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  • NEDOとシャープ、映像データ処理用AIデバイス向け高位合成ツールを開発し回路設計期間を短縮

    NEDOとシャープ、映像データ処理用AIデバイス向け高位合成ツールを開発し回路設計期間を短縮

    国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)とシャープ株式会社は、映像データ処理用AIデバイス向けの「高位合成ツール」を開発し、オープンソースソフトウェア(OSS)として公開したと発表した。

    このツールは、エッジコンピューティングにおけるAI映像データ処理の普及拡大を目的に、映像データ処理用AIアルゴリズムが記述されたPythonコードから、集積回路であるFPGAなど、ハードウェアの回路図となるRTLコードを、短時間で自動生成するソフトウェアだ。

    入力ファイルであるPythonコードに関して、AI開発において利用頻度の高いPython向け機械学習ライブラリ「PyTorch」や、機械学習のフォーマット「ONNX」に対応できるようフレームワークを拡張し、多様なAI映像処理アルゴリズムからのRTLコード生成が可能だ。

    このRTLコードには、今回開発された回路技術を多数組み込まれており、AI映像処理回路の消費電力削減を実現する。

    生成されたRTLコードをFPGAに実装することで、AI専用処理デバイスとして利用可能になるほか、設計回路ツールとして、映像データ処理向けAI専用LSIの開発にも利用することができる。

    これにより、画像認識や映像内の物体検出に加え、超解像などAI映像処理を利用した端末やアプリケーション開発での利用が期待されている。

    NEDOとシャープ、映像データ処理用AIデバイス向け高位合成ツールを開発し回路設計期間を短縮
    「高位合成ツール」でのデータ処理フロー

    また、複数の演算処理を一つの処理に統合するレイヤ統合機能も搭載し、演算処理の効率化や高速化を実現する。

    さらに、ハードウェア開発の効率化のため、代表的なプログラミング言語の一つであるC言語で、RTLコードの機能検証が行えるCモデル生成機能も搭載している。

    加えて、専用デバイスでAI処理を行う際に必要となる学習済みパラメータを得るための、量子化対応したAIモデルもPythonコードで生成することが可能だ。

    これにより、専門技術者でなくても映像データ処理用AIデバイスの設計が可能となり、開発期間を短縮する。

    なお、このツールで生成されたRTLコードを実装したFPGAで実証したところ、GPUを搭載したエッジ端末に比べ、40倍以上の高い電力効率が得られることが確認された。

    NEDOとシャープ、映像データ処理用AIデバイス向け高位合成ツールを開発し回路設計期間を短縮
    CNN超解像モデルにおける電力効率比較

    また、生成期間も、専門技術者による開発では6週間かかるのに対し、同ツールでは約5分で完了したとのことだ。

    今後NEDOは、エッジ領域で活用可能となる、高度なデータ処理を高速かつ効率的に実現するAI半導体およびシステムの開発を進めると共に、性能を最大限に発揮することができるチップ設計を短期間に実現する設計技術の開発を実施する計画だ。

    また、シャープは、今回一般公開した「高位合成ツール」の認知拡大に向けた情報発信を行うとしている。

  • NEDOとKDDI、遠隔操縦者1人で夜間の3空域をドローン3機同時運航する実証に成功

    NEDOとKDDI、遠隔操縦者1人で夜間の3空域をドローン3機同時運航する実証に成功

    通常、ドローンにより夜間警備を行うには、警備者がドローンのカメラからのリアルタイム映像を見て、違和感や異常がないか常に監視する必要がある。

    こうした中、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下 NEDO)、KDDI株式会社は、1人の遠隔操縦者がドローン3機を太陽光発電施設3拠点(3空域)で夜間に同時運航する実証に成功した。

