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  • 国土交通省、ティファナ・ドットコムの対話型AI「AIさくらさん」を全国10ヵ所の運輸支局等の窓口に設置

    国土交通省、ティファナ・ドットコムの対話型AI「AIさくらさん」を全国10ヵ所の運輸支局等の窓口に設置

    運輸支局・自動車検査登録事務所(以下、運輸支局等)では、張り紙により申請者に対して情報提供をしているが、数多くの張り紙の中から申請者にとって必要な情報を得ることが難しい状況にあった。

    そのため、申請者は職員に口頭で問い合わせることで情報を得ており、申請者及び職員双方にとって負担となっている事が課題であった。

    こうした中、国土交通省は、株式会社ティファナ・ドットコムが提供する対話型AI「AIさくらさん」を、全国10ヵ所(八戸市、長野市、神戸市、広島市、福山市、岡山市、山口市、鳥取市、松江市、松山市)の運輸支局等に2023年7月から設置し、実証実験を開始した。

    この実証実験では、運輸支局等の窓口案内や申請手続の案内をデジタル化し、来訪者が窓口職員に質問をしなくても自分で手続の準備を進められるようAIが案内することで、来訪者の利便性向上と運輸支局等の窓口業務の効率化を図ることを目的としている。

    今回、「AIさくらさん」には、構内図や申請書記載例を「印刷する機能」と、来訪者が住んでいる地域の住所コードを「検索する機能」が実装された。

    国土交通省、ティファナ・ドットコムの対話型AI「AIさくらさん」を全国10ヵ所の運輸支局等の窓口に設置
    左:印刷画面 右:住所コード検索画面

    これにより、来訪者が職員に口頭で問い合わせをしたり、住所コード一覧から自分で探したりする必要がなくなり、「AIさくらさん」にて印刷・検索することができるようになった。

  • スペースデータ、「Project PLATEAU」における高精度デジタルツイン生成AIの実証実験を開始

    スペースデータ、「Project PLATEAU」における高精度デジタルツイン生成AIの実証実験を開始

    株式会社スペースデータは、国土交通省が主導する3D都市モデルプロジェクト「Project PLATEAU」において、「高精度デジタルツイン自動生成」の実証実験を開始することを発表した。

    スペースデータは、衛星データと3DCG技術を活用して、バーチャル空間に現実同様の仮想世界を自動生成するAI技術を開発している。

    衛星から取得できる地上の静止画像と標高データに機械学習を行い、地上の構造物を検出した上で、AIに地上の3Dモデルを自動生成させ、3DCG技術によって鉄・植物・ガラスなどの材質を再現する。

    一方「Project PLATEAU」は、国土交通省が主導する3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化プロジェクトだ。

    都市活動のプラットフォームデータとして3D都市モデルを整備し、様々な領域でユースケースを開発するとともに、誰もが都市のデータを引き出せるようにすることで、オープン・イノベーションの創出を目指している。

    今回の実証実験により、より高精度なデジタルツインの生成を行い、メタバース・ゲーム・映像といった高精細なビジュアルが求められる用途にも活用できるような3D都市モデルの構築に着手していくとしている。

  • 国土交通省、ドローン物流活用したラストワンマイル配送実証事業の公募開始

    国土交通省は2月21日、ドローン物流の社会実装に向けて「無人航空機等を活用したラストワンマイル配送実証事業」の公募を開始すると発表した。公募期間は2023年年2月21日から4月28日までで、5月頃に実証事業を選定・通知。2023年6月から2024年1月まで実証事業を実施する。民間事業者、地方公共団体の応募を見込む。

    ドローン物流は、離島や山間部などでの日用品や医薬品などの物流網の維持や災害時の物資輸送など、地域の社会問題を解決する手段として期待されている。また、2022年度12月には有人地帯で補助者なし目視外飛行(レベル4飛行)が解禁されたことから、ドローン物流のより一層の発展が見込まれている。

    国交省では、こうした背景を受け、過疎地域などの課題解決のため、レベル4飛行に対応したドローン物流や、ドローンの離発着前後の配送を担う自動配送ロボットなどと連携した物流を社会実装する際に必要になる事項の検証を目的に、今回、実証事業を公募することにした。

    具体的には、過疎地域などで、レベル4飛行に対応したドローン物流の実証事業を実施して得られた成果を横展開することで、ドローン物流の社会実装を促進。実証を通じてドローン物流の実用化やラストワンマイル配送のためのモビリティ同士の連携を後押しし、デジタル技術を活用して生活利便性の改善と非常時を含めた物流網の維持を図るとしている。

  • KDDIスマートドローン他、河川上空利用ルールの策定に向けたドローンの実証実験を実施

    KDDIスマートドローン他、河川上空利用ルールの策定に向けたドローンの実証実験を実施

    2022年12月、改正航空法が施行され、「有人地帯における補助者なし目視外飛行(レベル4飛行)」が可能となったことを機に、都市部におけるドローンの利活用に期待が高まっている。

    そうした中、KDDIスマートドローン株式会社、国土交通省 関東地方整備局 荒川下流河川事務所(以下、荒川下流河川事務所)、八千代エンジニヤリング株式会社、株式会社プロドローンは合同で、荒川下流河川内において、河川上空利用ルールの策定に向けたフードデリバリーおよび河川巡視の実飛行・運航管理の実証実験を実施した。

