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  • IBM、公開情報とナレッジを元に提案の切り口を自動生成する「プッシュ型営業支援AIエージェント」を自社導入

    IBM、公開情報とナレッジを元に提案の切り口を自動生成する「プッシュ型営業支援AIエージェント」を自社導入

    IBMは、自社の営業活動において「プッシュ型営業支援AIエージェント」を導入し、営業プロセスの変革を実践していると発表した。

    これは、同社のAI活用プラットフォーム「IBM Consulting Advantage(ICA)」を基盤とした取り組みである。

    このAIエージェントは、顧客企業の公開情報(中期経営計画、IR資料、プレスリリース、業界ニュースなど)を自動で収集・分析し、営業担当者がそのまま提案に使える「具体的な示唆」を提示するものだ。

    また、公開情報の収集だけでなく、「生成AI変革のために重要な8つの観点」といったIBMが保有するナレッジと照らし合わせることで、「この企業はAI倫理への言及が不足している」「このテーマは競合他社より注力度が高い」といった分析を行う。

    さらに、AIエージェントは対象企業単体の分析にとどまらず、競合企業の中期経営計画や業界動向との比較分析も可能だ。

    業界全体あるいは特定の競合ではどのAI関連テーマが重視されているか、いつからその傾向が現れたのかなどを可視化する。

    なお、IBM社内では、既に入社3〜4年目の若手社員を中心に活用が進んでいるとのことだ。

    これにより、AIの専門知識が十分でなくとも、エージェントが提示する分析結果を基に仮説を構築でき、初回の商談から的確な提案を行えるようになったのだという。

    これまで経験の蓄積が必要だった「仮説構築力」をAIが補完することで、若手の戦力化スピードを加速させる狙いだ。

    実際に、AIエージェントが提示した観点から立てた仮説が、顧客の関心と合致し提案につながった事例も生まれているとのことだ。

    さらに、ベテラン営業担当者にとっても、担当する多数の顧客企業の動向を網羅的に把握することは困難であったが、AIによる他社比較やトレンド分析を活用することで、対話の質を維持しながらカバー範囲を広げることが可能となった。

    同取り組みの背景にあるのは、人がタスクを判断してツールを使うのではなく、AIエージェントが自律的にタスクを決定・実行し、人がそれを監督する「AIファースト」への転換である。

    IBMでは現在、このシステムを製造・流通業チーム中心に展開しているが、今後は金融など他業界チームへ拡大する予定だ。

    さらに機能面でも、現在の「案件発掘支援」に加え、提案書作成や契約交渉の支援など、営業プロセス全体をカバーする形への拡張を計画しているのだという。

  • IBM、データ・レイクハウス「watsonx.data」を軸に非構造化データ活用の進化を推進、AI回答精度40%向上へ

    IBM、データ・レイクハウス「watsonx.data」を軸に非構造化データ活用の進化を推進、AI回答精度40%向上へ

    IBMは、AIから重要な非構造化データへの接続に対する新たなソリューションを発表した。

    このソリューションでは、データ・レイクハウス「watsonx.data」を補完する「watsonx.data integration」と「watsonx.data intelligence」により、企業向け生成AIの基盤となるデータ・ファブリックの実現を目指す。

    通常、メール、PDF、プレゼン資料、動画といった企業データの多くを占める非構造化データは、その複雑性と規模から、AIによる利活用が困難であることが課題であった。

    そこで今回発表された「watsonx.data integration」には、AI対応データ提供を実現するための中央統合コントロールプレーンが導入されている。

    これにより、データ・エンジニアは、ローコード、コード・ファースト、エージェント型ツールを横断して、多様な開発スタイルでのデータ処理が可能になる。

    また、「watsonx.data intelligence」は、AIによってハイブリッド環境におけるデータ提供を簡素化し、データ・ガバナンス、品質、データの来歴、共有を統合する。

    これにより、企業が意味のあるデータを効率的に発見・活用することを支援する。

    これらの新製品は、それぞれスタンドアロン製品として米国時間の6月11日より提供される他、IBMのオープンでハイブリッドなデータ・レイクハウスである「watsonx.data」を通じても機能の一部が利用できるとのことだ。

    なお、IBMの社内検証では、「watsonx.data」を用いたAIが、従来のRAGと比較して最大40%高い回答精度を実現する可能性が示されたのだという。

    すでに、IBMの顧客であるロッキード・マーティン社は「watsonx.data」を活用し、7万人のエンジニア、科学者、技術者が数百万もの文書から自然言語で回答や情報を取得できるようにしている。

