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  • LINEヤフー、OpenAIのAPIを活用しAIが疑問に答える「LINE AI Q&A」をローンチ

    LINEヤフー、OpenAIのAPIを活用しAIが疑問に答える「LINE AI Q&A」をローンチ

    LINEヤフー株式会社は、コミュニケーションアプリ「LINE」内で、OpenAIのAPIを利用し、生成AIと他のユーザに質問ができるサービス「LINE AI Q&A」(Android版)の提供を開始した。なお、iOS版の提供開始は近日中だ。

    「LINE AI Q&A」は、AIとユーザでつくるQ&Aサービスだ。「LINE」アプリのホーム画面から専用ページにアクセスし、自由に質問を投稿できる。

    質問にはまずAIが回答し、その後他のユーザも350文字以内で回答できるという仕様だ。そのため、質問者はさまざまな意見を照らし合わせて参考にすることができる。

    LINEヤフー、OpenAIのAPIを活用しAIが疑問に答える「LINE AI Q&A」をローンチ
    「LINE AI Q&A」の利用方法

    おすすめの勉強法や大切な人と行きたいお店選びなど、複数の回答が欲しいときに役立つ。質問できるカテゴリーは「学校・教育」「仕事」「恋愛・結婚」「グルメ」「お笑い・コメディ」で、今後順次拡大する予定だ。

    LINEヤフー、OpenAIのAPIを活用しAIが疑問に答える「LINE AI Q&A」をローンチ
    「LINE AI Q&A」での質問イメージ

    また、「LINE AI Q&A」では、質問者・回答者ともにLINEアカウントのプロフィールではなく、独自に設定するプロフィールを利用することが可能だ。

    さらに、他のユーザがした質問や回答を見ることも可能で、AIにどんな質問をしたらいいか分からないときや似たような悩み・相談があるときに参考にすることができる。

  • NearMeとパーソルP&T、AIとLINEを活用した配車サービスの本格運用を開始

    NearMeとパーソルP&T、AIとLINEを活用した配車サービスの本格運用を開始

    株式会社NearMe(以下、ニアミー)とパーソルプロセス&テクノロジー株式会社(以下、パーソルP&T)は、共同で取り組んでいるAIとLINEを活用した「配車サービス」を、2023年8月1日より本格運用を開始する。

    なお、この「配車サービス」は、LINE株式会社が「Microsoft Azure」パートナー企業とともに、LINEを通じて全国各地のMaaSの普及拡大を支援する共同プロジェクトの一環として開発されたサービスだ。

    今回発表された「配車サービス」では、事業者の要望に合わせて、相乗りやデマンド交通などを提供することができるニアミーの「配車システム」と、LINE公式アカウントにニアミーの「配車システム」をパーソルP&Tが連携させる。

    これにより、タクシー事業者の受付業務削減と、タクシー利用者の配車予約を簡易化することができる。

    また、ユーザはLINEを使用することで、これまでの配車アプリで必須だった会員登録が不要になり、LINE公式アカウントの友だち追加のみでサービスを使用することが可能となる。

    具体的には、乗車地、行き先、乗車人数、など必要情報を入力し、「今から呼ぶ」「日時指定」のいずれかを選択することでで配車予約が完了する。

    手配が完了すると、乗車するタクシーの車両のナンバーや到着予定時刻、目安の料金が事前に通知される仕組みだ。

    NearMeとパーソルP&T、AIとLINEを活用した配車サービスの本格運用を開始
    「配車サービス」のアプリ画面

    なお、「配車サービス」を導入する最初の事業者として、TKタクシー株式会社が本日より運用を開始する。

  • ZHD、OpenAIと全てのAPIで利用契約しLINE・ヤフーなど従業員約2万人へ導入

    ZHD、OpenAIと全てのAPIで利用契約しLINE・ヤフーなど従業員約2万人へ導入

    Zホールディングス株式会社(以下、ZHD)では、2023年6月に、ZHD、LINE株式会社とヤフー株式会社のメンバーで編成した、生成AI社内推進組織「生成AI活用推進室」を発足し、現在63人が所属している。

    また、同年3月にはZHDグループ全従業員を対象とした「生成AI利用ガイドライン」を策定するほか、AI技術の活用に際する基本方針の明確化と、実効性のある自主ルールを策定することを目的とした「AI倫理に関する有識者会議」を2021年6月より開催し、外部の専門家と議論を重ねている。

    さらに、2022年7月、ユーザーのプライバシーを尊重しながらAIを安全に活用するための方針として、「Zホールディングスグループ AI倫理基本方針」を策定し、ヤフーが運営する飲食店予約サービス「PayPayグルメ」がOpenAIのChatGPTプラグイン提供開始するなど、サービスへの活用も開始している。

    こうした中、ZHDは、OpenAIと、OpenAIが提供する全てのAPIに関する利用契約を締結し、グループ会社のLINE株式会社およびその子会社であるヤフー株式会社における利用を開始した。

    なお、対象のAPIは、2023年7月1日時点で、OpenAIが提供する「GPT-4」や「Embeddings」、「DALL·E」などの全てが対象となっている。

    また、LINEおよびその子会社、ヤフーの従業員約2万人に向けて、APIを活用した対話チャット型の独自AIアシスタントサービスを提供開始した。

    独自AIアシスタントサービスの社内利用にあたっては、社内認証やネットワーク制限を行い、各社の社内ネットワーク環境下でのみ利用できる、セキュアな環境を整備している。

    また、出入力情報はOpenAIモデルのトレーニングやOpenAIのサービス改善に活用されず、二次利用や第三者への提供がされない仕様としたため、利用者は社外秘情報の利用も可能となる。

    今回の契約では、OpenAIが提供する全てのAPIを利用できるため、利用者は文書やメールのテンプレート作成、文案の修正、調査、文章の分類分け、外国語のテキスト翻訳、アイデア出しなどの業務シーンで活用することができる。

  • 福岡市役所、長浜屋台街のLINE公式アカウントを活用した「屋台DX」をスタート

    福岡市役所、長浜屋台街のLINE公式アカウントを活用した「屋台DX」をスタート

    福岡市役所は、「LINE Fukuoka」との協働プロジェクトとして、屋台のLINE公式アカウントを活用した、長浜屋台街での「屋台DX」に取り組む。

    「屋台DX」では、屋台のLINE公式アカウント(FUKUOKA GUIDE)を開設し、長浜屋台の個別情報(おすすめメニューなど)を紹介する。

    そして、屋台LINE公式アカウントを活用して、長浜屋台街の営業状況の見える化を行う。

    具体的には、IoT機器を設置することで、営業しているかどうかがリアルタイムで分かる取り組みを、長浜屋台街全軒で実施する。

    屋台に設置している電源に機器が接続されると、自動的にシステムが感知し「まもなく営業開始」「営業中」「営業時間外」の3段階で営業状況がわかる。

    福岡市役所、長浜屋台街のLINE公式アカウントを活用した「屋台DX」をスタート
    営業状況の画面イメージ

    また、長浜屋台のうち「明太中毒」では、混雑状況もリアルタイムで確認することができる。

    IoT機器で撮影した画像をAIで解析し、店内の混雑状況を3段階で判断する。

    福岡市役所、長浜屋台街のLINE公式アカウントを活用した「屋台DX」をスタート
    店内の混雑状況の画面イメージ

    さらに、屋台内に設置された二次元コードを読み取るとプレゼントがもらえる、デジタルスタンプラリーも実施する。

    他にも、屋台条例10年にちなんだコラムや、屋台のマナー、楽しみ方などの情報を随時発信する特設サイトの開設や、タクシー車内にて長浜屋台街のPRの実施、福岡市営地下鉄「屋台列車」の運行などが実施される。

    福岡市役所、長浜屋台街のLINE公式アカウントを活用した「屋台DX」をスタート
    福岡市営地下鉄空港線・箱崎線において、屋台の のれんや、屋台料理、メニュー写真などを装飾イメージした「屋台列車」を運行。
  • LINEがオンライン本人確認「LINE eKYC」をセカンドストリートへ提供、非対面のロッカー買取テスト導入を開始

    LINEがオンライン本人確認「LINE eKYC」をセカンドストリートへ提供、非対面のロッカー買取テスト導入を開始

    LINE株式会社は、AIテクノロジーブランド「LINE CLOVA」が提供するオンライン本人確認サービス「LINE eKYC」を、株式会社セカンドストリートが運営するリユースショップ「セカンドストリート」へ提供し、「LINE eKYC」を使ったオンライン本人確認を活用した、完全非対面のロッカー買取サービス「セカスト買取ロッカー」のテスト導入を、2023年2月1日より開始した。

    「LINE eKYC」は「LINE」アプリ上でオンライン本人確認(eKYC)を行うAIソリューションだ。LINEが開発した、身分証・顔写真判定をするAI技術と、「LINE公式アカウント」を組み合わせた本人確認を提供している。

    今回発表された「セカスト買取ロッカー」では、店舗とユーザとのコミュニケーションを「LINE公式アカウント」にて行い、「LINE eKYC」での本人確認や、「LINE Payかんたん送金サービス」による買取代金の支払いを可能とすることで、完全非対面での取引を実施する。

    LINEがオンライン本人確認「LINE eKYC」をセカンドストリートへ提供、非対面のロッカー買取テスト導入を開始
    「セカスト買取ロッカー」利用時の流れ

    また、「セカスト買取ロッカー」利用者に対し、「LINEポイント」がもらえるキャンペーンも期間限定で実施される。

  • LINE・ヤフー・PayPay、リアルとECをつなぐマイレージ販促サービス開始

    LINE、ヤフー、PayPayは、マイレージ型の販促プラットフォーム「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay マイレージ」を2023年3月に開始すると発表した。オフラインの店舗と、オンラインのEC(電子商取引)を横断した販促プラットフォームで、メーカーと小売業の参加を募り、購買データを活用した継続的な販促支援を実現する。