    この実証では、太陽光発電施設内の銅線盗難などに対するドローン警備の有用性を評価するべく、多数機同時運航によるシステム・オペレーション評価を目的に実施した。

    NEDOとKDDI、遠隔操縦者1人で夜間の3空域をドローン3機同時運航する実証に成功
    1人の操縦者によるドローン3機同時運航イメージ

    具体的には、太陽光発電施設3拠点へのドローンポートの配置および、ドローンのサーマルカメラを用いた人物検知を行う環境を整えることで、夜間における遠隔地からのドローン多数機同時運航と、ドローンによる夜間警備の有効性を確認した。

    NEDOとKDDI、遠隔操縦者1人で夜間の3空域をドローン3機同時運航する実証に成功
    夜間における不審者検知の様子

    これにより、広範囲を短時間でカバーすることができるほか、従来の人による巡回に比べて効率が向上する可能性があることが確認された。

    また、1人の操縦者が複数のドローンを管理することで、警備にかかる人件費を削減することができる可能性があることが確認された。

    さらに、不審者の追跡や、機体・システムの異常が同時に発生した場合の課題を確認し、今後のシステム機能や運航管理品質の向上に活用するとのことだ。

    今後は、機体や運航管理システムのさらなる自動化・自律化に伴い、操縦者の役割および運航管理体制も変化することから、実証の知見を多数機同時運航に関する官民で取り組む制度設計にも役立てるとしている。

    加えて、実証や実環境での複数機の長期運用や運用データの蓄積と、さらなる運用改善を進めていく計画だ。

  • NEDO・KDDI・JAL、遠隔操縦者1人で全国4地点のドローン5機体の同時運航に成功

    NEDO・KDDI・JAL、遠隔操縦者1人で全国4地点のドローン5機体の同時運航に成功

    国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)、KDDI株式会社、日本航空株式会社(以下、JAL)は、全国4地点で1人の遠隔操縦者が5機のドローンを同時に運航する実証を2024年10月28日から10月31日の間に実施し、成功したと発表した。

    NEDOは、2022年度から複数ドローンの同時運航を実現するための運用要件の策定や運航管理システムの開発に取り組んでいる。そして、2024年度の今回の実証では、飛行地点を4地点に拡大し、1人の操縦者が遠隔操縦により4地点で5機の同時運航を実現した。

    具体的には、KDDIが多数機同時運航に対応した運航管理システムを開発し、JALが航空安全に関わる知見・技術を基にリスク評価を実施することで、運用手順を策定した。

    NEDO・KDDI・JAL、遠隔操縦者1人で全国4地点のドローン5機体の同時運航に成功
    リスク評価と対応手順イメージ

    特に、ヒューマンエラー防止のため、イレギュラー発生時の音声通知や操作の支援機能を運航管理システムに追加した点が特徴だ。

    これにより、イレギュラーが発生してもシステムの支援を受けて、あらかじめ定めたオペレーションマニュアルにのっとり、安全に運航を完了できることを検証した。

    その結果、1人の操縦者が全国4地点で異なる運航環境下で5機のドローンを安全かつ効率的に運航し、運航管理システムと運用手順の有効性を確認した。

    NEDO・KDDI・JAL、遠隔操縦者1人で全国4地点のドローン5機体の同時運航に成功
    1人の操縦者による5機体同時運航の様子

    一方で、機体やシステムの不具合、運航環境の変化などの問題も確認し、今後のシステム機能や運航管理品質の向上に資するデータを取得したとしている。

    今後3社は、機体や運航管理システムの更なる進化(自動化・自律化)を前提に、操縦者の役割や運航管理体制も変化することから、この実証の知見を多数機同時運航に関する官民共同の制度設計に活用し、ドローンの社会実装に引き続き貢献する計画だ。

    また、この実証を通じて得た知見を元に、運航管理システム・運用手順の有効性と課題を確認し、実証実験と仮想環境を活用したデータ蓄積と検証を進めるとしている。

  • NEDOと立命館大学、配送ロボットやドローンなどの安全運行を実現するデジタル基盤とルールの構築へ向け実証を開始

    NEDOと立命館大学、配送ロボットやドローンなどの安全運行を実現するデジタル基盤とルールの構築へ向け実証を開始

    学校法人立命館(以下、立命館大学)は、NEDOの委託事業において、複数のロボットを活用し、複雑なシステム連携を行う際のデータ連携基盤の運用に係る実証を本格的に開始すると発表した。

