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  • ドコモ・NTT・エリクソン、6G時代の最適な通信品質を目指しデジタルツイン上で通信性能を可視化する実証に成功

    ドコモ・NTT・エリクソン、6G時代の最適な通信品質を目指しデジタルツイン上で通信性能を可視化する実証に成功

    株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、日本電信電話株式会社(以下、NTT)、エリクソンは、実在する都市をデジタルツイン技術を用いて再現し、仮想空間上で通信速度などの評価を行う実証実験(以下、デジタルトライアル)を実施し、さまざまなシーンに応じて通信性能をリアルタイムに評価・可視化することに成功したと発表した。

    デジタルトライアルは、6G時代に想定される膨大なデータニーズに対応すべく、最適な通信品質を目指し取り組みを進めるもので、エリクソンが開発するデジタルツイン技術を用い、実在する都市をデジタルツイン上で再現して行う取り組みだ。

    具体的には、6Gの実証実験で使用する実際の基地局の一部を用いて、信号の送信処理と受信処理をリアルタイムに行いつつ、デジタルツインで再現された仮想空間上の都市における基地局と携帯端末間の電波伝搬チャネルをリアルタイムに計算し、送信信号から受信信号を生成する。

    これにより、6Gの実装置と仮想空間を組み合わせた通信性能評価が可能となるというものだ。

    仮想空間上には、建物や道路のデータベースなどを用いて都市を再現し、都市内にいる携帯端末を持ったアバターを動かすことで、実際(現実空間)の場所で検証を行うことなく、仮想空間上でリアルタイムに無線性能の評価・可視化をすることができる。

    今回は、エリクソンの本社があるスウェーデンの街並みを仮想空間上に再現し、通信速度を測定することで、デジタルトライアルにおけるデジタルツイン技術の有効性を確認した。

    ドコモ・NTT・エリクソン、6G時代の最適な通信品質を目指しデジタルツイン上で通信性能を可視化する実証に成功
    デジタルトライアルの概要図

    現在ドコモは、2022年6月から国内外の主要ベンダーや海外オペレーター全7社と6Gの実現に向けた新たな無線技術の創出をめざし、6Gのさまざまな周波数帯を想定した実証実験を実施しており、今後もさらにパートナーを拡大し、さまざまな取り組みを推進するとしている。

    なお、今回の実証実験の成果の一部は、2024年11月25日から29日に開催される「NTT R&D FORUM 2024 ―IOWN INTEGRAL」で展示予定だ。

  • Network API、CSP、6G、通信のトレンドを網羅していたエリクソン ーMWCバルセロナ2024レポート1

    Network API、CSP、6G、通信のトレンドを網羅していたエリクソン ーMWCバルセロナ2024レポート1

    5Gと6Gの谷間である時期だが、MWC Barcelona 2024(以下MWC24)はほぼ完全復活に近い状況になっていた。

    来場者数は過去最高だった2019年の107,000人には及ばなかったものの、205の国と地域から10万人を超える来場者となった。出展社やスポンサー、パートナーは2700社を超え、会場内に空いたスペースは殆ど見当たらず、通路も人で溢れていた。

    MWC24の注目テーマだが、まずは誰もが予測しているAIだ。

    AIはあらゆるブースで関連展示があり、CES2024以上にAIが中心だった。

    一方、MWC24に行ったことで見えてきたテーマもある。その1つがNetwork APIだ。

    特にエリクソンブースではNetwork API関連の展示が多く、それらを軸に、6Gに向けた取組みと併せて紹介する。

    IPやアプリと通信ネットワークをつなぐNetwork API

    まずNetwork APIについて簡単に説明する。

    Network APIはアプリケーション側からネットワークに対してネットワークサービスの利用を要求することや通信品質を要求することができるインターフェースだ。

    ユーザーが持つ端末やクラウドにあるアプリケーションや機能が必要とするネットワーク側にあるサービスや品質をアプリケーション側から利用することや、通信品質の要求・確認をすることができる。

    Networkのセキュリティは守られていることはもちろん、他のサービス利用者に対する影響は与えないようになっている。

    サーバやクラウドストレージとつながるNetwork API
    サーバやクラウドストレージとつながるNetwork API

    ブースではエリクソンが2022年に買収したVonageを活用したソリューションが複数展示されていた。

    VonageはUnified Communications as a Service (UCaaS) 、Contact Center as a Service (CCaaS)、Communications Platform as a Service (CPaaS)を提供していて、CPaaSにコミュニケーションAPI(Network APIの一部)が包含されていてSMSやVoIPなどを簡単に開発・連携ができる。