    「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPayマイレージ」は、メーカー、PayPayの決済が利用できる店舗、ヤフーのオンラインストア「Yahoo!ショッピング」を結び、サービスをユーザーに提供する。

    「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPayマイレージ」のサービス概要
    「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPayマイレージ」のサービス概要

    ユーザーは、参加メーカーの対象商品をオフラインの対象店舗はPayPay決済、オンラインでは「Yahoo!ショッピング」の対象ストアで購入すると、それぞれの購入金額に応じてマイルが貯まる。自分の購買情報はサービスの画面上で確認できるほか、マイルを貯めることでPayPayポイントなどの特典が受けることができる。

    「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPayマイレージ」の画面イメージ
    「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPayマイレージ」の画面イメージ

    マイルはポイントではなく、購入金額で表示する。参加するメーカーは、ユーザーが自社製品をどれくらい購入したかがわかるほか、店舗、ECでの購買行動の把握が可能。メーカーは、その購買データを活用することで、効果的な販促が行える。

    例えば、メーカーが売りたい製品のキャンペーンなどを適切なタイミングで打つことで、顧客に製品を継続的に買ってもらうといったLTV(顧客生涯価値)の最大化が図れるという。

    小澤隆生・ヤフー社長
    小澤隆生・ヤフー社長

    「オフライン(店舗)、オンラインともにビジネスはデータを生かして販促やマーケティングができるかどうかが成長の差になる。そして、オフラインとオンラインを結ぶ販促はユーザーの規模がないとできないため、これまでなかった。我々はLINEが9300万人、ヤフーが5500万人、PayPayは5300万人と圧倒的なユーザー数を持っている。そのため、両方をカバーできた」と、小澤隆生・ヤフー社長は会見で説明した。

    データは、店舗のPOSデータや3社がユーザーから同意を得たものなどを使用。メーカーに直接提供はせず、プラットフォームにアクセスして利用してもらう。ポイントの発行はメーカーが購入金額に応じた条件を設定できる。

    一方、店舗などの小売業は、サービスに参加することで、PayPayポイントがもらえるといったインセンティブで導入していない店よりも来客数の増加が見込めるメリットがあるという。

    プラットフォームは参加メーカーが利用料を払う仕組み。小売業には課金しない。現在、メーカーはアサヒ飲料や消費財メーカー、小売りはオーケー、ウエルシア、サンドラッグ、スギ薬局、ツルハドラッグ、ECはYahoo!ショッピングが参加が決まっている。

    また、PayPayでは、加盟店向けに展開していた「PayPayクーポン」で、新機能としてメーカー向けの販促サービス「商品クーポン(仮)」も2023年5月から提供を開始する。

    ユーザーが事前にクーポンを取得した上で、対象店舗で特定の商品を購入するとPayPayポイントが付与される。メーカーは、PayPayアプリで商品クーポンを発行することで、その時期に販売したい特定の商品をユーザーに訴求できる。

    さらに、3社ではメーカーや小売業などの企業が参画する「LINE・Yahoo! JAPAN・PayPay販促コンソーシアム」も設立する。

    メーカーにCRM(顧客関係管理)機能の提供するほか、今後展開していく販促サービスの核と位置付ける、リアルタイムでのPOS連携の実現に向けて、3社と参加企業間で協議を行う。メーカーはアサヒ飲料、キリン、サントリー、小売りはウエルシア、オーケー、コーナン、サンドラッグなどが参加を予定している。

    LINE、ヤフー、PayPayによると、販促市場は、ダイレクトメールやチラシなどのアナログが中心となっており、メーカーを始めとする企業は、ユーザーの購買行動などのデータを得られず、正確な効果測定が難しいことが課題になっているという。そこで、3社ではこの販促市場をデジタル化することで、デジタル販促の分野を開拓。消費者、企業向けビジネスで自社の経済圏の拡大につなげる。

    出澤剛・LINE社長、Zホールディングス代表取締役Co-CEO
    出澤剛・LINE社長、Zホールディングス代表取締役Co-CEO

    出澤剛・LINE社長、Zホールディングス代表取締役Co-CEOは会見で、「販促のDX(デジタルトランスフォーメーション)はLINE、ヤフー、PayPayのZホールディングスグループが総力を挙げて取り組む領域。グループの総力を挙げてデジタル販促の領域を開拓し、売り上げで1000億円規模を目指す」と抱負を述べた。

  • 顧客体験をLINEで横断的につなぎ、小売のDXを促進する ―LINE 比企氏・佐藤氏・藤平氏インタビュー

    顧客体験をLINEで横断的につなぎ、小売のDXを促進する ―LINE 比企氏・佐藤氏・藤平氏インタビュー

    LINEは、「インターネット上のコミュニケーション手段」という特徴を活かし、MaaSやエンターテイメント、医療など、様々なオフライン領域のDXを推進している。

    そして今回、小売業のDXを支援するための新たな共同プロジェクトが立ち上がったということで、プロジェクトの具体的な内容をはじめとし、LINEが小売業に進出することで与えるインパクト、今後実現していきたい未来像などについて、LINE株式会社 アカウント事業企画室 ビジネスデザインチーム マネージャー 佐藤将輝氏(トップ画左)、Developer Product室 Technical Evangelismチーム マネージャー 比企宏之氏(トップ画中央)、藤平賢人氏(トップ画右)に、お話を伺った。(聞き手:IoT NEWS代表 小泉耕二)

    顧客体験向上を目指す共同プロジェクト

    IoTNEWS 小泉耕二(以下、小泉): 今回、小売のDXプロジェクトがスタートということですが、具体的な内容について教えてください。

    LINE藤平賢人氏(以下、藤平): 小売のDXを推進していくことを目的として、日本マイクロソフト「Microsoft Azure」のパートナー企業と共に、LINE APIとマイクロソフトのクラウドサービスを掛け合わせて、新規サービスを開発する共同プロジェクトを立ち上げました。

    具体的には、LINEを使って、小売における顧客体験をデジタル化することで、顧客はより良いUXを体験できるようになり、小売事業者は、店舗やユーザーのフィードバックを得ることで、DXを進めていける仕組みを作ろうとしています。

    LINE 佐藤将輝氏(以下、佐藤): まずは小売事業者に理解をしてもらうためにも、LINEが提供しているLINE公式アカウントやLINEミニアプリ、LINE APIやLIFF(※)といった、サービスが持つ各機能を、どのように、どこまで活用することができるのかを理解してもらう必要があると考えています。

    そこで、LINE側で先行してデモを作ったり、サービスの企画や構築のサポートをしたり、という支援を行っています。

    そのためにパートナー企業にも我々のインプットを行ってもらったり、デモを実際に見たり使ったりすることで理解を深めたり、我々やパートナー企業同士も交流することで、相互理解を進めています。

    ※LIFF: LINE Front-end-Frameworkの略。LINEが提供するウェブアプリのプラットフォーム。

    3つの「レス」で新たな価値創造を行う

    小泉: プロジェクトを立ち上げて、まさにここから小売向けの新しいサービスを構築していく段階ということですね。

    今までの小売業界のデジタル化というと、POSやデジタルサイネージなど、各ソリューションが独立して進化を遂げていると感じます。そこをLINEのようなコミュニケーションをメインとしたプラットフォームを活用して、体験を横串でつなぐという取り組みは、新しいと感じます。

    LINE 比企宏之氏(以下、比企): まさしく今回のプロジェクトのテーマに「フリクションレス・プライスレス・ボーダレス」という、3つの「レス」を実現することを挙げているのですが、ボーダレスが体験の横串を実現していくと考えています。

    顧客体験をLINEで横断的につなぎ、小売のDXを促進する ―LINE 比企氏・佐藤氏・藤平氏インタビュー
    LINEが実現しようとしている3つのレス。

    例えば「小売×エンタメ」や「小売×移動」といった、事業者や業界を超えて体験価値を作っていく、といったことです。

    また、フリクションレスでは、LINEという、ユーザーに浸透しているコミュニケーションツールを活用することで、ユーザーはアプリのダウンロードや操作性といった、入り口の手間が省かれます。

    事業者にとっても、1からアプリの開発を行う必要がなく、LINEミニアプリへの遷移や、機能拡張も容易に行えるという利点があります。

    最後にプライスレスは、利便性の追及からの脱却を意味しています。これは小売業界に限ったことではないと思いますが、「安い」や「早い」といった価値基準に重きを置きがちです。

    そこを、先ほど申し上げたボーダレスな掛け算によって、新たなプライスレスな体験価値を創造していきたいと考えています。

    デモをたたき台に基盤のエコシステムを構築する

    小泉: 3つの「レス」のひとつひとつの言葉に重みがありますね。具体的には小売の中のどのような体験をつないでいくことが、主軸になるのでしょうか。

    比企: まずは、顧客が体験できる価値であるUXを主軸に考え、そこからどのようにそれを実現していくかをパートナー企業と進めていく、という手法で取り組んでいます。

    そのためには、小売事業者様やパートナー企業に、実際にどのような体験ができるかを理解してもらう必要があります。これまでの現場では、議論が中心になり、空中戦になって消滅してしまうケースが多くありました。

    そこで、イメージしやすくする為に、「LINE API Use Case」サイトのデモを作り、UXを体験できるようにしています。そのデモのシーンに対して、各パートナー企業に機能提供を行なってもらう、という形をとっています。

    顧客体験をLINEで横断的につなぎ、小売のDXを促進する ―LINE 比企氏・佐藤氏・藤平氏インタビュー
    縦軸の各パートナー企業が、横軸の「LINE API Use Case」のOMOストアデモの各シーンに対して、提供する価値を表している。[※インタビュー時にLINEにて図解された資料。]