    NEDOと立命館大学は、この事業において、「複雑なシステム連携時に安全性及び信頼性を確保する仕組みに関する研究開発」というテーマに取り組んでいる。

    このテーマでは、配送ロボットやドローンなどの自律移動ロボットに係る種々のシステムのように、運用者の異なる複数システムが高度に連携するシステム(System of Systems:SoS※)を形成した際に生じる事故の予見や原因特定が困難などの課題解決を目指している。

    ※:System of Systems:SoS:自律移動ロボットに係る種々のシステムのように、運用者の異なるさまざまなシステムが複雑に相互接続して短期間で更新されていくシステム全体のこと。

    具体的には、SoS運用時のデータの収集・管理・共有が可能となるデータ連携基盤を構築するとともに、従来の一律で詳細な法規制とは異なる新たなガバナンスのあり方について検討する。

    それに伴い、立命館大学は、自律移動ロボットの運用データおよびガバナンスに係るデータの収集・管理・共有のためのデータ連携基盤「アジャイル・ガバナンスプラットホーム」を研究開発している。

    このプラットホームの構築により、運行中の配送ロボットやドローンなどの自律移動ロボットから取得されるセンサ情報のほか、建物側に設置されるカメラ、LiDARなどの監視センサ情報の統合管理により、事故やヒヤリハット発生時に、短時間での原因の特定と類似災害を防止するための情報共有などを実現する。

    立命館大学は、2023年9月より大阪いばらきキャンパス内のコーヒーショップと連携した配送ロボットをはじめ、自律移動ロボットの運行と同プラットホームの運用を繰り返してきた。

    そして今回、5月19日の「いばらき×立命館DAY」を皮切りに、キャンパス内の大学生協のショップと連携した配送ロボットや清掃・警備ロボットも追加し、複雑なシステム連携時における本プラットホーム運用の実証を本格的に開始する。

    今後NEDOと立命館大学は、今回の実証を通じて、実用性および安全性の向上に資する知見を開発にフィードバックする。これにより、複数のシステムが連携した際、万が一事故が発生しても、原因究明や責任の特定を支援するプラットホームの実現を目指すとしている。

  • ソフトバンクと産総研、遅延制約下でスループットを最大化するシステムをNEDO事業で開発

    ソフトバンクと産総研、遅延制約下でスループットを最大化するシステムをNEDO事業で開発

    ポスト5G時代においては、IoTデバイスがアプリケーションを処理するためのサーバやコンピュータ(以下、計算資源)へ行うリクエスト数が増大することが見込まれている。そのため、低遅延を維持しつつ、大量のリクエストを処理するための基盤技術が必要とされている。

    しかし、従来のクラウドとデバイスを用いた処理システムでは、5Gネットワークを用いてもIoTデバイスからクラウドまでは通信遅延が大きく、データを応答性の高い速度(低遅延)で処理することは困難だ。

    それに対して、近年ではMECなどのデバイス近傍の拠点を生かしたエッジコンピューティング技術を用いて低遅延でデータの処理を行うための技術開発が進められているが、MECの限られた計算資源だけでは、大量のIoTデバイスからのリクエストを処理することが困難になることが予測されている。

    そこでソフトバンク株式会社と国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)は共同で、MECおよびクラウド環境を用いた分散処理システムで遅延制約を満たすと同時に、スループットを最大化するためのアプリケーションを構成するコンポーネントの最適配置を動的に行うシステムをNEDOの事業の一環として開発した。

    このシステムは、5Gシステムからのネットワークの情報と、MECやクラウドの計算資源に関する情報をリアルタイムに監視・取得し、その状況に応じたアプリケーションを構成する複数のコンポーネントの最適配置解を計算する。そして、その結果に基づきコンポーネントを動的に配置するものだ。

