OPENがキーワード、中国企業の存在感低下か ーCES2019レポート23

2011年より視察をはじめて今回で9年目となったCES。初めて体験した2011年はスマートラッシュで、スマートフォンはもちろん、スマートタブレット、そしてスマートテレビが強烈な存在感を示していた。

当時3.9Gと呼ばれていたLTEは、Verizonが4Gと定義したことからLTE=4Gとなったのも2011年の大きなポイントだ。その4年後の2015年にスマートからIoT(コネクテッド)に軸が変化し、今回はそこから4年である。新しいトレンドワードの誕生も期待されたが、今回はお預けであった。しかし、全体を通してみて、大きな節目を感じたCESであり、例年以上に興味が膨らむ場であった。

CES2019サマリー
メインの展示会場であるLVCC

 CESはConsumer Erectronics Showであり、家電ショーであったため、その主役は常にハードだった。LVCC(LasVegas Convention Center)のCentralが会場としてはその中心であり、Northは車、Southはその他の企業、そしてSandsにも数多くの展示が存在する。

LVCCのCentralにはSamsung、LG、Sony、Panasonic、Intel、Qualcommなどのメジャーな企業が出展しているのだが、今回のCESでは、各社の存在感は変わらずあるものの、LVCC Centralよりも、SouthやSandsに活気を感じたことは否めない。CES=大手家電メーカーのものという時代ではないことはわかっていたが、その確信を感じざる得ない場でもあった。

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人の多さは例年以上にも感じたLVCCのコンコース

また、この背景にはアメリカと中国の関係性が悪化したことも影響をしている。

SamsungとLGが韓国メーカーでありながら、アメリカを代表する企業のように振舞ってきた状況から、様々な中国メーカーが台頭し、活性化してきた家電業界の競争は、水入りした。そのため、ここ数年、ボリュームで圧倒していた中国メーカーは、出典は継続しているもののPRバリューは大きく低下し、存在感が薄くなってしまった。

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ブースは存在しているものの、注目度が大きく低下した中国メーカー

私のCES視察にはパターンがある。キーノートでCTAの意図と大きなメッセージングを探り、ブース視察と並行してCESのストーリーを読み解いていく。

LG、IBM、Verizonのキーノートはとてもわかりやすくまとまっていて、Intel、Samsungのプレスカンファレンスと併せて解釈すると状況がとても理解しやすくなった。自社への囲い込みや、エクスクルーシブなサービスを押し出すのではなく、各社とも“OPEN”をキーワードに、技術的な優位性は示しつつ、自社と繋がる企業やサービス、製品が増やそうとしている。これらが広がることがプラットフォームとしての強さとなり、事業成長へ繋がるというわけだ。

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LG キーノートで発表した現状におけるオープンなコネクテッド実態

つまり技術的提供価値による企業ブランドのコネクテッドパワーが重要なフェーズに入ったと言える。

これまでのプラットフォーム競争はOSベース、またはインターネットにおけるコンテンツ提供や課金を軸にしたものだったが、これからは様々な技術的提供価値を起点に繋がりの強さで創られていくものだと思う。

AIも一言で括るのではなく、音声I/Fを生活者が自然と使うようになるきっかけとなる技術や、最短の入荷をすぐに可視化でき事業KPIに直結するテクノロジーなど、領域ごとに分かれていくことも推察される。

その結果、中心がLVCCのCentralに集約されるのではなく、そこかしこに魅力的なものが点在し、塊が見出しにくい状況になったと言える。

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