    現在のデモでは、ECで購入していた商品を店舗に受け取りに行ったという設定で、商品受け取りと、特典を受け取ることができる店舗チェックインをLINE上で行うデモや、デジタル会員証やおすすめ商品の通知、ECへの遷移や店舗までのオンデマンドバスの予約などがLINE上でできるという、部分的なデジタル化で終わらない顧客体験を中心にした、OMO型スマートストアデモのLINE公式アカウントを公開しています。

    顧客体験をLINEで横断的につなぎ、小売のDXを促進する ―LINE 比企氏・佐藤氏・藤平氏インタビュー
    「LINE API Use Case」サイトのデモ画面。 左: 商品を受け取りに行った際に、店舗チェックインをするかどうかお知らせしている。 中央: OMOストアデモのアカウントのタイムライン。おすすめ商品の通知やオンデマンドバスの予約、会員証やECに遷移することができるようになっている。 右: タイムライン上の会員証を押すと、デジタル会員証のイメージ画面が表示される。

    小泉: こうした「LINE API Use Case」サイトのデモは、APIの使い方を示しているのでしょうか。それともこういったものを作ろうという形を示しているのでしょうか。

    比企: まずはたたき台として、イメージができるようにデモを作っています。我々が提供しているデモのUXが正しいということではなく、ここから議論していくことができるように、羅針盤として作っています。

    そしてある程度現在のパートナー企業と仕組みを構築したら、将来的には様々な業界の企業に参画していただき、機能提案や新たな仕組みを共に構築していけるような、プラットフォームになっていければと思っています。

    小泉: 現在のOMO型スマートストアデモでも、オンデマンドバス予約をLINEで行う構想が盛り込まれていますし、将来的にはお買い物にまつわる周辺もつなごうとしているのですね。

    比企: まさしく「移動」と連携したり、場合によっては「スポーツ」や「エンターテイメント」と連携して、イベント施設の中だけで入場できる限定ECがあったりと、お買い物の周りにある業態ともつながっていくことを想定しています。

    将来的には、不動産・可動産、行政などともつながることで、オフライン全体でLINEを使うことのメリットを打ち出していきたいと考えています。

    顧客体験をLINEで横断的につなぎ、小売のDXを促進する ―LINE 比企氏・佐藤氏・藤平氏インタビュー
    あらゆるオフライン領域が相互につながることで、新しい価値を生み出していく構想を描いている。[※インタビュー時にLINEにて図解された資料。]

    双方向性のある新たな広告の在り方

    小泉: そうなると対象となる店舗は、日常的に出入りする店舗や、すでにユーザーの周辺にあるオフライン領域でのコミュニケーションになると思います。全く新しい店舗や、たまにしか行かない店舗が、デジタル接点によって新たにユーザーに認知させることは難しいのでしょうか。

    比企: 新たな認知に関しては、広告の在り方を新しく定義していきたいと考えています。従来の屋外での交通広告やデジタルサイネージといったOOH広告は、過渡期を迎えていると感じています。

    例えば、オフラインのサイネージで広告を行おうと思うと、1面だけではなかなかリーチしません。ですから、リーチを取るために全面広告を行おう、となるのですが、そうすると見る側のメリットがない状態で視界に入ってしまう、という可能性もあります。

    つまりこうした広告は、無理やり消費者の視界を奪うという発想ですので、見ているかどうかわからないといったことや、広告のゴリ押しにより不快にさせてしまう、という可能性もあります。

    ですから、この先の広告は、双方向性が大切になってくると思っています。単なる「広告」という文脈ではなく、LINEを活用した双方向の「One to One」、もしくは「One to Group」のコミュニケーションを実現したいです。

    小泉: グループに対する「One to Group」のコミュニケーションというのはどういったものなのでしょうか。

    比企: 現在開発しているデモでは、あるLINE公式アカウントと友だちのユーザーが、チケットをそのユーザーの友だちにシェアできる機能を使って、グループを形成するという構想を描いています。

    顧客体験をLINEで横断的につなぎ、小売のDXを促進する ―LINE 比企氏・佐藤氏・藤平氏インタビュー
    LINE公式アカウントが発行するチケットを活用し、ユーザーへのシェアが行われていく流れ。左: 事業者のLINE公式アカウントと、アカウントを友だち追加している既存ユーザーとのやりとり。 中央: 既存ユーザーと、その友だちとのLINE上でのやりとり。 右: 既存ユーザーの友だちと、LINE公式アカウントのやりとり。[※インタビュー時にLINEにて図解された資料。]

    事業者のLINE公式アカウントが、友だちであるユーザーに対してシェアすることで双方にメリットがある、シェアターゲットピッカーというチケットを発行します。

    発行されたユーザーは、そのチケットを自分の友だちにシェアします。シェアされた友だちにはLINE公式アカウントの友だち追加画面が表示され、友だち追加すると、チケットを入手することができます。

    そして、もともとシェアをしたユーザーも、シェアした友だちがLINE公式アカウントを友だち追加することで、チケットを入手することができる、という仕組みです。

    顧客体験をLINEで横断的につなぎ、小売のDXを促進する ―LINE 比企氏・佐藤氏・藤平氏インタビュー
    シェアの流れで表示される画面。 上部: LINE公式アカウントの既存ユーザーの画面。 下部: 既存ユーザーの友だちの画面。[※インタビュー時にLINEにて図解された資料。]

    こうした「One to One」から「One to Group」へ、という仕組みをオフラインで行おうと思うとなかなか難しいのですが、LINE上であれば、ユーザーは数クリックするだけで行えるため広がっていくのでは、と考えています。

    このデモでは分かりやすくクーポン発行という形を取っていますが、ユーザーのオフラインの行動が、グループ内の他のユーザーにも影響を及ぼすようなグループ機能を構築できないか、と模索しています。

    デジタル接点は無理やり作ろうと思うと、ユーザーにとっては心地よくなくなってしまうというリスクがあるので、いかに各ユーザーが能動的になるかが重要なポイントだと思っています。

    小泉: 対象となるユーザーの間口が広いと、多くの人に受け入れられるということが大前提になってきますよね。技術目線で考えるとすごく便利だと感じる仕組みでも、誰もが良いと思うかは別だと思います。

    そうした意味で、LINEは今までも無理強いをしないコミュニケーションを推進してきたわけですから、うまく活用していこうということなのですね。

    ペインを強みに変え、デジタル接点をつくっていく

    小泉: また、セルフレジや、お会計は利用者が自分で行うセミセルフレジといった、キャッシュレスレーンはリアルな店舗でもかなり導入されてきた印象があります。

    今回のプロジェクトの「LINE API Use Case」サイトでも、スマホレジのデモを作られていましたが、レジをLINEの中で行うことで、どのような価値を生み出そうとしているのでしょうか。

    スマホレジのデモ画面。左: バーコードをスキャンすると、デモとして商品を認識する。 中央: クーポンがあれば、自動で適応されている。 左:「購入する」を押すと、決済画面へと遷移する。
    スマホレジのデモ画面。左: バーコードをスキャンすると、デモとして商品を認識する。 中央: クーポンがあれば、自動で適応されている。 左:「購入する」を押すと、決済画面へと遷移する。

    比企: 現状店舗で導入されているセルフレジは、レジの業務をデジタルによって置き換えているだけなので、デジタル接点が生まれているわけではないのが現状だと思います。

    そこを、手元のスマホで行うことにより、購買行為がデジタル接点になると考えています。

    今はレジ業務にフォーカスを当てていますが、そうした今までペインだった点が、実はデジタル接点になりうる、ということが、まだ発見されていないだけで、もっとあるのではないかと思っています。

    小泉: そうですね。例えば行列が出来ているお店で、「順番が来たら連絡するから名前と電話番号を書いてください」ということがよくありますが、お店にとっても作業が増えますし、お客にとっても個人情報を毎回書かなければならないので、ペインですよね。

    そうしたところにLINEを活用して、QRコードを読み込んでおけば、順番が近くなったら教えてくれる、という仕組みは今でもすぐに作れると思います。

    こうした素朴な場面においても、プライバシーを掘り下げて考えることによって、LINEの使い所はたくさんあるのではないか、と感じます。

    比企: おっしゃる通りです。特に個人情報に関しては、取れたとしてもデータ的にはあまり意味がありません。ですから顧客にも店舗にもメリットがあるような、行動に紐ついたデータを、ユーザーの許諾を得た上で活用することが重要です。

    今まではペインの解決をするという発想でしたが、ペインを強みに変えることが今後は必要だと思います。

    ユーザーや企業を横断的につなげていく

    小泉: それでは最後に、今後の展開や展望を教えてください。

    佐藤: まずは、今年から来年の頭にかけて、パートナー企業とLINEのそれぞれのソリューションや強みを活かした、事例やデモを発表していく準備をしていきます。

    また、LINE単体としては、弊社のサービスであるLINEチラシやLINEミニアプリといったサービスを、ご利用いただきやすい環境を整えていくと同時に、ユーザーがどういったタイミングでどのようにサービスを使うのかということを、企業に伝えていくことで、UXを組み立てるきっかけづくりをしていきます。

    今後の展望は、今までPOSレジや会員カードといった、バラバラな方法で収集してきたデータをつなげていくことで、ペルソナを超えた「One to One」を実現していきたいと思っています。

    そのために、各企業に対して、データの取扱や、サプライチェーンに対しての適切な取り組みのアドバイスなどを、ユーザー目線でお伝えしていく働きかけをしっかりとやっていきます。

    ユーザーが利用してくれることで、利用可能なデータが蓄積され、これらがサプライチェーンなども含めた売り場の改善や、店舗の運営に貢献できると考えています。今重要なのは、改めて顧客中心の体験を描いていくことです。

    ユーザーの横断的な体験を起点にし、企業の横断的なサービス展開ができる場の提供を行っていくことが、我々のビジョンであり、3つの「レス」の実現につながると考えています。