    最適配置解の計算については、独自のアルゴリズムを開発。今回開発したアルゴリズムは、アプリケーションおよび計算機の特性や性能を厳密に計算し、アプリケーションからの遅延要求を満たす中で、最大のスループットを達成するコンポーネントの配置解を導出す。

    ソフトバンクと産総研、遅延制約下でスループットを最大化するシステムをNEDO事業で開発
    開発されたシステムのイメージ

    このアルゴリズムを用いたシステムにおいて、ネットワークの状態変化や計算資源の状況に応じて満たすべき遅延制約やスループットを確保しながら、動的にコンポーネントの配置解を導き出すことが確認された。

    具体的には、システムの特長を生かすため、低遅延・多数同時接続・広域性を必要とするユースケースとして、車両と様々な要素を通信する「V2X」による、自動車の衝突回避支援を想定したシミュレーションを実施した。

    このシミュレーションでは、疑似的なV2Xアプリケーションを開発し、ネットワークの状態や計算資源で疑似的なポスト5G環境を構築した上で、最適配置の有効性について検証した。

    「V2X」に求められる遅延制約を25msと設定し検証した結果、クラウド(1番デバイスから遠い計算資源)にのみ配置した時では満たせない14.8msを達成し、エッジのみで処理した場合に比べ、2倍の実効スループットを達成した。

    ソフトバンクと産総研、遅延制約下でスループットを最大化するシステムをNEDO事業で開発
    確認された最適配置の有効性

    なお、今回この事業で開発したシステムのプラットフォームは、オープンなインターフェースとして、5Gデジタルサービスの開発・運用を可能にする環境の提供が想定されている。

    今後、5GデバイスやMECを用いた実証実験を通して、自動運転や工場のスマート化などのユースケースに関わる実用化検証を行う予定だ。

  • ATRとNEDO、人とAIの共進化実験環境「ロボットスケートパーク」を整備

    ATRとNEDO、人とAIの共進化実験環境「ロボットスケートパーク」を整備

    株式会社国際電気通信基礎技術研究所(以下、ATR)は、NEDOの技術開発事業の一環として、「ロボットスケートパーク」環境を整備した。

    これは、人がスケートボードなどスポーツを実施する際の脳波・筋電・モーションキャプチャなどのデータ収集と、ヒューマノイドロボットによる学習実験を同時に実施できる環境だ。

    具体的には、人やロボットのためのスケートボードランプ、人やロボットがスポーツをする際の安全設備、人やロボットの動きを計測するシステム、人の筋肉や脳の機能を同時計測可能とするワイヤレス計測システムなどが設置されている。

    また、今回整備した「ロボットスケートパーク」にて、ATRが開発中の「サイボーグAI」を搭載したヒューマノイドロボットにより、曲率に変化があるような複雑な環境内において、人の運動をまねる動作の生成を達成したのだという。

    加えて、人が同様のスケートボード運動を行っている際の脳波・筋電などの生体信号を計測した結果、ポンピングやキックターンなどの運動が脳活動に関連があることも分かった。

    これは、脳が制御する運動の単位に関わる可能性があり、ロボットが人をまねて学習する際に利用可能な要素であるだけでなく、人のスポーツの熟練度などの評価の目安となる可能性があるとしている。

    さらに、人とロボットの運動を計算機上のサイバー空間で比較し、両者の類似性を視覚的に評価可能なソフトウエアを構築した。

    ATRは今後、国立大学法人京都大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)と共同でこの環境を活用し、協働作業が可能なAI搭載ヒューマノイドロボットの実現に向け、ロボット搭載用AIの身体制御能力と、瞬間的な判断能力を評価する研究に取り組む予定だ。

    なおNEDOとATRは、2024年度に「ロボットスケートパーク」環境で収集したデータを活用したコンテストの開催を予定しており、連携して同コンテストのデータ整備のための調査を実施しているとのことだ。