    IP電話と一般的な電話が接続できることや、SMSを利用した二段階認証などは、まさにコミュニケーションAPIによって実現できている機能だ。

    Sim Countと用途(広告や災害時活用)の紹介
    Sim Countと用途(広告や災害時活用)の紹介

    Vonageの活用事例の中で、コミュニケーションAPIとは少し視点が異なるNetwork APIのユースケースが紹介されていた。

    特定のエリアにおけるSIMの数をカウントできるAPIを使うと、その場にどのくらいの人がいるかがリアルタイムで推察ができるという。

    特定のロケーションのメディア価値評価や、SIMの密度に応じた広告の出し分けなどの活用や火災などの災害時に要救助者がそのエリアにどの程度いるか、という初動の確認にも活用できる仕組みだ。

    5Gの価値を拡張する産業向けのNetwork API活用

    産業向けのユースケースの多くは、提供したい機能便益が明確であり、ベストエフォート型ではサービス品質が担保できないシーンや用途だ。

    ソニー製のスポーツ中継配信用のカメラが直接ネットワークに対して必要な通信速度を要求し、その速度をネットワーク側が担保し、映像のアップロードを行うというユースケースが紹介されていた。

    つまり、5G SAのネットワークスライシングをアプリケーション側や端末側からダイナミックに要求することが可能となる。

    もちろん確保されている帯域の上限を超えることはできないが、事前に接続するカメラの数や、優先条件などを決めておくことで、多くの人が来場して混雑しているスタジアムでも撮影映像を5Gネットワークで遅延や品質劣化なくサーバーやテレビ局へ届けることができる。

    産業別Network API活用:映像のアップロード
    産業別Network API活用:映像のアップロード

    モビリティのユースケースも紹介されていた。

    トヨタなどが中心となって立ち上げたコネクテッドカーの基盤整備を推進する業界横断事業体AECCが定義するConnected Vehicle APIだ。

    コネクテッドカーは安全性や車内の快適性を向上させていくために様々な通信サービスを利用する。

    車内エンターテイメントを快適に楽しむためのQoSも望まれるが、それ以上に事故などを未然に防ぐ安全のための通信は絶対に品質を保持しなくてはならない。

    産業別Network API活用:モビリティにおける多様な用途への対応
    産業別Network API活用:モビリティにおける多様な用途への対応

    また、さらなる安全性の向上や、緊急車両との連携のためにも交通インフラとの接続なども求められるため、APIの定義、標準化が必要となる。そのために「CAMARA – The Telco Global API Alliance」と連携し標準化を進めていくという。

    ※CAMARAは2022年にLinux FoundationとMWCの主催団体であるGSMAが立ち上げた異なるオペレーターやアプリケーション提供者間であっても、通信とアプリケーションがスムーズに連携可能となるAPIの標準化を推進するオープンソースプロジェクト

    コンシューマー向けスマホアプリでのNetwork API活用

    Network API活用事例としてのバーチャルスタジアム
    Network API活用事例としてのバーチャルスタジアム

    コンシューマー向けの事例として身近なスマホアプリでNetwork APIを活用したユースケースもあった。

    特定のアイスホッケーチームのファンに向けたアプリで、多くの人が同時にバーチャルスタジアムで快適なリアルタイム多視点映像を楽しめるようになっている。

    課題となるのは配信の際の映像品質だ。そこで、E2Eの5G SAの公開用Network APIを活用することで、アプリ側から最適な通信品質を要求することができるという。

    またアプリにはファンとのエンゲージメントを向上させるためのゲーミフィケーションも組み込まれていた。

    アプリ内のアクションで貯めたポイントで選手カードを獲得してコレクションしていく仕組みだ。バーチャルスタジアムで没入し、ゲーミフィケーションでファンの沼にハマっていく、というまさにImmersiveなコンセプトが感じられるものだ。

    ファンのエンゲージメントをゲーミフィケーションで実現するアプリ「LIF ZONE」
    ファンのエンゲージメントをゲーミフィケーションで実現するアプリ「LIF ZONE」

    通信ビジネスは通信サービスビジネスに進化

    Network API以外で、MWC24で目立ったキーワードがCSPだ。

    CSPはCommunication Service Providerのことで、日本語に直訳すると通信サービスプロバイダー(CSP)だ。

    これまでCSPは通信事業者やインターネットサービスプロバイダー、テレビ局などのメディア事業者などがメインだったが、Network APIの存在と拡がりで、インターネットサービス提供者をはじめ様々な企業が通信ネットワークを活用したサービスを提供できるようになる。

