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  • ボッシュとメルセデス・ベンツ、ドライバーレスパーキングシステム商用開始

    ボッシュとメルセデス・ベンツ、ドライバーレスパーキングシステム商用開始

    ドイツのシュトゥットガルト空港、P6駐車場において、インテリジェントパーキングシステムを使って、完全に独立して車両の回収と返却を行う。

    SAEレベル4のドライバーレスパーキング機能を利用していて、ドライバーが駐車場を離れると、車両は割り当てられたスペースに自ら移動して駐車するというものだ。

    メルセデスベンツの特定仕様「Sクラス」および「EQS2」の車両が対象となる。

    利用者は、「APCOA FLOWデジタルモビリティプラットフォーム」を通じて、予約し、非接触入退場、キャッシュレス決済が可能となるということだ。

    駐車場内に設置されたボッシュのセンサーは、走行経路とその周囲をモニターし、車両の誘導に必要な情報を提供。

    駐車場内に設置されたボッシュのセンサーは、走行経路とその周囲をモニターし、車両の誘導に必要な情報を提供
    ボッシュのセンサー

    車両に組み込まれたテクノロジーが、インフラからの指示を運転操作に変換してする。そして、車両はスロープを上がったり下がったりしながら駐車場の中を行き来するのだ。

    インフラのセンサーが障害物を検知すると、車両はブレーキをかけて安全に完全停止。ルート上に障害物がなくなると、目標までの走行を続ける。

  • ボッシュ、ソフトウエアとIoT/AIの企業へ ーCES2022レポート5

    ボッシュ、ソフトウエアとIoT/AIの企業へ ーCES2022レポート5

    CES2022レポートの第五弾はボッシュだ。

    登壇した、ロバート・ボッシュのボッシュ北米法人社長のマイク・マンスエッティ氏と、チーフデジタルオフィサー タニア・リュッカート氏は、冒頭「ボッシュでは、自宅、職場、路上、病院または宇宙など、あらゆる場所で人々の生活を改善するための手段として最先端のテクノロジーを用いる。」と述べた。

    中国、ドイツ、インド、イギリス、米国の5カ国において各国1,000人以上を対象とした調査により、人々がテクノロジーに対して本当に求めているものがなにか、と言う調査をしたのだという。

    その結果、72%の人がテクノロジーが快適性と安全性を高め、それによって仕事をしやすくなると信じていて、さらに76%の人が、気候変動対策にもテクノロジーが鍵を握っていると考えているということがわかったのだ。

    実際、ボッシュの製品群にもクルマの安全性を実現するものがあったり、世界の全ての拠点でカーボンニュートラルを達成したりしている。

    タニア・リュッカート氏は、「全てのプロダクトにおいてIoTとAIをコアとしていて、ネットワークと電動化の交差するところで強みを発揮していることが、重要なのだ。」 とした。

    eBikeスマートシステム

    実際、今回のCESでもイノベーションアワードを受賞した、eBikeスマートシステムを使うと、利用者の好みを学習しながらライディングスタイルに合わせてルートを推薦してくれる機能などがあるのだという。

    ボッシュ eBike CES2022

    このために、eBike Flowアプリ、コントロールユニット、ディスプレイ、バッテリーおよびドライブユニットといった要素でこのシステムは構成されていて、継続的に進化することができるプロダクトとなっているのだという。

    これにより、無線によるアップデートができたり、個人の走行データが記録できたり、バッテリーの充電状態やサービスの予約なども可能となる。

    ソフトウエアとIoT/AIの企業へ

    もともと家庭向けの工具や家電、クルマの部品などを作っていたボッシュだが、最近はソフトウエアへの投資が大きいのだという。

    現在、35,000人のソフトウエアエンジニアがいて、45億ドル以上の年間投資を行なっているという。

    その結果、多くの電動工具、家電製品、ヒーティングシステムなどがネットワークに接続し、新たな価値を創出しているということだ。

    また、モビリティの分野に関しても年間35億ドルを投じてソフトウエア開発を行なっているという。

    今年は、車両やクラウド向けのアプリケーションに依存しないソフトウェアの開発を子会社のETAS GmbHに集約して、自動車メーカーやサプライヤーに提供すると発表した。

    ソフトウエアとIoTへの取り組みの先にボッシュが考えているのが、すべての製品へのAIの搭載だ。

    以前から展示されていた賢い冷蔵庫では、冷蔵庫の中のものを識別してレシピを提案するというような取り組みが発表されている。

    ネットワーク化とIoT、そしてAIの活用が、これまでボッシュの培ってきたプロダクト開発のケイパビリティをさベースにさらに発展することが想像される。

    次に、こういった、プロダクト開発力とソフトウエア開発力、IoT/AIを活用したいくつかのプロダクトを紹介する。

    バーチャルサンバイザー

    ボッシュ サンバイザー CES2022

    クルマに搭載されている従来のサンバイザーは、夕日が目に入るときなどには重宝する。まぶしくなくなる一方で、視界を狭くするという問題があった。

    そこで、ボッシュはドバイバーの目の位置を特定し、AIを活用して太陽がドライバーにとってまぶしいと感じるフロントガラスの部分のみを暗くするのだ。残りの部分は透明なままなので、ドライバーの視界は遮られない。

    インテリジェントな耳 SoundSee

    ボッシュ SoundSee CES2022

    Sound Seeは、国際宇宙ステーションで「宇宙のノイズ」を採取した技術を使ったボックスだ。

    周囲の音のデータを分析し、機械の潜在的な異常を検出し、メンテナンス作業が必要な場合教えてくれる。

    Dryad社のガスセンサー

    AIを搭載したガスセンサーは、森林火災を早期に発見するソリューションだ。このボッシュのMEMSを搭載したガスセンサーを活用することで、火災時のガスを検出できる。

    森林火災は、大きな問題を引き起こすだけではなく、地球全体の年間のCO2排出量の20%をも占めるという。

    これは、地球上のすべての自動車、船舶、航空機の排出量を合わせたものと同等なのだ。

    ボッシュ ガスセンサー CES2022

    Dryad社のセンサーは、木に取り付けられ、その場の微気候を継続的にモニターすることで火災を早期に検出する。そして、現地当局に無線で通知する。

    このMEMSについては、以前の記事でも紹介している。

    最後に、「ボッシュは、地球上のすべての人の生活をより良くするためにデザインされる最先端の技術革新に取り組み続ける」と述べた。

    他のCES2022レポートはこちらから

  • 複雑な環境を検知できることで何がわかるのか、ボッシュが考えるガスセンサー×AIとは

    複雑な環境を検知できることで何がわかるのか、ボッシュが考えるガスセンサー×AIとは

    ボッシュ株式会社は、AIで環境をセンシングするMEMSガスセンサー「BME688」を開発した。BME688を使用することで、特定の環境を検知できるようになる。

    本稿では、BME688を活用することでどのようなことができるようになるのか、ボッシュセンサーテック ジャパン ゼネラル・マネージャーの日吉克彦氏とアプリケーション エンジニアリング マネージャーである宮地浩輔氏、営業の岩間奈緒子氏にお話を伺った。(聞き手:IoTNEWS代表 小泉耕二)

    今回、BME688に関する記事を2本立てで構成しており、もう1本の記事では、BME688が技術的にどのようなことができるか紹介している。こちらもぜひ確認してほしい。

    ※写真左:ボッシュ株式会社 ボッシュセンサーテック アプリケーション エンジニアリング マネージャー 宮地浩輔氏、写真中央:同社 ボッシュセンサーテック ジャパン ゼネラル・マネージャー 日吉克彦氏、写真右:同社 ボッシュセンサーテック ジャパン 営業 岩間奈緒子氏

    BME688は匂いを検知している?

    ボッシュ株式会社 ボッシュセンサーテック アプリケーション エンジニアリング マネージャー 宮地浩輔氏
    ボッシュ株式会社 ボッシュセンサーテック アプリケーション エンジニアリング マネージャー 宮地浩輔氏

    IoTNEWS 小泉耕二(以下、小泉): BME688は匂いを検知しているという理解で良いでしょうか。

    ボッシュ 宮地浩輔氏(以下、宮地): 厳密に言うとガスを検知しています。我々サプライヤーの立場からはガスを検知していると言いたいですが、お客様になるだろう利用者の目線から考えると、匂いを検知していると言っても大きく外れてはいません。

    例えば、最近、自宅で寿司を握るようになったのですが、熟成鮨を作ろうと思うと、熟成が進んでいるのか、腐敗が始まっているのかの見極めは非常に難しく感じます。そんな時に、このセンサーを使用することで、熟練者の見極めが自宅の冷蔵庫でも実現できるようになるかもしれないと期待しています。

    細かな匂いの違いまで検知することができるのが、BME688の特徴です。

    ただし、今後の利用方法を考えると、匂いのないガスを検知するということも考えられるので、匂いを検知しているとは言い切れない部分があります。

    小泉: 匂いと言ってしまうと、利用シーンを狭めてしまうということになるのですね。

    ボッシュ 日吉克彦氏(以下、日吉): 人間が感じられないガスも検知できるという利用シーンもこれから増えてくるのではないでしょうか。犬の嗅覚を再現するということも考えられるかもしれません。

    また、BME688を含むソリューションの差別化ポイントは、人間の嗅覚を代替するだけでなく、脳の部分もAI-Studioで代替できることです。

    小型で低消費電力な特性を生かしたユースケース

    小泉: 想定されるユースケースの中にオムツの状態検知がありましたが、排泄物センサーを開発しようとしている企業の話を聞くと、精度が高いセンサーは価格も高くなってしまうため、あまり使われていないように感じます。排泄物でセンサーが汚れてしまったり壊れてしまったりして、センサーが使えなくなってしまうため、安いセンサーを使い捨てとして使用する方が良いと思われているようです。

    高価格で高精度なセンサーを使った排泄物検知の場合、オムツなどに直接付けるのではなく、少し離れたところに設置して繰り返し使った方が良いのではないかと思いますが、BME688は離れた場所からでもガスを検知することはできるのでしょうか。

    宮地: センサーであるBME688も、アルゴリズムを学習するソフトウェア「BME AI-Studio」も高精度であることに自信を持っております。ただし、ガスがどのようにセンサーに届くのかが重要です。ガスがしっかりセンサーまで届くと、検知することができますが、ガスは特性上局在化する傾向があります。

