ドイツ・ハノーバーで開かれている、ITイベントであるCeBITでは、広大な敷地に様々な分野のITソリューションが展示されている。
各種メディアでも伝えられている通り、安倍首相とメルケル首相がEUとの連携強化を発表し、ハノーバー宣言が採択され、今後日独9分野にわたって、産業分野での協力を進めていくこととなった。
そんなニュースが発表される中、「さぞIoT関連の展示も多いだろう」と期待をしているみなさんには残念なお知らせだが、そもそもITのイベントであっただけにIoTの展示ばかりという状態ではなかった。しかも、シーメンスやボッシュといったドイツを代表するインダストリー4.0企業は不在で、製造業向けのIoTソリューションの最新情報に関しては、4月に開催されるハノーバメッセの開催が待たれることとなった。
CeBITに馴染みの薄い方のために補足すると、構成としては大きく、デジタルビジネスソリューションと呼ぶ大きなくくりから入り、入出力関連、ビッグデータ・BI、ERP、HR、マーケティング・セールス、セキュリティ、リサーチ・イノベーションと、ソリューション別のブース(というか建物)が準備され、さらには公共系、スタートアップ系、ネットワーク・データセンター、IoT、オフィス電化製品、POS・バンキング、ドローン・AR・VRと、広範囲なジャンルが準備されていた。
こういった網羅的な展示が、会場にバスが走っているほど広大な敷地に配置されているのだ。
IT産業が米国に大きく水を開けられたといわれることが多いドイツだが、AppleやGoogle, SalesforceやMicrosoft, Facebookといった米国IT企業のイベントでは、1社開催のイベントであるにもかかわらず、世界中から多くの人が参加することを考えると、確かに元気があるとは言い難い状況だろう。
実際、メインホールとなるDigital Business Solutionsのホールで目立っていたのは、IBM, Huawei, Intelといずれもヨーロッパの企業ではなかった。
IBMはコグニティブ、Huaweiはソリューションの総合力を展示
Cognitive押しのIBM

IBMのブースはとにかくCognitive押しだった。すべてのソリューションにWatsonを絡める徹底ぶりで、むしろどこまでWatsonが関与しているのだろうかという気持ちにさせられる感があったが、今売り時なのかもしれない。

広大な敷地に、網羅的なソリューションを並べたHuawei

Huaweiは、MWCとは違い、クラウドやAI、IoTなどを使って、様々なジャンルのソリューションを紹介していた。
すべてが実現されているわけではないらしく、コンセプトレベルのものも多く展示されていた。
IoTプラットフォームが案外少なかった

ITのイベントということで、エッジ側のソリューションが少ないことは予測できていたが、案外クラウド上のIoTプラットフォーム関連の展示が少ないことに驚いた。
ソリューションとして日本と比較しても特段目新しいモノを見ることができなかったが、それは逆に「IoTとしてできること」がグローバルレベルでもすこしずつ「平準化してきている」と感じた。そこで、この機会に我々には馴染みが薄いヨーロッパの企業をリサーチしてきた。
TRIOMOBIL

TORIOMOBILは2011年にスタートした、トルコのモビリティ向けIoT企業だ。車載デバイスとクラウドサービスを開発していて、日本ではいすゞが顧客企業として紹介されている。
クラウド上で展開されるソフトウエアは、フリートマネージメント(車両の維持管理)に使えるとしており、各種情報はスマートフォン上でも提供されている。
トラッキングデバイスも乗用車用、トラック用、人用が用意されている。

さらに、業務用ソリューションとしては、燃料管理システムや、レンタカーのセキュリティ管理、公共交通手段の管理、スクールバス管理など用途別にソリューションも多く準備されている。
関連リンク:TRIOMOBIL
EUROTECH
ユーロテックはイタリアに本社があるグローバル企業で、日本ではアドバネットと一緒に事業展開をしている企業だ。今回の展示では、産業機械がの動作をユーロテック製のルータを通してクラウドにアップロードすると、クラウド上の管理画面でリアルタイムに産業機器をモニタリングできるというものだった。

上図の左上から右下に横切っているのが、産業機械のバネのイメージだ。その情報をセンシングして、左下の黒い箱がユーロテック製のゲートウェイで、そこから通信をする、その結果を下のクラウドサービスで受け取り可視化するのだ。

EASYMILE

フランス発の無人自動車である、EASYMILEはメトロモード、バスモード、タクシーモードが用意されている、今回はタクシーモードの展示がされていて、スマートフォンで呼び出すこともできる。


単に自走するだけでなく、センサーによって安全も確保されているので安心だ。日本では、DeNAがリセラーとして登録されている。
参考:EasyMile
Software AG

Software AGは、ドイツのSI企業だ。IoTプラットフォームも持っている。これまでの展示とは違って、純粋なSIサービスとして提供されているIoTサービスの展示であった。また、同社のioTについて説明がされていた。

ハイレベルデータフローモデルは、センサーから取得したデータを統合・分析し、アクションにつなげるといういつものやつだ。

IoTプラットフォームについても日本でいわれているのとあまりかわりがないが、強調されていたのは分析のところで、たんなる分析も、AIを活用した分析も視野に入れていると語られた。

このフレームワークは、よく整理されていて、それぞれの分野のソリューションがどのレベルでできているかは知ることはできなかったのと、デバイス側のことはあまり触れられなかったのが少し残念だった。

多くのデバイスやクラウドサービス、産業と接続が可能であるという説明があり、管理画面も充実していると説明がされた。

参考:SoftwareAG
G&S IT Solutions

G&S IT Solutionsは、ドイツのSI企業だ。展示では、何らかのデバイスからのデータを取得し、Raspberry Piベースで開発したデータ変換機を通してHTTP通信に耐えるデータフォーマットに変換、クラウド上の管理システムで収集するというものだった。


今回紹介したIoTプラットフォーム系のソリューションは、すでに他の事例で見たことがある方も多いだろう。日本企業も同じようなソリューションを多く作っていることを考えると、今後はグローバルレベルでのマーケットの取り合いが始まると考えたほうが良いだろう。
EU諸国を近隣に持つドイツ、さらに東南アジアや中国とも近い関係があると言われているが、国内IoT関連企業は国内ばかりに目を向けずグローバルなマーケットでどこに受け入れられるのかを考えていかなければならない。
次回へ続く