    つまり、誰もがCSPになり得る時代となっていく。

    CSPの収益拡張のためのUCaaS
    CSPの収益拡張のためのUCaaS

    CSPの収益拡大のためのUCaaS活用も展示されていた。

    背景にあるのは、ビジネス上でも多くのツールが利用されていて、Chatツールやビデオ会議アプリケーションだけでも複数存在するような実態だ。

    セキュリティ面でも使い勝手の面でも、多様なツールの使い分けを利用者に任せ続けることは望ましくない。このような課題をサービスの統合などで解決し、使い勝手も安全面もクリアしていくことがUCaaSのビジネスチャンスとなる。

    Network API活用の拡がりは、UCaaSなどのソリューションサービスを提供するCSPを増やしていくことになるだろう。

    ※UCaaSとは、Unified Communications as a Serviceの略で、企業が業務上必要とするすべてのコミュニケーションを一つのソリューションに統合し、管理や運営、APIなどを統合するサービス。

    センチメートル波に注目が集まる6G

    最後に6Gの現状だが、エリクソンブースでは6Gの実験環境の一部を持ち込んでいて、現時点の6G端末も展示されていた。

    現状の6G端末はテスト用のものだが、小型のスクーターより大きいサイズだ。今後開発と進化が進み、2030年頃、6G商用化に向けてどんどん小さくなっていくことになる。

    6Gテストベッド端末Zeus
    6Gテストベッド端末Zeus

    6Gのテストベッドでは7~15GHzのセンチメートル波を使って通信をしていた。

    5Gで注目されたミリ波帯は実用面での課題が解決できておらず、今後も当面は特性に合わせた使い方に限定されるだろう。

    そこで汎用的な用途で期待されているのがミリ波より低い帯域のセンチメートル波だ。この帯域の中であればある程度の広い帯域の確保ができる見込みで、例えば1.6GHz程度を確保することで、10Gbpsの速度が出るということだ。

    対応する帯域が記載されたZeus 6G Testbed
    対応する帯域が記載されたZeus 6G Testbed

    6Gに期待されるのは速度や低遅延、目的に最適化するフレキシビリティなど多くの要素があるが、もう1つ注目したい領域が電力効率の向上だ。

    エリクソンブースでは、5Gの新型アンテナや基地局設備でも電力効率の向上がアピールされていたが、6Gではネットワーク全体でのエネルギー効率化が求められている。

    6GのコーナーではFuture AIはエネルギー効率の活用が必須であるというメッセージもあり、通信ネットワークはもちろんだがAIそのもののエネルギー効率化にも今後注目が集まりそうだ。

  • ソフトバンクとエリクソン・ジャパン、基地局外部制御による5Gネットワーク最適化に成功

    ソフトバンクとエリクソン・ジャパン、基地局外部制御による5Gネットワーク最適化に成功

    スタジアムや主要駅など、多くの人々が集まる場所では、「バーストトラフィック」と呼ばれる突発的なトラフィック需要が発生しやすい。

    このような状況では、従来の無線装置に組み込まれている各種機能を用いた内部制御だけでなく、大きく広いエリアを対象としたトラフィック制御が求められる。また、従来の方式では、トラフィックの変動を検知するまでに時間がかかるという問題があった。

    こうした中、ソフトバンク株式会社とエリクソン・ジャパン株式会社は、ノンスタンドアローン方式の5Gネットワークの商用環境で、基地局外部の制御装置でネットワークのパフォーマンスデータを1分間隔で取得し、その情報を基にトラフィックを制御する「高速自動最適化機能」の実証に成功した。

    これまでに実施した概念検証では、トラフィックの変動検知から最適化までの一連の自動制御を、5分以内で実施できることを確認している。これは、従来の無線装置に組み込まれる内部制御ではなく、外部から制御を行う次世代ネットワークの実現に向けた事例の一つだ。

    高速自動最適化機能を構築するために、ソフトバンクとエリクソン・ジャパンは、基地局外部の制御装置でパフォーマンスデータを1分間隔で取得し、複数の周波数・基地局を含めたパフォーマンス改善のための最適化策を自動的に判断することで、該当の基地局に対して無線パラメータの自動制御を行う。