    例えば、オムツの状態検知を、赤ちゃんがいる部屋の壁にセンサーを設置して実施しようとした場合、ガスがセンサーまで届けば、しっかり検知できます。検知している間、同じガスを測定し続けることが必要です。そのため、なるべくガスの発生している近くで測定した方が精度を期待できます。

    BME688は、量産価格であればあまり高額にはならないので、赤ちゃんの体に直接貼り付けるような形の製品にも適応できるのではないかと考えています。センサー1個で検知できれば、小型化することも可能です。

    小泉: BME688の価格はどのくらいになるのでしょうか。

    ボッシュ株式会社 ボッシュセンサーテック ジャパン ゼネラル・マネージャー 日吉克彦氏
    ボッシュ株式会社 ボッシュセンサーテック ジャパン ゼネラル・マネージャー 日吉克彦氏

    日吉: 詳しくはお伝えできませんが、量産できればワンコイン以下になるくらいです。BME688でできることをお伝えすると千円以上の価格を想像されるお客様も多いですが、そこまでは高くならないです。

    小泉: 測定するデータが抵抗値という数値データだと、データが複雑にならず、消費電力も少なくて済みそうですね。

    宮地: 小型のデバイスに搭載して使用してもらうことを想定しているので、消費電力は小さくなるようにしています。使い方によりますが、平均的には、ミリアンペア単位で動作することが可能です。オムツの状態検知でも、実際の使い方は毎秒測定するわけではなく、5分に1回などの定期的な測定が想定されます。そのような使い方だと更に消費電力を抑えることが可能になると思います。

    消費電力を抑えることができるので、山火事を検知するユースケースも考えられています。BME688が搭載されたIoTデバイスを広範囲に設置することで、山のどの部分で山火事が置きているかを検出することができるようになるでしょう。

    日本ではあまりイメージが湧かないかもしれませんが、アメリカでは山火事は大きな問題として捉えられています。BME688は温度も測定することができるので、ガスと温度の両面で山火事を検出することができると考えています。

    測定や学習が簡単なため、製品開発だけではなく企画にも使用できる

    ボッシュ株式会社 ボッシュセンサーテック ジャパン 営業 岩間奈緒子氏
    ボッシュ株式会社 ボッシュセンサーテック ジャパン 営業 岩間奈緒子氏

    小泉: 紹介していただいたユースケース以外には、どんなユースケースが考えられますか。

    ボッシュ 岩間奈緒子氏(以下、岩間): センサーを搭載する製品の開発部門の方以外にも、新しい製品を企画するような企画部門やマーケティング部門の方にもBME688を使用してほしいと考えています。

    実際、今回お見せしたデモンストレーションのための測定やアルゴリズムの学習は、文系出身の私でも比較的簡単に実施することができました。

    デモンストレーションで使用した評価キット「BME688 Development kit hardware」は1万円前後で購入することができます。この評価キットを購入すると、簡単な検討であれば実施することができます。

    簡単に検討することができるので、気軽にお試しいただき、我々にはない発想でBME688を使用していただけたらと思っています。

    小泉: 気軽に検討ができることで、利用シーンは更に広がりそうですね。IoTデバイスや家電を開発するような電機メーカーだけでなく、匂いや消臭を研究している化学メーカーとのコラボレーションも想像できます。

    ボッシュが進める「センサー×AI」

    小泉: 先日取材した「BHI260AP」や、今回のBME688もセンサーとAIを掛け合わせた商品だと感じています。ボッシュでは、今後もセンサーとAIの掛け合わせを様々な分野に広げていきたいと考えられているのでしょうか。

    【参考】AI搭載センサーで変わる、ウェアラブルの未来 ーボッシュの新MEMS「BHI260AP」

    宮地: はい。その部分が、センサーの価値付けができる要素だと感じています。

    日吉: センサーはハードウェアですが、ソフトウェアを組み合わせることで最終製品に近付き、付加価値を付けるという狙いがあります。ハードウェアだけだと競争が激しいため、そこにノウハウを載せて差別化していこうという方向で考えています。

    小泉: 柔軟なソフトウェアがあることで、センサーでデータを収集したあとの処理や分析が楽になり、製品開発を加速させることができるのではないかと感じました。貴重なお話ありがとうございました。

    関連リンク

    製品に関するお問い合わせ

  • AIで特定の環境を検知するMEMSガスセンサー「BME688」

    AIで特定の環境を検知するMEMSガスセンサー「BME688」

    ボッシュ株式会社は、AIで環境をセンシングするMEMSガスセンサー「BME688」を開発した。BME688を使用することで、特定の複雑な環境を検知することができる。

    更に、特定の環境を測定し、そのデータをもとに独自のアルゴリズムを生成することで、検知対象の環境をユーザーで変更することができるのだ。

    本稿では、BME688の特徴とデモンストレーションについて紹介する。

    「BME688」の特徴

    BME688は特定の環境を検知できるソリューションだ。検知対象の環境をユーザーで変更することができる。
    BME688は特定の環境を検知できるソリューションだ。検知対象の環境をユーザーで変更することができる。

    「BME688」は、AIを活用し、特定の環境を検知することができるソリューションである。3×3×0.9(mm)の大きさのセンサーには、カスタマイズが可能なガスセンサーと温湿度センサー、気圧センサーの4種類の機能が実装されている。

    ガスセンサーは、ボッシュが提供するAIアルゴリズムを学習できるソフトウェア「BME AI-Studio」を使用することで、多種多様なアプリケーションに適用することができる。

    一般的な環境センサーとの大きな違いは、単一種類の気体を判別するのではなく、複数の気体が混ざった混合気体を検知することができるという点だ。これまで、特定の複雑な環境を検知するためには、単一気体を検知するセンサーを組み合わせることで検知を行う必要があった。しかし、BME688は、センサー1つで混合気体を検知できる。

    更に、これまでの環境センサーが、空気の汚れなどの環境の変化を大きく検知してしまうのに対し、BME688は、より詳細な選択性を持たせることが可能になる。

    例えば、冷蔵庫や食品倉庫で食物の腐敗を検知しようとした時に、これまでの環境センサーでは、食物どれかが腐敗しガスが出てしまうと、どのガスにも反応し検知してしまっていた。BME688を使用することで、食物の違いによる腐敗のガスの区別まで可能になるので、何の食物が腐敗しているかまでわかるようになるということだ。

    また、BME688は、検知したいガスを他の意図的なガスから切り分けて検知することが可能だ。

    近年は、新型コロナウイルス感染症の影響で、様々な場所に手指消毒用エタノールが設置されている。消毒するためにエタノールを噴射すると、周囲の環境には、エタノールが充満してしまう。最近では、環境センサーを使用して人の密集度を検知する取組が行われているが、消毒用のエタノールが充満することでうまく密集度が検知できなくなってしまう可能性があるそうだ。

    「BME688」は予めエタノールを避けるようなアルゴリズムを作成することができるので、エタノールが充満する環境においても、エタノールを無視した検知が可能になるのだ。

    想定される利用シーン

    BME688の想定ターゲットとユースケース。
    BME688の想定ターゲットとユースケース。

    特定の環境を検知できるという特徴から、空気清浄機やエアコンなどの家電に搭載し利用するイメージは想像しやすいだろう。嫌な匂いを予め学習しておくことで、嫌な匂いが部屋に漂ったことを検知して家電を動かすということが可能になる。

    その他のユースケースとして、ボッシュでは、

    • 口臭チェック
    • 山火事の検知
    • 赤ちゃんや要介護高齢者のおむつの状態検知
    • 食料品鮮度検知

    などを想定しているという。

    また、様々な分野の熟練の職人が、長年の経験の蓄積でしか会得できなかったノウハウを、BME688を活用することで継承できるようになるかもしれない。BME688が特定の環境を検知するという特徴を応用することで、同じ香りを再現できているかを確認することが、ノウハウや経験がない人でもできるようになるだろう。

    その他、匂いやガスを検知するシチュエーションは幅広く存在するだろうから、これらのユースケース以外にも、様々な用途で活用できるだろう。

    アルゴリズムを学習するためのソフトウェア「BME AI-Studio」

    BME AI-Studioの仕組み。ガスを計測し、最適なアルゴリズムを学習する。
    BME AI-Studioの仕組み。ガスを計測し、最適なアルゴリズムを学習する。

    「BME AI-Studio(以下、AI-Studio)」は、ユーザーが検知したい環境をAI-Studioに機械学習させることで、特定の環境を検知するアルゴリズムを自動生成するAIソフトウェアである。フリーのソフトウェアで、ボッシュのホームページからダウンロードできる。

    AI-Studioを使ってアルゴリズムを生成するためには、測定データが必要だ。データを測定するのに適しているのは、ボッシュが提供している「BME688 Development kit」である。同キットには、BME688が8個搭載されており、センサー1つでデータの測定を行うよりも、効率よくデータ測定を行うことができるそうだ。測定したデータは数値データとして同キットに挿入できるSDカードに保存される。

    測定時には、センサー内部の感応部の温度を上げたり下げたりすることで、感応部へのガスの吸着具合による電気抵抗値の変化を測定している。

    アルゴリズムを生成するためには、検出したい環境と、通常の空気を測定する必要がある。検出したい環境と通常の空気を交互に30分ずつ測定していくイメージだ。

    測定したデータをAI-Studioにアップロードし、測定データに対し、どのような環境を測定したデータであるかというクラス分けを行う。AI-Studioは、最大で4種類(測定対象となる特定の環境3種類+通常の空気)の環境をクラス分けすることができる。つまり1つのアルゴリズムに対して、4種類の環境を検知できるということだ。

    クラス分けを行ったあとは、ソフトウェア上でアルゴリズムの生成を選択すると機械学習を行い、アルゴリズムの自動生成が行われる。これだけで特定の環境を検知するためのアルゴリズムが作成できるのだ。

    アルゴリズムには、測定データの結果から、特定の環境を検知するためにはどのように感応部の温度を上げたり下げたりすると良いのかということが含まれているという。

    画面上で、アルゴリズムの生成結果を確認することができる。3種類の環境に対し、それぞれ精度がどのくらい出ているかを確認することができる。
    画面上で、アルゴリズムの生成結果を確認することができる。3種類の環境に対し、それぞれ精度がどのくらい出ているかを確認することができる。