    小泉: これからの展開も楽しみにしています。本日は貴重なお話をありがとうございました。

  • 「大規模汎用言語モデル」の可能性と今後の展望 ーLINE 中川 潤氏 公演レポート

    「大規模汎用言語モデル」の可能性と今後の展望 ーLINE 中川 潤氏 公演レポート

    ・本記事は、IoTNEWSが主催するDX情報収集サービスDX勉強会において、LINE株式会社 AI事業企画室 中川 潤氏に、ご講演いただいた内容である。

    LINE株式会社では、「CLOSING THE DISTANCE」をミッションと掲げている。「CLOSING THE DISTANCE」とは、「世界中の人と人」、「人と情報・サービス」との距離を縮め、心地良い関係性を創出することである。

    そして、このミッションを実現するためのビジョンが「Life on LINE」だ。「LINEは、コミュニケーションアプリの枠を超えて、『LINE』が生活の全ての入り口となり、『LINE』を通じて、ユーザーの生活に必要なことが完結する存在を目指している」とLINE株式会社 AI事業企画室 中川 潤氏(以下、中川氏)は述べた。

    本記事では、LINEが掲げた「CLOSING THE DISTANCE」をもとに、取り組んできたAI技術を活用したプロダクトや事例について紹介する。

    LINEがAI技術の活用に取り組む背景

    2017年に発表したスマートスピーカーから、2019年に発表した「LINE AiCall」
    LINEでは、2017年にスマートスピーカーを発表し、2019年からはAI技術を事業展開している。

    LINEがAI技術を活用したプロダクトを手がけるようになったのは、2017年に発表したスマートスピーカーが大きなきっかけの1つである。

    スマートスピーカーを実現するためには、音声対話に必要な音声認識、音声合成、日本語の処理や対話を行うための自然言語処理などの技術が必要となる。2019年からは、そのAI技術を外部向けに展開する事業を開始している。

    中川氏は、「日本語を取り扱ったスマートスピーカーとしては、AlexaやGoogle Homeよりも早く市場に展開することができた」と述べた。

    3つの革新的要素技術

    LINEのAIカンパニーは、「音声認識、音声合成など自然言語処理を中心とした技術」、「画像認識、文字認識、顔認識などコンピュータービジョンを中心とした技術」などのAIテクノロジーを保有している。LINEは、これらコアとなる要素技術を軸にさまざまな取り組みを進めており、技術の基礎研究から要素技術を開発し、ソリューションやプロダクトをサービスとして提供している。

    LINEが注力する3つの要素技術「音声認識・合成」、「自然言語処理」、「OCR」
    LINEが注力する3つの要素技術「音声認識・合成」、「自然言語処理」、「OCR」

    LINEでは、様々な取り組みを行っているが、日本語での音声認識・合成、自然言語処理、そしてOCR、この3つを革新的な要素技術と定め、プロダクトやソリューションの開発・提供に注力している。

    この3つの要素技術に注力する理由について中川氏は、「音声認識・合成、自然言語処理、OCRがコミュニケーションに特化した技術であり、もともと『LINE』は、コミュニケーションアプリの提供から始まった会社であったことから、コミュニケーションに特化したこの3つの要素技術に注力すると定めた。この技術の開発が進むことで、ユーザーのコミュニケーションが円滑化し、便利な社会になると信じている」と述べた。

    AI-OCRプロダクト「CLOVA OCR」

    LINEが提供するAI-OCRプロダクトとして、

    • 定型文書を読み込む「Template OCR」
    • 読み取り結果を確認、修正する「CLOVA OCR Reader」
    • 画像内の文字をすべて抽出し、他のシステムと連携する「General OCR」

    を提供しており、いずれも斜め、影、しわなど、きれいに撮影されていない環境でも高い精度で文字を読み取ることができるのが特徴である。

    DX勉強会で中川氏は、LINEの 「CLOVA OCR」を活用し実際にシンプルなレシートを読み取っている様子を納めたデモンストレーション映像を披露した。デモンストレーション映像では、シワだらけのレシートやコーヒーで汚れたレシート、逆さまに置かれたレシートをLINEの 「CLOVA OCR」が読み取り、文字を項目ごとに意味づけして、正確に読み取ることができていた。

    「手書きの領収書・レシートを学習させ精度を上げるために使用したAIモデルは、特定のドメインのデータで訓練した特化型モデルと呼ばれるもので、他に身分証明書や、名刺、企業ごとにフォーマットが異なりテンプレートでは対応が難しい請求書などにも対応している」と中川氏は述べた。

    「CLOVA OCR」の導入事例

    中川氏は、LINEのAI-OCRを実際に導入している「株式会社電通国際情報サービス(以下、ISID)、「株式会社コンカー」、「国立国会図書館」での事例を紹介した。

    ISIDでは、企業向けの経費精算システムにレシート特化型の「CLOVA OCR」を組み込み提供しており、コンカーでは、請求書管理クラウドConcur Invoiceにおいて、請求書OCRと連携し、請求書処理に関する業務プロセスを効率化した。

    国立国会図書館では、古い書籍を含む大量の蔵書を、「CLOVA OCR」でデジタル化している。「CLOVA OCR」のベースアルゴリズムを利用しながら、昔の漢字やルビなどを含む読み取り難易度の高い要件に合わせたフルカスタマイズで対応している。

    プロダクト複合型ソリューション「LINE AiCall」

    LINEでは、プロダクト単体ではなくプロダクトを組み合わせソリューション化したサービスも提供している。その一つの例として、「LINE AiCall」が挙げられる。「LINE AiCall」とは、音声認識のプロダクト「CLOVA Speech」と音声合成のプロダクト「CLOVA Voice」および会話制御の仕組みを組み合わせた電話応対AIサービスだ。

    「LINE AiCall」は、コンタクトセンターを中心として展開しており、ユーザーからの電話の問い合わせに対して、オペレーターの代わりにAIが発話内容を理解して音声を通じて返答したり、予約受付や各種手続きを完了させることができるものである。

    飲食店における電話対応で圧倒的に多いのは、直前の予約や時間変更である。これらを「LINE AiCall」が肩代わりすることで、ホールスタッフは接客に集中することができる。

    中川氏は、「LINE AiCall」を導入する際に使用する操作画面について、実際の「LINE AiCall Console」と「会話キャンバス(β)」をもとに解説を行った。

    LINE AiCall Consoleは、「LINE AiCall」で使用する基本的な設定を行うための管理画面である。
    「LINE AiCall Console」は、「LINE AiCall」の基本的な設定を行うための管理画面である。

    「LINE AiCall Console(上の画像)」では、音声合成モデルの調整をはじめ、「LINE AiCall」を動かすための基本的な設定を行える。

    会話キャンバス
    「会話キャンバス」は、「LINE AiCall」のシナリオを設計するための管理画面である。

    シナリオ設計をする「会話キャンバス」(上の画像)では、音声認識結果から意図を汲み取った上で、適切な会話を成立させるための基本的なシナリオをGUIで視覚的に設定できる。

    「LINE AiCall」の導入事例

    中川氏は、「LINE AiCall」の導入事例として、ヤマト運輸、ピーター・ルーガー・ステーキハウス東京での取り組みを紹介した。

    導入事例:ヤマト運輸

    ヤマト運輸での事例
    ヤマト運輸では、2020年から「LINE AiCall」の導入に取り組んでいる。

    ヤマト運輸では、「LINE AiCall」事業をはじめた初期の頃からPoCを実施しており、2020年11月から企業向けの集荷依頼、一般の顧客向けの集荷依頼と段階を踏んで、「LINE AiCall」のAIオペレーターを活用しており、すでに多くの電話対応にAIを活用している。

    ヤマト運輸では、「LINE AiCall」で支援する電話対応だけでなく、WebやLINE公式アカウントを利用したアクセス方法も用意するとのことで、顧客の都合にあわせた顧客接点を充実させてゆく構想を持っている。「これは、人間がシステムにあわせるのではなく、システムが人間にあわせて寄り添うべきという、LINEのAIカンパニーがビジョンとして掲げる『ひとにやさしいAI』に近いコンセプトとなっており、今後も引き続き、ヤマト運輸様のチャレンジを支援していきたいと考えている」と中川氏は述べた。

    導入事例:ピーター・ルーガー・ステーキハウス東京

    ピーター・ルーガー・ステーキハウス東京では、「LINE AiCall」を導入したことで、スムーズな予約体験を提供できるようになった。

    今回の取り組みでは、TableCheckの予約システムに登録された、店舗のリアルタイム空席情報と「LINE AiCAll」を連携した。そのことにより、オーバーブッキングなどのトラブル回避や予約の取りこぼし防止などに効果が期待できる。

    さらに電話での予約完了後には、LINEのメッセージにて完了通知が届く仕組みを構築した。そのことにより、日時や人数を確認したい場合に再度電話をする必要がなくなる。

    大規模汎用言語モデル「HyperCLOVA」

    これまでのAI開発は、それぞれの業務要件に合わせて個別に最適化した比較的小さな規模のモデルを、その都度構築するアプローチが一般的であった。最適化することで性能は担保しやすいのだが、モデル構築を行う専門スキルを持った人材の確保が、ボトルネックとなっていた。

    そのような中、世界のAI研究開発に目を向けると、GPUの性能が向上し大規模なクラスタを比較的利用しやすくなってきたこともあり、自然言語処理において、OpenAIのGPT-3やGoogleのT5、Hugging Faceというような大規模汎用言語モデルを構築する動きが出てきている。

    そこで、LINEとNAVERの共同研究体制で進めているLINE CLOVAにおいても、700ペタ(10の15乗)フロップス(1秒間に行う浮動小数点数演算の回数)を超える大規模なGPUクラスタを確保し、日本語・韓国語での大規模汎用言語モデルを中心とした「ハイパースケールAI」の構築を開始している。それが、大規模汎用言語モデルの開発プロジェクト「HyperCLOVA」である。