    今後IBMは、DataStax社の買収に伴い、オープンソースのApache Cassandraを基盤としたNoSQLおよびベクトル・データベース機能を提供するAstra DBおよびHyper-Converged Databaseを「watsonx.data」へ統合するほか、新たなAI分析エージェント「watsonx BI」の提供も今年の6月から開始する予定だ。

    加えて、Meta社のLlama StackにおけるAPIプロバイダとして「watsonx」を追加するなど、オープン性を保ちながらスケーラブルな生成AIの展開を支援していく計画だ。

    すでに「watsonx.data」のMilvusデータベースはLlama Stackフレームワークの一部となっており、今回の統合により、構造化・非構造化データのより高度な管理やエージェント型の情報取得が実現されるとのことだ。

    さらにIBMは、領域特化型の事前構築済みエージェント「watsonx Orchestrate」のエージェント・ビルダ、およびAIエージェントのガバナンス機能などのエンタープライズ向けの新しいAIエージェントツール群を発表した。

    このツール群と現在のデータ基盤と組み合わせることで、AIエージェントを大規模に展開するためのデータとツールを提供するとしている。

  • BoxとIBM、非構造化データからインサイトを得てコンテンツ生成と生産性向上をサポートするAIモデルを提供

    BoxとIBM、非構造化データからインサイトを得てコンテンツ生成と生産性向上をサポートするAIモデルを提供

    企業内に存在するデータの大部分は、契約書、スプレッドシート、プレゼンテーション資料などの非構造化データであり、これらはAIにとって価値の宝庫である一方、機密性が高く取り扱いに注意が必要となる。

    特に規制の厳しい業界においては、これらのデータへのAIアクセスに対する信頼性の高い技術と、セキュリティおよびコンプライアンスへの準拠が不可欠だ。

    こうした中、BoxとIBMは、IBMのエンタープライズAIプラットフォーム「watsonx」とBoxのAI機能「Box AI」を連携させ、契約書や報告書といった非構造化データからインサイトを得るコンテンツ主導型ワークフローにおけるAI導入支援を加速すると発表した。

    具体的には、IBMのエンタープライズAIスタジオ「watsonx.ai」を通じて、オープンソースであるIBMの「Granite」モデルやMetaの最新「Llama」モデルなど、多様な大規模言語モデル(以下、LLM)を「Box AI」で利用できるようになる。

    これにより、企業はデータ抽出、自動文書処理、コンテンツ分析といったAIを活用したユースケースに対応し、ビジネスプロセスの自動化やコンテンツ管理にAI機能を組み込むことが可能となる。

    特筆すべきは、Box自身がAIモデルのライフサイクル管理において、IBMの「watsonx.governance」を社内で採用し、AI利用におけるリスク管理やコンプライアンス遵守、AIのライフサイクルに対処している点だ。

    また、Kubernetesベースのハイブリッドクラウドアプリケーションプラットフォームである「Red Hat OpenShift」の利用も継続し、クラウド環境全体でのスケーラブルなAIアプリケーションの開発・導入を推進する。

    IBMもまた、「Box AI」と「IBM watsonx」の連携ソリューションを自社の業務に導入し、従業員の生産性向上を図るとともに、パートナーがどのようにwatsonxを自社のソリューションに組み込み、IBMのテクノロジーを顧客に提供しているかを従業員に体験させているという。

    Boxの共同創業者兼CEOであるアーロン・レヴィ氏は、「AIは、インターネットの誕生に匹敵するような、まったく新しいインパクトを企業にもたらしている。BoxはIBMとのパートナーシップを深化することで、企業がAIを安全に、責任を持って、大規模に活用できるように支援する」と述べている。

    また、IBMのソフトウェア担当シニア・バイス・プレジデント兼チーフ・コマーシャル・オフィサーを務めるロブ・トーマス氏は、「企業は、チームがデータ主導で迅速な意思決定を行えるような、目的に特化したAIソリューションを求めている。Boxとのパートナーシップにより、企業はAIを主要なプロセスにシームレスに統合することができ、生産性の向上と業務の変革を支援することができる」とコメントしている。

    なお、この「Box AI」と「IBM watsonx」を組み合わせたソリューションは、「Box AI Studio」および「Box AI API」を通じて、「Box Enterprise Advanced」の顧客向けに既に提供が開始されている。