    アルゴリズムの自動生成の結果は、AI-Studioで確認することができる。アルゴリズムが精度良くできているかを、別の測定データを使ってテストし確認することも可能だ。

    実際にBME688の利用シーンでは、匂いやガスを検知するような最終製品に組み込まれることが想定される。量産品にAI-Studioで生成したアルゴリズムを実装するイメージだ。

    それとは別に、BME688を使用してデモンストレーションを行い、匂いやガスに対する効果を確かめることもできる。

    デモンストレーション

    ボッシュガスセンサー
    デモンストレーションの様子。効果的にデモを見せるため、ガラスケースでできた閉空間の中にBME688を入れることで環境の検知を行う。

    取材では、3種類のデモンストレーションを体験した。

    デモンストレーションでは、小さいガラスケースの中にそれぞれ別の匂いを発する食品を入れ、小さいガラスケースの中の環境を検知できるかという内容で実施した。

    今回のデモンストレーションでは、1つのBME688で検知を行っている。各環境を検知する為のスキャンは約10秒で完了する。

    デモンストレーションには、評価キットである「BME688 Development kit」を使用しており、アルゴリズムを記録したSDカードを挿入することでアルゴリズムに応じた検知が可能になる。

    チーズの種類を見分けて検知する

    2種類のチーズを検知するデモンストレーション。ガラスケースの閉空間に2種類のチーズが入っている。
    2種類のチーズを検知するデモンストレーション。ガラスケースの閉空間に2種類のチーズが入っている。

    はじめに、ゴルゴンゾーラチーズとパルメザンチーズがそれぞれ入っている環境を検知するデモンストレーションを体験した。

    検知には、予めゴルゴンゾーラチーズとパルメザンチーズ、通常の空気の3種類の測定データを使用して学習したアルゴリズムを使用している。

    それぞれのチーズが入っている環境に評価キットを入れると、環境を検知し、ゴルゴンゾーラチーズとパルメザンチーズを検知することを確認できた。

    赤ワインとバルサミコ酢を検知する

    赤ワインとバルサミコ酢を分類するデモンストレーション動画。同じ環境にチーズが入っていても検知できていることがわかる。

    続いて、赤ワインとバルサミコ酢を検知するデモンストレーションを体験した。このデモンストレーションでは、赤ワインとバルサミコ酢、通常の空気という3種類の環境を測定し学習させたアルゴリズムを使用している。

    検知したい環境を変えるためには、SDカードに別のアルゴリズムを書き込むことで、異なる検知を行うことが可能だ。

    赤ワインとバルサミコ酢が注がれたグラスを用意し、評価キットをそれぞれに近づけることで検知できることが確認できた。ある程度、液体から評価キットを離すと通常の空気として検知した。

    アルゴリズムを変更することで、チーズを検知したときと同じような評価キットでも、赤ワインとバルサミコ酢の違いを検知することを確認できた。

    ゴルゴンゾーラチーズが入っている状態でも赤ワインとバルサミコ酢を検知する

    更に、ゴルゴンゾーラチーズが入っている環境でも、赤ワインとバルサミコ酢を検知できるかというデモンストレーションを行った。

    通常のアナログな環境センサーだと、ガスが出ているということを大きく検知してしまうため、同じ環境にゴルゴンゾーラチーズのような匂いの強いものがある場合、検知の邪魔になってしまう可能性がある。

    このデモンストレーションでは、ゴルゴンゾーラチーズを検知対象としないために、赤ワインだけが入っている環境の他に、赤ワインとゴルゴンゾーラチーズが入っている環境も赤ワインの環境であるとラベル付けしてアルゴリズムの生成を行っている。バルサミコ酢も同様で、更に通常の空気には、ゴルゴンゾーラチーズのみが含まれている環境の測定データをラベル付けしている。

    こうすることで、ゴルゴンゾーラチーズによる環境の変化を含んだ状態での、赤ワイン、バルサミコ酢、通常の空気という3種類の環境を検知できるアルゴリズムを学習しているということだ。

    実際に、ゴルゴンゾーラチーズだけが入っている環境、ゴルゴンゾーラチーズと赤ワインの環境、ゴルゴンゾーラチーズとバルサミコ酢が入っている環境をそれぞれ検知し、通常の空気、赤ワイン、バルサミコ酢と検知することを確認できた。

    このように、BME688は、アルゴリズムを学習するために必要なデータを測定する際に、検知に含みたくないガスを通常の空気として測定するなどの工夫をすることで、特定の環境のみを測定することが可能になるのだ。

    実際にデモンストレーションを体験することで、人の嗅覚と頭脳を同時に代替できていると感じることができた。いくつかのガスなどの要因によってできている複雑な環境を検知することで、人間と同じような感覚で、「前に嗅いだことがある匂いだ」というように環境の検知ができていると感じた。

    利用者がそれぞれの生活の中で、曖昧な環境を検知することができるので、より暮らしの中に溶け込んで利用されていくのではないかと期待できる。

    関連リンク

    製品に関するお問い合せ

  • 精度の高さがより良い体験を生む、ボッシュのMEMSセンサー「BHI260AP」

    精度の高さがより良い体験を生む、ボッシュのMEMSセンサー「BHI260AP」

    ボッシュ株式会社は、新たに、主にウェアラブルデバイスで使用できるMEMSの自己学習型AIセンサー「BHI260AP」を開発した。2本の記事にわたり、その特徴やボッシュの狙いについて紹介をしている。

    前回の記事では、同センサーを開発した背景や、ボッシュがソフトウェアを含むソリューションとしてセンサーを提供することの狙いについて紹介した。(前回記事はこちら

    本稿では、具体的にどのような体験が可能なのか、デモンストレーションの様子と共に紹介する。

    「BHI260AP」の仕様

    「BHI260AP」の大きさは3.5×4.1(mm)で、MEMSには加速度センサーとジャイロセンサー、マイコンのシステムが搭載されている。一般的な3軸加速度センサーの大きさが、2×2(mm)程なので、ジャイロセンサーとマイコンが搭載されているということを考えると、「BHI260AP」が小型であることがわかるだろう。

    マイコン機能にアルゴリズムを実装することで、センサー単体で、データを収集し、そのデータを分析するという工程を完結することができる。「BHI260AP」内で閉じた形で処理が可能なため、システム全体で省電力化が可能になる。

    ボッシュでは、同センサーをハードウェア単体として販売するだけではなく、センサーを利用したソリューションとして提供を行っている。アルゴリズムを変更することで、同じセンサーでも別のソリューションとして提供することが可能だ。

    14種類のフィットネス・アクティビティの検知や、4種類の機能、ボッシュがこういったセンサーを開発した意図などについては、前編を参照してほしい。

    実際にボッシュが開発したソリューションを紹介する。

    フィットネストラッキングソリューション

    https://youtu.be/wxV2Ght7zKA

    フィットネストラッキングを実際に利用している様子。すぐにフィットネス動作を検知してカウントしている事がわかる。新しいパターンも簡単に登録することができている。

    フィットネストラッキングのソリューションは、加速度センサーとジャイロセンサーを利用して、フィットネス動作のトラッキングができる。

    14種類のフィットネス動作の検知パターンがあらかじめ実装されていて、エンドユーザーが操作を行わなくても、自動的に自律して検知を行う。パーソナライズ機能も搭載されており、OEMメーカーやエンドユーザーでも、動作検知パターンを自身の骨格や動きに合わせたものに変更が可能だ。

    また、動作検知パターンを変更するだけではなく、全く新しいパターンを登録することもできる。登録されていない動作も、5回ほど繰り返し動作をすることで、センサーが検知し新しいパターンとして登録することが可能である。

    デモンストレーション:自動で高精度なトラッキングができることで利用者は継続して使用したくなる

    デバイスを付けてフィットネス動作を行うと、スマートフォンのアプリ上でどの動作を何回やったかがリアルタイムで表示される。
    デバイスを付けてフィットネス動作を行うと、スマートフォンのアプリ上でどの動作を何回やったかがリアルタイムで表示される。

    デモ機を装着し、フィットネストラッキングのデモンストレーションを実施した。

    フィットネストラッキングを行う場合、パーソナライズが重要になるそうだ。

    実際に、初期設定のまま運動を行ってみたが、中々正しい動作パターンが検知されなかった。これは、ボッシュの本社があるドイツ人の骨格に合わせた検知パターンになっているからだという。パーソナライズを行い、自身の動作を正しく学習させることで、正しい動作パターンを1回目から検知を開始するようになった。

    また、操作をせずに、次のフィットネス動作を実施してみたが、すぐに検知しカウントを開始した。ユーザーが操作せずとも種目が変わったことを検知するため、非常に使い心地がよく感じた。ジムでフィットネスを行う際に、種目を変える度にスマートフォンを操作して設定を変更するのは、面倒だと感じる人も多いのではないだろうか。

    フィットネスの記録を行う場合、これまでは、種目や重量、回数をメモで記録する方法が一般的だった。スマートフォンやウェアラブルデバイスを活用し記録するという方法が増えてきているが、実際の動作を正しく検知したり、回数に誤りが無いことが、利用者の体験にとって重要になるだろう。

    せっかく回数を検知していても、その後手入力によって修正する手間が毎回発生してしまうと、だんだん面倒くさくなってしまう。回数が正しく検知されて、修正などの手間がかからないことで、使いやすく継続して利用したいという気持ちが湧きそうだ。

    空手の型の動作を行う宮地氏。フィットネストラッキングのソリューションは、正しく動作を行えているかの確認をする目的でも使用することができそうだ。
    空手の型の動作を行う宮地氏。フィットネストラッキングのソリューションは、正しく動作を行えているかの確認をする目的でも使用することができそうだ。

    また、あらかじめ登録されていない動作パターンを、ユーザーが登録するというデモンストレーションも実施した。ボッシュ株式会社 ボッシュセンサーテック アプリケーション エンジニアリング マネージャーである宮地浩輔氏が、空手の型を登録し、実際に動作を行った。上手く動作することができれば正しく検知することができるが、型が乱れると検知できなかった。