    これにより、大規模なトラフィック変動を伴う制御において効果を発揮する。

    ソフトバンクとエリクソン・ジャパン、基地局外部制御による5Gネットワーク最適化に成功
    高速自動最適化機能のイメージ

    2023年9月には、スポーツの試合が行われたスタジアムの商用ネットワーク環境で概念検証を実施し、3時間程度の評価時間で29回の無線パラメータの自動制御を完全自動化の閉ループで実行した。その結果、5G NSAにおけるユーザー体感速度が下りで約53%、上りで約10%改善した。

    また、2023年11月には音楽イベントが開催されたドーム球場や都内主要駅でも評価を行い、異なるトラフィックのパターンにおいても高速自動最適化機能が有効であることが確認された。

    今後ソフトバンクは、高速自動最適化機能の適用エリアを拡大し、全国のスタジアムやイベント会場などで活用する予定だ。

    さらに、スタンドアローン方式の5Gネットワークのユースケースにも拡張し、4Gと5Gで「パケ止まり」のない、より快適なモバイルネットワークの提供を目指す。

    将来的には、外部システムとの連携や、AIと機械学習を利用したRICの導入に加え、従来のネットワークとの協調を考慮した次世代ネットワークの構築につなげていくとしている。

  • エリクソン、ローカル5G商用局を用いた相互接続試験の成功を発表

    エリクソン、ローカル5G商用局を用いた相互接続試験の成功を発表

    エリクソン・ジャパンは本日、赤坂インターシティコンフェレンスにて、「エリクソン・フォーラム2023-根本的変化をもたらすテクノロジーとサービスに備える」を開催し、エリクソンプライベート5G装置を使った実証実験の成功を発表した。

    エリクソン・ジャパンは、2023年6月に免許を取得した、一般業務用のローカル5G無線局である、エリクソンプライベート5G装置を利用し、実証実験を進めている。

    エリクソンプライベート5Gは、単一サーバーのデュアルモードコアを介して、4Gおよび5Gのコネクティビティを提供するプライベートネットワークソリューションだ。

    10月には、コニカミノルタ株式会社と協力し、同社の画像技術と最新のIoT・AI技術である「FORXAI(フォーサイ)」を搭載した低遅延カメラ「FORXAI Experience Kit Low Latency」をエリクソンプライベート5Gに接続し、LTEでは実現しなかった4Kの画像を59ミリ秒の画像伝送遅延時間で配信する実証実験に成功した。

    また、株式会社ミエルカ防災およびZebra Technologiesと協力し、エリクソンプライベート5Gを介して、公衆網やインターネット経由の速報より迅速に緊急地震速報を配信することに成功した。

    ミエルカ防災のサービスは、気象庁の緊急地震速報と、同社が設置した地震計の両方からの情報を利用し、直下地震も本震が来る前に情報を提供するものだ。

    なお、エリクソン・フォーラム2023の展示コーナーでは、仙台オフィスと中継を結び、エリクソンプライベート5Gを介したコニカミノルタの低遅延カメラの映像配信の様子が紹介されたほか、エリクソンプライベート5Gと接続するアンテナなどの周辺機器も展示された。

  • NTTドコモとNTT、国内外の主要ベンダと6Gの実証実験の協力体制を拡大

    NTTドコモとNTT、国内外の主要ベンダと6Gの実証実験の協力体制を拡大

    第6世代移動通信方式(以下、6G)のサービス提供に向けては、5Gで利用されている周波数帯に加えて、6GHzを超えるミリ波帯やサブテラヘルツ波帯(※)などの新たな周波数帯を含めた、広帯域にわたる周波数帯を有効活用するための技術など、多くの移動通信技術を検証する必要がある。

    これまで株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)と日本電信電話株式会社(以下、NTT)は、2022年6月から主要ベンダーである富士通株式会社、日本電気株式会社(以下、NEC)、Nokiaの3社と、新たな無線通信技術やAI技術の活用に焦点を当てて、実証実験を行ってきた。

    このほどドコモNTTは、主要ベンダー3社と行っている6Gに関する実証実験の協力体制をさらに拡大し、新たにEricsson、Keysight Technologies, Inc.(以下、キーサイト・テクノロジー)の2社と6Gの様々な周波数帯を想定した実証実験を2023年3月~2026年3月まで協力して行っていくことで合意した。

    今回合意したEricssonとは、6~15GHz帯における6Gミッドバンドに適した周波数利用効率改善やマルチバンド広帯域化を実現する無線インターフェースの実証実験と、100GHz帯におけるサブテラヘルツ波帯での超高速データ伝送を実現する新無線インターフェースの実証実験を行う予定としている。

    また、キーサイト・テクノロジーとは、サブテラヘルツ波帯を用いた超広帯域通信に向けた、屋内外環境における電波伝搬特性の測定実験を行う予定だ。利用周波数帯としては92~300GHz帯を想定している。

