カテゴリー: スマートビルディング

施設自体だけでなく、施設の中のヒトやモノを最適化する動きが進んでいる。これまでの施設保守の枠を超えて、施設の中にいるヒトがより快適になり、そこで行われる経済活動をよりよくするための取り組みをここでは紹介する。

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スマートオフィス・ビル・店舗とは
働き方改革の影響もあってか、オフィス環境のスマート化が進んでいる。会議室やトイレの空き状況管理や、在席状況の可視化、セキュリティ管理など、様々な面でのスマート化が進んでいる。

一方で、必要な場所だけ電気を点灯したり、空調を調整したり、するような取り組みはビル全体のスマート化が必要となる。ビルに設置されたジェネレータやエレベータなどの設備状態の管理は以前から行われていたが、ネットワーク化することで細かな状態を集中管理する取り組みが進みつつある。

また、店舗では、顧客の導線調査や混雑状態の可視化といったこれまで実現できなかったインストアマーケティング情報の取得や、顧客のフリクション(摩擦)を極小化するための取り組み、CRMを実現する取り組みなど、様々な取り組みが始まっている。

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基本と事例
スマートオフィス・ビル・店舗の基本と事例を紹介します。

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「顔認証」で買える杭州KFC、キャッシュレスの先にある購買行動
モバイルオーダーとウォークスルー決済でスムーズな買い物体験を提供
スマートロックで従量課金型コワーキングスペースを実現
シェア向上や需要予測などにレジカートやAIカメラ搭載棚を活用

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店舗運営の省人化

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記事一覧

  • NEC、顔認証技術とSSSのAIカメラを融合し光環境の変化に強い入退管理ソリューションを発売

    NEC、顔認証技術とSSSのAIカメラを融合し光環境の変化に強い入退管理ソリューションを発売

    日本電気株式会社(以下、NEC)は、顔認証技術とソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(以下、SSS)のAIチップを搭載したカメラ(以下、AIカメラ)を融合した、入退管理ソリューションを、2025年5月より販売を開始すると発表した。

    このソリューションは、SSSのイメージセンサによるエッジAIセンシング技術と、NECの顔認証技術により、これまで設置場所の光環境を理由に導入が困難だった業種やシーンにおいても、プライバシーやセキュリティに配慮した形で導入することができる。

    カメラ本体は手のひらサイズで、NECが開発した光環境の変化に強いAIモデルが搭載されている。このAIカメラとAIモデルを融合することで、窓がなく十分な照度を得にくい工場や倉庫、夜間に照度が変動する店舗、外光の影響を受けやすいテーマパークやスタジアムなど、従来、設置環境が原因で導入が難しかった施設でも導入できるようにしている。

    NEC、顔認証技術とSSSのAIカメラを融合し光環境の変化に強い入退管理ソリューションを発売
    ソリューションで使用しているAIカメラ

    また、状況に応じてリアルタイムで画質の最適化を実施し、カメラ内部で顔の特徴量抽出を行うことができるため、厳格な本人確認を実現しつつ、現場でのカメラごとの設定調整や運用管理の手間を軽減するという。

    さらに、顔画像をクラウドに送信する必要がないため、個人情報の漏洩リスク低減によるセキュリティ強化と管理コストの抑制を実現する。

    なお、この入退管理ソリューションは、今年の10月よりNECのセレスティン芝三井ビルディングにおいて先行利用が決定しているほか、SSSのグループ会社内での利用も検討されているとのことだ。

  • 大和ハウス工業、総合災害モニタリングシステム「DoKo-moni」を開発

    大和ハウス工業、総合災害モニタリングシステム「DoKo-moni」を開発

    大和ハウス工業株式会社は、気象や地震の情報を一元管理できる総合災害モニタリングシステム「DoKo-moni(ドコモニ)」を開発し、2024年12月2日から提案を開始した。

    「DoKo-moni」は、複数の施設や物件を管理する企業が、建物ごとの気象情報と地震情報を、クラウド上で一括管理することができる総合災害モニタリングシステムだ。

    このシステムは、株式会社ナレッジフォーサイトのリアルタイムモニタリング技術を活用し、建物に設置した加速度・風速・雨量などの各種センサやカメラのデータを一元管理する。

