組込み・IoT技術の総合展「Embedded Technology 2019 組込み総合技術展 / IoT Technology 2019 IoT総合技術展」(以下、ET展)が2019年11月20日より3日間、パシフィコ横浜で行われる。
また、今回のイベントにあたり、ET / IoT Technologyアワードが実施され、展示会に先出しアワード受賞者の発表が行われた。
ここでは、展示会内容とアワード受賞製品の概要について紹介する。
ET展の見所

これまでのET展では、要素技術の展示会といった意味合いが強く、どのようなアプリケーションに技術が使われているか、イメージを持ち難かった。
そこで、モビリティ、ロボティクス、エネルギーと大きく3つのアプリケーションをピックアップし、また、これらのアプリケーションを支える技術(エッジテック)として、エッジAI、エッジセキュリティ、エッジブロックチェーンと、5Gの4つのテーマをピックアップ、大きく7つのピックアップテーマを用意している。
見所としては、これらピックアップテーマに対して、基調講演を行うほか、基調講演の内容を各企業ブース内にて、実際にデモンストレーションを実施する。
この他にも、スタートアップ企業を集めた特設コーナーを用意し、最新のプロダクトを紹介する。昨年は20社の招致であったが、今年は50社近くの展示があるという。
また、人材育成にも注力しており、学生向けのセミナー、見学ツアーの実施や、技術者向けにコンテストを実施し、ビジネスモデルの構築から実装まで、次世代の人材育成を目指すという。
ET / IoT Technologyアワード
グランプリはIdein ーエッジ技術を無償提供 日本発プラットフォーマーへ
グランプリはエッジテクノロジープラットフォームを提供するIdein株式会社(イデイン)が選ばれた。
エッジ技術に対する高い技術力と、マーケットプレイスを構築した高いビジネス構想力に対して、満場一致の評価を得たという。

技術面で言えば、Raspberry Piに搭載されている、SoCに内蔵されたGPUを最適化するコンパイラを開発している。
これにより、世界的に普及しているエッジデバイス、Raspberry Pi上で高速にディープラーニング推論などのAI演算が可能となった。
AIに関する演算処理の高速化は、ハードウェアの性能を上げる、もしくは、アルゴリズムやライブラリといったソフトウェア面を軽量にする、といったアプローチが取られている。Ideinは、後者の技術に近いが、軽量なソフトウェアを開発した訳ではなく、(ソフトウェアのソースコードを機械が実行できる言語に翻訳する)コンパイラを最適化している。抽象的に表現すると、Raspberry Pi内のGPUが処理しやすい形でAIソフトウェアを機械語に翻訳する、特注の翻訳機を開発した、と言える。
また、コンパイラと合わせて、開発者向けにSDKを提供している。

ビジネス面ではどうか。
このような高い技術力を持つが、開発したコンパイラや、SDKなどのソフトウェアIPは全て無償で提供し、プラットフォームの展開により収益を得ている。
IdeinはActcast(アクトキャスト)というクラウドプラットフォームを提供している。Actcast上には、ベンダーなどのパートナー企業が開発したAIアプリケーションが並んでおり、ユーザーは必要なアプリケーションを選定し購入することができる。イメージとしては、App Storeに近い。
ユーザーは、Actcastから、完成されたアプリケーションを手軽に入手することが可能で、すぐに現場で検証ができる。
ベンダーは、Actcastにアプリケーションを提供することで、世界的に普及しているエッジデバイス向けに、ビジネスを開始することができる。
また、Actcastのもう一つの特徴が、エッジデバイスの管理とソフトウェアアップデートである。
Actcast上のアプリケーションは、遠隔地からでも、簡単にエッジデバイスにインストールすることができる。このため、アプリケーションのアップデートや、別のアプリケーションへの更新など、クラウド上から容易に行うことができる。テスラ社のサブスクリプションモデルに近い。

デモでは、タブレットからActcastを操作し、人物検知や骨格検知のアプリケーションを切り替えていた。この際の演算は、全て画面左上のRaspberry Pi上で行われている。
このような高い技術力、イノベーションを促すマーケットプレイスを構築した構想力から、「開拓者のイメージもある」との評価を得て、今回グランプリに選定された。