  • 大林組、統合EMS構築などにより水素供給ネットワークの効率化を目指す実証運用を開始

    大林組、統合EMS構築などにより水素供給ネットワークの効率化を目指す実証運用を開始

    株式会社大林組は、福島県双葉郡浪江町で進行中の「既存のインフラを活用した水素供給低コスト化に向けたモデル構築・実証事業」にて、「水素サプライチェーン統合管理システム(以下、統合EMS)」構築などの実証運用を始めると発表した。

    浪江町には、2020年4月よりNEDOの助成事業として、太陽光エネルギーによる水素製造プラント「福島水素エネルギー研究フィールド(以下、FH2R)」が立地し、実証稼働している。(トップ画)

    大林組は、「水素搬送管理エネルギーマネジメントシステム(以下、EMS)」の構築により、FH2Rで製造された水素を複数の拠点へ効率的に搬送する実証運用を2022年4月から1年間行い、搬送コストとCO2排出量を約2~3割程度低減することに成功している。今回の実証運用は、その延長線上にある。

    新たな水素供給ネットワークでは、トヨタ自動車が燃料電池自動車MIRAIで使用している高圧水素貯蔵技術を応用。最高充填圧力70MPaの高圧容器に70MPaまで水素を充填し、トラックで搬送する。

    なお、容器は、水素の残量や供給状態の遠隔モニタリングおよび圧力差を利用したカスケード利用が可能だ。

    大林組、統合EMS構築などにより水素供給ネットワークの効率化を目指す実証運用を開始
    カスケード利用のイメージ

    これにより一度に大量の水素を搬送できるほか、古河電気工業株式会社と共同で開発している新工法を用いて水素パイプラインを敷設し、燃料電池への供給も行う。この新工法では、樹脂製の雨水側溝に改良を加え、パイプラインやケーブル用の配管トレンチとして利用することにより、パイプライン敷設工事のコストおよび工期を削減する。

    大林組、統合EMS構築などにより水素供給ネットワークの効率化を目指す実証運用を開始
    雨水側溝兼用配管トレンチ断面図

    さらに、「EMS」と「水素安全性管理システム(以下、SMS)」の2つのシステムによる統合EMSを新たに構築する。

    これは、現行のEMSで使用可能な水素搬送容器を増やし、搬送先毎に適切な容器や効率的な搬送ルートを選定することで、搬送時のCO2排出量およびコストの削減を目指すものだ。また、水素搬送の安全性を高めるため、Webカメラによる監視やその画像データからAIが劣化判断をする機能を備えたSMSの開発に取り組む。

    大林組、統合EMS構築などにより水素供給ネットワークの効率化を目指す実証運用を開始
    統合EMSの構成イメージ

    加えて、各施設の燃料電池を電源としたDGR(デジタルグリッドルータ)により、小規模電力網である地域マイクログリッドを構築し、電力利用の効率化を図る。また、各施設の電力の需給状況と、水素の残量状況を合わせて管理することで、さらなる水素供給ネットワークの効率化にもつなげるのだという。

    大林組、統合EMS構築などにより水素供給ネットワークの効率化を目指す実証運用を開始
    地域マイクログリッドと水素供給ネットワークの連携イメージ

    大林組は今後、EMSの高機能化などにより、水素供給ネットワークの環境性・経済性・安全性をさらに向上させ、水素サプライチェーンの拡大と水素利用の普及を推進していくとしている。

  • DNPとBIPROGY、量子技術とAIを活用した物流業務効率化アプリ開発を開始

    DNPとBIPROGY、量子技術とAIを活用した物流業務効率化アプリ開発を開始

    大日本印刷株式会社(以下、DNP)とBIPROGY株式会社(以下、BIPROGY)は、NEDOの委託事業の公募において、「量子+古典AIによる物流業務効率化のアプリケーション開発」を共同提案し、実施予定先として採択された。事業の実施期間は最大で、委託期間が2023年12月~2026年8月、助成期間が2026年9月~2027年8月だ。

