新たな価値創造を広島から発信していく ー広島県×イノベーターズセッション2019レポート

データオープン化の重要性

次に話はデータの取り扱いについて展開された。

湯崎知事は、サンドボックスやDXで取り組みたいことはデータのオープン化だという。

新たな価値創造を広島から発信していく ー広島県×イノベーターズセッション2019レポート
広島県 湯崎英彦知事

行政の持っているデータだけではなく、民間の持っているデータもオープンにしたいが、現状では各企業がそれぞれにデータを保有している。

お互いにオープンになればもっとクリエイティブなことができるが、ルールづくりが必要になるという。どのようにルールづくりを行なっていくかということにチャレンジしていきたいとした。

また、データのオープン化は数年前からの課題だが、一個一個のデータを見て、開示していいのかいけないのか、どこまでなら使っていいのか、ということを精査するのは莫大な労力と時間がかかる。そこで今後は、AIを活用することで実現可能になるかもしれないと展望を語った。

青野氏はデータのオープン化、統合化をするべき具体例として駐車場をあげ、「現在各企業が持っている駐車場のデータを統合して見ることができれば、駐車場の空きを把握することができる。そうすれば出かける際のハードルがぐっと下がる。」とデータ活用のメリットを語った。

それに対し湯崎知事は、「広島でも宮島口まで車で来たはいいが、駐車場がなく数時間周辺を運転し続ければいけないという課題がある。」と、観光地として有名な宮島での駐車場の課題を挙げた。

一方快適な観光を行うためにサンドボックスのプロジェクトで行なっていることもあるという。宮島のロープウェイの整理券をスマホで取得できるというものだ。

名越氏は、「ロープウェイの監視や防犯などには画像が情報量が多く有用なのではないか。」と、画像データの有用性を呈した。

「画像を使用する際にもそこに移った人や建物などの情報の取り扱いには注意が必要だが、個人や建物などが特定されない分析ツールの開発・活用を行っていければいいのではないか。」と話す。

そのため提供する側もあまり目的を持たずに情報を提供することも大事なことではないかと語った。

これに対し小泉は、阿蘇市と阿蘇火山博物館が行っている阿蘇山の噴火監視の例を挙げた。これは火山をフルHDカメラで監視して取得した画像を、防災と観光の両方に活用しているというものだ。

新たな価値創造を広島から発信していく ー広島県×イノベーターズセッション2019レポート
IoTNEWS代表 小泉耕二

火山対策をしている県と観光事業者の見たいデータが同じで、活用のされ方が違うという例だ。

「画像はある、という状態の中で防犯や人流解析、サービスを考えるための材料としてなど、様々な用途で使われることが考えられる。」と、1つのデータの汎用性を示した。

曖昧なデータの難しさと価値

また湯崎知事は、行政であるからこそ持っている個人情報についても語った。

「例えば生活保護を受けているかどうかや、どのような医療を受けているか、というデータを持っていたとしても、どこまでをオープンにしていいのか、そもそもオープンにしていい情報なのかという議論がある。しかしオープンにしていいか曖昧なデータこそビジネスにおいては有効である可能性が高い。」と、個人情報の扱い方の難しさと有益性について述べた。

それに対し青野氏は、個人情報の問題の例として、児童虐待は市が情報を提供しないため発見できないという課題があるとした。

児童や児童の家庭の情報は、学校の教師がある程度情報を把握する程度にとどまり、そこから共有は行われていない。

また、病院や児童相談所でも「おかしい」と気づくことがあっても、それぞれが内部だけで情報を持っているために核心に迫れず、虐待に気づけないという問題があるのだ。

この問題に対し、「個人情報を守るのと、子供の命を守るののどちらが大事なのか。」と青野氏は提起した。

関係者が情報をシェアし、極秘情報としてアクセス権をきちんとかけセキュリティを担保する。そして警察や病院など、必要な人がそのアクセス権から見られるようにしていくことが子供へのサービス向上につながるとした。

また情報漏洩という問題に対しては、「電話やFAXの方が漏洩の危険性がある。特にFAXは万が一取られても蹤跡すら残らない。」と、アナログであることでのリスクについても触れた。

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