    今回の実証では、将来の荒川下流(都心部)におけるフードデリバリーや河川巡視のドローン運航を想定し、荒川上空で物流用と河川巡視用のドローンを同時に自律飛行させ、河川上空利用ルールを策定する上での実用性・有効性を検証した。

    KDDIスマートドローンが開発したドローン専用通信モジュール「Corewing 01」を各機体に搭載し、「スマートドローンツールズ」の運航管理システムを利用することで、モバイル通信によるドローンの自律飛行を可能とし、事務所内から遠隔制御を実施した。

    KDDIスマートドローン他、河川上空利用ルールの策定に向けたドローンの実証実験を実施
    運航管理システムの画面(機体の飛行位置や河川巡視に必要な情報などを、機体搭載カメラからのリアルタイム映像で確認しながら、遠隔操作によるドローンの運航を実施している。)

    この実証により、都市部のドローン物流において、河川上空の活用が有効であること、河川巡視において必要な画像データをドローンの自律飛行によって取得できることが確認された。

    また、物流用・河川巡視用の2機のドローンを同時に遠隔自律飛行させることで、複数用途のドローンの運航管理を一カ所に集約することの実用性・有効性の検証を行った。

    今回の結果を踏まえ、4者は河川上空利用ルールの策定を推進していくとしている。

    実施内容

    物流・河川巡視用途での実用性・有効性の検証

    フードデリバリー

    都市農業交流館内のマルシェの飲食物などを、荒川岩淵関緑地バーベキュー場に自律飛行で配送した。

    河川巡視

    岩淵水門・低水護岸の河川巡視を想定し、ドローンの自律飛行により巡視に必要な画像データの取得を行いました。各種データの送受信にもモバイル通信を使用した。

    遠隔オペレーションの実用性・有効性の検証

    荒川下流河川事務所の災害対策室をオペレーションルームに見立て、運航管理システムを通して、機体の飛行位置、状態、電波状況、GPS 精度、気象情報や、機体に搭載されているカメラからのリアルタイム映像を確認しながら、遠隔操作によるドローンの運航を行った。

    使用した機体

    PD6B-Type3(プロドローン製)

    「PD6B-Type3」は、最大ペイロード30kgを誇る大型機で、高い安定性と可搬性を両立させた産業用プラットフォームだ。レーザー測量機や物資輸送機として、すでに多くの企業、幅広い産業用途で使用されている現行のPD6B-Type2をさらに進化させている。

    今回の実証では、「フードデリバリー」において、飲食物を荒川をまたいで対岸へ運んだ。

    Matrice 300 RTK(DJI製)

    「DJI Matrice 300 RTK」は、最新の航空技術から着想を得て設計された産業用ドローンだ。30倍ズームカメラ、360度衝突回避センサなどの空撮機能を備え、点検や監視での利用に適した機体だ。

    今回の実証では、「河川巡視」において、岩淵水門・低水護岸の空撮を行った。

    飛行ルート

    フードデリバリー

    足立区都市農業公園前の荒川高水敷から荒川岩淵関緑地バーベキュー場まで、高度約50~100mで運航。

    河川巡視

    荒川下流河川事務所屋上から高度約30mで一帯を運航。

    KDDIスマートドローン他、河川上空利用ルールの策定に向けたドローンの実証実験を実施
    実証の飛行ルート
  • JAXAと国交省、港湾の被災状況把握に衛星画像を活用

    JAXAと国交省、港湾の被災状況把握に衛星画像を活用

    地震・風水害などの大規模災害発生時、港湾では緊急支援物資の受入やサプライチェーン維持の観点から、港湾機能の維持が必要となる。

    しかし、面的な広がりを持つ港湾は、被災状況の把握に時間を要するだけでなく、津波・高潮警報等の発令等により、現地調査に着手できない恐れがあるという課題がある。

    そこで、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)と国土交通省港湾局(以下、港湾局)は、人工衛星画像データの活用に関する協定を締結したことを発表した。

    今回の協定により、JAXAと港湾局は、災害発生時の緊急観測のための連絡体制を整備するとともに、港湾の被災状況把握を対象とした、人工衛星画像データの活用を推進するためのワーキンググループを設置。衛星画像データの効果的な活用方法の検討を行う。

    なお、活用される人工衛星は、現在運用中の陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)に加え、今後打上げが予定されている先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)や、先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)も含まれる。

    JAXAと国交省、港湾の被災状況把握に衛星画像を活用
    先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)

    今後両者は、災害が発生した場合、この取組を活用して港湾施設の被害状況を把握し、港湾機能の早期復旧を目指すとしている。

  • 経産省など4省/ものづくり日本大賞を発表、国産初の手術支援ロボットなどが受賞

    経済産業省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省は1月10日、第9回「ものづくり日本大賞」の内閣総理大臣賞受賞者を発表した。経済産業省関係では、ミスミのオンライン機械部品調達サービス「meviy(メヴィー)」や、川崎重工業とメディカロイドが開発した国産初の手術支援ロボット「hinotori サージカルロボットシステム」などが受賞した。

    「meviy」のサービス概要図
    「meviy」のサービス概要図

    「meviy」は、機械部品の設計データ(3Dデータ)をアップロードすると、AI(人工知能)が部品の形状を認識して見積もり、納期までを自動で回答。同時に、自動で工作機械用のプログラムを生成、工場側に転送し加工を即時で始める。