    地震発生時には、加速度センサで検知した揺れの大きさに基づき、1分程度で推定被害状況の取得が可能で、施設管理者に即時アラートを発報する。

    大和ハウス工業、総合災害モニタリングシステム「DoKo-moni」を開発
    アラート発信のイメージ

    システム画面には、加速度をもとに算出した震度と各階の推定被害状況が3段階で表示される。加えて、技術者向け情報として計測・推定した地震の時刻歴波形(地震の揺れの記録)や層間変位量(各階の間で生じる変位の量)も確認することができる。

    大和ハウス工業、総合災害モニタリングシステム「DoKo-moni」を開発
    システム画面のイメージ

    また、建物ごとに設置するセンサの種類・個数・設置場所・アラートの指定値を変更できるため、施設の仕様や立地などに応じて、システムのカスタマイズが可能だ。

    今後は、建物への大きな被害が懸念される雷やひょうなどのモニタリング情報も順次追加予定だ。

  • ジョンソンコントロールズ、 スマートビルプラットフォーム「OpenBlue」デジタルエコシステムのAI機能を拡張

    ジョンソンコントロールズ、 スマートビルプラットフォーム「OpenBlue」デジタルエコシステムのAI機能を拡張

    ジョンソンコントロールズインターナショナル(以下、ジョンソンコントロールズ)は、米国ウィスコンシン州ミルウォーキーにおいて、同社のスマートビルプラットフォーム「OpenBlue」のデジタルエコシステムの一部である「OpenBlue Enterprise Manager」において、AI機能を拡張したことを、2024年11月12日に発表した。

    このアップデートでは、顧客向け生成AIアプリケーションを導入したほか、より高度なオートノマスビル制御機能および、ユーザエクスペリエンスを改善した。

    生成AIを導入したシステムでは、気象データに基づくエネルギー使用量の分析など、ニーズを予測した実用的な提案などを通じ、省エネルギーと炭素排出量削減目標の達成を支援する。

    ユーザは、自律的なアクションを有効にしたり、システムからアドバイスを受けたりするとともに、独自の運用制限を設定することも可能だ。

    また、ビル全体から個々の機器に至るまで、設備のパフォーマンスとトレンドに関する詳細情報を取得することもできる。

    ユーザエクスペリエンスにおいては、デザイン、ナビゲーション、アクセシビリティにフォーカスした利用者体験がアップグレードされた。

    特に、スペース利用状況の管理を強化しており、建物の利用者による実際のスペース使用状況をより詳細に把握できるようになった。

    また、ビルの来訪者を詳細に分析することで、異常発生時の計画立案も支援する。管理者は、室内利用状況データに基づいて清掃などのサービスをスケジュールできるほか、センサメーカとのエコシステムにより、室内空気質モニタリングも改善する。

    なお、今回の機能強化は、2025年に予定しているAI機能の再拡張に向け、グローバル標準の性能基準への対応、コスト削減を可能にする設備の運用最適化、厳格化された法令規制などにフォーカスしたものなのだという。

    ジョンソンコントロールズのデジタル製品マネジメント担当バイスプレジデント ジュリウス・マークウィキィ氏は「お客様から、自社ビルについて、生成AIチャットボットにどのように質問を投げかけるべきかわからない、という課題を聞く。当社の生成AI機能は、商業ビル分野における長年の知見をもとに適切なプロンプトを自動的に生成する。本プラットフォームは130以上の項目で省エネ計画をトラッキングし、データ管理を改善するとともに、脱炭素化戦略の推進を支援する。また、自動エラー修正機能により公共料金の請求額の適切な管理をサポートする」と述べている。

  • 阪急阪神不動産・オプテックス・CoLife、マンションのオートロックドアをハンズフリーで解錠できるシステムを開発

    阪急阪神不動産・オプテックス・CoLife、マンションのオートロックドアをハンズフリーで解錠できるシステムを開発

    阪急阪神不動産株式会社、オプテックス株式会社、株式会社CoLifeは、阪急阪神不動産が展開する分譲マンション「ジオ」の入居者向けアプリ「geo life support」の新機能として、マンションの共用エントランスのオートロックドアをハンズフリーで解錠するシステムを共同で開発した。

    今回開発された「オートロックドアのハンズフリー解錠システム」は、オートロックドアのセンサを、オプテックスが企画・開発・販売を行う「OMNICITY(※)」に対応する製品への交換や追加で設置する工事を行うことで、オートロックドアをハンズフリーで解錠することができるものだ。

