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  • IDCがAIエージェント実運用に向けた予測を発表、「プロジェクトの65%が失敗する」背景にあるデータとKPIの課題とは

    IDCがAIエージェント実運用に向けた予測を発表、「プロジェクトの65%が失敗する」背景にあるデータとKPIの課題とは

    日本国内において企業のAI投資意欲は依然として高く、生成AIの導入が進む一方で、自律的に業務を遂行する「AIエージェント(Agentic AI)」の実運用はこれから本格化しようとしている。

    こうした中、IDC Japan株式会社は、ウェビナー「変化の潮流を見極める:Agentic AI実運用元年の企業戦略」を開催し、同社グループバイスプレジデントの眞鍋敬氏が国内市場の現状と将来展望を解説した。

    その中で、2026年からエージェントの実運用が順次開始されるという予測と共に、従来の指標で評価を行う多くのプロジェクトが失敗するリスクがあることが示された。

    AIエージェントの本番運用は2026年から本格化

    IDCの調査によると、国内企業の57.1%が今後3年間でAIへの投資を年間2桁パーセント増やすと回答しており、産業分野や企業規模を問わず投資意欲は非常に高い。

    IDCがAIエージェント実運用に向けた予測を発表、「プロジェクトの65%が失敗する」背景にあるデータとKPIの課題とは
    国内のAI投資動向

    2025年12月時点のデータでは、国内企業の50%以上が、全社的または一部の業務において生成AIを本番環境で利用している。

    一方で、利用していない残りの企業については、セキュリティの懸念やシステムの複雑さといった課題が、導入のブレーキになっている可能性が指摘されている。

    また、自律的にタスクを遂行する「AIエージェント」に関しては、本番導入率は約12%にとどまっているが、AIエージェントの概念実証(PoC)を実施中、あるいは単一業務で使用中の企業は約40%に達している。

    IDCがAIエージェント実運用に向けた予測を発表、「プロジェクトの65%が失敗する」背景にあるデータとKPIの課題とは
    国内企業の生成AIとAIエージェントの利用状況

    このことからIDCは、2026年にかけてAIエージェントが順次本番運用へ移行していくと予測している。

    これは、単なる「人間のアシスタント」としてのAIから、業務プロセスの一部を自律的に担う「自立型エージェント」への大きな転換点を意味する。

    このシフトに伴い、人間とAIの関わり方も変化するのだという。

    これまでは人間がチェックポイントとして介在する「ヒューマン・イン・ザ・ループ」が主流であったが、今後はAIが業務全体を回し、人間はそのループの外側から監督・責任を負う「ヒューマン・オン・ザ・ループ」という形へ、2026年を境に移行が始まると見られている。

    IDCがAIエージェント実運用に向けた予測を発表、「プロジェクトの65%が失敗する」背景にあるデータとKPIの課題とは
    「AI現在地」と、自律化に向けた人間とマシンの役割の変化

    バックオフィスから「顧客接点」へシフトするAI活用

    成長領域として今後注目されるのは、顧客体験(CX)分野である。

    これまでAIの活用といえば、翻訳や議事録作成、社内ヘルプデスクといった「バックオフィス」の業務効率化が中心であった。

    しかし、IDCの予測では、2024年から2029年におけるAIシステム全体の年間平均成長率の中でも、フロントオフィスでの活用が25%から30%くらいの割合になっていくと予測している。

    さらに、CX関連のユースケースを抽出して年間平均成長率予測をした結果、38.4%と市場全体を上回る成長が見込まれている。

    IDCがAIエージェント実運用に向けた予測を発表、「プロジェクトの65%が失敗する」背景にあるデータとKPIの課題とは
    AIシステム全体の年間平均成長率と、CX関連のユースケースの比較。CX関連は38.4%と市場全体を上回る成長が見込まれている。

    つまり、2029年には市場規模が5.7兆円に達すると予測される中、カスタマーサービスやフィールドサービスといった対外的なユースケースが大きな割合を占めるようになるというのだ。

    これまでであれば、「正確性」や「ニュアンスの欠如」というリスクから、顧客対応へのAI適用を躊躇する企業も多く見られた。

    しかし、RAG(検索拡張生成)などの技術進化により精度が向上したことで、カスタマーサービスなど顧客に直接対応する「フロントオフィス」への適用が進むとみられている。

    さらに一歩進んだ予測として、2027年までに企業の60%が、電話、テキスト、メールといった複数のチャネルを跨ぎ、サプライヤの垣根も越えた「マルチエージェント体験」を管理するようになるとしている。

    これにより、顧客はどの窓口から接触しても、前後の文脈を理解したシームレスなサービスを受けられるようになる。

    このレベルのCXを実現するためには、「2026年中にシステムおよび組織の準備を終えておく必要がある」と眞鍋氏は指摘している。

    加えて、カスタマーサービスの目標自体も変化していくのだと眞鍋氏は言う。

    従来の主な目標は、「コスト削減」「マルチチャネル化」「平均対応時間の短縮」であったのに対し、これからの目標は、AIエージェントの自律化による「新しいビジネス・売上への誘導」になるのだという。

