自動運転へのアプローチで見えたテクノロジーの価値 ーCES2019レポート25

ラスベガスで開催されたCES2019レポートの第25弾はIoTNEWS生活環境創造室室長の吉田氏による論考だ。

CES2015でFordがキーノートを行い、シリコンバレーからラスベガスまで自動運転で走行したAudiのコンセプトカー「Jack」の登場で、CESでの自動車業界の存在感が一気に高まった。

そこから毎年CESを起点に、注目を集めるニュースやコンセプトカーが登場している。

CES2017ではPre-Show KeynoteにNVIDIAが登壇、AIとチップの性能をアピールし、画像認識の高速性と正確性を軸に自動運転車としてのレベルの高さを見せつけた。

CES2018では自動車単体ではなく街と人と自動車がコネクテッドすることの必要性をOpening KeynoteをつとめたFordが明らかにした。

さらに、昨年はトヨタもUtility Vehicle 「e-Palette」とともにMobility Platform構想を発表し、自動車単体の進化だけでなく、街や人、つまり社会とコネクテッドすることが自動車含むMobilityのInnovationになることが明らかになった。

CES2019サマリー
Panasonicブースにも展示されていたボックス型Mobility Vehicle

今回はこれまでの流れを踏襲するのではなく、商用化に向けた逆算、もしくは今年発売されるコネクテッドカーのアピールが目立っていた。

未来の話から現実の話に変わったことで、見る人によっては、新しさを感じない、という人もいただろう。

またちょっと未来を感じさせるボックス型のMobility Vehicleが多かったため、そちらの印象が強い方も多かったのではないだろうか。

CES2019サマリー
今年発売が予定されているレベル3対応のコネクテッドカー「M-Byte」

今回のCESにおいてコネクテッドカー領域で印象に残ったのはBytonとトヨタだ。

Bytonは自動運転レベル3に対応するEV「M-Byte」を2019年末に約4万ドルで発売するというのだ。

自動運転レベル3は、インフラやネットワークとの連携や法整備が必要になるが、中国であれば、発売早々にエリアを絞って実現されることは十分考えられる。

また、機能やデザインはもちろんだが、価格を聞いてとても驚いた。デザインや内装、そしてコネクテッドカーの機能を考えると破格である。

テスラが登場した時にも驚かされたがEVになって開発コストも製造コストも大きく圧縮されてきている証拠だ。

CES2019サマリー
トヨタ プレス向けカンファレンスで説明したGuardianとChauffeurの共存

インフラやネットワークとの連携によって自動運転の実現を目指すBytonに対し、ドライバーと協調したコネクテッドカーをリリースしようとしているのがトヨタだ。

レポート①で紹介した「Guardian」はトヨタの高度安全運転支援技術で、ドライバーが運転する前提でドライバーの動きや操作と連携し事故回避をするものだ。

完全自動運転システムである「Chauffeur」がドライバーの存在を不要にするものだが、Chauffeurの提供に向けてGuardianを用いてアプローチしていくことになる。

自動運転を生活者がすぐには受け入れにくいということもあるが、コネクテッドカーは自動運転が大事なのではなく、安全性の向上が重要であるということを再認識した。

つまり、自動運転の実現のためにどのような課題解決をしていくのか、ということではなく、自動車をより安全にするためのテクノロジー活用が本質ということである。当たり前のことであるが、トヨタは見失いがちだったことを気付かせてくれた。

CES2019