検証事例をベースに、各ツールの紹介や具体的な手法、導入を成功させるためのポイントなどを解説します。

    なお、検証事例は以下で、各事例の詳しい内容はクリックすることで見ることができます。

    契約書レビューの効率化(Google Gemini活用)
    AIによる営業ロールプレイング(ChatGPT活用)
    「情報を集める」「考える」「実行する」への生成AI活用術(Gemini, Perplexity等)
    情報収集の完全自動化システム(ChatGPT, Zapier活用)
    顧客アンケートの自動設計・分析(ChatGPT, Gemini活用)
    営業日報のチェックとコーチング自動化(Dify活用)
    カスタマーサポートの問い合わせ仕分け(Dify活用)
    社内データの統合・営業支援基盤の構築(Dify活用)
    AI-OCRによる書類の構造化データ化(Dify, Gemini VLM活用)
    商談メモのナレッジ検索システム(Dify活用)
    飲食店の在庫・売上機会損失防止AI(Dify, GAS活用)
    SNS運用の内製化・企画エージェント(Make, Gemini活用)
    アンケート収集から分析・資料化までの自動化(Dify, GAS活用)

    AIによる業務効率化とは?

    AIによる業務効率化とは、単に作業を自動化するだけでなく、データの「分析」「判断」「生成」をAIに肩代わりさせることで、これまで人間にしかできなかった非定型な業務を効率化することを指します。

    特に、近年注目されている生成AIを活用することで、専門的なプログラミング知識がなくても、自然言語(話し言葉)による指示だけで高度なアウトプットが得られるようになりました。

    業務効率化の文脈でよく比較されるツールに「RPA(Robotic Process Automation)」がありますが、AIとは得意領域が異なります。

    この2つの大きな違いは、「ルールに従うか、自ら判断するか」という点にあります。

    RPAは、あらかじめ決められた手順を正確に繰り返す「定型業務」の自動化を得意としています。例えば、決まったフォームへのデータ入力や、決まった時間のメール送信などがこれに当たります。

    一方で生成AIは、膨大な学習データに基づいて文脈を理解し、自ら判断や生成を行う「非定型業務」の効率化を可能にします。

    具体的には、個人の主観が入りやすい商談メモの要約や構造化 、複雑な契約書のリーガルチェック、顧客アンケートの感情分析 など、ルール化が難しい「思考や判断」を伴うプロセスを担うことができるのです。

    つまり、RPAが「手作業の代行」であるのに対し、AIは「知的判断の代行」と言えるでしょう。

    これら2つを適切に使い分け、あるいは組み合わせることで、業務全体の生産性を向上させることが可能になります。

    比較項目 RPA(定型業務の自動化) AI(非定型業務の効率化)
    得意なこと 決められた手順の繰り返し(データ転送など) 文脈の理解、要約、予測、創作
    判断の有無 ルール通りに動く(判断はしない) 学習データに基づきAIが自ら判断する
    柔軟性 手順が変わるとエラーになる 曖昧な指示や状況の変化にも対応可能
    活用例 定型フォームへの入力、大量の転記作業 契約書レビュー、商談メモの分析

    AIで業務効率化を行うメリット

    AIを業務に導入することで得られるメリットは、単なる「時間の節約」に留まりません。

    実際に筆者が検証してきた中で見えてきた、主なメリットは以下の3点です。

    ①:生産性の向上とクリエイティブな時間の創出

    ルーチンワークや膨大な情報の処理をAIに任せることで、人間は「意思決定」や「対人コミュニケーション」といった、よりクリエイティブで付加価値の高い業務に集中できるようになります。

    例えば、数時間がかりだった100社分のアンケート分析や、情報収集を自動化することにより、戦略立案の時間を確保できます。

    また、カスタマーサクセス部門では、問い合わせの増加と複雑化により「仕分け(ルーティング)」業務がボトルネックとなりがちですが、AIにより問い合わせ内容のカテゴリ分類、緊急度判定、要約を自動で実行させることができます。

    こうして効率化したことでできた時間で、担当者は本来の業務である「顧客への直接対応」に専念することができます。

    ②:ミスの削減と品質の均一化

    人間が行う業務には、どうしても「体調による精度のムラ」や「主観による判断のバラつき」が生じます。

    一方AIは、一定のロジックに基づいて24時間稼働するため、業務品質を高い水準で安定させることができます。

    例えば、専門知識と時間を要する契約書レビュー(リーガルチェック)において、AIが一次チェックを担うことで、重要なリスクの見落としを防ぎつつ、レビュー時間を効率化できます。

    また、営業ロールプレイングにおいては、AIを相手役にすることで、評価のバラつきを排除した客観的なフィードバックを24時間いつでも提供でき、組織全体のスキルを底上げすることができるでしょう。

    これまで人が行っていたデータ入力に関しても、AIが代行してくれます。その際、どんな項目(ラベル)で整理するかを指定することで、AIは単に文字を読むだけでなく、「これが社名、これが金額」と中身を整理してデータにしてくれます。

    これにより、手入力によるミスをゼロに近づけ、システム連携をスムーズにします。

    ③ 個人の知見を組織の「資産」へ変換

    社内には、日報、商談メモ、在庫データなどの「活用しきれていない情報」が点在しています。

    そこで、それらのデータを統合し、AIにより価値ある知見へと変換できる点も、大きなメリットです。

    例えば、個人のPCに埋もれがちな商談メモをAIが理解しやすい形に構造化し、ナレッジベース(RAG)として蓄積することで、誰でも過去の成功事例に裏打ちされた対策を引き出せるようになります。

    また、単なる記録として終わっていた「営業日報」をAIが分析し、次の受注を引き出すための具体的なアクションを提案するシステムに変えることで、組織的な成長を促します。

    他にも、飲食店の在庫データなどと連携し、AIがリアルタイムで「今、何を売るべきか」を現場スタッフへ提案することで、機会損失を最小限に抑え、利益率の向上に直結させることができます。