    また、IBMはBoxの認定リセラーであるため、IBMを通じて「Box AI」対応のBox製品を購入した顧客も、watsonxのモデルを利用可能だ。

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    付加価値生産性を知ってますか?「生産性向上」の真の意味と、2つの視点・成功事例から学ぶ稼ぐ力

  • IBM、自社データで構築したAIエージェントを多様な環境・アプリ・データ間で統合する機能などを発表

    IBM、自社データで構築したAIエージェントを多様な環境・アプリ・データ間で統合する機能などを発表

    IBMは、同社の年次イベント「Think」において、企業が自社データを活用してAIエージェントを構築・展開できるようにする、新たなハイブリッド・テクノロジー群を発表した。

    その一つが、AIエージェントの構築および連携を支援する「watsonx Orchestrate」のエージェント・ビルダー機能だ。

    この機能は、AIエージェントの構築にノーコードからプロコードまで対応するほか、様々なフレームワークで構築されたエージェントを容易に統合・カスタマイズ・デプロイできるツールを提供する。

    これにより、最短5分で独自のエージェント構築が可能になるという。

    なお、このエージェント・ビルダー機能は2025年6月に提供が開始される予定だ。

    また、人事、営業、調達といった特定領域向けに加え、Web調査や計算などの汎用的なタスクを実行する事前構築済みエージェントも提供する。

    すでに、HRエージェントは提供開始済みで、営業および調達向けエージェントは2025年6月に提供開始予定だ。

    そして、こうしたエージェントは、Adobe、AWS、Microsoft、Oracle、Salesforce(Agentforce)、ServiceNow、Workdayなど、80以上の主要エンタープライズ・アプリケーションとを統合することができる。

    さらに、「watsonx Orchestrate」には、2025年6月に提供予定の「Agent Catalog」が導入され、IBMおよびBox、MasterCard、Oracle、Salesforce、ServiceNow、Symplistic.ai、11xといったパートナーエコシステムが提供する150以上のエージェントや事前構築済みツールへのアクセスが簡素化される。

    二つ目が、ハイブリッドクラウド環境全体にわたる統合管理を効率化する「webMethods Hybrid Integration」だ。

    これにより、企業が自社で持っているオンプレミスなシステムや、複数のクラウドサービスを組み合わせた環境全体の統合が可能だ。

    Forrester ConsultingによるTotal Economic Impact調査では、「webMethods Hybrid Integration」の統合機能を導入した複合組織において、3年間でROI176%達成、ダウンタイム40%削減、複雑なプロジェクトにおける33%の時間短縮、単純なプロジェクトにおける67%の時間短縮といった結果が出ている。

    三つ目が、非構造化データをAIが活用できる形にアクティブ化する「watsonx.data」だ。様々な非構造データを扱えるオープンなデータレイクハウスと、データの出所を明らかにするデータリネージュ追跡やガバナンスといったデータファブリック機能を統合することで、部門間、フォーマット間、クラウド間でデータを統合・管理・アクティブ化できる。

    これにより、企業はAIアプリケーションやAIエージェントを非構造化データに接続することが可能となり、IBMの社内テストでは、従来のRAGと比較してAIの精度が40%向上することが示されている。

    さらに、フォーマットやパイプラインを横断してデータをオーケストレーションする単一インターフェースツール「watsonx.data integration」と、AIを活用して非構造化データから深い洞察を抽出する「watsonx.data intelligence」も発表。これらはスタンドアロン製品として提供されるが、一部の機能は「watsonx.data」を通じて利用可能となる。

    四つ目が、大規模AI活用のためのインフラ環境「IBM LinuxONE 5」だ。

    これは、データ、アプリケーション、AI向けのLinuxプラットフォームであり、IBM社内テストの結果、1日あたり最大4,500億件のAI推論処理を実行できるとしている。

    IBMのTelum IIオンチップAIプロセッサやIBM Spyreアクセラレータを搭載することで、トランザクションワークロードや生成AI、高負荷AIアプリケーションを実現する。

    セキュリティに関しては、顧客データ保護のための機密コンテナと、IBMの耐量子暗号テクノロジーとの統合により、量子コンピューティング時代を見据えたサイバーセキュリティ攻撃への対策を強化している。

    IBM会長兼CEOのアービンド・クリシュナ氏は、今回発表されたハイブリッド・テクノロジー群の提供に関して「AIの実験時代は終わり、目に見えるビジネス成果を促進する、目的に特化したAIの統合が競争上の優位性を生む。IBMは、複雑さを解消し、本番環境でのAI導入を加速するハイブリッド・テクノロジーを企業に提供する」とコメントしている。