    ※OMNICITY:自動ドアの開閉制御機能のみであった自動ドアセンサにBeacon機能を追加することにより、対応アプリ搭載のスマートフォンと自動ドアセンサ間で通信を行えるようにしたソリューション。主な機能としてオートロックの解錠・クーポン配信連携・人流分析などがある。

    入居者は、「geo life support」アプリがインストールされたスマートフォンを所持した状態でオートロックの自動ドアのセンサの検知範囲に入ると、アプリと自動ドアセンサ、ならびにアプリのクラウドが通信を行うことで認証され、ハンズフリーでオートロックドアが解錠することができる。

    なお、同システムは、アプリの構築・運用を行うCoLifeが、オプテックスが開発する自動ドアセンサーと通信を行う「OMNICITY Key SDK」をアプリの機能として実装することで実現している。

    今後阪急阪神不動産では、阪急阪神不動産が分譲したマンションにおいて2025年に導入することが決定している他、新規物件への導入や既存の管理組合にも導入を提案していくとのことだ。

  • TOPPANエッジとデンソーウェーブ、QRコードを活用した「外部事業者入退システム」を提供開始

    TOPPANエッジとデンソーウェーブ、QRコードを活用した「外部事業者入退システム」を提供開始

    TOPPANエッジ株式会社と株式会社デンソーウェーブは、企業や団体のオフィスや工場において、外部事業者の入退時の認証と管理を行う「外部事業者入退システム」を連携して構築し、2024年11月5日より両社で販売を開始すると発表した。

    「外部事業者入退システム」では、顔写真からの顔情報収集と、QRコード化を行う。

    具体的には、TOPPANエッジの顔写真収集・認証クラウドサービス「CloakOne(クロークワン)」を活用し、外部事業者が顔写真を撮影することで、その顔情報からデンソーウェーブが開発したQRコード「顔認証SQRC(エスキューアールシー)」を発行し、外部事業者にインターネットで送付する。

    なお、一般的なスマホ端末などでは読み取れず、専用の認証カメラでのみ読み取りできるデータ保管領域にユーザの個人情報や顔情報を格納する仕様だ。

    外部事業者は、企業や工場の入門時、発行された「顔認証SQRC」を専用の認証カメラにかざし、認証カメラが入場者の顔と「顔認証SQRC」が持つ顔情報を照合する。

    TOPPANエッジとデンソーウェーブ、QRコードを活用した「外部事業者入退システム」を提供開始
    システムの構成と活用の流れ

    これにより、事前に「顔認証SQRC」に登録された顔情報と入場者本人をカメラで認証するため、人の目視による確認に比べて正確な本人確認が可能となるほか、外部事業者のなりすましを防ぐ。

    また、情報をサーバ上ではなくQRコード内に格納するため、サーバーレス・オフライン環境での顔認証が可能となるとともに、個人情報を事業者が持たないため、流出する危険性を防ぐことが可能だ。

    今後両社は、TOPPANエッジが提供する顔写真収集・認証クラウドサービス「CloakOne」と、デンソーウェーブの提供する食堂自動精算システム「DECSSY(デクシー)」・来訪者管理システム「Q-revo reception(キューレボ レセプション)」・勤怠管理などの各種セキュリティソリューションを連携させる計画だ。

  • DNPとパナソニック コネクト、大阪・関西万博の10万人規模の関係者入場に対応した顔認証システムを導入

    DNPとパナソニック コネクト、大阪・関西万博の10万人規模の関係者入場に対応した顔認証システムを導入

    2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)では、運営を担う協会職員、各国・地域・各企業のパビリオン参加者、メディア関係者、ボランティアスタッフなど、多数の関係者が入場する見込みで、ピーク時には1時間に5,000人以上が関係者ゲートを通過することが想定されている。

    こうした中、大日本印刷株式会社(以下、DNP)とパナソニック コネクト株式会社は、大阪・関西万博の運営を担う関係者の入場管理に使用する、関係者入場証および顔認証を活用した入場システムを導入した。

    このシステムは、10万人規模の関係者を対象に、会場内で関係者が利用する30台のゲート設備で、顔認証とQR認証を組み合わせた本人確認を行うものだ。

    他人の写真で通過するなどのなりすましや不正を見抜くことができるほか、逆光や暗闇など外乱環境に強い顔認証を実現しており、1時間に5,000人以上の顔認証できる環境を構築している。