    業務効率化を支える「AI・ノーコードツール」の基礎知識

    今回の13の検証事例を実現するために主に活用したのは、プログラミングコードをほとんど書かずに高度なシステムを構築できる「ノーコードツール」と、「生成AI」です 。

    こうしたツールを組み合わせることで、従来のシステム開発では数ヶ月かかっていたような仕組みを、わずか数日で形にすることが可能になります。

    生成AI(LLM):思考と判断のエンジン

    生成AIは、業務の「頭脳」となる部分です。用途に応じて最適なモデルを使い分けています。

    特に大規模言語モデル(LLM)は、膨大な学習データに基づき、人間のように文脈を理解し、論理的に推論した上で新たなアウトプットを生み出す「デジタル上の頭脳」としての役割を果たします。

    従来のシステムは「Aという入力にはBと返す」という固定されたルール(プログラム)で動いていました。そのため、少しでも形式が違うとエラーになる脆さがありました。

    しかし生成AIは、「この書類の中から〇〇に関わる項目を整理して抽出して」というような、曖昧な指示(プロンプト)でも意図を汲み取り、状況に応じた最適な判断を下すことができます。

    例えば、複雑な契約書の条文や、散らばった商談メモから文脈を理解し、重要なポイントを特定した上で、「現状がこうであれば、次はこのアクションが必要だ」といった仮説を立てることが可能です。

    また、テキストだけでなく、画像や音声、プログラミングコードなど、異なる形式の情報を相互に処理できます。

    一口に生成AIと言っても、開発会社やモデルの種類によって「得意分野」が異なります。

    業務の目的(コスト、精度、スピード、専門性)に合わせて最適なモデルを選択することが、効率化の鍵となります。

    以下が、主要な生成AIの特徴です。(※2026年2月9日現在)

    モデル (社名) 得意分野 特徴・VLM (視覚) 能力 推奨業務
    Claude
    (Anthropic)
    論理的整合性と
    文書構造の認識
    • 論理と安全性: 複雑な指示を正確に守る能力や長文処理に優れ、金融・医療分野でのミスを抑制します。特にClaude 4.5 Sonnetはコーディングやエージェント(自律型AI)適性が高いモデルです。
    • VLM (視覚) 能力: 特に、PDFやスキャン書類の読み込みにおいて、図表や段組みといった「文書の構造」を維持したまま正確にテキスト化・分析することに長けています。
    • 契約書レビュー、技術仕様書作成
    • エージェント型開発
    • 金融レポート等の構造化データ化
    ChatGPT
    (OpenAI)
    汎用性・EQと
    視覚的推論
    • 汎用性とEQ: GPT-5は「速い」と「深い思考」を自動で切り替えます。高いEQ(感情知能)を持ち、親しみやすい会話やクリエイティブな文章作成が得意です。
    • VLM (視覚) 能力: OpenAI o3/o4-miniは「画像を使って考える」ことができます。ホワイトボードの手書き図やグラフを「思考の連鎖」に組み込み、論理的に分析して回答を導き出します。
    • 顧客対応、アイデア出し
    • ホワイトボードメモからのタスク生成
    • 手書きラフからのアプリ生成
    Gemini
    (Google)
    ネイティブ・マルチモーダルと
    圧倒的なスピード
    • マルチモーダルとスピード: Gemini 3シリーズは、テキスト・画像・動画を最初から一つのモデルで理解する設計です。
    • VLM (視覚) 能力: 動画や大量の画像データを一度に読み込む能力に長けています。動画からの資料作成や分析が可能です。Flashモデルは高速・低コストで大量データを処理します。
    • 動画分析、大量データの高速処理
    • Google検索と連動した情報収集
    • Google Workspace連携業務

    AIアプリ構築プラットフォーム

    AIアプリ構築プラットフォームは、AIと各種データを繋ぎ、一つの「アプリ」として機能させるための土台です。

    今回の検証事例の多くで中心的な役割を果たしているのは、オープンソースのAIアプリ開発プラットフォーム「Dify」です。

    「Dify」は、データの入力から、AIによる分析、条件分岐(IF/ELSE)、最終的な出力までを「ノード」と呼ばれるブロックで視覚的に繋いで構築できるのが特徴です。

    その他のプラットフォームとしては、より簡易的な構築ができる「Poe」、SNS連携に強い「Coze」、エンタープライズ向けの「Azure AI Studio」などがあります。

    自動化・連携ツール

    自動化・連携ツールは、異なるアプリ同士を連携させ、人間の介入なしに業務を回すためのツールです。

    今回の検証事例では、RSSフィードからのニュース収集には「Zapier」を、SNS運用の自動化フローにおいては「Make」を活用し、アプリ間の「橋渡し」をしてくれています。

    その他のツールとしては、より複雑な分岐や高度なデータ処理を得意とする「n8n」、Microsoft製品との親和性が高い「Power Automate」、初心者でも扱いやすいシンプルな連携に適した「IFTTT」などがあります。

    Google スプレッドシート/GAS(Google Apps Script)

    Google スプレッドシートは、単なる表計算ソフトとしてではなく、システムのデータベースや操作画面としての役割を担います。

    そしてシステムとGoogle スプレッドシート、あるいはシステムと人を繋ぐために、GASを活用します。

    例えば、Googleスプレッドシートを、「顧客の声(VOC)」を蓄積するマスターデータとして活用したり、飲食店の在庫数や売上データをリアルタイムで管理する台帳としての役割を持たせたりすることができます。

    AIはこれらのデータに直接アクセスし、状況を把握したり、分析結果を特定のセルに書き戻したりすることが可能です。

    そこにGASを組み合わせることで、外部ツールとの高度な連携が実現します。

    GASはスプレッドシートとDifyなどのAIプラットフォームをAPIで繋ぐ「スイッチ」のような役割を果たします。

    例えば、シート上に「分析開始」というボタンを一つ配置し、それを押すだけでGASがDifyを呼び出し、最新の在庫状況に基づいた「今日売るべきメニュー」の提案をAIに生成させる、といった自動化フローを構築できます。