    ※ サブテラヘルツ波帯:90~300GHzであり、5G Evolution向けに想定されている周波数帯よりもさらに高い周波数帯。ミリ波と比較して直進性がさらに高く、障害物による遮蔽に弱い性質を持つ。

  • KDDI、5Gコアネットワークにおけるスタンドアローン構成の実装に向けた実証実験を実施

    KDDI、5Gコアネットワークにおけるスタンドアローン構成の実装に向けた実証実験を実施

    5Gでのスタンドアローン構成の実用化に向けて、KDDI株式会社は、通信機器ベンダーのシスコシステムズ合同会社、エリクソン・ジャパン株式会社、ノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社とそれぞれ協力して、5Gコアネットワークにおけるスタンドアローン構成の実装に向けた実証実験を各社と実施した。

    5Gのスタンドアローン構成は、5Gの無線技術に5G専用に開発したコアネットワーク設備を組み合わせるシステムで、4Gのコアネットワークを利用する5Gのノンスタンドアローン構成とは異なり、5G技術のみでエンドツーエンドの通信が可能となるシステムだ。

    また、ネットワークスライシング技術やモバイル・エッジ・コンピューティング技術と組み合わせることで、「超高速」「多数同時接続」「低遅延」といった5Gの特長を最大限に引き出し、顧客の要望に沿った多様なネットワーク特性をもつ柔軟な通信サービスの提供が可能になる。例えば、4K/8Kといった高精細映像の高速データ伝送や産業機械の遠隔操作、交通分野における自動運転など、さまざまな分野で5Gならではの特性を生かした活用が期待されている。

    ネットワークスライシング技術とは、ネットワークを論理的に分割してリソースを確保することで多様な通信要件に応える技術のことで、モバイル・エッジ・コンピューティング技術とは、地理的に近い拠点にあるコンピュータリソースを使ったアプリケーション処理を行うことで、遅延時間を低減する技術のことである。

    今回の実証実験では、5Gのスタンドアローン構成により、コアネットワーク側で用いるクラウドネイティブ・アプリケーションやオーケストレーションなど、各ベンダーが開発したソフトウェアを用いて5Gコアネットワークの評価を行い、ネットワークスライシングなど5Gで本格的に実現する機能の動作検証を行い、成功した。

    クラウドネイティブ・アプリケーションとは、従来の仮想化と比較してクラウド上で動作することに最適化されたアプリケーションで、オーケストレーションとはコアネットワーク内の機能を統合的に操作することを目的とした技術のことだ。

    同実証実験の他、5Gスタンドアローン構成で安定した通信環境を確保するため、CI/CDパイプラインを導入し、ソフトウェアのリリース工程短縮の実証にも取り組んだ。CI/CDパイプラインは、Continuous Integration/Continuous Deliveryの略で、アプリケーション開発の手法であり、アプリケーションの開発・テスト・展開といった一連の工程を自動的に行うことで、ソフトウェアのリリース期間短縮や新機能の迅速な展開を実現する。

  • KDDI、AI活用でモバイルネットワークを最適化

    KDDI、AI活用でモバイルネットワークを最適化

    スループットなどの通信品質は、エリア環境や利用形態によって常に変動することから、通信品質の維持・向上のためには、基地局でのトラフィックデータの収集・分析を行い、周波数が効率的に活用できているかなどを定期的に確認、調整することが不可欠となっている。

    そこで、KDDI株式会社は、エリクソン・ジャパン株式会社と共同で、AIを活用したネットワーク最適化の手法を開発し、全国のau基地局の運用に導入する。

    基地局の運用にAIを活用したネットワーク最適化の手法を導入すると、AIが自律的に各基地局から収集したデータをもとに最適なパラメーターの提案を行い、それに基づいた調整が可能となる。これにより、これまで膨大な時間と工数をかけていたネットワーク全体のデータ収集・分析と各種パラメーターの策定が短縮することができ、基地局ごとに個別調整が容易となるため、さらなる通信品質の向上を図ることができる。

  • KDDIがエリクソンと共同開発、5Gコアネットワークを活用した「ネットワークスライスのオンデマンド構築技術」と「ゼロタッチ認証技術」

    KDDIがエリクソンと共同開発、5Gコアネットワークを活用した「ネットワークスライスのオンデマンド構築技術」と「ゼロタッチ認証技術」

    KDDI株式会社は、エリクソン・ジャパン株式会社と共同で、次世代移動通信システム「5G」の本格化に向け、5Gコアネットワークの機能を活用した、大容量、低遅延など顧客の利用用途に応じてネットワークを動的に変更できる「ネットワークスライスのオンデマンド構築技術」と、容易にアプリケーションの認証が可能となる「ゼロタッチ認証技術」を開発した。