    フィットネストレーニングの種目だけではなく、このようなお手本がある動きを模倣するというシチュエーションでもソリューションの活用できそうだ。例えば、有名野球選手のスイングを学習すると、野球少年が、その野球選手のスイングに近付ける練習が可能になるだろう。

    スイミングトラッキングソリューション

    スイミングトラッキング。ストロークや泳法を検知することができる。
    スイミングトラッキング。ストロークや泳法を検知することができる。

    スイミングトラッキングは、ストロークの回数や泳法、ターン回数を検知することができる。

    あらかじめプールの大きさを設定することで、ターンの回数から全体の距離を算出し、どの泳法でどのくらいの距離を泳いでいたかを可視化する。

    PDR(Pedestrian Dead Reckoning:歩行者推測航法)ソリューション

    PDRは、GPSなどの絶対位置ソリューションの精度を上げるために利用されるソリューションだ。PDRとは、6軸センサーによって、ある基準位置からの相対位置を測定する技術である。GPSの場合、信号を受信した2点をつなぐことで、移動を可視化することができる。PDRは、このGPSによる2点の間を詳細につなぐことが可能になるので、利用者の移動を可視化できるということだ。

    GPSと比較すると、PDRは消費電力を抑えることができる他、屋内や地下道などのGPSの電波が通じない場所でも位置を特定することができる。そのため、工場や倉庫内での従業員の経路トラッキングにも使用することができるという。工場内の危険エリアを特定し、その場所に従業員が立ち入りしているかどうかを確認するという使い方も可能だ。

    その他、子供の見守りや高齢者の徘徊を検知するという使い方も想定できる。

    デモンストレーション:実際に移動してみることで、精度の良さを体感できる

    PDRのデモ動画。腕に付けたデバイスが位置を特定している。

    PDRのアルゴリズムが搭載されたデモ機を装着し、屋内の会議スペースを歩くデモンストレーションも実施した。

    GPSが搭載されていないデバイスだったが、歩行ルートがスマートフォン上に正確に表示されるのを確認することができた。会議スペースの中で、細かく移動してみてもしっかりと経路を記録した。

    GPSなどの絶対位置ソリューションと組み合わせることで、より正確な位置が検出できるようになることはもちろん、GPSの電波が届きにくい屋内でも正確に位置を測定できる。

    精度の高さを実感することで、倉庫や工場でも利用が可能であることを感じることができた。人の動作を検知して可視化する、その結果をもとに最適化をシミュレーションするということが、「BHI260AP」によって更に高精度で実現されていきそうだ。

    実際に2つのデモンストレーションを体験することで、センサーとしての精度の高さと、ソフトウェアが一体化されていることでの利便性の高さを感じることができた。センサーの精度が高いことがエンドユーザーのより良い体験に寄与することを、「BHI260AP」を搭載したデバイスを実際に使用してみて理解することができた。

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  • AI搭載センサーで変わる、ウェアラブルの未来 ーボッシュの新MEMS「BHI260AP」

    AI搭載センサーで変わる、ウェアラブルの未来 ーボッシュの新MEMS「BHI260AP」

    ボッシュ株式会社は、新たに、主にウェアラブルデバイスで使用できるMEMSの自己学習型AIセンサー「BHI260AP」を開発した。

    MEMSとは、半導体のシリコン基板やガラス基板、有機材料などに、機械要素部品のセンサーやアクチュエータ、電子回路などを微細加工技術によって集積化したデバイスのことである。

    同センサーは、今までのボッシュが提供してきたセンサーとは異なり、データを取るだけではなく、自己学習できるようなAIソフトウェアを搭載し、学習まで行うことができるものだ。

    今回、ボッシュセンサーテック ジャパンのゼネラル・マネージャーである平井哲也氏とアプリケーション エンジニアリング マネージャーである宮地浩輔氏にお話を伺った。(聞き手:IoTNEWS代表 小泉耕二)

    同センサーについて、2本の記事にわたって紹介する。1本目の本稿では、同センサーを開発した背景とボッシュのビジネス的な狙いについて、2本目の記事では、同センサーでできることやデモンストレーションの様子について紹介する。

    ※写真左:ボッシュ株式会社 ボッシュセンサーテック ジャパン ゼネラル・マネージャー 平井哲也氏、写真右:同社 ボッシュセンサーテック アプリケーション エンジニアリング マネージャー 宮地浩輔氏

    自己学習型AIセンサー「BHI260AP」とは

    ボッシュが開発したMEMSの自己学習AIセンサー「BHI260AP」。
    ボッシュが開発したMEMSの自己学習AIセンサー「BHI260AP」。

    ボッシュが自己学習AIセンサー「BHI260AP」を開発した背景には、利用者がウェアラブルデバイスに期待する機能が変化しているということがある。ある調査によると、2017年の段階では、歩数をカウントするような活動量計の機能が求められていたが、近年では、フィットネストレーニングの検知への期待が大きくなったという。

    スマートウォッチに代表されるように、デバイスに機能が集約されていき、運動する人にとっては、スマートフォンを必要とせず、ウェアラブルデバイスで全て完結してほしいという要望がマーケットの流れとして存在している。

    つまり、ウェアラブルデバイスには、単純にデータを収集するだけではなく、収集したデータをどのように分析して可視化するか、ということまでが求められているのだ。

    この点について、「BHI260AP」は、従来からボッシュの強みである精度の高いセンサーであるだけでなく、AIによる学習機能を搭載したソフトウェアがあらかじめ搭載されていることが重要だ。

    ウェアラブルデバイスを開発するメーカーは、「BHI260AP」を自社のウェアラブルデバイスに導入することで、別途アルゴリズムを開発しなくても、ボッシュが開発したアルゴリズムをもとにデータの解析を行うことができる。

    また、自社で作成したアルゴリズムがあれば、「BHI260AP」に搭載することも可能である。

    ボッシュが開発したフィットネストラッキングソリューション

    もともと、ボッシュが開発したフィットネストレーニング向けのセンサーソリューションは、コアの部分にボッシュがカスタマイズしたフィットネストラッキングのアルゴリズムが実装された製品になっている。14種類のフィットネス・アクティビティを検知することが可能である。

    フィットネストラッキングで検知できる動作パターン。この資料には掲載されていない2種類を含む14種類の動作を自律的に検知することができる。
    フィットネストラッキングで検知できる動作パターン。この資料には掲載されていない2種類を含む14種類の動作を自律的に検知することができる。

    14種類のフィットネス・アクティビティには、ジャンピングジャックやダンベルベンチプレス、チェストダンベルプルオーバーなどがある。

    デバイスやサービス開発を簡単にする4つの機能

    さらに、センサーの精度を活かすために、「学習、パーソナライズ、自動トラッキング、拡張」という4つの機能が実現されている。

    学習

    学習モードでは、初期設定には含まれていない新しいフィットネス・アクティビティを追加することができ、ユーザーは自分のニーズに合わせてデバイスをカスタマイズすることができる。

    利用者は、自分の体格などを登録することができたり、同じ動きをするにしても、その動きを覚えさせたりすることができるので、利用者によるチューニングも可能となっている。

    パーソナライズ

    また、パーソナライズ機能では、学習したアクティビティをユーザーに合わせて調整し、カロリー計算やアクティビティ分析の精度を高めることができるのだ。

    自動トラッキング

    自動トラッキング機能は、フィットネス・アクティビティをユーザーが手動操作せずに自動で自律してトラッキングできる機能だ。

    アクティビティを変更する際も、センサーが自動で別のアクティビティであることを検知し、回数のカウントを行うことができる。アクティビティの種類と時間の経過によって運動の強度を、デバイスを開発する企業のシステム側で分析することもできるという。

    拡張

    こういった検知パターンは、ウェアラブルデバイスの製造メーカーでも、実際にウェアラブルデバイスを利用するエンドユーザーでも、新規作成や変更をすることが可能である。

    PDR(Pedestrian Dead Reckoning:歩行者推測航法)

    「BHI260AP」は、アルゴリズムを変更することで、別のセンサーソリューションとして使用することができる。アルゴリズムを複数搭載することも可能だという。

    PDRソリューションはその1つだ。PDRは、「BHI260AP」に搭載されている加速度センサーとジャイロセンサーで、利用者の動きを測定し、相対位置を検出する技術である。

    PDRソリューションを使用することで、GPSなどの絶対位置ソリューションの精度を向上させることができる。GPSでは測定できない箇所を補足するイメージだ。「BHI260AP」の内部でデータの収集から分析までを行うので、地下道や屋内などでも使用することができる。

    実際にPDRソリューションを使用し、移動した結果。GPSのみの計測より高精度で位置を計測できている事がわかる。
    実際にPDRソリューションを使用し、移動した結果。GPSのみの計測より高精度で位置を計測できている事がわかる。

    実際にPDRソリューションが搭載されたデバイスを着用し町中を移動した結果、GPSだけの測定と比較しより高精度で位置を計測できたという。

    これは、建物内では電波が通じずGPSでは位置計測できなかったのに対し、PDRソリューションがその間の位置を補足できていることを示している。

    ボッシュがハードウェアだけでなく、ソフトウェア搭載センサーを開発する狙い

    ボッシュ株式会社 ボッシュセンサーテック ジャパン ゼネラル・マネージャー 平井哲也氏
    ボッシュ株式会社 ボッシュセンサーテック ジャパン ゼネラル・マネージャー 平井哲也氏

    ボッシュには、センサーに関するノウハウがあり、30年以上MEMSを開発してきた実績がある。センサーに関して詳しいという立ち位置から、メーカー独自のアプローチをしていく狙いがあるという。

    それはセンサーに詳しいボッシュが、アルゴリズムを開発し、ソフトウェアをMEMSに搭載し付加価値を上げていくということだ。メーカーがソフトウェアも構築することで、顧客のニーズによりあった形で、しかも信頼度も高い形で提供することが可能になるので、全体のシステムとして差別化を図ろうとしている。

    ソフトウェアベンダーのソリューションだと、デバイスに入っているモーションセンサーがマルチサプライヤーになっていることもあり、それぞれのセンサーの違いを吸収するようなアルゴリズムしか作ることができないという。このアルゴリズムでは、精度を上げることは難しい。