    もはやカスタマーサービスは、単に「問い合わせをさばく場所」ではなく、AIエージェントを駆使して顧客満足度を高め、直接的に利益を生み出す「利益創出部門(プロフィットセンター)」へと進化を遂げるということだ。

    「プロジェクトの65%が失敗する」という警鐘

    AIエージェントへの期待が高まる一方で、眞鍋氏は「2028年までに自社構築型AIエージェントプロジェクトの65%がROI目標を達成できずに失敗する」という厳しい予測を提示した。

    この「65%」という数字の背景には、現在のPOC(概念実証)における芳しくない成功率がある。

    調査では、POCが「成功した」と断言できる企業がある一方で、「成功と失敗が半々」という回答が約6割に達している。

    この要因の一つは、AI時代の成果を評価する「ものさし」が、従来型のままであることが挙げられる。

    現在、多くの企業がAI導入の成果を「オペレーションの効率性」や「技術的パフォーマンス」で測定している。

    IDCがAIエージェント実運用に向けた予測を発表、「プロジェクトの65%が失敗する」背景にあるデータとKPIの課題とは
    AI投資プロジェクトの成功率(左)と、AI導入効果の測定方法(右)

    しかし、自律的に動くAIエージェントの場合、これまでの「平均通話時間の短縮」といった効率重視のKPIだけでは、その真の価値を測りきれない。

    AIエージェントの真価は、新たな売上の創出や、エージェントが生成した成果物の量といった「ビジネス価値」にあるため、従来のROI指標では「失敗」と判定されてしまうリスクが高い。

    適正な評価指標がないまま、従来基準で「ROIが出ていない」と判断され、プロジェクトが頓挫してしまうケースが後を絶たないと予測されているのだ。

    また、AIに適した高品質なデータを準備できない「データレディネス」の欠如も深刻だ。

    IDCの予測では、2027年までに高品質でAIに適したデータを準備できない企業は、生産性が15%低下すると警鐘を鳴らしている。

    例えば、AIを導入すること自体に満足してしまい、その後の運用でAIの回答精度を高めるために必要な「データの整備」を疎かにしてしまう。

    あるいは、AIの学習に必要なデータが社内でサイロ化していることに気づかないままスケーリングしようとして、結果的に性能が頭打ちになる。

    このような「データのレディネス不足」が、実運用における大きな壁となり、非構造化データを含めたデータ整備が不十分なまま導入を進めると、運用の足かせとなる可能性があるのだ。

    他にも、AIを使いこなすための人材不足や、コスト管理、ガバナンスの欠如も深刻な阻害要因として挙げられている。

    IDCがAIエージェント実運用に向けた予測を発表、「プロジェクトの65%が失敗する」背景にあるデータとKPIの課題とは
    AIの成果に対する課題

    「AIを導入して終わり」ではなく、それを誰がどのように監督し、どのような基準で成果を認めるのか。この戦略的な視点がないままプロジェクトを進めることが、65%という高い失敗率を招く一因となる可能性があるのだ。

    AIエージェント実運用に向けた「3つの変革」:戦略に組み込むべき要素

    最後に、2026年の転換点を乗り越え、65%の失敗事例に陥らないための戦略を、眞鍋氏が語った内容から3つのポイントに整理した。

    これらは、システム構築そのものよりも、その周辺にあるデータ、評価指標、そして人間の役割の再定義が重要であることを示している。

    ①データ変革:AIに適した「燃料」の整備

    AIやエージェントの性能を左右するのは、学習および参照元となるデータだ。

    そこで、企業データの約8割を占める非構造化データをいかに取り込み、AIが認識しやすい構造に整理するかが鍵となる。

    また、データを一箇所に集める、あるいはデータファブリックのような技術で論理的に統合し、AIがデータを見つけやすくする環境作りが不可欠となる。

    ②評価変革:AI時代の「新KPI」を定義する

    従来の効率化指標(平均処理時間など)だけでは、AIエージェントがもたらすビジネス価値を正しく測定できない。

    そこで、エージェントによる一次解決率や、人間へのエスカレーション率などを新たな指標に加えることが重要となる。

    また、顧客を新しいサービスへ誘導したことによる「販売上昇率」や「新規売上」など、プロフィットセンターとしての貢献度を可視化する必要がある。

    ③人材・組織変革:人間の役割を「監督者」へ

    AIエージェントとの協働により、従業員のジョブディスクリプションは根本から書き換わるため、オペレータはエージェントの教育・監視役に、スーパーバイザーはビジネスプランナーへと役割がシフトする。

    そして、2027年頃には、エージェント全体の挙動を観測し、責任を負う「CAO(チーフ・エージェント・オフィサー)」のような専門役職が登場すると予測されている。

    さらに、人間の役割は作業の一部を担う「Human in the loop」から、自律的に動くエージェントを監督し責任を持つ「Human on the loop」の思想でAIを統制し、最終的な責任を取るための「覚悟」とスキル習得が求められる。