    このように、使い慣れたインターフェースをそのまま「AIアプリの操作パネル」に変えられる点が、スプレッドシートとGASを組み合わせるメリットです。

    営業・セールス部門:AI業務効率化の検証事例レポート

    次に、筆者が実際に構築・検証したワークフローを、部門別に紹介します。

    まずは、営業・セールス部門において、商談の質とナレッジ共有を強化する事例です。

    多くの営業組織では、マネージャーの時間が取れず、営業ロールプレイングの質や頻度が属人的になっていたり、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)を導入しても、入力することが目的化し、次のアクションに繋がる知見が得られないといった課題が存在します。

    また、「デキる営業」が持つ商談メモやノウハウが個人のPCや頭の中に留まり、組織の資産として共有されないといった知見の属人化も問題です。

    これらの「現場の負」を解消すべく、4つのモデルを構築しました。

    受注確度スコアリング(Dify)

    まずは、Difyとは何か、AI分析に適したデータ構造とは何かなど、基本となる前提知識を紹介した記事です。

    実際に構築したのは、構造化データと非構造化データをAIで統合するべく、営業担当者の「リード確度評価と推奨アクションの提示」を自動化するワークフローをDifyで構築しました。

    これにより、過去の成功事例とリアルタイムの顧客状況を照らし合わせ、AIが受注確度スコアとリスク要因を推論・レポート化することで、根拠のある営業戦略の立案を支援します。

    詳しい内容はこちら:AIで社内に点在するデータを「価値」に変えるには?営業業務効率化へ向けたDifyによるシステム構築方法も紹介

    AIコーチによる営業ロープレ(ChatGPT)

    2つ目は、営業スキルの向上に不可欠なロールプレイングに生成AIを活用したモデルです。

    営業のロープレにおいては、「相手役の確保」や「評価の客観性」が多くの企業にとっての課題です。

    そこで、ChatGPTの「プロジェクト機能」を活用し、自社商材の知識や特定の顧客ペルソナを学習させました。

    これにより、24時間いつでも、実際の顧客に近い反応を得ながら、改善点に対する客観的なフィードバックを即座に得られる「専用AIコーチ」を構築しました。

    詳しい内容はこちら:営業ロープレにAIを活用する方法と課題とは?ChatGPTでできる実践法や成功事例も解説

    営業データの知見化プロセス(マルチAI)

    3つ目は、SFAやCRMを導入しても、データを「入力して終わり」になりがち、という課題に対し、生成AIで「眠った資産」を価値に変えるアプローチを検証しました。

    具体的には、業務を「情報を集める(リサーチ)」「考える(仮説)」「実行する(自動化)」の3ステップに分解しました。

    そして、リサーチにはPerplexity、思考・仮説にはGeminiやClaude、自動化にはCopilotといったように、各フェーズにおいて最適なAIは何かを紹介しています。

    詳しい内容はこちら:生成AIで営業データを使える知見に変えるには?業務別の生成AI活用方法と事例を紹介

    営業日報・商談メモの資産化システム(Dify)

    最後に、膨大な日報や、個人のPC内に埋もれがちな商談メモを、組織全体のナレッジに変えるシステムを構築しました。

    ノーコードツール「Dify」を用い、AIが日報から「現状把握」や「リサーチ判断」を行い、人間が判断を加えるための具体的なフィードバック案を自動生成するワークフローを構築しました 。

    また、商談メモのRAG(知識検索)化では、商談メモを「事実・解釈・次の行動」に構造化し、Difyのナレッジベース(RAG)に蓄積。過去の成功事例に基づいた具体的な対策やトーク案を対話形式で引き出せる仕組みを実現しました。

    詳しい内容はこちら:生成AIでデキる営業の商談メモを再現性のあるナレッジへ、Difyを使ったナレッジ検索システム構築方法も解説

    バックオフィス・法務部門

    次に、バックオフィスや法務部門において、専門知識を要する業務や膨大なリサーチ、書類のデータ化をAIで効率化した事例を紹介します。

    バックオフィス部門では、法改正や業界トレンドのチェックに追われ、本来注力すべきリスク管理や社内制度の設計に時間が割けないといった課題が目立ちます。

    また、契約書レビューが特定の担当者に集中してボトルネックになったり、PDFや画像などの「デジタル化されていないデータ」の転記作業に多くの工数が奪われたりしているのが現状です。

    これらの「専門業務の停滞」と「単純作業の負荷」を解消すべく、以下の3つのモデルを構築しました。

    リーガルチェックの効率化(Gem)

    1つ目は、専門知識と多大な時間を要する契約書レビュー(リーガルチェック)の一次スクリーニングを効率化したモデルです。

    リーガルチェックには、専門的な知識が求められるほか、担当者の経験やスキルによるレビュー品質のばらつき、繁忙期の品質低下などの課題があります。

    そこで、Googleの生成AIGeminiを、特定のタスクに特化させるためのカスタムAIツール「Gem」を活用。

    一連の指示(プロンプト)を事前に設定し、過去の契約書や社内規定といったリーガルチェックに必要な知識をアップロードすることで、自社のチェック基準に則りレビューを実行させました。

    これにより、リスク箇所の特定や修正案の提示を数秒で完了させることができ、担当者は特に注目すべき点を前もって把握することができるため、レビュー時間の短縮と品質の均一化が見込めます。

    詳しい内容はこちら:生成AIで契約書の「リーガルチェック」 知らないと損するGoogleのGem活用術

    Gemを活用すれば、手軽にリーガルチェックのアシスタントを構築できますが、この方法の場合、生成AIの回答を管理する手間や、ハルシネーションのリスクがあります。

    そこで、DifyとGASを組み合わせ、さらなる効率化と契約書の管理も同時に行えるシステムも構築しました。

    具体的には、Googleドライブの特定のファイルに契約書をアップロードすることで、GASがDifyへと送信し、Dify内で設定したプロンプトに沿って、RAGを参照しながら解析、解析結果をスプレッドシートに記述という一連の流れを実行できるようにしました。