    2020年のLINE DEVELOPER DAYにおいて、日本語での大規模汎用言語モデルに関する発表を行った。大規模汎用言語モデルにおいては、言葉同士の関連性を示すパラメータの数が非常に重要になるのだが、まずは日本語・韓国語において、それぞれ1.3ビリオンパラメータから徐々に規模を拡大し、現在は39ビリオンパラメータのモデル構築に成功している。

    しかし、学習データを集めたパラメータ数の多いモデルを構築すれば良いという話ではなく、技術的な課題をクリアしながら、少しずつ規模を拡大していく必要がある。中川氏は「比較的安定している39ビリオンパラメータのモデルで、応用の可能性を検討しているが、並行して複数の言語を扱う82ビリオンパラメータのモデル構築にチャレンジしており、2022年には204ビリオンパラメータの日本語モデルを構築する予定だ」と述べた。

    なお、学習用のコーパスは、外部提供を含めて汎用的に利用できるよう、権利関係に最大限の配慮をしながら整備を続けており、ユーザーがLINEで送受信するメッセージはもちろん、オープンチャットのトークルームの書き込みなどを含め、LINEのサービスに関するデータは一切利用していないとのことだ。

    「HyperCLOVA」の可能性

    LINEが「HyperCLOVA」の活用において、可能性を探っているのは

    • 要約
    • 文書生成
    • 対話

    などの分野である。

    AIを活用した、文書生成を行う画面
    「HyperClova Studio」 は、AIを活用した文書生成を行うための管理画面である。

    文書生成について同勉強会では、実際に動いている「HyperCLOVA」を利用したデモンストレーションの映像をもとに解説が行われた。デモンストレーション映像では、「HyperCLOVA」をGUIで操作できる「HyperCLOVA Studio(上の画像)」を用いて、商品の概要から説明文を生成させるタスクを行った。

    操作方法として、まず「HyperCLOVA」に作文させるためのお手本となるサンプルを人間が入力する。「このお手本の与え方次第で『HyperCLOVA』の出力が大きく変わるため、扱うには若干のコツが必要だ」と中川氏は述べた。

    サンプルを入力し実行すると、説明文が自動で生成される。「Temperature」や「Repetition penalty」などのパラメーターを調整することで、自動生成された説明文の表現を変更することができる。そのことにより、例えばECの領域で商品説明文を自動生成したり、パーソナライズされたメッセージを個別に作成するなどのユースケースが想定できる。

    中川氏は、「現在、入出力はどちらもテキストを前提としているが、画像や音声信号なども合わせたマルチモーダルな仕組みにもチャレンジしていく」と述べた。

    「HyperCLOVA」に残された課題

    中川氏は、「技術的な課題が多く残っており、これらを共に解決できるパートナー企業を増やしていきたいと考えている」と述べた。

    AIモデル構築
    「HyperCLOVA」で構築している言語モデルの全体図である。「学習」が大規模なAIモデルの構築を行う際に、課題となる。

    「HyperCLOVA」に残された課題として、モデル構築を挙げた。「大規模なモデルの構築には1〜2ヶ月ほど学習に時間がかかり、その学習時間の長さが難易度を高めている」と中川氏は述べた。

    ファインチューニングも困難であり、パラメータ数を増やしても性能が思ったより上がらなかったり、パラメータ数を増やしすぎると失敗する確率も高まるなどの課題が残されている。性能の向上を目指す場合、データの増量だけでは効果が出ず、データの質を高めていくことが重要となる。

    AIモデル構築
    「HyperCLOVA」で構築している言語モデルの全体図である。 「ファインチューニング」、「フィルタリング」が大規模なAIモデルの構築を行う際に、課題となる。

    「さらに、モデル構築を技術的に実現できたとして、実用化に向けても別の課題が存在する、その中でもAI倫理の対応が重要であると考えている。『HyperCLOVA』は、良くも悪くも賢いので、好き勝手にアウトプットしてしまう。その中には、公序良俗に反するものや宗教上の発言や思想的な部分などあらゆる観点で評価する必要があり、正しいアウトプットをするためのフィルタリングをどのように設定するのかが重要になる」と中川氏は述べた。

    「HyperCLOVA」の今後の展開

    LINEは今後の展開として、大学や研究機関と大規模汎用言語モデルを活用した共同研究を行い、更なる精度向上を目指していくとし、現在進行中のモデル構築を完了させ、外部公開の準備を進めている。

    「外部公開の準備と併せて、『CLOVA Chatbot』や『LINE AiCall』などにおける『HyperCLOVA』を活用したシナリオ作成の半自動化にも取り組んでいる。また、『HyperCLOVA』がうまく適用できない領域では、より小型な汎用言語モデルにも取り組んでいく」と中川氏は述べた。

    IoTNEWSが提供するDX情報収集サービス

    IoTNEWSでは、このような勉強会を含んだDX情報収集サービスを提供している。DXを行う上で必須となる、「トレンド情報の収集」と、「実戦ノウハウの習得」を支援するためのサービスである。

    本稿は勉強会のダイジェスト記事だが、実際の勉強会では、IoTやAIの現場を担当している有識者からさらに深い話を聞くことができ、直接質問する事ができる。勉強会以外にも、株式会社アールジーンのコンサルタントが作成するトレンドレポートの提供や、メールベースで気軽な相談が可能なDXホットラインを提供している。

    詳細は下記のリンクから確認してほしい。

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  • 自然言語処理の仕組みと活用ソリューション

    自然言語処理の仕組みと活用ソリューション

    自然言語処理は、日常の様々な場面で活用されている。例えば、スマートフォンやパソコンなどの予測変換だ。キーボードで打ち込んだ内容の自動変換や変換の提案をしてくれる機能である。

    本記事では、自然言語処理の仕組みやメリットを解説し、自然言語処理を活用したソリューションを紹介する。

    自然言語処理とは

    自然言語処理(Natural Language Processing)は、人間が日常で使う言葉(自然言語)をコンピュータ上にて処理を行う技術のことである。コンピュータ上で使用するプログラミング言語との大きな違いとして、プログラミング言語は、コンピュータプログラムを記述するための言語である。

    一方自然言語は、表現には大きな決まりがなく自由度が非常に高いが、解釈する側の柔軟性が必要となる。

    自然言語処理の仕組み

    自然言語処理では、「形態素解析」、「構文解析」、「意味解析」、「文脈解析」の4つの工程で、文章を処理する。

    形態素解析

    形態素解析は、文章を最小の単位(形態素)に分割した後、品詞などの情報を振り分ける作業である。例えば、「私は白い猫と犬を飼う」という文章の形態素解析を行う場合は、まず、最小の単位(形態素)に分割し、分割を行なった後に、品詞などの情報を振り分ける。

    分割を行い品詞の情報をつけた文が、「私(名詞)は(助詞)白い(形容詞)猫(名詞)と(助詞)犬(名詞)を(助詞)飼う(動詞)」である。ここまでが、形態素解析の処理である。

    構文解析

    構文解析とは、単語同士の関係を推測する処理だ。すでに形態素解析が行われている「私は白い猫と犬を飼う」に対し、構文解析を行うと以下のようになる。

    • 私は | 白い | 猫と犬 | を飼う
    • 私は | 白い猫 | と | 犬 | を飼う
    • 私は白い猫と | 犬を飼う

    構文解析を行うことにより、係り受けとなるいくつかのパターンを推測する。人がこの文章を読んだ場合は、正しいものを瞬時に理解できるが、コンピュータは理解できない。なぜなら、人は文章を読む作業と同時に意味解析も行っているからであり、コンピュータは意味解析を現時点では行っていないからである。

    意味解析

    意味解析とは、文章の意味を解析する処理である。自然言語で使用する単語には、複数の意味がある場合があり、一つ一つの意味と文章中に出てくる他の単語とのつながりから、適切な候補を探し最終的に正しいものに絞り込む処理を行う。

    ・私は | 白い | 猫と犬 | を飼う
    意味は、私は猫と犬を飼う。両方とも白色である。

    ・私は | 白い猫 | と | 犬 | を飼う
    意味は、私は猫と犬を飼う。猫は白色だが犬の毛色は不明である。

    ・私は白い猫と | 犬を飼う
    意味は、私と白い猫が犬を飼っている。猫は白色だが犬の毛色は不明である。

    文章の中には、複数の解釈が存在する場合があり、その中から正しい解釈を選ぶのに必要な処理が意味解析である。意味解析では、自然言語の中で出てくる言葉の意味をコンピュータに理解させる。

    文脈解析

    文脈解析とは、文章に対し「形態素解析」と「意味解析」を行った結果から文と文の関係性を解析する処理である。

    自然言語は「形態素解析」、「構文解析」、「意味解析」、「文脈解析」4つの処理を行うことで、機械言語へ変換され、データとして利用することが可能になる。

    自然言語処理活用ソリューションを導入するメリット

    近年、ネットショッピングなどが盛んになり、顧客とのやりとりをWEB上で行う機会も多くなっている。WEB上で行うメリットとして、より多くの顧客に対し製品のアピールができる。

    しかし、顧客とのやり取りをWEB上で行っていても、実際に対応するのは、人であることに変わりない。したがって、人員を教育し配置する必要がある。

    例えば、自然言語処理を活用したチャットボットを導入した場合は、顧客からの問い合わせや返品対応などを自動化することができ、人員を配置するために必要であった教育や人件費などのコストを削減できる。

    その他、AIによる対応のため問い合わせ内容などを見逃すといったミスもなくなり、企業としての信頼を保つことができる。

    自然言語処理活用ソリューションを導入するデメリット

    自然言語処理活用ソリューションのデメリットとしては、自然言語処理が全ての自然言語に対応できるわけではないということだ。例えば、専門用語や微妙な言い回しの違いなどである。対応できない専門用語を対応させるために、チューニングと呼ばれる調整を行う必要がある。