  • IBM、光パッケージング技術CPOのための新プロセスを生み出し消費電力1/5を実現

    IBM、光パッケージング技術CPOのための新プロセスを生み出し消費電力1/5を実現

    多くのデータセンターでは、外部通信ネットワーク用にデータを高速で伝送する光ファイバー技術を使用しているが、データセンターのラック間の通信は一般的に、ほぼ銅の電気配線によって行われている。

    電気配線は、GPUアクセラレータに接続されるものの、GPUアクセラレータは半分以上の時間においてアイドル状態であり、大規模な分散学習プロセス時には他のデバイスからの信号を待つため、膨大な費用とエネルギーを消費する。

    こうした中、IBMは、光パッケージング技術であるCo-Packaged Optics(以下、CPO)のための新しいプロセスを生み出し、データセンター内の既存の近距離電気配線を補完する光技術の導入を可能にした。

    今回、IBMの研究者は、光通信の速度と容量をデータセンター内に持ち込む方法を実証した。技術論文では、高速光通信を可能にする新しいCPOプロトタイプ・モジュールが紹介されている。この技術は、データセンター内の通信の帯域幅を拡大し、GPUのアイドリング・タイムを最小化しながら、AIの処理能力を向上させる可能性がある。

    これにより、データセンター内のケーブルの長さは1mから数百メートルに延伸する一方、中距離通信に使われる電気配線と比較して消費電力は1/5以下になる。

    また、開発者は、従来の電気配線と比較して最大5倍高速に大規模言語モデル(以下、LLM)を学習できるほか、1つのAIモデルの学習ごとに、米国の5,000世帯の年間消費電力に相当する電力を節電することができるとのことだ。

    IBMシニア・バイス・プレジデントでIBM Researchディレクターのダリオ・ギル氏は、「生成AIはより多くの電力と処理能力を要求するため、データセンターは進化する必要があ理、CPOは将来のデータセンターの在り方を提示するものだ。データセンターの外部通信には光ファイバーが使用されていたが、このブレークスルーにより、今後はチップ間でも同様の通信が可能になる。」と述べている。

  • ベル・データ、生成AIと統合OS「IBM i」を連携させるサービスを発表

    ベル・データ、生成AIと統合OS「IBM i」を連携させるサービスを発表

    BELLグループのベル・データ株式会社は、生成AIと「IBM i」を連携させるサービス「生成AI連携サービス for i(フォーアイ)」のリリースを発表した。

    「生成AI連携サービス for i」は、IBM Power上で稼働するオペレーティングシステムである「IBM i」と、Microsoftの生成AI環境を連携し、運用担当者向けの技術支援機能や、データ抽出及び生成機能などを提供するサービスだ。

    サービスの特徴としては、チャットテンプレートを提供し、サービス加入者には順次新しいテンプレートを提供するほか、オプションとして「IBM i」以外の顧客環境との連携も可能であり、テンプレートの切り替えによって社内規程などのドキュメントの呼び出しなども実現できる点だ。

    ベル・データ、生成AIと「IBM i」を連携させるサービスを発表
    「生成AI for IBM i」の活用環境イメージ

    現在、ベル・データはパイロットユーザとして数社の企業に対して同サービスの導入を進めており、今後は導入企業の環境に合わせたコマンド生成が可能となるよう、チューニングモデルの提供を目指し、研究開発を推進していくとしている。

  • IBM、ESPNのファンタジー・フットボール・プラットフォームにAIによるインサイトを導入

    IBM、ESPNのファンタジー・フットボール・プラットフォームにAIによるインサイトを導入

    IBMとESPNは、IBMのAIおよびデータ・プラットフォーム「watsonx」の生成AIテクノロジーを搭載した、ESPNファンタジー・アプリの機能強化を発表した。

    この機能強化は、アメリカのスポーツ専門チャンネルを展開するESPNが提供するフットボールアプリのユーザーに、よりカスタマイズされたデジタル体験を提供するために設計されたものだ。

    この背景には、IBMが委託し、Morning Consult社が実施した新たな調査から、ファンタジー・フットボール・ユーザはロースターと全体的なファンタジー・フットボール体験の向上に対して、AIを採用する傾向が強まっていることが示唆され、機能を強化するに至ったのだという。