    これにより、契約書のアップロードからリーガルチェックまでの一連の流れを効率化することができます。

    詳しい内容はこちら:Dify×GASで契約書レビューからデータ蓄積・管理までを行う生成AIシステムの構築方法を解説

    AI-OCRによる書類の自動データ化(Dify・Gemini VLM)

    2つ目は、「紙書類」のアナログ業務を打破する、AI-OCRの検証事例です。

    多くの組織では、未だに注文書や請求書、契約書が紙やPDFのままやり取りされており、それらを人間が手入力でシステムへ転記する作業が生産性を著しく押し下げています。

    そこで、画像とテキストを同時に理解できる「Gemini VLM(視覚言語モデル)」とDifyを組み合わせ、PDFで届く非定型な契約書をシステムへ手動で転記する作業を効率化するAI-OCRシステムを構築しました。

    ディープラーニングを活用したAI-OCRは、単に文字を認識するだけでなく、書類のレイアウトや文脈を人間のように理解します。

    例えば、取引先ごとにバラバラな形式で届く「契約書」や「注文書」であっても、AIが自動で「これが金額」「これが契約日」と項目を特定。システム連携に最適な構造化データ(JSON形式)として出力します。

    これにより、テンプレート設定の工数をゼロにしつつ、手入力によるミスを排除することができます。

    アナログな紙の情報を、ボタン一つで「価値あるデジタルデータ」へと変換し、コア業務へ集中できる環境を構築するステップを解説しています。

    詳しい内容はこちら:AI-OCRとは?基本定義や種類からDifyとGeminiで営業の紙処理を自動化するステップも解説

    情報収集の完全自動化システム(Zapier・ChatGPT)

    3つ目は、情報収集を自動化するシステムです。

    法務や企画部門にとって、法改正や補助金、競合動向のチェックは不可欠ですが、「必要な情報を探すだけで毎日1時間かかる」といった課題が多くの現場で起きています。

    生成AI単体でも要約は得意ですが、AIはあくまで「人が指示した時」に動くツールであり、特定のサイトを常時監視して新着を通知し続けるといった「完全自動化」には、外部ツールとの連携が不可欠です。

    そこで、自動化ツールのZapierと生成AIを組み合わせ、「情報収集→分析→共有」の全工程を無人化しました。

    具体的には、Zapierにより特定のサイトやキーワードを指定し、新着情報を自動検知します。

    そして、検知した情報をZapierを介して生成AIのAPIへ自動で飛ばし、重要度の判定と要約をAIが実行します。

    自動転送:分析結果をSlackへ自動投稿したり、スプレッドシートへ日付順に自動追記してデータベース化したりします。

    これにより、人間は「探しに行く・コピペする」手間から完全に解放され、届いた要約を確認するだけで、常に最新の状況に基づいた意思決定ができる環境を実現しました。

    詳しい内容はこちら:生成AIで情報収集はどこまで自動化できる?ChatGPTやZapierを活用した自動化システム構築方法を解説

    マーケティング・CS部門

    続いて、マーケティングやカスタマーサポート(CS)部門において、膨大な顧客の声(VOC)の解析や、トレンドの変化が激しいSNS運用の内製化を、AIで高度化した事例を紹介します。

    マーケティング・CS部門では、アンケートの自由記述やSNS上の口コミ、日々の問い合わせなど、膨大な「定性データ」が集まる一方で、それらを一つひとつ読み込んで分析するには膨大な工数がかかります。

    その結果、貴重な顧客の声を施策に活かしきれなかったり、SNS投稿のネタ切れや、CS対応の初期仕分けに時間がかかり返信が遅れるといった課題が生じています。

    これらの「データ過多による分析不足」と「運用リソースの枯渇」を解消すべく、4つのモデルを構築しました。

    アンケート設計・分析の自動化(ChatGPT・Gemini)

    1つ目は、顧客アンケートの設問設計から、回収後の膨大な定性コメントの解析までをAIで一気通貫させたモデルです。

    アンケート業務には「目的からズレない設問設計」と「自由記述分析の膨大な労力」という2つの大きな壁があります。

    特に自由記述は、表記揺れの修正やラベル付けといったデータクレンジングだけで数週間を要することも珍しくありません。

    そこで、生成AIを「再現可能な設計テンプレート」および「高速な自然言語処理エンジン」として活用し、その精度を検証しました。

    検証の結果、AIは設問案の作成や、100社分以上の自由記述からの「テーマ分類」「感情分析」「改善提案の抽出」において極めて高い精度を発揮しました。

    一方で、数値の正確な計算(NPS算出等)やグラフ生成には課題があることも判明しました。

    詳しい内容はこちら:生成AIを顧客アンケートの設問設計・分析に活用するには?ChatGPT・Geminiを活用して精度を検証してみた

    アンケート収集から資料作成までを自動化(GAS・NotebookLM・Gemini)

    2つ目は、1つ目のモデルで浮かび上がってきた課題を乗り越えるべく、アンケートの設問設計から回答収集、そして最終的な「報告用スライドの作成」までを完全に自動化したハイブリッドモデルを構築しました。

    今回のモデルでは、「計算は正確なプログラム(GAS)に、解釈はAI(NotebookLM)に」という適材適所の役割分担を採用しました。

    具体的には、まず、集計後のアウトプットから逆算して設問を設計(数値固定や属性の選択肢化)し、GASによって100%正確な集計表を自動生成します。

    その一次情報をAIノートツール「NotebookLM」に読み込ませることで、AIの嘘(ハルシネーション)を排除した正確な洞察とスライド構成を抽出します。

    最後に、GeminiのCanvas機能でGoogleスライドへ変換することで、報告資料を完成させるワークフローを実現しました。

    SNS運用の内製化エージェント(Make・Gemini)