    利用対象は工場で稼働する生産設備・装置・治具などに使用される機械加工部品で、板金・切削・旋盤加工と幅広い顧客ニーズに対応。部品調達時間を9割削減し、通常は2週間から1か月程度かかる製造納期を最短1日で出荷するという超短納期の生産を実現した。

    hinotori サージカルロボットシステム
    hinotori サージカルロボットシステム

    「hinotori サージカルロボットシステム」は、国産初の手術支援ロボット。手術を実施するオペレーションユニットのアームは、人の腕に近いコンパクトな設計で高い操作性を実現。サージョンコックピットは、執刀医一人一人の姿勢に合わせるため人間工学的な手法で設計されているため、執刀医の負担を軽減する。

    遠隔操作の実証実験も進めており、北海道と福岡間でスムーズな操作が可能であることを確認。これにより、一流医師による地方の外科手術や若手医師の遠隔指導など、地方の外科医不足、技術継承など、日本医療の課題解決への貢献も見込まれている。2020年8月に製造販売承認を取得、同年9月に保険適用となり、国内の様々な施設に導入され、臨床現場で活用されている。

    また、経済産業大臣賞ではインターステラテクノロジズの「国内民間初、自社開発し宇宙到達の観測ロケットMOMO。大樹町の夢を乗せ宇宙利用を実業化」、インスペックの「スマートフォンの普及に貢献する世界最高性能ロールtoロール型FPC検査装置の開発」、ラピュタロボティクスの「多様な技術、製品、業界を繋ぐ、クラウドロボティクス・プラットフォームの開発・提供」が受賞。

    同じく、日立製作所と日立ハイテクの「原子サイズレベルの計測精度を実現する寸法検査装置『CG7300』の開発」、ニッセー、公立諏訪東京理科大学、東京農工大学、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ、東京都公立大学法人東京都立産業技術高等専門学校の「世界最高性能の『緩まないねじ』とその量産用転造金型の開発」、アイシンの「地球も人も元気になれる、品質・生産性に優れた革新アルミダイカスト工場」が受賞した。

    加えて、東洋炭素の「化学的にデザイン可能な細孔空間を持つ多孔質炭素『クノーベル』の工業製品化」、シャープの「令和の台所の新・必需品化を目指す自動調理鍋ヘルシオ ホットクックの開発」、湯浅醤油の「世界初!醤油発酵技術をカカオに応用『チョコレート第5次革命カカオ醤』」が受賞。

    さらに、イノテックと東海国立大学機構名古屋大学の「クラウド型再生医療細胞品質管理システム『AiCELLEX』の開発事業」、マツダの「商品性と環境性と経済性を両立できるバイオエンプラ新意匠2層成形技術の開発」、HPC沖縄、一級建築士事務所 細矢仁建築設計事務所、西薗博美構造設計事務所、多田脩二構造設計事務所、技建の「ハイブリッドプレストレストコンクリート(HPC)技術の開発」、東部金属熱処理工業組合の「金属熱処理における『技術・技能』伝承のための階層別・教育訓練体系の構築」も受賞した。

    国土交通省関係の内閣総理大臣賞受賞者は、水資源機構、鹿島の「遮水性盛土の総合的な品質管理法」、建商内田瓦店の「優秀施工者国土交通大臣顕彰受賞者(建設マスター)」、ヤンマーパワーテクノロジーの「世界をリードするNOxを80%以上低減した舶用ディーゼル機関」となった。

    厚生労働省関係は、鉄道弘済会義肢装具サポートセンターの「卓越した技能者(現代の名工)」、デンソー、エクシオグループ、アイシン、トヨタ自動車、日立製作所、きんでんの「技能五輪国際大会金メダリスト」が内閣総理大臣賞を受賞した。

    文部科学省関係の内閣総理大臣賞受賞者は、新潟県立新津工業高等学校卒業(現:山崎建築)の「第16回若年者ものづくり競技大会金賞(厚生労働大臣賞)、第21回高校生ものづくりコンテスト全国大会第1位(農林水産大臣賞)」となった。

  • 国交省、物流手続と通関手続のシステムを直接連携しワンストップ化

    国土交通省は、国土交通省港湾局が運営し、民間事業者間の物流手続を電子化する「サイバーポート(Cyber Port、港湾物流)」と、行政手続などをオンライン処理する「輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)」のシステム間の直接連携機能を、2023年3月13日に運用開始すると発表した。2つのシステムをつなげて物流と通関の手続をワンストップ化し、手続きの簡素化を図る。

    Cyber PortとNACCSの直接連携イメージ
    Cyber PortとNACCSの直接連携イメージ

    国交省によると、今回、Cyber PortとNACCSの間で直接データ連携ができる機能を実装し物流と通関の手続きが一元化することで、通関手続の場合で入力項目の最大8割を削減できるなど、双方のシステム利用者の利便性向上が見込めるという。

    また、連携にあたっては、Cyber Portの一部帳票項目について、NACCSの仕様に準拠した入力規則の追加を実施。帳票項目を標準化することで、民間事業者間の物流手続とNACCSの通関手続でのデータの相互運用性を高めるとしている。

  • 国土交通省、脱炭素社会や自動運転の実現に向けたユースケース開発として4つの実証実験を開始

    国土交通省、脱炭素社会や自動運転の実現に向けたユースケース開発として4つの実証実験を開始

    国土交通省が主導する、日本全国の3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化事業「Project PLATEAU」では、2020年度に44件のユースケースの開発を行った。公式ウェブサイトではPLATEAUのデータをダウンロードすることなくブラウザ上でプレビューできる「PLATEAU VIEW」を公開中であり、ユースケースもこの中で閲覧可能となっている。