    今回、ウェイバー・グレードとトレード・グレード機能内の「Top Contributing Factors(上位貢献要因)」の利用が可能になり、割り当てられた選手のグレードに関する、より詳細な理由を提供することができるようになった。この情報は箇条書きで表示され、IBMの大規模言語モデルのGraniteによって生成される。

    グレード自体は各チームにパーソナライズされ、IBM watsonxで構築されたAIモデルによって、選手のパフォーマンス、フットボールの専門家によって書かれた記事、各ファンタジー・オーナーのロースターの特定のニーズなど、大量かつ複雑なデータを考慮して作成される。

    ファンタジー・フットボール参加者にとっては、各チームのニーズに基づき、パーソナライズされた選手グレードの確認ができる他、AIが作成した選手グレードの透明性のある説明や、各選手の潜在的なアップサイドとダウンサイドの予測を確認することができる。

    なおIBMは、「これらの新しく更新された機能は、IBM watsonxを搭載したTrade Analyzer with IBM watsonxやPlayer Insights with IBM watsonxなどを含む、IBM watsonxシリーズを強化するものだ。」としている。

  • IBM、脅威検知・対応サービスに生成AI機能「Cybersecurity Assistant」を追加

    IBM、脅威検知・対応サービスに生成AI機能「Cybersecurity Assistant」を追加

    IBMは、同社のコンサルティング部門であるIBM Consultingのアナリストが、顧客のセキュリティ運用を高度化・効率化するために利用するマネージド脅威検知・対応サービス「IBM Consulting Advantage」に、生成AI機能「Cybersecurity Assistant」を導入することを発表した。

    「Cybersecurity Assistant」は、IBMのデータとAIのプラットフォームであるwatsonx上に構築されており、重要なセキュリティー脅威の特定、調査、対応を迅速化し、改善できるように設計されている生成AI機能だ。

    また、「Cybersecurity Assistant」は、分析されたアクティビティーの履歴パターンと事前に設定された信頼レベルに基づいてアクションを自動推奨するため、顧客の応答時間の短縮や、攻撃者の滞留時間の短縮に役立つとしている。

    会話機能に関しては、チケットのオープンや要約などのリクエストに対応するだけでなく、クエリの実行、ログの取得、コマンドの説明、脅威インテリジェンスの強化といった関連アクションを自動的にトリガーすることができる。

    IBMの脅威検知・対応サービスは、アラートの85%までを自動的にエスカレーションまたはクローズすることができるが、今回、既存のAIおよび自動化機能を新しい生成AIテクノロジーと組み合わせることで、IBMのグローバル・セキュリティー・アナリストは、対応が必要な残りのアラートの調査を迅速化することが可能となった。具体的には、この新機能により、アラートの調査時間を48%短縮することができたのだという。

    なお「Cybersecurity Assistant」は、IBM Consultingの脅威検知・対応プラクティスに含まれるほか、AIサービス・プラットフォームである「IBM Consulting Advantage」の一部となる。

    また、「Cybersecurity Assistant」は、IBM Researchと共同で開発されたもので、IBMの基盤モデル「Granite」上に構築し、IBM watsonx.ai内で本番用に改良され、会話型チャット・インターフェースにはIBM watsonx Assistantを利用しているとのことだ。

    IBM Consultingのサイバーセキュリティー・サービス担当グローバル・マネージング・パートナーであるマーク・ヒューズ氏は、「サイバー・インシデントが即時的な危機から多次元的で数カ月に及ぶイベントへと進化するにつれ、セキュリティ・チームは、攻撃の数があまりにも多く、防御するための十分な時間や人材が不足しているという永続的な課題に直面している。

    今回生成AIによってIBMの脅威検知・対応サービスを強化することで、セキュリティ・アナリストの手作業による調査や運用タスクを削減し、重要な脅威に対してよりプロアクティブかつ的確に対応できるようになり、お客様の全体的なセキュリティー態勢の改善に貢献する。」と述べている。

  • NIST、IBMが開発したアルゴリズムを耐量子計算機暗号標準に採用

    NIST、IBMが開発したアルゴリズムを耐量子計算機暗号標準に採用

    米国商務省の国立標準技術研究所(以下、NIST)は、量子技術の不正利用によるサイバー攻撃から暗号化データを保護するための耐量子計算機暗号標準に、新しいアルゴリズムを公開した。この新たなアルゴリズムは、IBMが開発した2つのアルゴリズムが含まれている。