    なお、システム導入にともない、2024年10月7日に、関係者入場証の発行と受け渡しを主業務とするADセンターを開設したとのことだ。

    DNPとパナソニック コネクト、大阪・関西万博の10万人規模の関係者入場に対応した顔認証システムを導入
    関係者入場証のイメージ
  • オカムラと日立、無人コミュニケーション店舗「CO-URIBA」を活用し交流を促進するオフィス空間づくりに向け共創

    オカムラと日立、無人コミュニケーション店舗「CO-URIBA」を活用し交流を促進するオフィス空間づくりに向け共創

    株式会社オカムラと株式会社日立製作所(以下、日立)は、日立が開発した無人コミュニケーション店舗「CO-URIBA(コウリバ)」の日立社内における活用の成果を受け、より良いオフィス環境を創造するための共創を開始した。

    具体的には、サイネージ、センサ機能、生体認証などを組み合わせた無人コミュニケーション店舗「CO-URIBA」を、オカムラのオフィスに設置する。

    ここでは、従業員が顔認証によるチェックイン後、手ぶらで商品を手に取ることで買い物が可能なほか、ありがとうクーポンの機能を活用して社内で感謝の気持ちを伝えることができる。

    オカムラと日立、無人コミュニケーション店舗「CO-URIBA」を活用し交流を促進するオフィス空間づくりに向け共創
    「CO-URIBA」のありがとうクーポンの利用イメージ

    これにより、感謝の気持ちを伝えあうことをきっかけとした遠隔地コミュニケーションの活性化の検証や、「CO-URIBA」が設置された空間の付加価値の検証などを行う。

    オカムラと日立、無人コミュニケーション店舗「CO-URIBA」を活用し交流を促進するオフィス空間づくりに向け共創
    オカムラ社内における「CO-URIBA」活用のイメージ

    今後は、オカムラと日立が「CO-URIBA」をコミュニケーション活性化ツールとして、さまざまな企業のオフィス拠点での展開を検討する。

    さらに、オカムラのソリューションと「CO-URIBA」を組み合わせて、従業員のウェルビーイングを向上させるオフィス空間の提案や、利用者データや購買情報、行動ログなどの活用による新たな価値創出を目指すとしている。

  • フォトシンス、「Akerun入退室管理システム」がAppleウォレットの社員証に対応

    フォトシンス、「Akerun入退室管理システム」がAppleウォレットの社員証に対応

    株式会社Photosynth(以下、フォトシンス)は、同社が提供する入退室管理を可能にするクラウド型サービス「Akerun入退室管理システム」が、Appleウォレットの社員証でも利用できるようになったことを発表した。

    これにより、企業の従業員などである利用者は、Appleウォレットに社員証を追加すると、iPhoneやApple WatchをNFC対応リーダにかざすことでオフィスにアクセスできるようになり、アプリを開いたり、従来のようなプラスチック製のカードキーをかざしたりする必要がなくなる。

    また、エクスプレスモードを使えば、利用する際にデバイスのスリープやロックを解除する必要もないほか、iPhoneの充電が必要な状況でも、予備電力機能によりオフィスや共用の施設やスペースにアクセスすることが可能だ。

    なお、Appleウォレットの社員証は、利用者のデバイス内に保存され、iPhoneやApple Watchに内蔵されたプライバシー機能とセキュリティ機能を活用し保護される。

    これにより、Appleウォレットに追加された社員証を使っても、Apple社に情報共有されたりApple社が管理するサーバに記録されたりすることはないという。

    また、利用者がiPhoneやApple Watchを紛失した場合でも、「探す」アプリを活用することで、一時的にデバイスをロックしたり、その現在地を確認することが可能だ。

  • イトーヨーカ堂と神戸大学、最適な空調管理を行う「AI スマート空調システム」を店舗に本格導入

    イトーヨーカ堂と神戸大学、最適な空調管理を行う「AI スマート空調システム」を店舗に本格導入

    株式会社イトーヨーカ堂と国立大学法人神戸大学は共同で、AIを活用した空調エネルギー削減システム「AIスマート空調システム」を、イトーヨーカドー店舗に本格導入した。