    2020年度開発ユースケースである全国48都市の洪水浸水想定区域の3D表示モデルも実装されており、津波浸水想定の3D表示モデル、土砂災害警戒区域の2D表示モデルとあわせて表示することができる。

    台風や大雨による災害で注目度・重要度が増しているハザードマップだが、いまだ全国的な認知度は低い状態にある。3Dで都市を表示できるPLATEAUを活用することで、直感的に理解しやすい形で災害リスクを視覚化することが可能となり、より有用なハザードマップにつながると考えられているが、PLATEAU VIEW ではその一端を体験することができる。

    このほど、Project PLATEAUが2021年度の新たなユースケース開発として、4つの実証実験を開始した。2021年度は特に社会的要請の高い課題や先進技術を取り込んだユースケース開発をテーマとしており、スマートシティの社会実装に向け実用性の高い実証実験が選定された。

    • 太陽光発電ポテンシャル推計・反射光公害シミュレーション
    • (株式会社三菱総合研究所・国際航業株式会社・株式会社フォーラムエイト・Pacific Spatial Solutions 株式会社)
      石川県加賀市において、加賀市と連携し、建物の屋根面積、傾き、隣接建物による日陰発生など、3D都市モデルのデータを活かした都市スケールの太陽光発電ポテンシャル推計等のシミュレータを開発する。都市内における太陽光発電普及に向けた施策検討への有用性を検証する。国土交通省、脱炭素社会や自動運転の実現に向けたユースケース開発として4つの実証実験を開始

    • 自動運転車両の自己位置推定における VPS(Visual Positioning System)活用
    • (株式会社三菱総合研究所・凸版印刷株式会社・国際航業株式会社)
      静岡県沼津市において、静岡県と連携し、カメラ画像から取得した情報と3D都市モデルの特徴点とを照らし合わせることにより、車両の自己位置を推定するVPS(Visual Positioning System)を開発する。安価・効率的な自動運転システムへの活用可能性を検証する。国土交通省、脱炭素社会や自動運転の実現に向けたユースケース開発として4つの実証実験を開始

    • 工事車両の交通シミュレーション Ver2
    • (株式会社竹中工務店・株式会社アクセンチュア)
      大阪府大阪市において、3D都市モデルを用いた工事車両の搬入経路シミュレータを開発する。地域住民の安全・安心や施工業者の円滑な資材搬入を実現する建設物流プラットフォームの構築を検証する。国土交通省、脱炭素社会や自動運転の実現に向けたユースケース開発として4つの実証実験を開始

    • 大丸有 Area Management City Index(AMCI)
    • (PwCアドバイザリー合同会社・株式会社アブストラクトエンジン(パノラマティクス)・一般社団法人大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会)
      大丸有(大手町・丸の内・有楽町)エリアにおいて、大丸有まちづくり協議会と連携し、エリアマネジメント活動のプラットフォーム「AreaManagement City Index(AMCI)」を開発する。まちづくり活動のビジュアライゼーションによる企業や個人の参加促進を検証する。国土交通省、脱炭素社会や自動運転の実現に向けたユースケース開発として4つの実証実験を開始

    【関連記事】
    オープンな3D都市モデル「PLATEAU」でまちづくりのDXを加速する —国土交通省 細萱英也氏インタビュー

  • 新たなインフラ「3D都市モデル」の民間利用を促進する ―アクセンチュア マネジング・ディレクター 藤井篤之氏インタビュー

    新たなインフラ「3D都市モデル」の民間利用を促進する ―アクセンチュア マネジング・ディレクター 藤井篤之氏インタビュー

    国土交通省は、2020年4月より、日本全国の3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を展開する「Project PLATEAU(プラトー)」を発足している。

    都市がデジタル空間に再現されたPLATEAU の3D都市モデルデータを活用することで、様々な民間企業や自治体がユースケースを創出し、新たな価値を生み出すことを目的としたプロジェクトだ。

    PLATEAUの3D都市モデルは、建物や街路などにセマンティクス(意味論)を定義できる「CityGML」というデータフォーマットが使われている。諸外国では、CityGMLを使った国家・都市レベルでのデータ整備が進められているが、日本における大規模なデータ整備は初となる。

     
    本稿では、PLATEAUの全体コンセプトの検討・実証案件の組成、実証マネジメント及び、持続発展・戦略・実行の支援を行った、アクセンチュア株式会社 ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ マネジング・ディレクター 藤井 篤之氏に、民間企業がどのようにPLATEAUを活用していくのか、ユースケースや今後の展開などについてお話を伺った。(聞き手、IoTNEWS代表 小泉耕二)

    民間企業の3D都市モデル活用を加速させる取組

    IoTNEWS 小泉耕二(以下、小泉): 今回の取り組みについて教えてください。

    アクセンチュア株式会社 ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ マネジング・ディレクター 藤井 篤之氏(以下、藤井): 今回、民間企業が3D都市モデルを活用して、新たなビジネスを創出するための後押しをするような取り組みを行なってきました。

    具体的には、Project PLATEAUの民間サービス開発や利用促進に向け、民間企業と共に3D都市モデルを活用したユースケース開発に取り組んできました。

    そして、そうした実例を新たなビジネス創出につなげられるよう、ユースケースの活動内容やマネタイズ手法、課題・対応策などを「3D都市モデルのユースケース開発マニュアル(民間活用編)」というマニュアルにしました。

