2019年11月18日、株式会社INDUSTRIAL-X(以下、IX)はセキュリティ対策が急務となっている製造工場、プラント、物流倉庫、ビルディングに向けて、ネットワークのグランドデザイン構築から各種フィールド領域のセキュリティシステム実装・運用までのトータルセキュリティソリューションを提供する新会社INDUSTRIAL-X SECURITY(以下、IXS)を2019年11月14日に設立したと発表した。
同社は、製造・物流のスマート化をサポートするファクトリービルダーコンソーシアム「Team Cross FA」へセキュリティ分野を担う幹事企業として参加し、取締役に株式会社オフィス エフエイ・コムの代表取締役 飯野英城 氏と、株式会社FAプロダクツの代表取締役会長 天野眞也 氏を迎え、セキュリティソリューションのコンサルティングから実装、運用、TXFAとの連携によるプロジェクト全体のグランドデザインや機器の構想設計までをトータルに提供していく。
進むDXと遅れているセキュリティ対策

まず、IXS代表 八子知礼 氏はIXS設立の背景としてDXの現在を述べた。
八子氏によれば、ガートナーのテクノロジーのハイプサイクルにおいて、IoTは過度な期待のピークを越え、今後2、3年で実用期に入っていき、社会実装されていくことが期待されている。
また、同表内では遅れてIoTセキュリティが勃興し始めている。
八子氏は現在のセキュリティ対策への社会の関心度合いについて、「先んじて様々な企業がIoTに取り組んできた一方で、これまではPoC等を中心として積極的に進めていこうという風潮があったがためにセキュリティが後手に回ってきたというのは、仕方なかったことなのかもしれない。しかし、社会実装となってくると、より一層セキュリティの重要性が増してきているといえる」と述べた。
さらに、IoTが当たり前になり現実世界からデジタルの空間にデータが上がっていく、という一連の流れがDXであるが、IDCのDX市場の調査と予測によると、DXは今年から非常に急峻な伸びを見せているというのがグローバルのトレンドになっている。
そのDXが目指す姿というのがデジタルツイン(アナログ空間をデジタル空間に完全にコピーしデジタル空間でシミュレーションした結果を現実世界にフィードバック、可能であれば自動的に制御をしていくという考え方)であり、この一連の流れを実現していくことこそが、様々な産業で求められている。

八子氏によると、IoTに取り組む中で、上図左側の「現実世界からデータを吸い上げる」領域、例えば様々なセンサーを使い、現実世界で起こっているモノとコト、人の動きをリアルタイムでとらえていく、可視化をするといったようなことは比較的容易で且つ比較的ここ数年間は主に取り組まれてきた内容であり、DXは随分と進んできたように思える。
ところが実際には、デジタルツインとして必要となる上図右側の現実の現場を整理する、自動的に処理をするといったことに関しては少し遅れてきているという。
同氏は「デジタルツインの実現は、現実からデジタルの方向には行きやすくても、逆の方向にはなかなか行きにくいというのがこれまでの常であり、制御し難いという声が多かった」と述べ、また、「ハイプサイクルにも表れていたように、DXが加速していくにあたり、セキュリティに対する取り組みは重要になってくる。IoTセキュリティ無しでは新しいことに取り組むことが出来ないというのが顕著にあらわれている」とセキュリティ対策への関心と需要が高まっていることを強調した。
IXS設立の背景

八子氏は2019年4月に設立したIXについて、同社を立ち上げた背景として、IoTへ取り組む際に、デジタルな取り組みをやろうとすると物理的なものがボトルネックになる、また物理的なものを何等かの形で解消しようとすると、人がボトルネックになる。人(様々なスキルや感情)を解決しようとするとデジタルがボトルネックになる。というように、人的・物理的・デジタルな取り組みがそれぞれの導入を阻害する(同氏はこれを「DX魔のデッドロック」と呼称)という課題があったという。
IXはこれに対して7つのポイント(何を目指すのか、どう稼ぐのか、誰が現場に様々なセンサー類を設置するのか、何を使えばよいのか、お金をどう払うか、それらをどういった形で組み合わせていけばよいのか、またノウハウはあるのか、セキュリティに心配はないのか)を提供すること、「Reasouce as a Service」を目的として設立した。
しかし、それらを提供する中で、IXはセキュリティのメインの専門家ではないため、全ての産業のトータルセキュリティを確保するために産業領域、ネットワーク、セキュリティといった専門家とともに、サービス提供できるような環境を設立する必要性があり、今回IXSを設立するに至ったという。
八子氏はIXS設立にあたり、「日本において重要なインダストリアル領域において、トータルセキュリティの提供を通じて、産業機械製造業だけではなく、物流やプラント、ビルオートメーションであるといったあらゆる産業のDXの実現に寄与して参りたいと考えている」と述べた。
IXSの具体的な事業としては、インダストリアルな領域に関するネットワークやセキュリティのコンサルティング、ネットワークやセキュリティのグランドデザイン、及び実際の構築、セキュリティのソリューションの販売、および開発、そして導入の支援となる。
製造現場のセキュリティ対策の現状

IXS取締役の飯野氏は現在の製造現場のセキュリティについて「現在の製造、ファクトリーオートメーションであったり、プロセスオートメーション、ロジスティクスオートメーション、ビルオートメーションでは、OT領域の機器群はPLC(専用の制御コントローラー)によって制御されている。その上部にあたる製造実行系(MES)の部分においては、現時点ではセキュリティがない状態で動いている。DXを進めるためには、現場から吸い上げクラウドで処理した情報を元にIoT機器側へフィードバックする必要があるが、クラウド側からの操作が可能になっているとMESの部分をハッキングされた場合、IoT機器を操作出来てしまうという現状がある。そのため、エッジ側にAIを搭載し、直接クラウドへつながるような機器が出てきている。しかし、IoT機器が増えてきている、PLC時代は必要なかった制御盤のセキュリティ保護が必要となってきている、ということから多層防御の実装や2000年代に作成されたセキュリティマネジメントの見直し等は必要となってきている」と述べた。
最後に同じくIXS取締役の天野氏より、Team Cross FAの説明の後、「スマートファクトリー構築をワンストップでソリューション提供しようとすると、ネットワークのプラントデザイン構築と、セキュリティの2つは欠かすことの出来ない分野であり、Team Cross FAに参画する6社目となるIXSとスマートファクトリー化の技術を外貨獲得産業として成長させるため取り組んでいく」と述べた。