    • 利用シーンに応じたネットワークスライスのオンデマンド構築
      5Gコアネットワークのキーテクノロジーとして、ネットワークスライシング機能が挙げられる。ネットワークスライシング機能は、多様なユースケースそれぞれの要求条件に合わせた個別のネットワークを効率的に構築することが可能になる。また、従来の仮想化技術(※1)では提供に係るリードタイムが課題になると考えられている。

      今回、アプリケーション起動の高速性やハードウェアの効率的な利用などに優れたコンテナ技術を導入することで、顧客自身の操作に応じてオンデマンドにネットワークスライシングの提供が可能となる。

    • 5GコアネットワークのAPI(※2)を用いた安全で簡単なゼロタッチ認証
      顧客がアプリケーションを利用する際、確実なユーザー認証を行うため、IDとパスワードの組み合わせにSMS認証(※3)などを加えて安全性を確保する方法が広く用いられているが、顧客の操作が増えることから、ユーザビリティや煩雑性が課題となっている。

      今回、5Gコアネットワークが備える機能をAPIにより外部公開する仕組みを介して、アプリケーションとサービスプロバイダー間の認証について安全性を確保しつつ自動化する仕組みを開発した。これにより従来と比較し、顧客の手を煩わすことなく、簡単にアプリケーションの利用が可能となることが期待される。

    ※1 従来のハードウェアとして実装されたネットワーク機器のハードウェアとソフトウェアを分離し、仮想的なハードウェア上でネットワーク機器を動作させる技術
    ※2 ハードウェアやソフトウェアが持つ機能を、他のアプリケーションなどで利用するための仕組み
    ※3 アプリケーション利用時に、SMSで通知された認証コードを入力することで認証する方法

  • NTTドコモ・AGC・エリクソン、28GHz帯対応のガラスアンテナで5G通信に成功

    NTTドコモ・AGC・エリクソン、28GHz帯対応のガラスアンテナで5G通信に成功

    株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)、AGC株式会社とエリクソン・ジャパン株式会社(以下、エリクソン)は、自動車や鉄道などの車室内や建物内での安定した第5世代移動通信方式(以下、5G)による高速通信実現に向けて、28GHz帯の電波送受信が可能な「ガラス一体型5Gアンテナ」での5G通信の実証実験を、東京都墨田区周辺の市街地で2019年4月22日から5月28日まで行った。

    28GHz帯の周波数は、これまで第4世代移動通信方式(以下、LTE)などで利用していた周波数帯よりも直進性が強く、車室や建物内で通信する際には電波が弱まる傾向がある。そこで、同実証実験では、時速約30kmで走行中の実験用車両の窓ガラスに同アンテナを貼り付け、車内での5G通信速度を検証した。

    NTTドコモ・AGC・エリクソン、28GHz帯対応のガラスアンテナで5G通信に成功

    同実証実験の結果、400MHzの帯域幅で下り最大3.8Gbps、基地局から半径約100mのエリアで、平均1.3Gbpsの5G通信に成功し、同アンテナで電波を送受信することで、安定した5G高速通信が可能になることが分かった。

    また、同アンテナは小型かつ薄型の透明ガラスアンテナで、建物や車両などに設置しても視野をさえぎらず、また景観を損なうことがないため、車両や建物などへの設置の可能性が広がるという特長もある。

    今後も3社は、同アンテナを複数束ねてデータの送受信を行うMassive MIMO対応によるさらなる通信速度の向上とともに、基地局の設置が困難な場所や一時的な5Gの需要があるような環境で、同アンテナの活用による5Gのエリア拡充や用途の拡大などの取り組みを進める。

  • エリクソンによるスムーズかつ急速に進む5Gシフト ーMWC2019バルセロナレポート5

    エリクソンによるスムーズかつ急速に進む5Gシフト ーMWC2019バルセロナレポート5

    昨年は、5Gの多様なユースケースを中心に展示していたエリクソンのブース。今年はLTEがメインストリームとなっている現在と、5Gが中心となる今後の変化を展示していた。

    既に5Gの商用サービスが始まっている国も出てきていて、「5Gそのものがどのようなものか」ということについては、明らかになってきている。その一方で、キャリア企業がLTEから5Gへの移行をどのように進めて行くかということについては、わからなかったところがある。