    また、今回の取り組みを進める中、実際に様々な企業の方から、国が用意したCity GMLをどのように各3Dデータ形式に変換するかに関するお問い合わせが数多くありました。そこで民間利用を想定したCityGMLデータのハンドリングの為の「3D都市モデルのデータ変換マニュアル」も作成しました。両マニュアルはProject PLATEAUのホームページにて公開しています。(Project PLATEAU HP内ガイドブックページはこちら。)

    新たなインフラ「3D都市モデル」の民間利用を促進する ―アクセンチュア マネジング・ディレクター藤井篤之氏インタビュー
    3D都市モデルの民間活用におけるマネタイズ手法(左)と、ユースケースの参考例(右)。「3D都市モデルのユースケース開発マニュアル(民間活用編)」を基にアクセンチュア作成

    さらに、今回実証を行っていない企業も含めて、持続的なデジタルインフラの発展に向けて、スマートシティ官民連携プラットフォーム「3D都市モデルの整備・活用促進に関する検討分科会」の設立を支援しました。

    3D都市モデルを活用した7つの実証調査

    小泉: 実際に民間企業と3D都市モデルを活用した実証を行われたのですね。具体的な内容について教えてください。

    藤井: 今回のユースケース開発では、「VR空間構築への活用」「AR機能への活用」「都市シミュレーションへの活用」という大きく分けて3つの軸をベースに、7つの実証を行いました。

    新たなインフラ「3D都市モデル」の民間利用を促進する ―アクセンチュア マネジング・ディレクター藤井篤之氏インタビュー
    今回実施された7つの実証調査。 出典:「3D都市モデルのユースケース開発マニュアル(民間活用編)」を基にアクセンチュア作成

    1つ目の「VR空間構築への活用」では、Project PLATEAUの3D都市モデルを使い、リアルな都市をバーチャル空間に再現していくというものです。

    三越伊勢丹ホールディングスとの取り組みでは、「バーチャル伊勢丹」の仮想世界を、3D都市モデルを活用して新宿三丁目エリアを中心とする都市スケールに拡大した「バーチャル新宿」を構築し、デジタルの買い物体験を単純なEコマースにとどめるのではなく、仮想空間上でリアルな買い物を追体験できるような体験価値を検証しました。

    NTTドコモとの取り組みでは、3D都市モデルをゲームに活用するという取り組みを行いました。ゲーム自体に3D空間を使う手法は以前から行われてきましたが、3D都市モデルを活⽤してゲームマップの基礎データにしていくことで、リアル空間での体験に近い追体験を現実化するようなゲームができるか、ということを実証しました。

    2つ目の「AR機能への活用」では、適切な場所に良い形でARを表示できるか、という点を実証しました。

    JTB、 JTB総合研究所、凸版印刷との取り組みでは、AR観光ガイドということで、商店街のお店にスマホカメラをかざすことで、飲食店の情報が得られ、モバイルオーダーも行えるという実証を行いました。

    新たなインフラ「3D都市モデル」の民間利用を促進する ―アクセンチュア マネジング・ディレクター藤井篤之氏インタビュー
    開発されたサービスのイメージ。札幌市の狸小路商店街を対象として、3D都市モデルをバックデータとして活用したVPSによる高精度なAR飲食店ガイドとモバイルオーダーシステムを組み合わせたスマートフォン向けスーパーアプリを開発。 出典:「3D都市モデルのユースケース開発マニュアル(民間活用編)」

    MESONと博報堂DYホールディングスとの取り組みでは、観光・イベント・コマース事業者向けのサービスプラットフォームとして、VRとAR両方を組み合わせて、バーチャル側の人物とリアル側の人物がコミュニケーションできる価値の実証を行いました。リアルな都市でARを活用して参加している人と、同じ都市の3D空間にVRで遠隔参加している人同士が、コミュニケーションを取ることができるというものです。

    3つ目の「都市シミュレーションへの活用」では、物流ドローンのフライトシミュレーションをA.L.I. Technologiesと実証しました。

    また、竹中工務店との実証では、工事車両の交通シミュレーションを行いました。3D形状による物理的通⾏可否や騒⾳レベルのシミュレーションとともに、周辺住民の生活圏・通学路などの「都市の属性情報」もパラメーターに取り込んだ上で、最適なルートをシミュレートするというものです。

    新たなインフラ「3D都市モデル」の民間利用を促進する ―アクセンチュア マネジング・ディレクター藤井篤之氏インタビュー
    ルートシミュレーターで利用された3D都市モデル。 出典:「3D都市モデルのユースケース開発マニュアル(民間活用編)」
    新たなインフラ「3D都市モデル」の民間利用を促進する ―アクセンチュア マネジング・ディレクター藤井篤之氏インタビュー
    騒音シミュレーターで利用された3D都市モデル。 出典:「3D都市モデルのユースケース開発マニュアル(民間活用編)」

    そして東急不動産とソフトバンクとの取り組みでは、すでに同社が行っている竹芝でのスマートシティにて収集しているデータを活用しながら、3Dであるからこそのまちづくりシミュレーションの検討ツールとしての可能性について検証しました。

    このようにそれぞれ用途は違いますが、属性情報も入った精緻な都市データの使い道の実証としては、面白いものが揃ったと感じています。

    3Dだからこそ生まれる新たな価値

    小泉: なるほど。実際に様々なユースケースを行なっていますが、データが立体的であることの価値はどんなところで感じられますか。

    藤井: 大きく3つの価値があると考えています。1つ目は、いわば床面そのものを拡張できているという点です。

    例えば「VR空間構築への活用」でご紹介したバーチャル銀座・新宿を例に挙げると、人間の体験に紐付いた買い物をできる場所として、将来的には新たなテナント業ビジネスを展開できると考えています。