    「AI スマート空調システム」は、店舗内に設置されたカメラや温度計などのセンサによって収集された人流、温度、CO2濃度などのデータをAIが解析・学習することで、最適な空調管理を行うシステムだ。

    イトーヨーカ堂と神戸大学、最適な空調管理を行う「AI スマート空調システム」を店舗に本格導入
    「AI スマート空調システム」の概要図

    これにより、来店客数や室温の変化に応じた効率的な空調運用が可能となり、顧客が集中するフロアを効率的に冷却・暖房を行い、顧客が少ない時間帯には、空調の稼働を抑制することで、大幅なエネルギー消費量の削減を実現する。

    すでに、イトーヨーカドー八王子店では、2024年1月から「AI スマート空調システム」の実証実験を開始しており、空調に関わるエネルギーを約40%削減する効果が確認されているという。

    この実証実験の結果を踏まえ、順次イトーヨーカドーの約70店舗に「AI スマート空調システム」を導入することを目指すとしている。

    なお、この取り組みは、セブン&アイグループの環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」の一環として、2030年度までにグループ全体の店舗運営に伴うCO2排出量を2013年度比で50%削減し、2050年度には実質ゼロにするという目標達成に向けた取り組みとなる。

    イトーヨーカ堂は、同システムを約70店舗に導入することで、セブン&アイグループが掲げる2030年までのCO2排出量削減目標に対し、2024年度以降に必要な削減量の約4.2%(約 2.2 万トン)相当を見込んでいるという。

  • 東京都市大と清水建設、混雑するアリーナで場所や時間帯ごとにバイタルデータが異なることを精査

    東京都市大と清水建設、混雑するアリーナで場所や時間帯ごとにバイタルデータが異なることを精査

    東京都市大学都市生活学部 都市生活学科の高柳 英明教授と清水建設株式会社は、共同研究の一環で、スポーツスタジアムやアリーナなどの混雑環境における入退場時の観客人流の実態調査とその混雑評価を実施するとともに、人体装着型のバイタルセンサのデータ解析を行い、局所的な混雑の様態と体感的な快・不快の関連性を見出したと発表した。

    これまでのアリーナ設計では、観客の歩行動線を設計する際の指針としてサービス水準を用いてきた。しかし、この方法は均質で一様な数値指標のため、多様な形状の通路やホワイエでの適用が困難だった。また、実際の混雑状況における観客の感性(快・不快の度合い)の予測もほとんど不可能だった。

    そこで、今回の研究では、形状の多様性や、局所的かつ非定常な人流密度と、その体感的な快適・不快の度合いの連関を、被験者バイタルデータとの精査により明示した。

    具体的には、首都圏の実地アリーナ施設を対象とし、アリーナ観客の入退場時の混雑様態の現況調査をした。

    その結果、エリア・箇所ごとの群集密度の把握にあわせ、局所的かつ非定常に現れる歩行負荷を見出し、その事象の混雑評価を、人体装着型のバイタルセンサのデータおよび体感的な快・不快の度合いの関連性を見出した。

    東京都市大と清水建設、混雑するアリーナで場所や時間帯ごとにバイタルデータが異なることを精査
    スタジアム・アリーナ人流調査から得た体感的な「快・不快」の数値根拠

    一般的に「混んだ状態」と人々が認識している密度下であっても、感性反応(押しボタン反応回数)毎に見たEDA(ヒヤリ反応)とECG(ストレス反応)を見ると、ストレスの現示度合いに特異な傾向が見られる。

    例えば、下図の左上・下のグラフから、必ずしも群集密度が高い時にストレス度合いが高いわけではない事や、密度が低い時でも、突発的な遮り等による歩きにくさを感じる場合の方が顕著なストレス増になっている事が分かる。

    東京都市大と清水建設、混雑するアリーナで場所や時間帯ごとにバイタルデータが異なることを精査
    一様な指標「群集密度」「サービス水準」下でも体感的な差異がある

    また、幕間・インターミッション等の休憩時の行動、特に物販・トイレ利用などでは、動線を逆行する際の体感数値の評価も可能となった。

    両者は、これらの結果をもとに、比較的大規模なホールやスタジアム設計において、より人を中心に据えたデザインソリューションが期待できるとしている。

    なお、これらの研究成果は、日本インテリア学会論文報告集に掲載され、8月27日から30日に開催された日本建築学会大会で発表された。