    DNPとBIPROGYは、今回採択された研究開発テーマで、量子インスパイアード技術を含む量子アニーリングと、古典AI技術を組み合わせた「量子・AIハイブリッド技術」を活用した最適化アプリケーションを開発し、物流・交通分野における配送計画の最適化や、倉庫内のピッキング計画の最適化などの課題に適用する。

    具体的には、同アプリケーションにより、輸送距離とCO2排出量の削減や輸送能力不足の解消、効率的なピッキング計画の策定ロボットの走行時間が最小になる移動経路の計算が挙げられている。

    開発にあたっては、「DNPアニーリング・ソフトウェア」の適用も検討しながら、倉庫で働く人の動きや作業の進捗、障害物の状況を常に把握し、リアルタイムな高速処理を行う。

    また、量子アニーリングを適用する前処理のために採用する古典AI技術の「メタ解法」を利用可能な汎用的なモジュールを開発し、最適解となりうる候補の集合である解空間の範囲を絞り込むことで、計算速度と解精度の向上を目指す。

    このモジュールは、両社が開発する最適化アプリケーションに適用するだけでなく、他のプログラムからも呼び出して、汎用的に利用できるように構成する。量子技術者に幅広く長期間利用されることを目的に、オープンソースとして公開する予定だ。

    DNPとBIPROGY、量子技術とAIを活用した物流業務効率化アプリ開発を開始
    研究開発の概要図

    なお、開発するアプリケーションは、DNPグループ内の製造・物流現場やBIPROGYの顧客企業にて導入実証を行い、本格的なサービスの導入につなげていく予定だ。また、同アプリケーションの普及や導入支援につながるさまざまな取り組みを推進するとしている。

    DNPとBIPROGYは、今回の採択事業を通じて、「量子・AIハイブリッド技術」の研究開発を加速させるほか、開発したアプリケーションの普及に向けた支援サービスも拡充し、両社の顧客企業・団体などに提供するとしている。

  • NEDO・北海道大学・BIPROG・テクノフェイス、触覚情報と診察動画を統合・伝送し遠隔で触感の再現に成功

    NEDO・北海道大学・BIPROG・テクノフェイス、触覚情報と診察動画を統合・伝送し遠隔で触感の再現に成功

    国立大学法人北海道大学、BIPROGY株式会社、株式会社テクノフェイス(以下、本研究グループ)は、NEDOが委託する事業の一環として、触覚情報と診察動画を統合し、遠隔の医師間で共有する遠隔触診システムを開発した。

    そして、北海道大学病院、帯広厚生病院、函館中央病院の3拠点を結んだ遠隔触診の実証に成功したことを発表した。

    今回発表された遠隔触診システムは、画像、音声、触感などのデータを統合的に解析するマルチモーダル信号を、動画のフレーム単位で統合・同期し、5Gで伝送するものだ。

    マルチモーダル信号が、動画ストリーミングの既存フォーマットに統合されることで、通信品質を決める要素が帯域と遅延のみに単純化される。

    これにより、マルチモーダル信号をリアルタイムに扱うだけでなく、データベース化して蓄積・配信・再現でき、医療手技の定量化や教育用途など、新しい利用機会をもたらすことが見込まれている。

    NEDO・北海道大学・BIPROG・テクノス、触覚情報と診察動画を統合・伝送し遠隔で触感の再現に成功
    システムが社会実装された際のイメージ

    今回の事業では、触覚をはじめとしたマルチモーダル信号の統合・活用を5Gネットワークで行うにあたり、応用領域を遠隔触診に定め、「触診向けセンシング機器および遠隔における触覚情報の再現機器とシステム全体の制御技術」と、「マルチモーダル情報の5G遠隔伝送に不可欠な、触覚情報と視診向けの高精細動画との連動技術」の2テーマに取り組み、開発に成功した。