    現在リアルな伊勢丹新宿店の店舗のテナント料というのは、伊勢丹であり、かつ新宿にあるという価値です。しかしその伊勢丹新宿店を3D空間に再現したとしても、その価値はある程度反映されると考えています。

    新たなインフラ「3D都市モデル」の民間利用を促進する ―アクセンチュア マネジング・ディレクター藤井篤之氏インタビュー
    3D都市モデルで表現された「バーチャル伊勢丹」と「バーチャル新宿」 出典:PLATEAUホームページ「New Service」よりバーチャル都市空間における「まちあるき・購買体験」

    バーチャルになったとしても、「三越伊勢丹新宿」というリアル世界の価値を反映させつつ、バーチャルだからこその新しい価値を創出するというのは、3Dだからこそできることだと私は考えています。

    2つ目は、3D空間上にレイヤーを重ねていくことで、新しい表現ができるということです。

    「AR機能への活用」でご紹介したARを活用した広告や観光ガイドの例を挙げると、重ね合わせているバーチャルの体験にどれだけ価値を付加できるかが重要なポイントだと考えています。

    スマートフォンの位置情報とカメラで実現されている従来的なARの手法ではなく、ARを都市空間データとつなぎ合わせることで将来的な広告表現の拡張、ビルのどの部分にどのような広告を貼るか、ということを精緻に設計できる広告表現を実現できると思っています。

    例えば地図アプリ上に2Dの広告を重ねようと思うと、点に対して広告を出すことしかできませんが、3Dであれば、空間に広告を貼るという人が従来持っている認識に近い形で表現ができます。それは広告だけでなく、ガイドやアートでも有効だと考えています。

    小泉: ARで立体空間上に様々なガイドを重ねるという取り組みは以前からあると思うのですが、なかなか普及してこなかったという印象を持っています。それが3D空間にあることでどのように変化するとお考えですか。

    藤井: 確かに単純に情報が出てくるだけであれば、3Dである必要がないものが多いと思います。しかしリアル空間の動きを精緻にセンシングし、ARを重ね合わせたときに、このタイミングでこれを見なければ面白くないという表現や動きを考えながら、コンテンツをいかに重ね合わせられるかだと考えています。

    AR技術を活用したサービスで有名な成功例である「ポケモンGO」は、技術的にはARでリアル世界に情報を出しているだけです。しかしコンテンツのパワーと位置に意味を持たせたという仕掛け、そしてゲーム性を掛け合わせたことで大ヒットしました。

    ですから単純にAR技術が評価されるというだけでなく、コンテンツのパワーと、人を引き付けられる仕掛けをいかに埋め込められるかが重要だと思っています。ポケモンGOのような事例以外でもARの使い道が出てくれば、面白いサービスが乱立すると思います。

    3つ目は、シミュレーションを行えるという価値です。

    例えば「都市シミュレーションへの活用」でご紹介した、物流ドローンのフライトシミュレーションでは、そもそもドローン⾃体が前後左右だけでなく高さ方向に自由に動く3Dなので、3Dでなければシミュレーションが行えません。

    新たなインフラ「3D都市モデル」の民間利用を促進する ―アクセンチュア マネジング・ディレクター藤井篤之氏インタビュー
    3D都市モデルにより構築されたシミュレーション用マップにて、指定されたスタート地点とゴール地点に対して、周辺の建造物の高さ・形状、飛行高度と建物の高度などを踏まえて、最適なルートが算出される。 出典:PLATEAUホームページ「New Service」より物流ドローンのフライトシミュレーション

    そして今後ドローンを活用した産業が当たり前になってくると、どこを飛ばすのかという正確性や、どこなら飛ばしていいかという規制やルール化が重要になってきます。規制やルールを考える上で、こうしたデータに基づいて形成できるということは、大きな可能性が出てくるのではないかと思っています。

    小泉: 街中にドローンを飛ばすということについて根深く議論はされていますが、結論がなかなか出ていないのは、実際にドローンが飛ぶルートの中に何があるのかはっきりしていないということもありますよね。

    藤井: そうですね。あとは人の気持ちの部分もあります。例えばカメラを搭載したドローンであればプライバシーの問題、飛んでいると不快だと感じる、安全性の問題、など、3D空間の中でものが動く際に、様々な問題が複雑に発生するということです。

    今まで作られてきた建物は、上から誰かが覗くことを想定して作られていません。下からの眺望に関しては、すりガラスを入れるなど見られない設計にしていますが、横や上にドローンが飛んでくることは想定していません。

    ドローンが飛ぶ前提でのプライバシー性や安全性が設計されていない中で飛ばそうと思うと、どこなら飛べるのかのルール作りが必要になってきますが、決めるための基盤になるデータがあり、シミュレーションもできるというのは非常に重要なことだと思っています。

    また、工事の交通シミュレーションに関しても、現在ある建物などの情報にプラスして音・風・気候条件など、現実世界に近い形でのシミュレーションが行えるという点が大きなメリットだと思っています。

    小泉: 工事車両がやってきた時の交通状況や騒音、建物を建てた際の気象条件や人の導線など、建物を建てる前、途中、後と、それぞれシミュレーションするということは個人的にすごく良いと思う一方、民間利用があまり進んでいないという印象があります。