    3つ目は、リサーチから企画・ネタ出しまでの「0から1」の工程を代行する、SNS運用の内製化モデルです。

    SNS運用において担当者を最も苦しめるのは、日々の膨大なニュース巡回(リサーチ)と、そこから自社のアカウントらしい切り口を見つけ出す「ネタ出し」の連続です。

    これらを外注すると多額のコストがかかり、自社で行うと工数過多で本来の戦略立案や分析に時間が割けなくなります。

    この課題を解決するため、運用フローを「リサーチ・企画・制作・分析」の4ステップに分解し、前半の2工程を自動化する「自律型エージェント」を構築しました。

    具体的には、自動化ツールのMakeを活用し、特定サイトの更新をRSSで常時監視。新着記事を検知すると、AIが「自社ターゲットにとって投稿価値があるか」を自動選別し、要約とSNSでの切り口を添えて担当者へGmail通知する仕組みを構築しました。

    これにより、担当者は「ネタ探し」という受動的な作業から解放されます。

    そして、企画・ネタ出しでは、GeminiのカスタムAI機能「Gem」を用い、特定の役割を学習させた専用アシスタントを作成。競合の成功投稿の分析や、特定のテーマに基づいた動画・テキスト用の構成案、キャッチコピー、ハッシュタグを生成させます。

    これにより、人はAIが生成した「タタキ台」をもとに、最終的な価値判断とブラッシュアップを行うことで、情報の鮮度を落とさずに高品質な運用を継続できる、という体制を実現しました。

    詳しい内容はこちら:SNS運用をAIで内製化するには?カスタムAIとノーコードツールで効率化する方法を解説

    CS問い合わせの自動ルーティングシステム(Dify)

    3つ目は、カスタマーサポート(CS)に届く問い合わせを、内容に応じてAIが自動で仕分ける仕組みです。

    デジタル化の進展により、CS部門には日々大量かつ複雑な問い合わせが寄せられますが、その中から「システム障害」「重大なクレーム」「解約」といった緊急性の高いものを、大量の一般的な質問の中から手作業で見つけ出すのは困難です。

    この「仕分け」がボトルネックになると、初動が遅れ、顧客満足度の低下や離脱リスクの増大を招きます。

    この課題を解決するため、今回も「Dify」を活用し、問い合わせ内容をAIが瞬時に解析・分類・通知する自動ルーティングシステムを構築しました。

    単なるキーワードマッチングではなく、Difyの「質問分類器ノード」を用いて、AIが文章の意図を理解し「料金・請求」「故障・サポート」「解約」などのカテゴリに自動で振り分けます。

    そして、LLMが問い合わせのトーンを解析し、緊急度を「HIGH/MEDIUM/LOW」の3段階で評価します。

    さらに、担当者が一目で状況を把握できるよう、内容を30文字以内で自動要約します。

    最後に、IF/ELSEノードを活用し、緊急度の高いものは即座にSlackやメールでアラート通知を行い、それ以外は通常の管理システムへ蓄積するといった、優先順位に基づいた経路選択を自動化しました。

    これにより、人間が全てのメールを読み込む「仕分け」時間を削減し、最優先事項に即座に対応できる「攻めのサポート体制」の構築ステップを解説しています。

    詳しい内容はこちら:カスタマーサポートの仕分けにAIを活用するメリットとは?Difyを活用したシステム構築ステップも紹介

    店舗・現場運営部門

    最後に、飲食店や小売店などの現場運営において、これまで店長や熟練スタッフの「経験と勘」に頼っていた判断を、データに基づいた「次の一手」に変換し、売上機会の最大化と業務の標準化を支援する事例を紹介します。

    店舗の最前線では、日々膨大な売上や在庫データが生成されていますが、その多くは「営業終了後の集計」にのみ使われ、営業中の「今、どう動くべきか」というリアルタイムなアクションには活かせていないという課題がありました。

    これらの「情報のリアルタイム性の欠如」を解消し、誰でも最適な判断ができる環境を作るべく、以下の3つのモデルを構築しました。

    リアルタイムメニュー提案エージェント(Dify・GAS)

    1つ目は、スプレッドシートを「単なる台帳」から、AIが判断を下すための「インテリジェントな意思決定エンジン」へと進化させた飲食店向けの支援モデルです。

    飲食店における悩みの一つは、食材の廃棄(ロス)と、利益率のコントロールの両立です。

    そこで、在庫データ・賞味期限・メニューごとの利益率をスプレッドシートで一元管理し、DifyとGAS(Google Apps Script)で連携させました。

    現場スタッフは「今、一番売るべきメニューは?」とAIに問いかけることで、AIがスプレッドシート内のデータをリアルタイムに参照します。

    そして、「期限が迫っているA食材を使い、かつ利益率が高い『季節のパスタ』を最優先でリコメンドしてください」といった、具体的な提案理由とトーク案を即座に提示します。

    これにより、廃棄ロスを抑えながら利益を最大化する「攻めの接客」が可能になります。

    詳しい内容はこちら:飲食店運営にAIをどう活用する?「在庫・ロス管理」「売上機会の損失」に対するAIシステムを提案

    顧客の声の一括分析システム(Dify・GAS)

    2つ目は、現場に届く「製品への期待」や「お叱り」などの貴重な声を、ボタン一つで改善レポートに変えるシステムです。

    色々な店舗でアンケートを実施すると、内容の粒度や表現が統一されていないため、「書き方がバラバラ」で集計すら困難なケースが多々あります。

    そこでまずは、生成AIの「文脈理解能力」を活用し、表計算ソフトで簡易的に分析しました。

    今回は、Googleスプレッドシートを活用し、1行目に「ID」「発生時期」「問い合わせ内容(Description)」といった項目を整え、サイドパネルに搭載されたAI(Gemini)を活用。対話形式でVOCを分析しました。