    遠隔触診は、DtoD(医師間伝送)を想定しており、他拠点との医師とも情報を共有することで、医療資源の偏在の改善、治療の効率性向上などが期待されている。

    送信側医師によりセンサ群で取得した触診情報は、多チャンネル応力情報として深さに応じた弾性値へ、情報の逐次変化から粘性値へと変換する。それらのデータを視診向け動画のフレームに応じて埋め込むことで、触覚情報と動画内の時空間が完全に同期し、マルチモーダル情報を含むコンテンツとなる。

    この時、動画の5G伝送に必要なパラメータは、動画伝送時の既存コーデックに関連するパラメータのみとなり、動画データの帯域とサービスが要求する遅延に簡略化され、ネットワーク・スライシングの設定を容易にする

    NEDO・北海道大学・BIPROG・テクノス、触覚情報と診察動画を統合・伝送し遠隔で触感の再現に成功
    今回の事業におけるポスト5Gマルチモーダル信号伝送のイメージ

    また、この動画コンテンツは、視診用とともに触診位置などの属性を含んだデータベースとしても利用でき、受信側医師は逐次触診情報にアクセスして触覚を能動的に再現することができる。同時に、触診履歴の蓄積保存とカルテなどとの情報共有、触診の定量化など、治療効果の経時的分析や教育用途にも展開可能だ。

    実証実験では、コーデックの規格を「H.265」とし、市販のカメラで取得した4K解像度で30フレーム/秒(fps)の動画を5Gで接続された道内中核病院の2拠点間および3拠点間で共有した。なお、5Gネットワークの構築はNTTコミュニケーションズ株式会社が協力している。

    上腕部の触診では、カメラで画像を取得して触診センサ情報と統合させ、5G伝送を経て遠隔で触覚再現までを行うエンドツーエンドによる計測を実施したところ、2拠点間を同時接続した場合は0.8秒の遅延で、札幌、帯広、函館の3拠点間の同時接続(統合情報をクラウドで蓄積しながら配信)した場合は1.7秒の遅延であったため、それぞれ遠隔触診が可能であることを実証したとしている。

    NEDO・北海道大学・BIPROG・テクノス、触覚情報と診察動画を統合・伝送し遠隔で触感の再現に成功
    札幌、帯広、函館3拠点遠隔触診実験(左:受信側 中央:送信側 右上:センサーデバイス 右下:触覚再現器)

    取得画像とセンサ情報のタイミングは完全に同期しており、遠隔医師からの指示音声と、それに応じた現場医師から送られる触診再生画像のズレが2.0秒程度あった場合でも影響が出ないことが確認され、診察する上で医師のストレスにならない遠隔触診サービスを実現する見通しが得られたとしている。

    この成果により、遠隔触診を一例として、サービスに応じた最適ネットワークのパラメータの簡略化がなされ、ネットワーク・スライシングを設計するにあたり、どうパラメーターを設定するのが良いかの指針を明確化できることが示されたのだという。

    今後は、システムの拡張性や信頼性の向上を図ることで、マルチモーダル信号を扱うサービスの技術展開・実用化を進めていき、本格運用や関連技術の展開を2024年度以降に予定している。

    あわせて、医療分野で今回の技術を用いた高度先進医療と診療コンサルティングの提供、医学部生や研修医などの教育への利用に道筋をつけるとともに、非医療分野への展開に向けた研究開発も進めていくのだという。

  • OKI・東北大学・NEDO、OSSベースの仮想PONで自律的な波長資源の切り替え技術の実証に成功

    OKI・東北大学・NEDO、OSSベースの仮想PONで自律的な波長資源の切り替え技術の実証に成功

    沖電気工業株式会社(OKI)と国立大学法人東北大学は、NEDOが委託する事業の一環として、必要な通信量をAIで予測して資源を割り当てる「仮想化資源制御技術」を開発した。