    ボッシュは、センサーとアルゴリズムの両方を開発しているため、センサーの勘所を知った上でアルゴリズムを開発することができる。カタログスペックには現れないセンサーの特性を理解して、アルゴリズムを開発することが可能なため、精度を上げることができる。

    また、MEMSの中だけで、アルゴリズムによる分析を行うことができるため、エンドユーザーの情報をサーバーに送らないデバイスの構築が可能になる。セキュリティの面からも、センサーとアルゴリズムの両面で開発を行うメリットがあるということだ。

    ウェアラブルメーカーだけでなく、フィットネス事業者にもノウハウを提供

    ボッシュ株式会社 ボッシュセンサーテック ジャパン アプリケーション エンジニアリング マネージャー 宮地浩輔氏
    ボッシュ株式会社 ボッシュセンサーテック ジャパン アプリケーション エンジニアリング マネージャー 宮地浩輔氏

    ボッシュでは、このMEMSのセンサー「BHI260AP」を含むソリューションを、スマートウォッチを開発しているメーカーはもちろん、フィットネスクラブなどの、新たな取り組みを実施していきたいが、ハードウェアやソフトウェアのノウハウを持っていないという企業にも提供していきたいと考えている。

    センサーメーカーならではの高精度を実現することで、ソリューションを開発する企業は、ソフトウェアの精度の検証や、収集したデータをどのように業務に活かしていくかという、本当に検討しなくてはならない部分に集中することができるようになる。

    実際に、コンシューマ向けのスマートウォッチだけでなく、倉庫や工場における作業者の位置情報を確認するような業務向けのソリューションの相談を受けているという。

    MEMSのセンサー自体の精度が低いと、PoCまでは実施できても実際の製品化には繋がらなくなってしまうからだ。

    ボッシュのMEMSでは、センサーの精度が高いので、本来検討すべきであるソフトウェアや、データを業務にどのように活かしていくかということに集中できることが嬉しい。

    これまで、センサーを購入しても、ソフトウェアを一から開発しなくてはならないため、ソリューションの開発を敬遠気味だった企業も多い。

    しかし、「この機会に同センサー「BHI260AP」を導入して新たなデバイスやサービスを開発してほしい」と述べた。

    ボッシュがセンサーだけではなく、AIを搭載したソフトウェアも含めたソリューションを提供することで、ウェアラブルデバイスの利便性が高まったり、ウェアラブルデバイスを使った新たなサービスが生まれたりするイメージを強く持つことができた。

    2本目の記事では、実際にセンサーを搭載したデモ機でどこまでの精度が出るのか体験してみた。こちらもぜひ確認してほしい。

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  • ボッシュ、2020年の日本国内売上高は厳しい環境の中、黒字を達成

    ボッシュ、2020年の日本国内売上高は厳しい環境の中、黒字を達成

    ボッシュ株式会社は、2021年6月17日オンラインにてボッシュ・グループ年次記者会見を開催した。

    2020年、世界ならびに日本は、コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、生活、仕事、移動など、様々な場面で変化が起き、経済にも大きな影響を与え危機的状況であった。

    今もなお、自動車業界全体はパンデミックならびに世界的な半導体不足という困難に同時に対応しなければいけないという厳しい状況である。ボッシュは現在の状況から、厳しい1年となることを予想しているが、今後も、ボッシュのスローガンである「Invented for life」を掲げてポートフォリオの更なる拡大を図り、人々や生活に役立つ革新的な技術を提供するとした。

    日系自動車メーカーへの売上は昨年比16%減

    日本のボッシュ・グループ、2020年の業績
    日本国内の2020年の業績

    ボッシュ・グループの2020年の売上高は昨年比-6.4%の715億ユーロであったが、2020年12月31日現在、ボッシュ・グループの従業員数は世界で395,000名在籍している。「これは、危機的な状況にも関わらず、安定した雇用を維持できていることを意味している」とボッシュ取締役副社長クリスチャン・メッカー氏は述べた。

    2020年ボッシュの日本における第三者連結売上高は、昨年比16%減の2,690億円となったが、幅広いポートフォリオにより、黒字を達成した。
2020年のボッシュのビジネスは、主にパンデミックの影響で春に大きく落ち込み、5月に底を打った。しかしながら、年の後半に規制が緩和されると景気が持ち直し、ボッシュも売上高の減少を埋め合わせることが出来た。「結果として、厳しい状況下においても、年初の予測よりも大きく上回る業績を上げることが出来た」とメッカー氏は述べた。

    さらに、メッカー氏は、「同社では2021年の自動車生産台数は、2019年の9,200万台を大幅に下回ると予測している。このような状況下においても、日本のボッシュ・グループの2021年の売上高は2桁増となることを見込んでおり、2021年第一四半期は、好調なスタートを切ることが出来た」と述べた。


    ソフトウェア企業になるための取り組み

    「自動車業界はPACE、つまり、Personalized(パーソナライズ)」「Automated(自動化)」「Connected(ネットワーク化)」「Electrified(電動化)」を軸とした取組において過渡期を迎えている。これらの過渡期においては、車載ソフトウェアの重要性が年々高まっている。」とメッカー氏は述べた

    自動車市場において、PACEは自動車メーカーにとって純粋な走行性能ではなく、差別化を図るための重要な要素だ。これにより、より高度なエレクトロニクスとソフトウェアへの移行が加速される。これは、ソフトウェア集約型の自動車用電子システムが、業界の中核をなすものになりつつあることを意味しているとした。

    ソフトウェア開発の新事業部を設立

    クロスドメイン コンピューティング ソリューション事業部概要図
    クロスドメインコンピューティングソリューション事業部の概要図

    「当社は40年近くにわたって、社内で車載ソフトウェアの開発に取り組んできたが、各部門が個別に取り組む従来型のソフトウェアエンジニアリングは限界に近付きつつある。

今年1月、同社はクロスドメインコンピューティングソリューション事業部(上の画像)を新設した。これは、重要性の高まる車載ソフトウェアとエレクトロニクスに対応するものであり、ボッシュがソフトウェアのリーディングカンパニーを目指すうえでの布石となる」と同社クロスドメインコンピューティングソリューション事業部の事業部長エドウィン・リーベマン氏は、述べた。

    

車載ソフトウェアは、自動車を発展させる上で重要な役割を担うものであり、同社ではソフトウェア集約型電子システム分野の市場規模は200億ユーロにのぼると見ている。また、2030年まで年間15%成長すると見込んでいる。この傾向は同時に、業界に課題をもたらし、特に自動車エンジニアリングの複雑さをかなり増大させているとした。

    車両コンピュータ、制御ユニットおよびセンサーの円滑な相互作用は、今後必須となる。これは、多くの個別ECU(エンジンコントロールユニット)を持つ現在のE/E(電気/電子)アーキテクチャにとって課題となる。したがって、集中型アーキテクチャと、完全互換性のある電気・電子部品も、非常に重要な要素となる。

E/Eアーキテクチャとは、ECUやセンサー、アクチュエータなどをつないだクルマを構成する大きなシステムの構造のことである。

    ボッシュでは、新しいE/Eアーキテクチャとビークルコンピューターを用いて、この変革の道筋を立てている。ボッシュは、将来の車両システムの複雑性を軽減する新しいE/Eアーキテクチャの開発を行っている。この開発の中心にあるのは、今日のドメイン特有のE/Eアーキテクチャから、非常に多くの個々のコントロールユニットの代わりに、ごくわずかの非常に強力なビークルコンピューターのみを使用する、領域横断的な集中型E/Eアーキテクチャへの移行である。

したがって、ビークルコンピューターは、ボッシュがソフトウェア集約型電子システムにおいて主導的な役割を拡大しようとする取り組みの中心となっている。

    同事業部は、機能配分の柔軟性を高めるとともに、統合および制御を簡素化する。このため、ソフトウェアの主要な機能はすべてわずか数台のコンピュータに集約され、ますます増加する機能を管理することができる。

リーベマン氏は「車載ソフトウェアの機能性を実現するだけでなく、ネットワークサービスが拡大する中で、ソフトウェアとクラウドがどのように相互に作用し、データをやりとりするかを検討しなければならない」とした。

    Microsoftとの協業による自動車とクラウドをシームレスに結ぶソフトウェアプラットフォーム開発

    ボッシュ・Microsoft、協業により、プラットフォーム開発
    ボッシュ・Microsoft、自動車とクラウドをシームレスに接続するソフトウェアプラットフォーム開発により提携

    ボッシュはMicrosoftと提携し、自動車とクラウドをシームレスに接続するソフトウェアプラットフォームの開発に取り組むことを発表した。このことは、エンド・ツー・エンドの車両ソフトウェア・エコシステムの複雑性の管理に貢献する。今回の協業により、ミドルウェアからクラウドベースのソフトウェアサービスに至るまで、深層組み込みの車載ソフトウェアからソリューションを提供することが可能となるという。

    

リーベマン氏は「同事業部により、同社は単一部門から車載エレクトロニクスとソフトウェアを客に提供できるようになる。日本では、国内外における強力な事業展開によってドイツと同様に、運転支援および自動運転、コネクテッドインフォメーションソリューション、アドバンストネットワークソリューション、E/Eアーキテクチャの4つの分野すべてをカバーしている。同社は日本の自動車メーカーに、トータルソリューションを提供することが可能である」とした。

    eモビリティの取り組み

    近年、自動車メーカーは急速に電動化に向けて動いている。ボッシュでは、電動化への準備を以前から進めて来た。

    メッカー氏は、「2021年は、昨年の5億ユーロを超える7億ユーロをeモビリティに投資する予定である。これまでのeモビリティへの累計投資額は、50億ユーロにのぼり、eモビリティは、当社の中核事業のひとつとなりつつある
しかし電動化とは、バッテリーだけの電気自動車に頼ることではない。燃料電池ソリューションの量産に向けた準備も進めている。燃料電池システムに必要な各種コンポーネントを開発し、コンポーネントから統合システムに至るまで、製品を市場に提供する準備を整えている」とした。

    メッカー氏は
「モビリティのニーズは国によって、また個人によっても異なる。だからこそボッシュは、技術に対してオープンで幅広いアプローチをとり、サステイナブルかつそれぞれの好みに応じた手頃なモビリティを実現するために、様々なパワートレイン・コンセプトに注力している」とした。