    例えば、「このシートの応対メモを分析して、不満が多い順に3つのカテゴリーで要約して」とチャットで指示すると、現状の課題や優先順位を数秒で可視化してくれます。

    さらに高度な運用として、スプレッドシート上に配置した「分析実行」ボタンを押すだけで、アナリストレポートを自動生成するシステムも構築しました。

    ボタンを押すとGAS(Google Apps Script)がDifyを起動し、AIが記録をスキャンします。

    Difyでは「全体傾向の要約」「具体的な不満内容の抽出」「改善アクション案」を出力するよう設定し、自動でスプレッドシートに書き戻してくれる仕様としました。

    これにより、分析の専門知識がなくても、ボタン一つで「顧客の不満の核心」を突いたレポートを受け取れる体制を実現しました。

    詳しい内容はこちら:顧客の声を生成AIで活用できる資産へ、ボタンひとつで分析するシステムの構築方法を解説

    まとめ:AI導入を成功させるための共通ポイント

    ここまで、部門別の具体的な13の検証事例を見てきました。

    最後に、これらのシステムを構築・運用する中で見えてきた、AIによる業務効率化を成功させるための「3つのポイント」をまとめます。

    1.「小さく始めて、大きく育てる」

    最初からすべての業務を自動化する完璧なシステムを目指すと、要件定義だけで数ヶ月が過ぎてしまいます。

    まずは、「一日のうち30分かかっている、この単純作業だけをAIに任せてみる」といった小さなPoCから始めることが重要です。

    今回紹介したツールの多くは、無料または低コストで始められるものばかりです。

    現場で使いながら、「もう少しこうしたい」というフィードバックを元に改善を繰り返すことが、結果として最短で実用的なシステムへと繋がります。

    2.「Human-in-the-Loop(人間介在型)」の設計

    AI、特に生成AIには「ハルシネーション(もっともらしい嘘)」のリスクが常に伴います。

    法務チェックや在庫管理などの重要な判断をすべてAIに丸投げするのは、現時点ではリスクが大きすぎます。

    成功の鍵は、「AIに下書き(分析・要約)をさせ、人間が最終判断(承認)を下す」というワークフローをシステムの中に組み込むことです。

    AIを「全自動の機械」ではなく、「有能だが少しおっちょこちょいな新人アシスタント」として捉え、人間がチェックする工程をセットにすることが、組織として安全にAIを使いこなすコツです。

    3.「出口(アウトプット)」から逆算してデータを整える

    AIの性能を最大限に引き出すためには、データの「入り口」を整えることが不可欠です。

    アンケートの設問や日報の項目を、AIやプログラムが処理しやすい形(選択肢の固定や数値化など)へあらかじめ整理しておくことで、分析の精度は飛躍的に向上します。

    「どのようなレポートが欲しいか(出口)」を明確にし、そこから逆算して「どのような形式で入力すべきか(入り口)」を設計する。

    この視点を持つだけで、AI活用の成功率はぐんと高まります。

    今回紹介した事例は、特別なエンジニアでなくても、ノーコードツールと生成AIを組み合わせることで実現できるものばかりです。

    まずは、あなたの目の前にある「ちょっと面倒なあの業務」から、AIという頼もしいパートナーと一緒に改善の一歩を踏み出してみませんか?

  • bestat、2D図面から対話型AIが3Dモデルを自動生成する「3D.Core CAD Agent」を提供開始

    bestat、2D図面から対話型AIが3Dモデルを自動生成する「3D.Core CAD Agent」を提供開始

    製造業において、過去の設計資産である紙図面や2Dデータの3D化は、デジタルツインの構築やシミュレーション活用を進める上で大きなボトルネックとなっている。

    特に、熟練設計者の減少に伴い、図面のトレースやモデリングに割ける人的リソースが不足しているのが現状である。

    こうした中、東京大学発のスタートアップであるbestat株式会社は、2D図面をアップロードすることで3D CADモデルを生成し、AIエージェントとの対話で修正まで行える新サービス「3D.Core CAD Agent」の提供を開始した。

    同サービスは、同社が従来提供していた、2Dの三面図を自動で3Dデータに変換する「3D.Core for CAD」をアップデートし、AIエージェント機能を実装したものだ。

    利用者は、2D図面を画像形式でシステムにアップロードすることで、AIが図面の内容を認識・解析し、数分から数十分程度で3D CADモデルを自動生成する。

    生成されたデータは、製造業で広く利用される中間フォーマットであるSTEP形式でダウンロード可能なため、既存の3D CADソフトや3Dプリンターですぐに活用することができる。

    これにより、従来は人の手で行っていたモデリング作業の工数を大幅に削減し、設計プロセスの効率化を実現する。

    最大の特徴は、デジタル化されていないアナログ情報の処理能力にある。

    鮮明なデジタル図面だけでなく、倉庫に眠っている古い「青図」や、現場で描かれた「手書き図面」であっても、画像として取り込むことで3Dモデルへの変換が可能である。

    また、図面内に情報が不足していたり、寸法表記が不鮮明で解釈が分かれたりする場合でも、対話型AIエージェントが機能する。

    ユーザはチャット形式でAIとコミュニケーションを取りながら、細かな形状の確認や調整を行うことができる。

    一方的な自動変換ではなく、人とAIが協働してモデルを完成させるプロセスを採用することで、手戻りのリスクを低減させている。

    料金体系は、1データあたり5,000円からの従量課金制を採用しており、大規模なシステム導入コストをかけずにスモールスタートが可能だ。なお同社は、最大3図面まで試行できる無料トライアルも提供しているとのことだ。

  • MARUWA SHOMEI、エスマットの在庫最適化AIエージェント導入で在庫金額を13%削減

    MARUWA SHOMEI、エスマットの在庫最適化AIエージェント導入で在庫金額を13%削減

    道路やトンネルなどのインフラ向け照明器具を手がける株式会社MARUWA SHOMEIは、株式会社エスマットが提供する「在庫最適化AIエージェント」を導入し、約4カ月間で在庫金額を約13%、300万円相当削減することに成功したと発表した。