    今回実証実験を行ったことで、このような取り組みが進みそうな感覚はあるでしょうか。

    藤井: 正直まだまだ実証段階ではありますが、今後ニーズは出てくると考えています。工事車両の問題は、地域の関係性を良好にする上でも非常に重要ですので、最適なルートを選べるということが標準化してくると、強いパッケージになると思います。

    ゼネコン、運送業者、周辺住民、自治体と、様々な関係者が工事には関わってきますが、データやファクトをもとに計画を提示できるというのは客観性があり、様々な関係者の合意が得やすくなると考えています。

    都市モデルだけでない3Dの可能性

    小泉: なるほど、今回行われたユースケースから見えてきた価値がよくわかりました。

    アクセンチュアとしては今後も今回のユースケースのように企業への支援をしていくのでしょうか。それとも自社で新たなサービスを作られるのですか。

    藤井: アクセンチュアとしては、3Dの可能性は、都市モデルに限らず非常に大きなビジネス分野だと考えています。実際に3Dグラフィクスを得意とするMackevisionを2018年に買収し、様々な企業に3Dモデル作りや、3Dコンテンツを使ったサービスの提供をしています。

    そうした意味でも3Dという分野には非常に注目しているので、今後も今回のような支援という形や、サービス作りにも関わっていければと考えています。今後3Dデータを活用した新たな広告やVRコンテンツなど、まだまだ黎明期でありながら、盛り上がっていく領域だと思っています。

    新たなインフラのから生まれる新たなプレーヤー

    小泉: 大きな変革の兆しがみえますね。最後に3D都市モデルを民間利用していこうと考えている方に向けて、メッセージがあればお願いします。

    藤井: 今回のProject PLATEAUは、道路、ビル、橋に続く新たなインフラだと捉えています。そのインフラの整備を、総務省でもなく、経済産業省でもなく、国土交通省がプロジェクトを立ち上げたことに非常に意味があると考えています。

    これまで国土交通省は、橋や道路、建物といったリアルな土地をベースとしてインフラを整備していましたが、今回都市インフラの一環として3Dデータを整備することで、新たなビジネスを生みだそうとしています。

    そう考えたときに、今回ご紹介した分野だけでなく、調査や測量から住民サービスに至るまで、幅広い分野でこれまでになかった新たなプレーヤーが出てくると思います。また、ロボットや自動運転の精度が上がってきた社会にも、3D都市モデルは寄与しうるものだと考えています。

    新たなインフラ「3D都市モデル」の民間利用を促進する ―アクセンチュア マネジング・ディレクター藤井篤之氏インタビュー
    3D都市モデルを活用したまちづくりにおける新規参入事業者例。 出典:「3D都市モデルのユースケース開発マニュアル(民間活用編)」

    例えばGoogle Mapが分かりやすいと思うのですが、当時地図がデータ化したら何ができるのか、今のような形を想像できた人はほとんどいなかったと思います。

    手元に地図があるのは便利だが、Google Mapを使ってどんなメリットがあるのか、明確には分からなかった、というのが当時の印象だったと思うのですが、現在ではGoogle Map上で様々なAPIやサービスが動いているのが当たり前になっています。

    それくらいの可能性がこの3D都市モデルにはあると感じています。

    しかしこの3D都市モデル自体は、リアル空間でいうビルなどのインフラとしての役割なので、この中にテナントが入ってお客さんがくる、という部分は民間企業や自治体の取り組みです。

    そうした新たなインフラ上で、どのようなビジネスを展開できるのか、今回のユースケースを踏まえたビジネス展開や、全く新しい独創的なビジネスも含めて、共に創出していければと思います。

    デジタルツインに関して日本が最先端だという未来がくることを楽しみにしています。

    小泉: 本日は貴重なお話をありがとうございました。

  • オープンな3D都市モデル「PLATEAU」でまちづくりのDXを加速する —国土交通省 細萱英也氏インタビュー

    オープンな3D都市モデル「PLATEAU」でまちづくりのDXを加速する —国土交通省 細萱英也氏インタビュー

    国土交通省が主導し、日本全国の3D都市モデルの整備・オープンデータ化を展開する「Project PLATEAU(プラトー)」が、2021年から本格始動した。

    都市がまるごとデジタル空間に再現されたPLATEAUの3D都市モデルのデータを用いて、さまざまな民間企業や自治体が独自のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進することができる。

    2021年3月には、東京23区を始めとする複数都市の3D都市モデルが公開された。「PLATEAU VIEW」というブラウザベースのWebアプリを使って、誰でもその3D都市モデルを体感することができる(上の画像:新宿区)。今後、全国56都市の3D都市モデルが順次オープンデータ化される予定だ。

    本稿では「Project PLATEAU」の詳細について、国土交通省 都市政策課 企画専門官の細萱英也氏に話をうかがった(聞き手:IoTNEWS代表 小泉耕二)

    国土交通省が主導で、日本全国の3D都市モデルを整備

    IoTNEWS 小泉耕二(以下、小泉): 「Project PLATEAU」について教えてください。

    国土交通省 細萱英也氏(以下、細萱): 「Project PLATEAU」では、①3D都市モデルの整備、②3D都市モデルのユースケース開発、③3D都市モデルの整備・活用ムーブメントという活動を行っています。

    簡単に全体像を説明すると、3D都市モデルの整備(①)は国土交通省と地方自治体が協力して行っています。今年度、全国56都市を先行で整備しています。しかし、つくっただけでは意味がありません。それらのデータがどう使えるのか、何の役に立つのかが重要です。そこで、ユースケースの開発(②)を国交省と地方自治体、民間企業が共同で進めています。