    パワートレイン部品を研究・開発

    パワートレイン部品、研究と開発の概要
    ボッシュが行うパワートレインへのアプローチ概要

    ボッシュは、ハイブリッド、電気自動車(EV)、燃料電池車向けのパワートレイン部品の開発を進めている。また、内燃機関の高効率化を進めるとともに、合成燃料、いわゆるeFuelを活用できるよう研究している。

    また、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンも、eFuelを使うことでカーボンニュートラルになる可能性がある。eFuelの使用により、世界で13億台以上の自動車がカーボンニュートラルになると見込んでいるという。すべての車両を再生可能エネルギーで動かすことができてはじめて、意欲的な気候保護目標を達成することができるとした。

    充電インフラをサポートするソリューション

    eモビリティ拡大のための充電ステーション欧州内20万以上設置
    eモビリティ拡大のための充電ステーション欧州内20万ヵ所に設置。

    世界市場、とりわけ中国、米国、欧州において電動化が急速に拡大している。eモビリティの更なる拡大を確保するためには、包括的で使いやすい充電インフラが不可欠である。ボッシュは、包括的で柔軟な電動化システムまたはコンポーネントのポートフォリオを提供しているだけではない。充電インフラをサポートするためのインテリジェントなソリューションを、エンドユーザー、企業、充電ステーションの運営者に提供している。


    ボッシュが提供する充電サービスにより、電気自動車のドライバーは、公共の利用可能な充電ステーションを簡単に検索し、探すことが出来る。現在、欧州全域で20万以上の充電ステーションが、拡大を続けるボッシュの充電ネットワークの一部となっている。
充電スポットをネットワーク化することで、ドライバーの利便性向上と個々の要望への対応が可能となる。コンビニエンスチャージングは、代表するソリューションのひとつである。

    コンビニエンスチャージングにより、電気自動車のドライバーは、常にバッテリーの有効範囲と計画された経路上における充電スポットを把握することが出来る。経路、充電スポット、充電中のサービスについての推薦を受信することが出来るのだ。これらの推薦はすべて、ドライバーの個々の好みにあわせたものとなる。 日本においては、サービス実現のための潜在的なパートナーを探しているとした。


    電動ブレーキブースター「iBooster」、日本での製造開始

    電動ブレーキブースター「iBooster」
    ボッシュが日本で製造を開始する電動ブレーキブースター「iBooster」の本体。

    「より燃料効率の良いパワートレイン、そしてより安全な運転支援機能の達成に向けた需要拡大に対応するためには、車両はモジュール式でスケーラブルな無負圧にも対応したブレーキシステムを搭載する必要がある」とメッカー氏は述べた。

これらの需要に対応する上で重要な役割を果たすのが、「iBooster」だ。

    「iBooster」は、負圧を必要とせず、ペダルフィーリングのカスタマイズ、衝突被害軽減ブレーキの性能向上、そして自動運転下における冗長性など、高性能なブレーキ性能を実現する新しい電動ブレーキブースターである。ボッシュは、2013年に他社に先駆けて電動ブレーキブースターの第1世代を市場投入した。 これまでの「iBooster」の累計出荷台数は、1,000万台以上にのぼる。また、「iBooster」の主な利点は、自動化および電動化に対する先進的な取り組みを進める日本の自動車メーカーとの親和性が高いと見ている。そこで、2022年後半から日本で「iBooster」の製造を開始することを決定したと発表した。

    メーダー氏は、「日本において「iBooster」の製造を開始するだけでなく、日本の自動車メーカーの小型車に対する要望に対応するため、「iBooster」の小型車向け派生製品「iBooster Compact」の開発を進めている。量産開始は2022年の予定で、現在、複数の自動車メーカーと導入の検討を進めている。なお、「iBooster Compact」も日本での製造を予定している」とした。

    「iBooster」は、高速での圧力上昇により、緊急自動ブレーキ作動時の制御距離の短縮が可能になり、今後求められる「NCAP(新車アセスメントプログラム)」の要求にも対応できる。
ボッシュでは、電動ブレーキブースター市場は、2020年から2027年にかけて年率20%以上で拡大すると見込んでいる。

    この市場拡大は、自動化と電動化を推進する複数の市場要因によってもたらされるとした。自動化の側面では、アクチュエーターの冗長性、「NCAP」を含む消費者テストや法規制の厳格化が、電動ブレーキブースターの市場拡大を牽引している。電動化の側面では、ハイブリッド車や電気自動車は、低負圧・無負圧にも対応できる電動ブレーキブースターを必要としている。内燃機関車でも、負圧を低減する傾向にある。これにより、電動ブレーキブースターは多くの自動車メーカーに適した選択肢となっている。


    「iBooster」なしでより高いブレーキ性能を実現するには、ハイエンドのESC(横滑り防止装置)が必要である。また、ハイブリッド車および電気自動車においては、真空を得るための付加的な構成要素として電気バキュームポンプが必要となる。結果として、このようなシステムでは搭載工数が増加するだけでなく,自動ブレーキ機能の冗長化が達成できない。「このような背景から、「iBooster」はすでに市場に受け入れられており、今日の需要に適合した多くの車両に搭載されている」とメーダー氏は述べた。


    ボッシュでは、「iBooster」の搭載車両の増加に伴い、より多くの車両が緊急時に迅速に停止できるようになることから、より安全な道路環境につながると期待している。
「ボッシュにとって「iBooster」は次世代の主力製品になるとみており、国内における「iBooster」製造開始に対して、30億円の製造設備投資を予定している」とメーダー氏は述べた。


    AI、IoTの取り組み

    ボッシュのAIセンター(BCAI:Bosch Center for Artificial Intelligence)が設立から3年で約3億ユーロもの業績に貢献し、初期投資を回収
    ボッシュのAIセンター(BCAI:Bosch Center for Artificial Intelligence)が設立から3年で約3億ユーロもの業績に貢献し、初期投資を回収

    メーダー氏は、「ボッシュのAIセンター(BCAI:Bosch Center for Artificial Intelligence)が設立から3年で約3億ユーロもの業績に貢献し、初期投資を回収した」という。

    個々の特徴を学習し動きをトラッキングする「自己学習型AIセンサー」

    AIを活用したIoTの事例として挙げられるのが、フィットネストラッキングだ。フィットネストラッカーなどのウェアラブル・ヒアラブル市場の急成長により、エンドユーザーからの要件はますます厳しさを増している。使いやすさに加えて、エンドユーザーにとって最も不可欠な要素のひとつは、長いバッテリー寿命である。正確な歩数検出、アクティビティ認識、フィットネストラッキング、カロリー計算などの常時オンのアプリケーションの必要性がある。


    メーダー氏は、「ボッシュ・センサーテックは、この需要に応えるため、ウェアラブル向けに「自己学習型AIセンサー」を開発した。このセンサーは、フィットネストラッキング、ナビゲーション、機械学習分析および方向推定のような常時オンのセンサーアプリケーションに向けた、理想的なオールインワンソリューションを提供する」とした。

    「自己学習型AIセンサー」の特徴は、個人単位でカスタマイズできることにある。つまり、エンドユーザーが製品を購入した後、個々の体質や目的に合わせてパーソナライズ化することだ。


    「自己学習型AIソフト」は、事前に登録済みの15種類以上のエクササイズを標準セットとして活用することが出来るため、使用にあたり特別なトレーニングは必要としない。デバイスが、ユーザーのアクションを自動的にカウントする。また、ユーザーは元々設定されていない新たなフィットネスアクティビティをデバイスに追加し、個々のニーズに合わせてカスタマイズすることが可能だ。ユーザーがデバイスに新しいアクティビティを登録すると、デバイスが自動的にフィットネス活動を追跡する。


    リハビリテーションにおける仕様では、患者が病院のインストラクターとトレーニングのパターンを記録すると、自宅でリハビリのトレーニングをする際に、デバイス内のセンサーがコーチのような役割を果たすことが出来る。患者が正しい動作をすると、センサーが自動的にリハビリの回数をカウントする。


    「さらに、AIはセンサー自体で動作するため、クラウドとの接続は必要ない。これにより、インターネットへの接続を必要とせずに、データを非公開にし、アクティビティを継続的に追跡・分析することができる」とメッカー氏は述べた。


    臭いを検出する「ガス・センサーBME688」

    ガス・センサー「BME688」
    揮発性の高い硫黄化合物や口臭などを検出できる。ガス・センサー「BME688」 の本体。

    ボッシュ・センサーテックは個々の認識アルゴリズムをカスタマイズできる機能を備えた、他のAIセンサーの開発も進めている。それが、「ガス・センサーBME688」である。「ガス・センサーBME688」はメーカーが「AI Studioソフトウェア」を使用することで、家電、IoT 製品、スマートホームなど、特定の用途でガス・センサーをトレーニングすることができる。ガス・センサーは、食品腐敗の検知や、ガスの存在を検知して森林の火災をタイムリーに検出し、気温や湿度の変化を追跡するなど、カスタマイズした最新のアプリケーションに最適であるとした。


    メーダー氏は、「メーカーが食品の腐敗を検出できるセンサーベースの製品を開発したいと考えるならば、食品中のバクテリアが放つ揮発性の高い硫黄化合物による検知が可能だ。同様に、口臭や体臭も、センサーによって検出することが可能となる。また、歯周病の検知や、赤ちゃんのおむつの交換タイミング、介護施設での排せつ物の検知など、健康状態をチェックするセンサーとしての活用も期待されている」とした。


    製造工程におけるAIの活用

    また、ボッシュでは、製造工程における異常や不具合を早期に検出するAIベースのシステムを開発した。このAIソリューションは2021年中に、世界中の約50のパワートレイン工場の800以上の生産ラインにつなげる予定である。
ボッシュはAIソリューションは工場の効率化、生産性の向上、環境への配慮、製品の改善につながるとしている。

    その他の取り組み

    コロナウイルスへの対抗策として、ボッシュは世界的大流行が始まった当初に自社の「Vivalytic分析装置」向けに迅速PCRテストを開発した。当初は結果判明までに2時間半を要していたが、現在は30分以内で陽性判定を検知するまでに迅速化している。メーダー氏は「これは、ボッシュがより良い生活と社会づくりに貢献するために技術力を向上し続けているということを意味している」とした。

