ソフトバンクとグーグルが共闘する、成層圏で飛ぶ「通信基地局」のねらい

昨日、ソフトバンクは、成層圏に浮かぶ基地局HAPS(High Altitude Platform Station)とその事業会社HAPS MOBILE設立の発表を行い、同時に、Googleの兄弟会社である、LOONと呼ばれる気球型の基地局事業と提携する発表を行った。

地上20kmの成層圏に巨大な翼の上にソーラーパネルを並べ、地上に向けて電波を発するというのだ。

そして、一度成層圏に達すると、空をくるくると回りながら6ヶ月くらいは飛んでいることができるという。

これが本当に実現できると、どういうことが起きるのだろうか。

成層圏基地局HAPSでできること

まず、水平方向にはかなりの広範囲の通信エリアが生まれることになる。国内では山間部や周辺の海域といったこれまで通信ができないエリアでも通信が可能になる。

そして、成層圏からネットワークを作ることになるので、垂直方向にも通信エリアができることとなる。

今後、ドローンが無人飛行する社会になった際、ドローンがUTM(無人航空機管制システム)と通信しすることで、安全に飛行することになるが、ドローンは空を飛んでいるため、通常のキャリアの通信ではだめなのだ。

こういった立体的な通信エリアが登場すると、山で遭難した人との通信ができるようになったり、山間部の橋梁の情報を取得したいというケースでも活躍しそうだ。

また、震災などが起きた場合でもその直後は通信が通常できなくなるものだが、この方式だと空で旋回している通信基地局との通信になるので、そういった問題は起きない。

アルファベットの子会社、LOONとの提携

LOON

Googleの親会社であるアルファベット、その子会社なので、Googleからすると兄弟会社となるが、LOONと呼ばれる、気球型の通信基地局を作るHAPSプロジェクトが以前から存在した。

インターネットの覇権をとった、Googleは、IoT社会において、MaaSなどを始め、様々な産業分野でのプラットフォームをとろうと動いている。

これまでの世界の通信キャリアが、エリクソン、ノキア、ファーウエイの通信機器を使わざるを得なかったわけだが、この成層圏の基地局ビジネスが実現すると、世界の通信インフラの業界に入っていくことができるのだ。

しかも、通常、基地局を工事していかないと始まらない通信だが、この方式であれば飛行機を飛ばすだけで実現できてしまう。

ソフトバンクからしてみても、自社が通信事業者を運営しているわけだから、これをいちばん初めに社会実装し、その仕組みをまだ通信ができない、世界通信空白地に打って出ることができるのだ。

これは、大きなチャンスであると言わざるを得ない。

一方で、成層圏に飛行機や気球を飛ばすわけだから、当然他の飛行物体との衝突や、墜落の危険性を回避するために、かなり高度なUTM(無人航空機管制システム)を実現しなければならない。

ここでは、Googleのエンジニアリング能力が大きく活躍するのだろう。

2023年には商用化を目指しているという、このサービス。

技術的な実現性、法制度の整備など、実用化にはまだまだ課題もありそうだが、実現すれば新しい通信の世界が拓けそうで今後の展開が楽しみだ。