    自然言語処理活用ソリューション比較「チャットボット」

    自然言語処理を活用したソリューションの一つとして、チャットボットを紹介していく。

    チャットボットを導入することにより、顧客からの問い合わせ数の減少や24時間対応が可能になるため顧客満足度の向上、対応にかかる工数、人員の削減が行える。

    「チャットボット」の比較ポイント

    「チャットボット」には、各社様々な機能や仕様があるため、導入を検討する際には以下の事に注目する必要がある。

    • 使用目的
    • チャットボットと有人チャットとの切り替えが行えるか
    • チューニングのしやすさ
    • 無料トライアルの有無
    • 費用

    OfficeBot(ネオス)

    ネオス

    「オフィスのムダをなくす」というコンセプトのOfficeBotは、特にバックオフィスに特化したAIチャットボットで社内問合せ対応負担軽減などに活用できる。日立ハイテク、TEIJIN、NTT data、第一三共ヘルスケア、稲葉製作所、島村楽器などに導入されている。

    特徴

    従来のチャットボットであれば、FAQ登録後フローチャートなど様々な設定をする必要があるため、立ち上げに数週間〜数ヶ月かかっていた。しかし、「OfficeBot」の独自AIなら登録されたQAをもとに大量のシナリオを自動生成・拡張できるので、管理者の作業負担を約90%削減できる。

    そのため、スモールスタートですぐに始めることができ、運用しながら実践的FAQを順次拡張していくため、ユーザーが自己解決でき、問い合わせの大幅削減に繋がる。

    用途

    社内向け・社外向け

    対応言語

    日本語、英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語

    対応環境

    • LINE
    • Microsoft Teams/365
    • Slack
    • Google Workspace
    • WowTalk
    • SMART Message
    • Webブラウザ

    導入期間

    最短1ヶ月

    無料トライアル

    あり

    費用(税込)

    • 初期費用:50,000円〜
    • 月額費用:100,000円〜

    [su_button url=”https://stg-iotnews-stage.kinsta.cloud/202110_neoscorp” style=”flat” background=”#3a8feb” size=”10″ center=”yes” icon=”icon: file-pdf-o”]資料ダウンロード[/su_button]

    「COTOHA Chat & FAQ」(NTTコミュニケーションズ株式会社)

    引用:NTTコミュニケーションズ株式会社
    引用:NTTコミュニケーションズ株式会社

    「COTOHA Chat & FAQ」は、独自の意味検索技術で、顧客が入力した言葉の意味や文脈のニュアンスを理解し、適切な回答を行うチャットボットである。顧客の問い合わせを見える化する管理、分析機能を内蔵しており、収集した問い合わせデータをもとにAIが自動分析しFAQの編集に役立てるため、PDCAサイクルの実現につながる。
     
    さらに「COTOHA Chat & FAQ」では、複数種類のUIを用意しており、チャットボット意外にもFAQ検索ボックスや問い合わせフォームにFAQをレコメンドすることができる。

    「COTOHA Chat & FAQ」は、同社が作成した膨大なデータで学習済みのため、事前学習やチューニングの必要がなく、導入にかかる時間や手間を削減できる。

    特長

    「COTOHA Chat & FAQ」の特長は、以下の通りである。

    • LINEなどにチャットボットを設置できる。
    • 既存のWEBサイトにJavaScriptを追記するだけで利用できる。
    • 約25ヶ国語に対応している。
    • チャットボットの回答に画像や動画を利用できる。

    導入事例

    「COTOHA Chat & FAQ」をNTTコミュニケーションズに導入した事例として、同社では、WEBサイトのトップページにチャットボットを追加したところ、有人チャットによるチャット応対件数が約1/3に減少した。一方、問い合わせ件数は日曜祝日夜間の対応が可能になったことで、約4倍に増加した。

    費用

    利用料は月額195,000円~である。

    「CLOVA Chatbot」(LINE株式会社)

    引用:LINE株式会社
    引用:LINE株式会社

    LINE株式会社が提供する「CLOVA Chatbot」では、LINEサービスに加えてFacebook、自社Webサイト、社内チャットツールなどの様々なコミュニケーションツールと連携することができる。さらに、LINE Pay決済との連携機能もあり、チャットボット上でLINE Pay決済も利用できる。

    「CLOVA Chatbot」は、無料で利用開始できるサービスである。チャットボットの構築を自社で行う必要があるが、学習やチューニングの作業では、サポートを受けることができる。

    特長

    「CLOVA Chatbot」の特長は、以下の通りである。

    • 専門用語を必要としない管理画面
    • チャットボットと有人チャットを切り替えることができる。
    • 英語、韓国語、中国語など5ヶ国語に対応している。
    • LINEなどにチャットボットを設置できる。

    導入事例

    「CLOVA Chatbot」をLINEサービスに導入した事例として、同社ではLINEヘルプデスクと呼ばれるカスタマーサポートのアカウントを用意し、LINE利用者の課題や問題を解決する支援をしてきた。

    LINEヘルプデスクに「CLOVA Chatbot」を導入したことにより、24時間自動応対ができるようになり、顧客満足度の向上につながった。

    費用

    トライアルとして、月額0円〜利用できる。

    Trial Commercial Enterprise
    月額基本料 無料 ¥55,000- 要問い合わせ
    期限 3ヶ月まで 制限なし 制限なし
    チャット回数 1,000 上限なし(従量課金) 制限なし
    Q&A登録数 1,00 上限あり 制限なし

    「KARAKURI chatbot」(カラクリ株式会社)

    引用:カラクリ株式会社
    引用:カラクリ株式会社

    カラクリ株式会社では、「KARAKURI chatbot」を導入する顧客のビジネスモデルやカスタマーサポートのオペレーションに合わせて構築するため、現場に最適化したAIチャットボットを実現できる。

    「KARAKURI chatbot」は、顧客対応を行う現場の担当者が操作することを前提として開発されているため、プログラミングなどの知識がなくても操作、運用できるように設計されている。

    特長

    「KARAKURI chatbot」の特徴は以下の通りである。

    • 独自のUIで、直感的に操作できる。
    • LINEやSlackなどにもチャットボットを設置できる。
    • 質問内容の分析ができ、数値を可視化できる。
    • 顧客との会話がログに残るため、そのデータを活用し追加学習できる。
    • 共通の管理画面で使用できるFAQを自動生成する。
    • チャットボットのUI上で、顧客が手続きを行える。

    導入事例

    「KARAKURI chatbot」を採用支援ツールを提供している企業に導入した事例として、同企業では、これまで顧客対応を主に電話で行っており、当初4名で対応を行っていたが、次第に対応に追われるようになり、8名にまで増員した。

    「KARAKURI chatbot」を導入することにより、採用支援ツールの有料オプション問い合わせ数が7.5倍に、発注率は約3倍に増加し、8名に増えていた入電対応メンバーが4名に収束した。

    費用

    企業毎に見積もりを行うため、要お問い合わせ。

    「AI Messenger Chatbot」(株式会社AI Shift)

    引用:株式会社AI Shift
    引用:株式会社AI Shift

    株式会社AI Shiftでは、「AI Messenger Chatbot」を導入する前に、過去から現在までのメールなどの問い合わせデータを解析し、チャットボットで対応可能な領域を可視化し事前に確認でき、その情報をもとに、初期設計を行う。

    株式会社AI Shiftでは、チャットボットの回答精度を向上させるために、独自技術の「AI Compass」を活用することで、改善効果の高い箇所をAIが判定しチューニングを行える。

    「AI Compass」は、手動での対応が必要な問い合わせ内容の分析や回答の紐付けなどのチューニング作業をサポートする独自機能である。

    特長

    「AI Messenger Chatbot」の特徴は以下の通りである。

    • 導入前にチャットボットの効果を無償で確認できる。
    • チャットボットの回答に画像や動画を利用できる。
    • シナリオ型、FAQ型のハイブリットである。
    • LINEなどにチャットボットを設置できる。

    導入事例

    「AI Messenger Chatbot」を人材紹介を行っている企業に導入した事例として、同企業では、サービスの急拡大により問い合わせ数が急増し、応答率低下の懸念があった。有人対応のため、営業時間外の対応が難いという課題を抱えていた。

    同企業が「AI Messenger Chatbot」を選んだ理由として、メンテナンス性が高く、自社で運用が可能であることを挙げた。

    「AI Messenger Chatbot」を導入した結果、定型的な質問対応を行い、ユーザーの自己解決率の向上、問い合わせ数を削減でき、24時間対応が可能になったことにより利便性が向上した。

    費用

    要お問い合わせ。

    「sAI Chat」(株式会社サイシード)

    引用:株式会社サイシード
    引用:株式会社サイシード

    株式会社サイシードが提供する「sAI Chat」は、自社開発のAIエンジンを用いた自動応対と半自動の有人応対の切り替えが可能なチャットボットである。また、「sAI Chat」は、FAQの登録、学習データの作成から回答精度を高めるためのチューニングまで行った上で納品される。そのため、導入時に必要であった手間や費用を削減できる。

    その他「sAI Chat」では、チャットボットを設置するWEBページのイメージに合わせて色やアイコンなどUIをカスタマイズできる。

    特長

    「sAI Chat」の特長は以下の通りである。

    • チャットボットと有人チャットを柔軟に切り替えられる。
    • デザインをサイトのテイストに合わせて変更できる。
    • 顧客の問い合わせ入力時に、質問候補を表示できる。
    • LINEなどにチャットボットを設置できる。

    導入事例

    「sAI Chat」を飲料メーカーに導入した事例として、同企業のWEBサイトの商品ページにチャットボットを追加した。追加したチャットボットは、企業のサイトイメージに合うようにカスタマイズされている。また、検索ボックスでの自由記述とシナリオ形式の質問の両方で問い合わせを行えるようになっているため、顧客が問い合わせたいと感じた内容をスムーズに質問できる。