    カーボンニュートラル達成

    SFOCデバイス本体
    ボッシュのドイツ・ヴェルナウにて稼働が始まった、固定酸化物形燃料電池システム(SFOC)デバイスの本体。

    ボッシュは、2020年春に日本を含め世界400以上の拠点において、Scope1、Scope2のカーボンニュートラルを達成した。「2030年までに、当社ロケーションにおけるエネルギー効率の改善と再生可能エネルギーの拡大を図り、カーボンニュートラルの更なる質の向上に努める」とメーダー氏は述べた。

また、調達から販売する商品(いわゆるScope3)の排出に関しての取り組みも進めており、2030年までに、サプライヤーから顧客に至るまでのサプライチェーン全体で、2018年比で15%にあたる6,700万トンの排出量削減を目指すとした。

水素から熱や電気を取り出す新たな取り組みも、エネルギー供給の一部である。ボッシュのドイツ・ヴェルナウのロケーションでは、固定酸化物形燃料電池システム(SOFC)を導入し、昨年6月から稼働している。

    メーダー氏は、「ボッシュでは、SOFCシステムの市場規模が2030年には200億ユーロに達すると見込んでいる。 日本においてもSOFC専門チームを立ち上げ、日本でのビジネスを開拓する可能性を模索している(上の画像)」とした。

    「密」を検知し警告する「Crowd Detection(クラウド・ディテクション)」

    Crowd Detection、製品概要図
    インテリジェントカメラを用いて位置情報を取得、密を検知し警告する製品「クラウド・ディテクション」の本体。

    世界は、コロナウイルスのパンデミックにより、従業員と顧客の両方にとって安全な環境を維持しながら、どのようにして店舗や施設を稼働させ、業務を継続するかということを中心に、新たな課題に直面しており、人や企業の機能は世界中で変化している。このような状況下において、ボッシュのビルディングテクノロジー部門は、「クラウド・ディテクション」を開発した。

    「クラウド・ディテクション」とは、カメラベースのボッシュ ビデオ アナリティクス アルゴリズムを使用して、特定エリアの密レベルを検知し、アラートを出すソリューションである。

    「クラウド・ディテクション」は、位置情報を取得するインテリジェント監視カメラを用いることから、ビデオ分析ソフトウェアは必要ない。「ショッピングモールや空港など、特定のエリアにおける密状態を測定し、所有者が利用者に対して警告メッセージを伝えることができるようになる」とメーダー氏は述べている。


    密集を検出する「People Counting Visualization System(ピープル カウント ソリューション)」

    ピープルカウントソリューション概要図
    「People Counting Visualization System(ピープル カウント ソリューション)」、ボッシュの「People Counting」と、Philipsの「デジタルサイネージ用ディスプレイ」を組み合わせ、事前に設定した一定の人数を超えた場合アラートを表示する。

    更に、店舗など特定のエリア内における実際の人数を把握するために活用できるソリューションとして、「People Counting(ピープル・カウント)」も開発している。2020年11月、ボッシュセキュリティシステムズ株式会社はPhilips社と共同で、ボッシュの「ピープル・カウント」と、Philipsの「デジタルサイネージ用ディスプレイ」を組み合わせた「People Counting Visualization System(ピープル カウント ソリューション)」を日本市場に投入した。これにより、密であることの周知を図り管理することが、より効率的かつ効果的に実践できるようになるという。


    「ピープルカウントソリューション」は、ボッシュのインテリジェント監視カメラを用いて特定のエリアに出入りする人数をカウントし、事前に設定した一定の人数を超えた場合、Philips社のデジタルサイネージ上で警告表示を出す仕組みとなっている。特定エリアや店舗のオーナーは、スクリーン上の警告表示を自由に変えることができるソリューションである。

「ビデオアナリティクス内蔵のボッシュのカメラは、人数のデータを直接Philips社のディスプレイに送信し、客や関係者向けにディスプレイに情報を表示することで、密状態を管理し、ソーシャルディスタンスの確保を支援する」とメーダー氏は述べた。


    メーダー氏は、「ボッシュは、すでにネットワーク対応の電動工具、家電製品、ヒーティングシステムを約1,000万台販売しており、アクティブユーザーの数は増加傾向にあるとし、トータルで、ボッシュのエレクトロニクス製品の90%以上がネットワーク化機能を装備している。加えてボッシュは2025年までに全製品にAIを搭載する、または開発や製造にAIを活用することを目指している」とした。

  • ニューノーマル時代の提案の中心となったデジタルヘルス ーCES2021レポート7

    ニューノーマル時代の提案の中心となったデジタルヘルス ーCES2021レポート7

    フルオンラインで開催された、CES2021。レポートの第七段は、デジタルヘルスに関してだ。

    多額の旅費をかけずに日本から最新の発表にアクセスできる敷居の低さの反面、歩けば大量の情報がやってくるリアルな展示会と異なり、選択的に情報にアクセスしないと全体像が把握しづらいデメリットがあったと感じる。

    その中でも、キーノートや各主要プレーヤーの展示内容から筆者が感じた潮流が二つある。

    それは、「ホームエクスペリエンス」と「デジタルヘルス」の二点だ。

    コロナ禍の世界情勢を鑑みて今年中心的な訴求になった事は必然的と言える。

    とは言え、「ホームエクスペリエンス」はIoT、5G、AR/VRが商用レベルになってきた頃から提案が続けられてきたし、「デジタルヘルス」も新型コロナ以前に人生100年時代が叫ばれて以降、業界を問わず関心の的であった。両方とも消費者の根源的な需要に沿っているため一過性のトレンドではなく、今後暫くあらゆる業界で中心的な訴求対象になるだろうと思う。

    今回は今年のCESで提案のあったデジタルヘルス提案についていくつか取り上げる。

    針を使わずに血液の情報を可視化するテクノロジー

    各種スマートウォッチや、カメラだけで心拍数を測る技術をはじめ、バイタルデータを読み取るテクノロジーの発展は近年目覚ましい。大がかりな医療機器ではなくコンシューマーユースのデバイスに落ちてきている所が重要なポイントだ。

    その中でも、これまでは注射針を刺したり採血をしないとわからなかった血液内の数値も皮膚に針を刺さずに可視化できるテクノロジーが興味深い。

    ニューノーマル時代の提案の中心となったデジタルヘルス ーCES2021レポート7
    血糖値を可視化するウェアラブルデバイス

    これまでも皮膚に少しだけ針を刺して血糖値をリアルタイムに測るデバイスは市場に存在してきたが、クォンタム・オペレーション社が開発したウェアラブルデバイスでは、それを針を使わず皮膚の上からのセンシングで可能にするという。日本のスタートアップだ。

    まだ開発段階で、精度も針を刺すタイプの血糖値測定機器と比べて差があるようだが、血糖値のチェックは医療的な目的以外にもダイエットや眠気の管理など用途のすそ野は広いと思われ、今後の製品化が期待される。

    貧血を可視化するホームデバイス BOSCH「hb VARIANT」

    ニューノーマル時代の提案の中心となったデジタルヘルス ーCES2021レポート7
    貧血を可視化するホームデバイス BOSCH「hb VARIANT」

    産業機械や電動工具のイメージが強いボッシュからも、デジタルヘルス機器の製品の発表があった。

    「hb VARIANT」「hb+ VARIANT」と名付けられた手の平大のデバイスで、血中のヘモグロビンを指先のスキャンのみで測定するという。これにより貧血症を可視化する事が可能となる。

    貧血はWHOの推定によると世界で約16億人が潜在的に悩まされているポピュラーな症状であると同時に、妊産婦死亡の原因の44%を占める重大な症状でもあるという。

    このような貧血症を手軽にモニターする事ができるこのデバイスは、特に医療の整備が十分でない地域で役に立つことが期待される。医療が整備されていない地域では、注射針の使用も衛生面からリスクが高まるが、針を使わないのであればその心配もいらない。同社はこの製品でCESイノベーションアワードを受賞している。

    ニューノーマル時代の提案の中心となったデジタルヘルス ーCES2021レポート7

    デバイスに指を入れて指先をスキャン。30秒程度で完了するという。

    血圧と体重を医師が遠隔でモニタリングするOMRON VitalSight

    ニューノーマル時代の提案の中心となったデジタルヘルス ーCES2021レポート7
    オムロン VitalSightは、プラグ&プレイ、電源を入れるだけで始められる

    オムロンが発表したのは血圧計と体重計をコネクテッドさせ、医療クラウドに繋ぐ事で高血圧患者の自宅での遠隔医療を可能にするシステムだ。

    コネクテッドされているため、ユーザーは毎日いつも通り血圧や体重を測るだけで数値が自動的に記録される。

    記録されたデータは医師と直接つながっているため、異常値や観察を必要とする数値になった時には医師からアラートが出せる。

    コンセプト自体はIoTデバイスとしては順目であり、もちろんこれまでも同様の提案が各社からあった。テクノロジーとしても目新しい技術が組み込まれている訳ではない。重要なのは、非常に実用の現実味が高いという点だ。要するに使うハードルが低いのだ。

    VitalSightに見る、日々のルーティーンを変えずにコネクトすることの重要性

    IoTの普及においてこの点は非常に重要である。

    いかにベネフィットがあっても、日々の習慣を大きく変えたり、新しい習慣を取り入れたりする事は多くの人にとって大きなハードルとなる。端的に言えば面倒くささが勝ってしまう。使い慣れないテクノロジーめいた機器なら尚更だ。

    体重を測ったり、特に血圧に不安を抱える人にとって血圧を測ることは、日々のルーティーンに十分組み込んでいける行為だろう。特別な事をせずに、日々のルーティーンがそのままコネクテッド化される事は、日常生活のDXの在り方として望ましい。

    ニューノーマル時代の提案の中心となったデジタルヘルス ーCES2021レポート7
    ルーティーン化するためのチェックシートも提案されていた

    IoT普及のもう一つのハードルが接続設定だ。

    特に家のWi-Fiに繋いだり、スマホのBluetoothを介して接続設定を行うのはなかなか厄介だ。

    全く不得手なユーザーも多いし、そのためのサポートを考えると提供側のオペレーションコストも悩みの種だ。

    VitalSightには事前設定が済んだデータ送信ハブも予めセットされており、ユーザーは電源を入れるだけで、コネクテッドされたサービスを受ける事ができる。
    革新的なテクノロジー以上に、こうしたUXの満足度の高さが普及には欠かせない。