    「仮想化資源制御技術」は、膨大なアンテナと基地局をつなぐ光通信ケーブルの効率的な運用を、PONスライス制御技術により実現するものだ。

    スポーツイベントや交通渋滞などで不定期に人が集中するエリアや、オフィス街や住宅街など時間帯により人が集中するエリアに適用することが想定されている。

    OKI・東北大学・NEDO、OSSベースの仮想PONで自律的な波長資源の切り替え技術の実証に成功
    PONスライス制御技術の概要図

    具体的には、必要なトラフィック量の増減をAIで予測し、その結果からトラフィックのダイナミックな変動に対応してサービスごとのスライスを割り当て、光通信ケーブルに適用されるPONシステムを最適化して駆動することで、利用効率を改善できる。

    「仮想化資源制御技術」においてOKIは、PONシステムに適応して駆動する資源制御技術の開発として、ITU-Tで規格化された双方向10GbpsのPONシステム「XGS-PON」をベースに、異なる2波長(10Gbps×2)を使用した仮想PONシステムを構築した。

    また、ネットワーク機器オープン化の業界団体ONFで規定される、アクセス向けOSSのONOS・VOLTHAに波長や時間の帯域資源によるスライスを割り当てる機能の構築(スライスごとに低遅延、最大帯域などの通信要件の確保)を行った。

    東北大学は、トラフィックのAI予測技術の開発として、イタリアテレコムのオープンデータを用い、時系列データの予測によく用いるロング・ショートターム・メモリ(LSTM)を使った学習と、複数エリアを演算することで、メモリー使用率の低減に向けた予測・実装を行った。

    この結果、ONUが送受信する波長を切り替えることでOLTへの収容を変更でき、1波長あたり10Gbpsの通信量をまかなうことができる。

    実証実験では、2波長(20Gbps)を実装し、総トラフィックのしきい値(境目となる値)を8Gbpsとすることで、AI予測の結果がしきい値以下の時は1波長(1台のOSU)ですべてのONUを収容し、しきい値以上の時は2波長(2台のOSU)でONUを収容できるように波長資源を制御し、資源の割り当てを変更することに成功した。

    波長資源増減の概要図(下図)では、総トラフィックがしきい値を超えると、ONU3の波長をλ2に変更することで、ONU1とONU2はOSU1で収容、ONU3はOSU2で収容することになる。

    OKI・東北大学・NEDO、OSSベースの仮想PONで自律的な波長資源の切り替え技術の実証に成功
    実験構成と波長切り替えの概要図

    このため、しきい値以上のトラフィックが発生しても、通信回線にアクセスが集中し、つながりにくくなる輻輳(ふくそう)が起きることなく、通信が可能になる。

    「仮想化資源制御技術」の効果を消費電力に置き換えた場合、既存方式と比べて20%以上の削減が期待されている。

    また、既存のPONで使用される通信局側の光信号送受信装置(OLT)の消費電力は、ポートあたり年間約8.8kWhとされており、「仮想化資源制御技術」の活用により、年間約1.8kWh以上の削減が期待される。

    ポスト5Gのサービスが社会実装される2025年ごろには、全国で現在の約100倍にあたる数千万台のOLTの設置が予想されていることから、「仮想化資源制御技術」の活用により、年間約2GWhの消費電力削減(二酸化炭素(CO2)換算で約920t削減)が期待されている。

    あわせて、PONシステムの加入者側装置(ONU)やアンテナ側のスリープ制御も含めた場合、さらなる消費電力の削減が見込めるとしている。

    今後OKIは、仮想PONの実用化を目指し、商品開発に取り組んでいくとしている。また、「仮想化資源制御技術」は、今後爆発的に増加するモバイル通信用の基地局アンテナを結ぶ光通信ケーブルの配線効率化にも適用が可能だ。

    東北大学は、AI予測技術のさらなる精度向上と、予測結果に応じたネットワーク資源割り当て技術に関する研究開発を進めていく。

    NEDOは、「仮想化資源制御技術」をはじめ、今後もポスト5Gに対応した情報通信システムの中核となる技術を開発することで、日本のポスト5G情報通信システムの開発および製造基盤の強化を目指すとしている。