    この耐量子計算機暗号標準には、3つの耐量子計算機暗号アルゴリズムが含まれており、「ML-KEM」と「ML-DSA」の2つは、IBMの研究者が業界および学術界のパートナーと協力して開発したものだ。

    公開された3つ目のアルゴリズム「SLH-DSA」 は、その後IBMに入社した研究者によって共同開発されたものだ。さらに、IBMが開発した4つ目のアルゴリズム「FN-DSA」 が、将来の標準化に向けて選出されている。

    NISTは、「FN-DSA」 を4番目の公式標準として公開するために評価を継続する一方、耐量子暗号アルゴリズムのツール・キットを多様化するための追加アルゴリズムの特定と評価を続けているとしている。

    また、追加アルゴリズムの中には、IBMの研究者によって開発された他のいくつかのアルゴリズムが含まれており、IBMの暗号研究者はこれらのツールの拡張を率先して行っているとのことだ。

    なおこれには、新たに提出された3つのデジタル署名スキームが含まれ、これらのスキームはすでにNISTの検討対象として受諾され、初期評価中だ。

    IBMは、「NISTが新たに公開した標準は、パブリック・ネットワーク上で交換されるデータの保護、および認証のためのデジタル署名を目的に設計されている。今回正式に承認されたこの標準は、世界中の政府や業界が耐量子サイバー・セキュリティー戦略を採用し始める上での青写真となる。」としている。

  • 理研とIBM、次世代量子システムをスーパーコンピュータ「富岳」に連携

    理研とIBM、次世代量子システムをスーパーコンピュータ「富岳」に連携

    IBMは、IBMの次世代量子アーキテクチャおよび量子プロセッサを、神戸市の理研計算科学研究センタに導入し、専有利用権を提供する計画について、理化学研究所(以下、理研)と合意したことを発表した。

    なおこの合意は、経済産業省傘下の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がファンディングする「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の「量子・スパコンの統合利用技術の開発」プロジェクトにおいて締結されたもので、理研は同プロジェクトの実施において、IBM Quantum System Twoを専有利用する。

    このプロジェクトでは、理研と共同提案者のソフトバンク株式会社、理研の共同実施者の東京大学、大阪大学が、量子コンピュータとスパコンを連携するためのシステムソフトウェア、プラットフォームを構築し、ポスト5G時代で提供されるサービスとして展開する技術としての有効性を実証する。

    また、同プロジェクトとは別に、IBMは、量子コンピュータとスーパーコンピュータの統合コンピューティング環境でのワークフロー実行のため、ミドルウェアや最適な量子回路を生成・実行するソフトウェアの開発を行う予定だ。

    IBMは、今回の合意に基づき導入し「富岳」と連携する「IBM Quantum System Two」には、「量子を中心としたスーパーコンピューティング」という次世代の量子コンピューティング・アーキテクチャの導入を計画している。

    これは、極低温インフラストラクチャやモジュール式の量子ビット制御機器、クラシック・サーバ、システムソフトウェアを組み合わせ、従来型のHPCサービスと並列する形で量子コンピューティング・サービスを提供するものだ。

    「IBM Quantum System Two」には、新しい商用量子プロセッサ・シリーズの第1号となる、133量子ビットのIBM Quantum Heronプロセッサが搭載される予定だ。IBM Quantum Heronプロセッサは、IBM Quantumプロセッサの中でエラー率が最も低く、これまで最も高性能であったIBM Eagleプロセッサと比較して5倍の性能向上を実現したプロセッサで、現在はクラウド上で利用が可能とのことだ。

    計算科学研究センター量子 HPC 連携プラットフォーム部門 部門長の佐藤三久博士氏は、「HPC(High Performance Computing)の観点から見ると、量子コンピュータは、従来スパコンで実行されてきた科学アプリケーションを高速化し、スパコンではまだ解くことのできない計算を可能にする装置だ。理研の科学の総合力と富岳をはじめとする最先端のスパコン開発及び運用の経験を生かして、量子・HPC 連携コンピューティングのためのシステムソフトウェアの開発に取り組んでいく。」と述べている。

    また、IBMフェロー兼IBM Quantumバイス・プレジデントのジェイ・ガンベッタ氏は、「この取り組みにより、従来型のコンピューティング・リソースを使用して、量子計算と量子通信を組み合わせるモジュール式で柔軟なアーキテクチャーの推進に向けて業界を前進させ、両方のパラダイムが連携してますます複雑化する問題を解決できるようにする。」とコメントしている。