    将来的には、3D都市モデル「PLATEAU」は、オープンデータとしてさまざまな企業や団体に自由にはばひろく使ってもらいたいと考えています。そこで、「PLATEAU」の可能性を多くの方に知ってもらえるように、特設サイトの開設やメディアを通じた情報発信、アイデアソン/ハッカソンなどの活動を行っています(③)。

    オープンな3D都市モデル「PLATEAU」でまちづくりのDXを加速する —国土交通省 細萱英也氏インタビュー
    3D都市モデルの3つの提供価値。視覚性・再現性・双方向性。(画像提供:国土交通省)

    小泉: 3D都市モデルはどのようにつくっているのでしょうか。

    細萱: まず、地方自治体がもっている「都市計画基本図」という2Dの地図情報(建物、道路、街区など)に、航空測量などによって得られる建物・地形の高さや形状の情報をかけあわせます。すると、3Dの地図情報ができます。そして、この地図情報に各自治体が定期的に行っている「都市計画基礎調査」などによって得られた属性情報、つまり都市空間の意味情報を付加することで、3D都市モデルを構築しています。

    ポイントは、この3D都市モデルは、都市空間の形状をたんに再現した幾何形状(ジオメトリ)モデルではないということです。都市空間に存在する建物や街路などを定義し、これに名称や用途、建設年、行政計画といった都市活動情報を付与することで、都市空間の「意味」を再現しています。これを「セマンティクス」(意味論)モデルといいます。

    オープンな3D都市モデル「PLATEAU」でまちづくりのDXを加速する —国土交通省 細萱英也氏インタビュー
    「セマンティクス・モデル」のイメージ。たんなる地形情報だけでなく、3D空間に存在するオブジェクトが何なのか、どの部分なのかの「意味」の情報も付与することができる。PLATEAUでは、地方自治体が「都市計画基礎調査」などで収集した属性データを付与することで、セマンティックな3D都市モデルを構築している。なお、グーグルが提供する「Google Earth」は、地形の情報を再現したジオメトリモデルである。(画像提供:国土交通省)

    細萱: こうしたセマンティックな情報を整備できるのが、「CityGML」というデータフォーマットです。これは、都市スケールの分析やシミュレーションに必要なセマンティクスを記述できる、地理空間データのための唯一の標準データフォーマットです。諸外国でもこの「CityGML」を使って国家・都市レベルでのデータ整備が進められていますが、日本における大規模なデータ整備は今回が初めてとなります。

    オープンな3D都市モデル「PLATEAU」でまちづくりのDXを加速する —国土交通省 細萱英也氏インタビュー
    CityGMLのLOD概念。従来は、縮尺ごとに整備された地図データのように、同じオブジェクトに関する情報であっても、ばらばらにデータが整備・蓄積されてきた。これにより、データ間の不整合やデータの重複が生じ、横断的なデータ利用や効率的なデータの更新が難しかった。LODを使うことで、同じオブジェクトに関するすべての情報を一元的に管理することができるようになる。(画像提供:国土交通省)

    細萱: 「CityGML」は LOD(Level of Details)と呼ばれる概念をもっています。これによって、同じオブジェクトに関する、詳細度の異なるさまざまな情報を統合的にデータとして管理できるようになります。LOD1からLOD4へ階層が上がると、データの詳細度も上がります。

    「PLATEAU」は基本的にLOD1で整備しています。詳細なものをベースとしてつくると、簡単には処理できないような膨大なデータ量になり、都市全体を俯瞰した議論ができなくなってしまいます。ですから、詳細なデータは用途に応じて部分的につくりこんでいくのがよいと考えています。

    たとえば、現在は検証のために都市の中心部のみLOD2で整備しています(トップ画像の新宿区のモデルがその一例)。また、羽田イノベーションシティや東京ポートシティ竹芝などの一部の場所で、LOD4のデータ、つまり建物の内部構造のデータまで含めて整備し、PLATEAUの特設サイトで公開しています。ただし、内部構造のデータは本来オープンにできるものではなく、今回はあくまでユースケースとして公開しています。

    オープンな3D都市モデル「PLATEAU」でまちづくりのDXを加速する —国土交通省 細萱英也氏インタビュー
    3Dモデルを活用することで期待されるユースケースの例。オブジェクトの属性データを活用することで、精密なシミュレーションが可能になる。(画像提供:国土交通省)

    小泉: 今年度に、56都市で3Dモデルを整備(LOD1レベルが基本)するとのことですね

    細萱: はい。今回は公募によって選ばれた全国 56 都市の 3D 都市モデルを先行的に整備しています。全国の自治体のまちづくり部局に対して、3D都市モデルをつくりたいですか? 使いたいですか? 更新もしますか? というような投げかけをし、ぜひやりたいという自治体と協力して行いました。

    今回のプロジェクトの肝は、実は地方自治体のまちづくり部局が基点となっているということにあります。市町村のまちづくり部局には、まちに関するさまざまな情報が蓄積されています。数年前から、それらのデータをオープン化していこうという活動を進めていました。その延長線上に、今回の「PLATEAU」プロジェクトがあるのです。

    「PLATEAU」に必要な都市の基本的なデータは、そもそも各自治体のまちづくり部局が定期的に調査をして集めているものです。ですから、3D都市モデルを今後更新していくにあたっても、それほど追加費用をかけずに、従来の活動の延長として行うことができるのです。

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