    製造業において、在庫管理はキャッシュフローと納期遵守のバランスを取る難しい経営課題である。

    特に公共案件を多く抱えるMARUWA SHOMEIでは、納期遅延が許されないプレッシャーから、現場が過剰な安全在庫を抱え込みやすく、資金効率が悪化するというジレンマを抱えていた。

    こうした課題に対し、同社は2025年5月より土岐工場にて、IoTとAIを活用した在庫管理の高度化に着手した。

    導入されたシステムは、エスマットが提供するIoT重量計「SmartMat Cloud(スマートマットクラウド)」の新機能である「在庫最適化AIエージェント」だ。

    従来のアナログ管理では、在庫の正確な残量や消費推移のデータ化自体に工数がかかっていたが、同システムでは、IoT重量計が自動で在庫データを取得するため、現場の入力作業は発生しない。

    AIはこのリアルタイムデータを学習し、消費パターンや季節変動を分析した上で、欠品リスクや過剰在庫の兆候を検知する。

    特筆すべきは、AIが単にデータを可視化するだけでなく、「発注点の見直し」や「在庫圧縮の可能性」といった具体的な改善案を提示する点だ。

    現場担当者や管理者は、AIの提案理由(根拠)を確認し、「承認」または「却下」の判断を下すだけでよいため、膨大な在庫品目を人手で監視する業務から解放される。

    MARUWA SHOMEI、エスマットの在庫最適化AIエージェント導入で在庫金額を13%削減
    「 在庫最適化AIエージェント」による改善提案イメージ

    実証運用は2025年5月15日から9月4日にかけて、同社の土岐工場で管理する184品目を対象に行われた。

    その結果、欠品を発生させることなく、在庫総額を2,360万円から2,060万円へと約300万円圧縮することに成功したのだという。

    MARUWA SHOMEI、エスマットの在庫最適化AIエージェント導入で在庫金額を13%削減
    在庫最適化AIエージェントを導入による成果

    同社は今後、対象品目の拡大や需要変動への対応強化を進めていく方針だ。

  • 大塚商会、各種システムと連携し商談準備やデータ分析を自律化する中小向け「AIエージェント」を提供開始

    大塚商会、各種システムと連携し商談準備やデータ分析を自律化する中小向け「AIエージェント」を提供開始

    株式会社大塚商会は、社内システムと連携して業務を代行するAIサービス「たよれーる ビジネスAIエージェント」を、2026年3月中旬に提供を開始することを発表した。

    同サービスは、JAPAN AI株式会社の「JAPAN AI AGENT」を基盤としつつ、大塚商会独自の連携機能とサポートを付加した中堅・中小企業向けのソリューションだ。

    「営業」「総務・人事」「マーケティング」「カスタマーサポート」など、職種や業務カテゴリ別に整理された110種類以上の汎用AIエージェントを標準搭載しており、ユーザは自身の役割に合ったエージェントを選択することで活用することができる。

    また、大塚商会が独自開発した、既存業務システムと連携する2個の専用AIエージェントを提供する。

    一つ目は、「営業訪問準備エージェント」だ。

    Microsoft Outlookのスケジュールデータから訪問先企業を自動で認識し、その企業の最新ニュース、業界動向、および社内のSFA(Sales Management)に蓄積された過去の営業履歴を一括で収集・要約する。

    これらを1つのレポートとしてまとめることで、営業担当者は移動中などに短時間で効果的な商談準備を行うことができる。

    二つ目は、2026年6月に提供予定の「DX統合パッケージSMILE販売データ分析エージェント」だ。

    基幹業務システム「DX統合パッケージSMILE販売」のデータを連携対象とし、自然言語での質問に対しAIがデータを分析する。

    複雑なSQL文を作成することなく、売上推移や顧客別動向をグラフや表形式で可視化することが可能だ。

    また、AI導入の障壁となる運用定着の課題に対しては、同社の保守サービス「たよれーる」ブランドによるサポートを提供する。

    通常のサポートに加え、専任担当者による導入前の現状分析、環境設定、ユーザ教育、独自エージェントの追加作成といった有償サポートメニューを用意し、企業のフェーズに合わせた支援を行う。

    料金は、スタンダードプランの場合、基本ライセンスが税別月額130,000円、ユーザライセンスが1名あたり税別月額1,400円からとなっている。

    同社は、今後も業種特化型エージェントの開発や他システムとの連携拡大を進める方針だ。

  • 日立、工場の設備故障診断を支援するAIエージェントを提供開始

    日立、工場の設備故障診断を支援するAIエージェントを提供開始

    製造業において、熟練技術者の減少や設備の老朽化、生産拠点のグローバル化に伴う人材不足が深刻化する中、現場の保全業務をいかに効率化し、技術を継承していくかが喫緊の課題となっている。

    こうした中、株式会社日立製作所は、工場の設備故障診断を支援するAIエージェント「現場サポートAIナビ(Field Support AI Navi)」の提供を、2026年2月3日より開始した。

    「現場サポートAIナビ」は、現場の保全員がタブレット端末などを通じて対話形式で設備の不具合状況を入力すると、AIがその原因と対策を提示するソリューションだ。

    最大の特徴は、単なるマニュアル検索や過去事例の提示にとどまらず、熟練者が行う「原因特定のための思考プロセス」をAIが再現する点にある。

    具体的には、顧客が保有する設備図面を「ナレッジグラフ」として生成AIが解釈可能な構造に変換。これに加え、過去の保全記録などの「OTデータ」と、日立が持つ設備故障原因分析手法(STAMPなど)に基づく「OTスキル」を掛け合わせて学習させている。

    一般的なチャットボットでは、過去のデータにない新規の事象には対応できないケースが多いが、同ソリューションは独自の分析ロジックにより、未知のトラブルであっても「次に確認すべき箇所」や「取るべき行動」を明確にガイドすることが可能である。