    費用

    株式会社サイシードでは、「Starterプラン」、「Standardプラン」、「DXプラン」が用意されている。費用については要お問い合わせ。

    自然言語処理活用ソリューション比較「テキストマイニング」

    「テキストマイニング」とは、大量のテキストデータから企業にとって有益な情報を抽出することだ。具体的には、文章を単語や文節で区切り、出現頻度や相関、傾向、時系列などを解析する。

    「テキストマイニング」の利用イメージは、以下の通りである。

    • アンケート調査を行ったデータの分析
    • 顧客からの問い合わせデータの分析
    • 社内の日報や議事録などの分析
    • SNSの書き込み情報の分析

    「テキストマイニング」の比較ポイント

    「テキストマイニング」の導入には、以下の事に注目する必要がある。

    • SNSへの対応
    • 注目すべきデータの自動抽出
    • 費用

    「Knowledge Probe 20」(株式会社FRONTEO)

    引用:株式会社FRONTEO
    引用:株式会社FRONTEO

    株式会社FRONTEOが提供する「Knowledge Probe 20」は、AI関連技術のLandscaping(ランドスケイピング)と行動情報科学を組み合わせ開発した、テキスト解析に特化したAIエンジンである「KIBIT G2」を搭載したビジネスデータ分析システムである。

    「Knowledge Probe 20」は、営業の日報や顧客からの問い合わせ、口コミ、SNSなどのコミュケーションにおけるテキストデータを分析し、顕在化していない予兆を検知する。導入時に、課題・目的に応じた教師データを設定することで、チャンスやリスクを仕分け・検出することができる。

    「Knowledge Probe 20」に搭載されている「KIBIT G2」は元々、起訴に必要となる証拠発見をサポートするために開発された技術である。起訴における証拠発見では、限られた時間の中で大量の資料の中から証拠となる文章を見つけ出す必要がある。そこで「KIBIT」は、「自然言語処理」と「機械学習」を活用することにより、法律の専門家の経験や勘に基づく「暗黙知」を習得し、大量のテキストデータから証拠の抽出を行えるようになった。

    特長

    「Knowledge Probe 20」の特長は以下の通りである。

    • 同社独自のアルゴリズムを実装しており、少ないテキストデータからでも求めるデータを抽出できる。
    • メールや報告書、日報などから、人間の意図する微妙なニュアンスの違いを見分けられる。
    • 導入前の課題整理から導入後の運用までのサポートが受けられる。
    • 文章中の重要度の高い箇所にハイライトで表示

    費用

    要お問い合わせ。

    「TRAINA テキストマイニング」(株式会社野村総合研究所)

    引用:株式会社野村総合研究所
    引用:株式会社野村総合研究所

    「TRAINA テキストマイニング」は、野村総合研究所が開発したテキストデータ分析システムであり、TRAINAシリーズのうちの一つである。

    TRAINAシリーズは、「TRAINA テキストマイニング」の他にFAQソリューションの「TRAINA FAQナレッジ」、音声認識の「TRAINA VOICEダイジェスト」のソリューションの総称である。

    TRAINAシリーズは組み合わせての使用や各々単独での導入も可能である。

    特長

    「TRAINA テキストマイニング」の特長は以下の通りである。

    • 文の意味を解析し感情解析ができる。
    • データの表示画面では、自動で注目すべきデータに色付けが施される。
    • ExcelやPowerPointなどへデータを出力できる。
    • 設定したキーワードが登場した時に、アラートする機能がある。
    • 掲示板サイトやTwitterの分析を行える。

    費用

    要お問い合わせ。

    「Text Voice」(マイボイスコム株式会社)

    引用:マイボイスコム株式会社
    引用:マイボイスコム株式会社

    マイボイスコムが提供する「Text Voice」は、予め辞書が内蔵されているため導入後すぐ使用できる。

    「Text Voice」は、クラウド上にテキストデータをアップロードするだけでテキストデータの分析を行い、キーワードの出現頻度と共に、どのキーワードが一緒に使われているのかを数値化し表示する。

    特長

    「Text Voice」の特長は以下の通りである。

    • 約3000文字のテキストデータを1分で分析できる。
    • 無料でトライアル利用ができる。
    • TwitterやInstagramの投稿内容やハッシュタグの分析が可能である。
    • 言葉の出現頻度、属性(性別、年代、購買頻度など)を数値化し比較分析できる。

    費用

    TextVoice TextVoice+SNSデータ取得オプション
    初期費用 20万円 20万円
    利用料/月 10万円 13万円

    「見える化エンジン」(株式会社プラスアルファ・コンサルティング)

    引用:株式会社プラスアルファ・コンサルティング
    引用:株式会社プラスアルファ・コンサルティング

    プラスアルファ・コンサルティングが提供する「見える化エンジン」では、テキストマイニング技術をベースとした40種類以上の機能があり、目的に合わせた分析が行える。

    「見える化エンジン」では、データ収集、分析、共有・改善の作業を自動化できるテキスト分析ツールである。別途オプションに加入する必要があるが、プラスアルファ・コンサルティングが保有する約1,602万人のモニターに対して簡易的なアンケートを行うことができる。

    特長

    「見える化エンジン」の特長は以下の通りである。

    • テキストデータから感情を分析できる。
    • TwitterやInstagramの投稿内容やハッシュタグの分析が可能である。
    • テキストデータのインポートを自動で行う。
    • キーワードの発生頻度や件数、定型文を数値化し表示する。
    • 導入に伴う支援を受けることができる。

    費用

    要お問い合わせ。

    「Magic Insight for WEX」(株式会社イーネットソリューションズ)

    引用:株式会社イーネットソリューションズ
    引用:株式会社イーネットソリューションズ

    株式会社イーネットソリューションズが提供する「Magic Insight for WEX」は、IBM Watson Explorerを月額で利用できるサービスであり、IBM Watson Explorerの活⽤に必要なクラウド環境、セキュリティサービス、24時間365日の運用・障害サポートを1つのパッケージにした製品である。

    IBM Watson Explorerとは、企業内のメール、文書、画像、動画、音声などの非構造化データを扱う統合プラットフォームである。

    特長

    「Magic Insight for WEX」の特長は以下の通りである。

    • テキストデータの中から相対的な傾向を分析できる。
    • 17ヶ国語に対応している。
    • 導入に伴う支援を受けることができる。
    • キーワードの発生頻度や件数、定型文を数値化し表示する。
    • Twitterの投稿内容やハッシュタグの分析が可能である。

    費用

    サービス名 容量 初期費用 月額費用
    高機能テキストマイニング
    ・HDD追加5GBごとに月額費用50,000円/初期費用50,000円
    5GB 25万円 25万円
  • LINEが描くMaaS普及拡大への構想と未来 −LINE 福田 真氏、比企 宏之氏インタビュー

    LINEが描くMaaS普及拡大への構想と未来 −LINE 福田 真氏、比企 宏之氏インタビュー

    インターネット上のコミュニケーション手段として定着しているLINE。そのLINEが、オフラインでの活動を広めている。

    今回、その中でもMaaSの取り組みが具体的になってきたということで、プロジェクトの内容や実例をベースに、LINEが考えるMaaS像やその先にある構想などを、LINE株式会社 マーケティングソリューションカンパニー 広告・法人事業本部 プラットフォーム事業開発室 ビジネスデザインチーム 福田 真氏と、Developer Product室 Technical Evangelismチーム マネージャー 比企 宏之氏にお話を伺った。(聞き手:IoT NEWS代表 小泉耕二)

    「オフライン領域のDX」を加速させる

    IoTNEWS 小泉耕二(以下、小泉): LINEのプラットフォームを活用してMaaSの実装をしていくということですが、まずはLINEが考えるMaaS像について教えてください。

    LINE 福田真氏(以下、福田): 私が所属しているチームでは、MaaSを「オフライン領域のDX」として位置付けています。

    もともとコミュニケーションアプリとしての「LINE」は、東日本大震災をきっかけに「身近な大切な人との関係性を深め、絆を強くするコミュニケーション手段」として生まれました。

    現在は「Life on LINE」というビジョンを掲げ、24時間365日生活のすべてを支えるライフインフラになることを目指しています。

    このビジョンの実現に向けて様々なサービスの設計を行う過程で、オフライン環境で発生するリアルな「移動」が欠かせない要素となってきました。

    また、昨今の少子高齢化や新型コロナウイルス感染症の影響により、観光客の減少や地域の衰退など、移動にまつわる社会課題がこれまで以上に顕在化しているという危機感を、取引先の方々との会話のなかで強く感じてきたことも大きかったです。

    LINEを活用した「身近なMaaS」の実現にチャレンジすることで、移動体験を含めた「オフラインのDX」を加速させようと、今回のプロジェクトを開始しました。

    LINE×クラウドで地域のMaaSを支援する

    小泉: 今回のプロジェクトにおいては、LINEの役割はどのようなものなのでしょうか。

    福田: 今回のプロジェクトを発表した際、「LINEが新たなMaaSのサービスを始めた」という印象を持たれた方もいらっしゃったかと思います。

    しかし、今回のプロジェクトの主役はあくまで地域の事業者や自治体であり、当社はLINEのプラットフォームとクラウドを掛け合わせ、皆様のMaaSの取り組みを支援していく、という役割です。

    MaaS領域で早くから日本マイクロソフト社との連携を進め、「Microsoft Azure」のパートナーの4社(Colorkrew、パーソルプロセス&テクノロジー、FIXER、MaaS Tech Japan)と共に、プロジェクトを推進しています。

    LINEが描くMaaS普及拡大への構想と未来 −LINE 福田 真氏、比企 宏之氏インタビュー
    LINEが取り組んでいるMaaSのプロジェクト。

    小泉: 実際に具体的な取り組みはスタートされているのでしょうか。

    福田: 先行事例として、長野県千曲市で地域のコンサルティング事業を行うふろしきやにて、ワーケーション体験会の中でLINEを活用した「温泉MaaS」の実証実験が行われました。