    また、VitalSightは医師が処方する事を前提にしており、北米では医療保険の対象となるようだ。UXのシンプルさもさることながら、ユーザーの手に渡るまでのストーリーもしっかりデザインされていると感じる。

    毎年CESではヘルスケア関連の展示はメイン会場とは異なる会場(LVCCをメインとするならば)に並ぶことが通例だったが、おそらくこうしたデジタルヘルス関連の訴求はこれから中心的な存在感を出していくように思う。

    新型コロナへの傾向と対策が徐々に見えてきた昨今、各社のデジタルヘルスとの向き合い方に注目していきたい。

  • 日本国内の売上高は厳しい環境の中、前年比1%増を達成ーボッシュ・グループ年次記者会見2020レポート

    日本国内の売上高は厳しい環境の中、前年比1%増を達成ーボッシュ・グループ年次記者会見2020レポート

    自動車部品メーカーのボッシュ株式会社は、2020年6月8日にボッシュ・グループ年次記者会見を開催した。

    ボッシュは、2020年は元々の厳しい状況の予想に加え新型コロナウイルスの影響もあり、さらなる厳しい状況が予測されるが、「Invented for Life」をスローガンに掲げ、これまで通りのロードマップを進め、良い社会と生活に役立つソリューションを提供するとした。

    日系自動車メーカーへの売上は10.2%増

    日本国内の2019年の業績
    日本国内の2019年の業績

    ボッシュ・グループのグローバルでの売上高は777億ユーロとなり、前年と同水準を維持した。その売上高の約8%に相当する61億ユーロを研究開発費として投じたという。これは、ボッシュの目指す未来のモビリティ「PACE」(パーソナライズ化、自動化、ネットワーク化、電動化)における技術革新や、IoTやAIのような将来の成長分野へ投資される。

    日本における第三者売上高は、約3,300億円だった。グローバルの自動車市場が縮小し、厳しい環境になったが、日本においては前年比約1.0%増となった。売上高の90%がモビリティソリューション事業が占めており、横滑り防止装置やセーフティシステム向け製品などが売上に貢献した。

    また、ボッシュの全世界における日系自動車メーカーへの売上は、2013年からこれまで前年比、年平均2桁の割合で増加している。2019年もまた前年比約10.2%で成長しており、日系自動車メーカーの世界での自動車生産台数が前年比でやや減少したことを踏まえると、日系自動車メーカーに対するボッシュの売上が拡大したことを意味している。

    しかし、2020年は自動車業界にとって厳しい1年になると予想しているという。新型コロナウイルスの影響により、状況が流動的であることから、現時点では業績見通しの公表は控えるとしている。

    日本国内の事業のハイライト

    自動化により交通事故を限りなくゼロに

    ボッシュの試算では、横滑り防止装置(ESC)と自動運転技術を使用することで交通事故を防ぐ可能性は高めることができる
    ボッシュの試算では、横滑り防止装置(ESC)と自動運転技術を使用することで交通事故を防ぐ可能性は高めることができる

    ボッシュが自動化を進める最大の理由は、交通事故を限りなくゼロに近づけるためだ。

    ESCは量産開始から25周年が経ち、2億5,000万台以上を生産してきた。ボッシュの試算では、横滑り防止装置と、アメリカ自動車技術者協会(SAE)が定義するレベル1の運転支援システムを組み合わせることで、ドイツ国内での交通事故を最大45%防ぐ事がわかっているという。さらに、レベル2以上の部分的な自動運転により、交通事故の26%を防ぐ、または衝突被害を軽減できると試算しているとしている。

    さらなる事故削減効果が期待される運転支援システムとして、側方レーダーを活用したシステムがある。ボッシュは、2020年に新世代の側方レーダーの量産を開始する。これにより現行システムを補完し、より高度な検知を可能にするという。

    電動化されたサステイナブルなモビリティを提供

    ボッシュは2022年に燃料電池の市場投入を予定
    ボッシュは2022年に燃料電池の市場投入を予定

    地球環境に配慮したサステイナブルなモビリティを提供するためには、排出量の削減に注力する必要がある。

    ボッシュでは、高効率の内燃機関からeモビリティ、燃料電池に至るまでの様々なパワートレインを手頃な価格で提供することを念頭に置いた開発を進めているという。パワートレインとは、エンジンで作られた回転力を駆動輪へと伝える役割を担っている装置類のことである。エンジンやクラッチ、トランスミッションなどが含まれる。

    電動化におけるひとつのソリューションとして、2019年にローリングシャシーの提案を開始した。ローリングシャシーは、ボッシュの電動パワートレイン、電動ブレーキシステムや電動ステアリングなどをフレームに搭載している、電気自動車向けのプラットフォームだ。

    このローリングシャシーはベントレー社と共同で開発を行っており、駆動可能な状態で提供できるため、開発における時間短縮や効率性の向上に貢献するという。

    また、ボッシュとベントレーはピニンファリーナ社と戦略的提携を締結した。この提携で、電気自動車のプロトタイプの構築から生産開始までに至るまで、開発工程すべてを網羅することが可能になった。

    ボッシュではまた、燃料電池パワートレインの開発も積極的に進めている。2022年に燃料電池の市場投入を予定しており、日本市場向けに燃料電池コンポーネントを開発中だという。

    ネットワーク化を強化する新事業部を設立

    コネクテッドモビリティソリューション事業部を設立
    コネクテッドモビリティソリューション事業部を設立

    2025年までに、グローバルで4.7億台の車がネットワーク化されると予測されている。ボッシュは日本においてもこのビジネスチャンスを獲得すべく、2020年にコネクテッドモビリティソリューションズ事業部を立ち上げた。同事業部は、ボッシュが展開するネットワーク化にまつわるソリューションを統合し、包括的なサービスを提供することを可能にする。

    2020年2月からは、駐車場向けセンサーの提案を開始した。

    このセンサーを駐車スペースに簡単な接着剤で設置すると、センサーが空き状況を検知し、検知した情報を無線でサーバーに送ることで、駐車スペースの空き情報がマップデータにリアルタイムで取り込まれる。ドライバーはインターネットなどからこのマップデータにアクセスし、空きスペースの予約ができるという仕組みだ。

    駐車スペースの検索がより簡単になり、ドライバーが駐車スペース探しにかける時間を短縮するだけでなく、駐車スペースを探す際に排出するCO2の削減にも貢献する。

    世界有数のAIを駆使したIoT企業へ

    ボッシュが進めるネットワーク化は、モビリティだけではなく、製造業、ロジスティクス、スマートホーム、農業に至るまでの、多岐にわたる業界にビジネスを展開しているという。

    ボッシュは、世界有数のAIを駆使したIoT企業に成長することを目指しており、こうした勢いを更に加速させるために、2020年1月にIoTを中核とした活動を集約する新たな子会社Bosch.IOを設立した。

    Bosch.IOは日本において、スマート農業サービス「Plantect」を展開している。Plantectは病害予測AIが特徴のサービスであり、ハウス栽培における生産性や作物の品質の向上に貢献するとしている。

  • ボッシュ、IoTソリューションを推進する新会社「Bosch.IO」を設立

    ボッシュ、IoTソリューションを推進する新会社「Bosch.IO」を設立

    ボッシュは、IoTソリューションを中核とした新子会社Bosch.IO GmbHを設立した。同社は、旧Bosch Software Innovations GmbHと、ボッシュの他のIoTやデジタル専門家チームが結びついて誕生しており、IoTソリューションの推進、コンサルティングから実装、運営までのすべてをカバーする。

    同社は、IoTおよびデジタル分野のエキスパート900名超を雇用した。従業員は、小売、エネルギー、ビルディングテクノロジー、農業、製造、消費財、モビリティなど、豊富な業界経験を有する、ハードウェアとソフトウェアの開発者、クラウドの専門家、ソリューションアーキテクト、プロジェクトマネージャー、ユーザーエクスペリエンスデザイナー、ビジネスモデルイノベーター、トレーナーなどである。

    ボッシュCDO兼CTOのミヒャエル・ボレ氏は、「Bosch.IOは、道路や工場のフロアから自宅や現場に至るまで、すべてにおいてモノのインターネット化を進めます」と語った。

    Bosch.IOの根幹をなすのは、IoTソリューションの中心となるテクノロジープラットフォーム「Bosch IoT Suite」だ。すでに1,000万を超えるセンサー、デバイス、機械を、ユーザーおよびビジネスアプリケーションに接続した実績を有しており、IoTソリューションにおけるボッシュの中心的なソフトウェアプラットフォームとなっている。

    業界別の高度に専門化されたソリューション以外にも、Bosch IoT Suiteの特定のサービスは様々なアプリケーションに使用することが可能だ。複雑で膨大な労働力を要する基本タスクは一度の実施で済み、開発および運用効率を向上する。例えば、デバイスのネットワーク化や管理のためのサービス、ならびにソフトウェアとファームウェアのOTAアップデートなどにより、車両群やセキュリティカメラから機械類まで、すべてを常に最新の状態に保つことができる。

    また、Bosch.IOのプロジェクトでは、ボッシュの3万人近いソフトウェア開発者およびAIエキスパートと協働する。これにより、AIテクノロジーが将来のIoTやデジタルプロジェクトで果たす役割がより顕著になることが予想される。一例が、ビッグデータから機械学習用規則を導出するためにデータマイニング手法を使用することだ。そこから得られた知識により、さまざまなメーカーの家電製品を安全かつ便利に制御することができる。

    画像比較ツールにもAIは役立つ。Bosch.IOでは、画像比較ツールを偽造防止ソリューションであるSecure Product Fingerprintの一部に使用している。同ツールは、製品の表面を識別するため、消費者や法人顧客が模造品から効果的に身を守る手段となる。AIアシスト手法では、二輪車が事故に巻き込まれたことを確実に検出し、緊急通報システムを自動的に作動させることも可能だ。

    なお、同社は、本社をベルリンに構え、ドイツ、ブルガリア、中国、日本、シンガポール、スペイン、米国にも拠点を展開するとした。