    これにより、経験の浅い作業員でも熟練者と同等レベルの診断が可能となり、属人化の解消とダウンタイムの短縮に寄与する。

    対象設備は、動力設備、制御装置、ポンプ、バルブなど多岐にわたり、ディスクリート産業からプロセス産業まで幅広い製造現場に対応する。

    同ソリューションの提供にあたっては、すでに大手製造業との実証が進められている。2025年4月からはダイキン工業と試験運用を開始し、同年12月からは三菱ケミカルと化学プラントにおけるトラブルシューティング支援の共同検証を行ってきた。これらの現場で培われた知見が、今回の製品化に反映されているのだという。

    提供形態は、既存システムに機能を組み込む「API as a Service(APIaaS)」と、早期導入が可能な「パッケージシステム」の双方が用意されており、企業のニーズに合わせて選択が可能だ。

    なお、「現場サポートAIナビ」は、同社の産業分野向けソリューション群「HMAX Industry」のラインアップの一つとして提供される。

    日立は将来的に、現場データをリアルタイムで収集・分析する「フィジカルAI」への発展も視野に入れており、製造現場の自動化・自律化をさらに加速させるとしている。

  • ApplがXcode 26.3で「エージェンティックコーディング」を解禁、ClaudeやCodexと連携しアプリ開発の自律化を実現

    ApplがXcode 26.3で「エージェンティックコーディング」を解禁、ClaudeやCodexと連携しアプリ開発の自律化を実現

    Appleは2026年2月3日、統合開発環境の最新版となる「Xcode 26.3」を発表し、AIエージェントが自律的にアプリ開発を支援する「エージェンティックコーディング(Agentic Coding)」機能に対応したことを発表した。

    今回導入された機能の最大の特徴は、Anthropicの「Claude Agent」やOpenAIの「Codex」といった主要なコーディングエージェントを、「Xcode」のインターフェース内でシームレスに利用できる点にある。

    従来のアシスタント機能とは異なり、エージェンティックコーディングでは、AIがプロジェクトのアーキテクチャを理解した上で、目標達成に必要なタスクを自ら分解し、判断を下しながら作業を進行する。

    具体的には、以下のような高度な操作を自律的に実行する。

    • コンテキストの把握:ファイル構造の確認やドキュメントの検索を行い、現状を把握する。
    • 設定の変更:プロジェクトの設定更新などを自動で行う。
    • 視覚的な検証:Xcodeのプレビュー画面をキャプチャ(視覚認識)し、ビルドごとの変化を確認しながら、修正の反復プロセスを実行する。

    これにより、開発者は複雑な実装作業をAIに委任し、より創造的な設計や課題解決に注力することが可能となる。

    また、「Xcode 26.3」は、AIモデルとアプリケーションをつなぐオープン標準規格「Model Context Protocol(MCP)」に対応している。

    これにより、開発者はAppleが標準でサポートする「Claude」や「Codex」以外にも、MCPに対応した多様なAIエージェントやツールを柔軟に組み込むことができるようになる。

    Appleのワールドワイドデベロッパリレーションズ担当バイスプレジデントであるスーザン・プレスコット氏は、「今回のアップデートが生産性と創造性を高め、開発者がイノベーションに集中できる環境を作る」と強調している。

    単純なコーディングだけでなく、検証や修正といった試行錯誤のプロセスまでAIが担うことで、アプリ開発におけるリードタイム短縮と品質向上が期待される。

    なお、「Xcode 26.3」は、2月3日よりApple Developer Programメンバー向けにリリース候補版の提供が開始されており、近日中にApp Storeを通じて正式にリリースされる予定だ。

  • OpenAI、複数のAIエージェントを同時に管理する「Codexアプリ」をmacOS向けにリリース

    OpenAI、複数のAIエージェントを同時に管理する「Codexアプリ」をmacOS向けにリリース

    OpenAIは2026年2月2日、macOS向けのデスクトップアプリケーション「Codexアプリ」を正式にリリースした。

    「Codexアプリ」は、開発者が複数のAIエージェントを同時に指揮するための「コマンドセンター」として設計されている。

    最大の特徴は、複数のエージェントと並行して作業するために実装された、プロジェクトごとに整理された「個別スレッド」と、標準サポートされた「ワークツリー(Worktree)」機能だ。

    これにより、複数のエージェントが同一のリポジトリ(プログラムの保管場所)上で作業する場合でも、互いの作業内容を競合させることなく、分離された環境で並行してタスクを進めることが可能となる。

    開発者は、あるエージェントに機能実装を任せている間に、別のエージェントとバグ修正を行うといったマルチタスクが可能となり、コンテキスト(文脈)を切り替える手間なく効率的にプロジェクトを進行することができる。

    また、指示内容、リソース、スクリプトをひとまとめにした「スキル」機能を備えている。

    「Codexアプリ」には、スキルを作成・管理するための専用インターフェースが用意されており、Codexに特定のスキルを指定して使わせたり、タスクに応じて自動的に使わせたりすることが可能だ。

    なお、OpenAIでは、社内で数百のスキルを構築しており、評価の実行やトレーニングの監視、ドキュメント作成、成長実験のレポーティングなどが含まれている。

    例えば、「Figmaからデザイン情報を取得してUIコードを生成する」「Linearでバグ管理を行う」「Cloudflareなどのクラウド環境へデプロイする」などだ。

    こうして作成された独自のスキルは、チーム内で共有することも可能であり、企業ごとの業務フローに合わせたカスタマイズに対応する。

    さらに、定型業務を自動化する「オートメーション機能」も実装された。

    ユーザはスケジュールを設定することで、CI(継続的インテグレーション)の失敗検出や日次リリースの概要作成といったタスクを、AIにバックグラウンドで実行させることができる。

    完了した作業はレビューキューに蓄積され、ユーザは任意のタイミングで確認・承認を行うだけで済むため、管理コストの削減が見込まれる。

    OpenAIによると、直近1ヶ月で100万人を超える開発者がCodexを利用しており、その利用頻度は倍増しているという。

    同社は今後、Windows版の提供や推論速度の向上を進め、AIと人間が協働する新たな開発スタイルの定着を目指す方針だ。