    千曲市は温泉街や美しい自然などの観光資源を持つ地域です。ワーケーションの体験会では、仕事をしながら息抜きに温泉に入ったり、美味しい物を食べたり、新たな学びがある、という取り組みです。

    体験会のなかでは移動する機会が多くある一方で、駐車場の確保が難しいという問題や、鉄道の本数に限りがあるなどの課題がありました。

    そこでLINE公式アカウントを活用してもらい、タクシーやレンタサイクルの予約、観光スポットの案内、チャットボットをベースとしたお問い合わせなどが一元的にできるシステムを構築いただきました。

    LINEが描くMaaS普及拡大への構想と未来 −LINE 福田 真氏、比企 宏之氏インタビュー
    「温泉MaaS」にてLINE公式アカウントを活用したサービスの概要図。LINE公式アカウントを基軸に様々なサービスが受けられる。

    導入者・利用者共に得られるメリット

    小泉: LINE公式アカウントを活用するメリットはなんでしょうか。

    LINE 比企宏之氏(以下、比企): 事業者側のメリットは、機能一つから実装することができ、実際にユーザーに利用してもらいながら変更や追加ができるという点です。

    利用者側のメリットは、アプリダウンロードをせずに利用できる点や、既にLINEを利用したことのあるユーザーであれば慣れ親しんだUIでスムーズに利用することができ、結果的にUXが向上すると考えています。

    UXとは、「ユーザー・エクスペリエンス」のはずです。しかし各事業者が独自のUIを作りすぎた結果、「ユニーク・エクスペリエンス」になっているのではないかと感じています。

    例えば、移動先・旅先に行って新たにアプリをインストールした場合、いつもと勝手の違う操作は使いづらく、自分の後ろに人が並んでいたりすると焦ってしまい、現地にいるのにサービスから離脱してしまう恐れがあります。

    本来のUXとは、「ユニバーサル・エクスペリエンス」だと考えています。つまり、誰にとっても分かりやすい体験である、ということです。

    特にオフラインの領域では、ユーザーが偶然サービスと接触する場合が多いので、いかにフリクションレスで学習コストがかからない体験であるかが大切です。

    このUX(ユニバーサル・エクスペリエンス)を強制するつもりはありませんが、事業者がユーザーのフリクションを少しでもなくすことができるよう、LINE APIを活用した様々なビジネスモデルにおけるユースケースと、クライアント事例を紹介している「LINE API Use Caseサイト」をリリースしています。

    オフラインDXのサービスや、UXを検討される方々にとって羅針盤のような存在になればと思います。

    「LINE API Use Caseサイト」に関する以前の記事はこちら。

    福田: 現在、様々な事業者や自治体によるMaaSの提供や実証実験が行われていますが、あくまでサービスアプリはバラバラで進んでいるケースが多いと感じます。

    今後、ユーザーの日々の暮らしを支える新たな移動サービスとして、いかに自然に提供していけるかが重要なテーマになってくると考えており、LINEが支援できるのはこの部分ではないかと強く感じています。

    導入しやすさを考えたデジタル技術の活用

    小泉: 温泉MaaSの実証実験では地域のタクシー配車ができるとのことですが、具体的にアプリでは何ができるのでしょうか。

    福田: アプリにて配車予約、予約完了時の通知、到着の案内を受けられるようになっています。

    LINEが描くMaaS普及拡大への構想と未来 −LINE 福田 真氏、比企 宏之氏インタビュー
    タクシー配車サービスのイメージ画面。

    小泉: そうすると地域のタクシー会社やドライバーとの連携も必要になってくると思うのですが、どのように進めたのでしょうか。

    福田: 今回地域のタクシー会社やドライバーとの連携がうまく進んでいる理由は、2つのポイントがあると思っています。

    1つ目に、地域の中で強いリーダーシップを発揮するプレイヤーが存在するということです。今回で言えば、ふろしきやがまとめ役となり、地域のタクシー会社を始め自治体や観光局など様々な関係者を巻き込み、理解を得ながら着実に取組みを進められています。

    2つ目に、良い意味で現場のオペレーションを一気に変えず、今回のシステムを導入されているということです。

    地域のタクシー会社には、Microsoft Azure上に構築した配車管理用のダッシュボードをご利用いただいています。ユーザーがLINE上で配車予約をすると、地域のタクシー会社のダッシュボード上に情報が連携されるようになっています。

    LINEが描くMaaS普及拡大への構想と未来 −LINE 福田 真氏、比企 宏之氏インタビュー
    利用者がタクシー配車をLINE上で予約してから、タクシーが配車されるまでの概要図。

    あとはオペレーターが、そのダッシュボードの情報をタクシードライバーへ共有し、タクシーが予約された時間に指定された場所へ向かう、といった流れです。

    つまり、現場にとっては従来通り電話で予約を受け付けるか、ダッシュボード上で予約情報を確認するか、という差だけになります。

    この取組みを通じて、「まずはできるところからチャレンジしてみる」ということがとても重要だと感じています。

    実際に、5月のワーケーション体験会のアンケート回答者のうち、温泉MaaSのチケット利用者の全てがタクシーを利用されました。利用者の方からは、「スムーズに利用できてよかった」と嬉しいお声もいただきました。

    こうした成功体験を重ねることで、事業者の方々がさらに次のステップへ進むモチベーションにも繋がります。

    様々な分野の「仲間」が使いやすいプラットフォーム

    小泉: デジタル技術を使えるポイントはたくさんあっても、運用する人の作業を変えないために、あえて全てを盛り込まなかったということですね。

    素晴らしい取り組みだと思いますが、さじ加減が非常に難しいと感じました。どのようにデジタル技術導入の加減を決められたのでしょうか。

    福田: やはり地域の実情を知るふろしきやと共に進めさせていただけたのが大きなポイントだと思います。今回は日本マイクロソフト社にも多くの支援をいただいていますが、MaaS領域においては当社単体で進めるのではなく、仲間を増やしながら進めていくべきだと考えています。

    比企: 私も「仲間を増やす」という点は非常に重要だと考えています。

    日本の場合、交通事業は国の公共事業として行っているというよりは、各地域の交通事業者によって成り立っています。

    ですから、単純にLINEのサービスを展開するのではなく、交通事業者を含めた地域の方々の協力が不可欠だと考えています。

    一方、各地域に合わせたサービスを一から構築するのは、コストや時間の整合性を考えると難しくなってきます。

    そこで今回の千曲市での取り組みでは、大量な先行投資を行わず、簡単に横展開できる仕組みを構築したことにより、地域の方にも開発側にも好評を得ています。

    小泉: シナリオメイキングがうまくいったという側面と、そのシナリオにLINEのプラットフォームがスムーズに乗ったという点がうまくいった秘訣ですね。

    LINEが考える「Beyond MaaS」の世界

    小泉: 今後の展望や構想について教えてください。

    比企: LINEが提供できる強みは、「移動×〇〇」というBeyond MaaSの世界で発揮されるものだと考えています。

    つまり、移動を全てLINEで行えるというものではなく、移動の周辺も含めた領域でLINEのプラットフォームをうまく活用してもらうというイメージです。

    このプロジェクトとは別の動きになりますが、すでに東急との取り組みで、LINEを活用したBeyond MaaSをイメージしやすい実例があるので紹介します。

    東急は、沿線にリテール、モビリティ、ライフライン、ホテル・エンタメといった独自経済圏を築かれていますが、オフラインでのデジタル接点の創出に課題を持たれていました。

    例えば、スーパーマーケットの東急ストアでは、以前からネイティブアプリを展開されていましたが、ユーザー数は7年間で約9万人と伸び悩んでいました。

    そこでLINE公式アカウントを開設いただいたところ、1年間で約20万人のユーザーに友だち登録をしてもらうことができました。

    現在は、TOKYU POINTやPASMOのデータなどの各事業データを連携させ、東急のID連携顧客基盤の構築に取り組まれています。

    これにより、東急は多岐に渡る顧客情報や行動履歴を一元に管理できるようになります。

    LINEが描くMaaS普及拡大への構想と未来 −LINE 福田 真氏、比企 宏之氏インタビュー
    東急との取り組みの概要図。

    このように、移動の先にある様々なサービスとの連携もLINE上に実装することで、オフラインのDXを推進していきたいという構想があります。

    福田: 今後は各地域の事業者様とともに、新たな事例をつくりあげる動きを進めます。

    また、検討を進めていただけるよう、当社からもBeyond MaaSの具体的なユースケースをどんどん発信していきたいです。

    具体的には、当社のLINE API Use Caseサイト上で、「新しい移動体験を、LINEで」というデモを公開しています。

    そして7月には、「駅すぱあと」を展開するヴァル研究所と共同で「イベント×MaaS」のユースケースデモも公開しました。

    「イベント×MaaS」のデモアプリは、花火大会の座席の予約、決済、会場までの経路検索、最寄駅から会場までのデマンドバスの配車予約といった一連の流れを、LINE公式アカウントにて一気通貫で行えるものになっています。スマートフォンで操作できるので、是非試していただきたいです。

    LINEが描くMaaS普及拡大への構想と未来 −LINE 福田 真氏、比企 宏之氏インタビュー
    花火大会の座席の予約、決済、会場までの経路検索、最寄駅から会場までのデマンドバスの配車予約といった一連の流れを表した概要。

    また、これから「移動×〇〇」を実現しようとしている各事業者の方々が、システム開発を行う際にどのようなシステム構成で行えば良いのかを含めて、オープンに情報公開しています。様々な事業者がMaaSを検討する際に活用いただければ幸いです。

    現在はリテールとMaaSを掛け合わせたOMOのデモも準備を進めています。様々な分野の仲間と共に事例を増やし、Beyond MaaSの世界をつくりあげていきたいと考えています。

    小泉: 本日は貴重なお話をありがとうございました。