    通信キャリアのLTEから5Gへの移行を支える技術

    Ericssonによるスムーズかつ急速に進む5Gシフト ーMWC2019バルセロナレポート5
    4Gと5G、双方に対応するデュアルアンテナユニット

    まず、スマートフォンのようなデバイスとの通信を行うアンテナユニットに関していうと、LTE(4G)と5Gのデュアルアンテナが展示されており、このアンテナ1台でLTE通信と5G通信の双方への対応が可能となる。

    倍の面積をとってしまうのではないかと懸念するところだが、実際はアンテナユニットが小型化していることもあり、これまでの同じスペースの中に4Gと5Gの双方に対応するアンテナを設置することができるのだという。

    アンテナから発信する無線電波に関しては、LTE帯域の通信網の中に5G通信を共存させることで、スマートフォンなどの端末から見るとどちらの通信方式でも通信が可能となるように準備を進めているようだ。

    例として、アメリカで、5Gを600MHz帯で提供することを表明しているT-Mobileの取り組みが展示されていた。それが「5G on FDD(FDD:周波数分割複信)」という方式だ。

    Ericssonによるスムーズかつ急速に進む5Gシフト ーMWC2019バルセロナレポート5
    T-Mobileで導入が予定されているFDD(LTE)上に5Gを提供する設備

    上り下りを分けず帯域を状況に応じてフレキシブルに活用できるTDD(時分割複信)が基本となる5G通信に対し、LTEでは上りと下りの帯域を分けて提供するFDD(周波数分割複信)が主流となっている。

    しかし、今後はIoTによる通信の利用が急増する予測があり、アップリンク(上り)の通信容量が増大する見込みだ。

    その結果、今後は1つの帯域を上り・下り、フレキシブルに利用できるTDDが主流となる可能性が高い。

    一方、T-Mobileのように、600Mhz帯でFDD LTE通信を提供している通信事業者が、5G通信をTDDの方式で提供しようとすると、現在の帯域の一部を「5G専用」にしなくてはならない。

    現状の帯域不足の状況下で、このようなマイグレーションは難しいといえる。

    そこでまずは、既存の「FDD方式で5Gを提供」しようということになるわけだ。

    一見すると非効率に感じるかもしれないが、LTEに比べると、約50%周波数効率が良いと言われている5Gを活用することで、5G対応端末からのアクセスに対しては5Gでの接続を行う。その結果利用者は高速通信の恩恵を授かることになり、通信事業者は周波数を効率的に利用できるようになる。

    さらに、FDD方式を利用しつつも、LTE通信と5G通信を100分の1秒単位で切り替える、という技術も組み合わせることで、既存設備でより柔軟な通信を実現することができるというのだ。

    前述したLTE通信と5G通信の双方に対応するアンテナと、LTE通信と5G通信をフレキシブルにコントロールする技術を活用することで、通信キャリアはスムーズな5Gへの移行が実現できるのだ。

    コア・ネットワークでの5Gへのマイグレーション

    Ericssonによるスムーズかつ急速に進む5Gシフト ーMWC2019バルセロナレポート5
    100分の1秒単位で、5Gと4Gの無線を切り替えられる

    また、コアネットワーク領域でも5Gへのマイグレーションをシームレスに実現する技術が展示されていた。

    ご存知の方も多いかもしれないが、5Gには「割り当て周波数」の課題がある。

    日本を含め、多くの国で、「3~6GHz帯域(サブ6GHz帯域)」と「ミリ波」と呼ばれる30GHzに近い28GHz帯を新たに利用することになるが、特に、ミリ波に関して、これまで通信で活用していた帯域よりも高い周波数帯域になるため、品質確保が難しいと言われている。

    この課題に対してエリクソンは解決策を提案している。

    一つは「フレキシブルアンテナ」だ。自宅内であれば窓枠やカーテンなどに、屋外であれば電線などに付帯できる形状が柔軟なものとなる。

    Ericssonによるスムーズかつ急速に進む5Gシフト ーMWC2019バルセロナレポート5
    様々な物質に付帯可能となる、フレキシブルなアンテナ

    また無線の指向性(方向によって異なる強度)に関しても状況に応じて対応することが必要になる。これは5Gならではの課題ということではないが、帯域が高くなることを考慮すると、その特性を活かしたアプローチが必要となる。

    例えば人口密集地ではアンテナ素子を細分化し、近距離での個々の端末をカバーする仕組みを採用する。

    一方で、過疎地では遠距離の端末に電波が届くようにするために、1つの端末に対するアンテナ素子を人口密集地よりも多く利用するといった対応だ。

    Ericssonによるスムーズかつ急速に進む5Gシフト ーMWC2019バルセロナレポート5
    人口密集地と過疎地に対応するアンテナ素子活用アプローチ

    エリクソンでは、アンテナユニットや、基地局の頭脳となる無線プロセッサーも設置工事を簡易にするために基本的な形状を統一しているのだという。

    重量や規模によっては、個別の工事が必要になるものもあるが、大半は同じインターフェースで設置できるようになっているという。

    これは、ミリ波のように高い周波数を利用すると、都市部など見通しが悪いところでは、指向性の問題を解決するために、これまで以上にアンテナが必要になることもあり、アンテナ設置工事を簡易にすることが重要となるからだ。

    Ericssonによるスムーズかつ急速に進む5Gシフト ーMWC2019バルセロナレポート5
    小型軽量化が進むアンテナユニットと無線プロセッサー

    端末開発のロードマップ

    ネットワーク側の5Gへのマイグレーションが進む中、端末開発のロードマップも見えてきている。

    既にいくつかのサブ6(6GHz未満帯域)対応のスマートフォンが発表されているが、ミリ波向け5G通信対応スマートフォンも2019年後半に登場する見込みだという。

    また先に述べたFDD対応のスマートフォンも年末に登場する予定だ。

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    5G対応帯域別、デバイスロードマップ

    5Gの活用事例

    5G活用については10を超えるユースケースがブース中央付近で紹介されていた。

    それぞれの内容は設定されているタブレットを見るとARアニメーションで確認できるようになっていた。

    Ericssonによるスムーズかつ急速に進む5Gシフト ーMWC2019バルセロナレポート5
    タブレットをかざすと5G事例をスムーズなアニメーションで描画

    スウェーデンにある大規模交通試験場AstaZeroにあるトラックが5G通信を通して遠隔操作できるデモでは、バルセロナのブースにある遠隔運転席に座り、トラックを遠隔運転すると、ハンドルからはしっかりと重さと振動が伝わってきた。

    現地の映像と、運転席での操作は、5Gの低遅延性が活かされていて、違和感のない運転が体験できた。

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    AstaZeroにあるトラックを5Gで接続し、遠隔運転するデモ

    また、5G通信とLTE通信の違いをユニークな手法で可視化している展示があった。

    コントロールアプリケーションと6本脚ロボットの間を無線で接続し、LTEと5Gを切り替え、動作の変化を見せるのだ。

    実際にその変化を見ると、LTEの場合は動きが遅くなるというよりもギクシャクしていた。5Gでは単にスムーズな動きをするだけでなく、全ての足をリズミカルに連動させるダンスまで披露した。

    (前半がLTE、後半が5G)

    このケースから、5Gでは低遅延だけでなく、データが滞らないということもメリットになりそうだと感じた。

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    5Gでの接続時には華麗なダンスを披露した6本脚ロボット

    LTE環境上でも5G時代に向けたユースケース構築が進んでいる。

    Ericssonによるスムーズかつ急速に進む5Gシフト ーMWC2019バルセロナレポート5
    LTEベースのNB-IoTのカバーエリアを拡大する取り組み

    上の写真はLTEをベースとした、NB-IoTのデモだが、これだと広範囲に通信できないところがある。しかも、無理に通信しようとすると、エネルギーをたくさん使って何度もリトライする必要がある。これでは、Low Power Wide Area Networkの意味がない。

    それに対して、5Gでビームフォーミング(電波を細く絞って、特定の方向に向けて集中的に発射する技術)の仕組みを使えば、電波を細く長くする通信を実現することも、広く短い通信も実現することが可能となるので、細く長くした電波を使えば、距離のあるデバイスとも通信が可能となるのだ。

    この方式をとることで、1つのアンテナのカバーエリアを大幅に拡大することができる。

    今年のエリクソンブースは、「LTEから5Gへのマイグレーション」と、「5Gの展開方法」が具体的にイメージできるものが多く、これから1~2年の動向が理解できる場になっていた。

    5Gはスペック的な面での進化が大きいため、別物のように捉えられているが、実はLTEの大幅改良という部分が多い。

    5Gにならなければできないことももちろんあるが、多くのことは今、LTEでトライすることができる。

    5G時代を勝ち抜くためには、5Gが始まるのを待たず、今すぐアクションして、来るべき5G時代に備えることがカギとなりそうだ。