    例えばコンタクトセンタでは、オペレータは顧客対応だけでなく、エージェントの教育や監視を行うようになり、管理職にはエージェントの行動結果に対する責任分担が求められるようになるということだ。

    IDCがAIエージェント実運用に向けた予測を発表、「プロジェクトの65%が失敗する」背景にあるデータとKPIの課題とは
    AI/Agent時代における役割(ロール)とKPIの変化

    企業が来るべき「AIエージェント時代」を勝ち抜くためには、サイロ化されたデータの統合と品質管理、そしてビジネス価値に基づいた新たなKPIの定義が急務となる。

  • デロイト トーマツがプライム上場企業の生成AI活用調査を発表、生産性向上や収益増を見込む企業が増加

    デロイト トーマツがプライム上場企業の生成AI活用調査を発表、生産性向上や収益増を見込む企業が増加

    デロイト トーマツ グループは、プライム市場に上場する売上1,000億円以上の企業の部長クラス以上を対象に、生成AIの活用に関する意識調査を2025年7月に実施し、その調査結果を発表した。

    この調査では、33の本の設問で「生成AI導入・活用関連」「売上・コスト関連」「生成AI人材関連」の3テーマの回答をインターネットで取得した。

    まず、生成AIの導入率に関しては、97.7%とほぼ全ての企業が生成AI導入を有益と考え、その約半数が「全社的に導入している」と回答しているものの、導入状況と比べて社内の利用割合は限定的で、「ほとんどの社員が利用している」と回答したのは約2割だった。

    デロイト トーマツがプライム上場企業の生成AI活用調査を発表、生産性向上や収益増を見込む企業が増加
    生成AIの導入率

    「半数以上の社員が利用している」と回答した割合は32.9%と、前年の23.1%と比べて増加したものの、実際の社員利用割合が導入の広がりに追いついていない状況が見受けられた。

    デロイト トーマツがプライム上場企業の生成AI活用調査を発表、生産性向上や収益増を見込む企業が増加
    生成AIの社員浸透度

    導入後の社内利用における課題については、約4割の企業が「データの活用不足」「社員の理解不足」「機能の不足」を挙げている。

    デロイト トーマツがプライム上場企業の生成AI活用調査を発表、生産性向上や収益増を見込む企業が増加
    生成AI導入後の課題

    また、PoCやトライアルの段階から生成AIの本格的な開発・導入に取り組む際の課題については「専門人材の不足」が第一に挙がるほか、ガバナンス体制の整備や全社的な推進機能、データ整備やAI基盤構築など、多くの要素が存在している。

    デロイト トーマツがプライム上場企業の生成AI活用調査を発表、生産性向上や収益増を見込む企業が増加
    生成AIの本格的な開発や導入に取り組む際の課題

    生成AIが搭載された顧客向けサービスの提供状況については「すでに生成AIが搭載されたサービスを提供している」が27.0%と、前年の15.5%と比較して生成AIのビジネス活用が進んでいる状況が伺える。

    デロイト トーマツがプライム上場企業の生成AI活用調査を発表、生産性向上や収益増を見込む企業が増加
    生成AIが搭載された顧客向けサービスの提供率

    生成AIの導入目的に関しては「業務の自動化・効率化」が最多である一方、社員の生成AI利用割合が高いほど生成AI活用を前提とした「事業構造の変革」を重視する傾向になっている。

    デロイト トーマツがプライム上場企業の生成AI活用調査を発表、生産性向上や収益増を見込む企業が増加
    生成AI導入の目的

    さらに、生成AI導入による社内の意思決定スピード向上、競争優位性向上、社員の生産性向上、収益増を見込んでいる企業の割合は全体的に昨年を上回っており、社員利用割合が高い企業ほどその傾向が顕著になっている。

    デロイト トーマツがプライム上場企業の生成AI活用調査を発表、生産性向上や収益増を見込む企業が増加
    生成AIによる意思決定スピードの変化

    社員の生産性については、「変化なし」の回答が前年56.0%だったのに対し今年は28.6%と半減しており、生産性向上を実感する企業が増えていることがわかる。

    デロイト トーマツがプライム上場企業の生成AI活用調査を発表、生産性向上や収益増を見込む企業が増加
    生成AI活用による社員の生産性向上度合い

    また、「競争優位性が向上した」と回答した企業の割合も前年39.3%から今年は56.6%と増加。一方で「ほとんど変化していない」という回答も32.7%となり、企業差が見受けられた。

    デロイト トーマツがプライム上場企業の生成AI活用調査を発表、生産性向上や収益増を見込む企業が増加
    生成AI導入に伴う競争優位性の向上

    生成AI導入による売上の変化においては、前年は「変化なし」が過半数であった中、今年は「増加する見込み」が過半数を超え逆転している。

    デロイト トーマツがプライム上場企業の生成AI活用調査を発表、生産性向上や収益増を見込む企業が増加
    生成AI導入による売上の変化」

    なお、これらの成果に関わる指標の傾向は、いずれも社員利用割合が高い企業ほど顕著になっているのだという。

    生成AI導入による人材配置転換の割合も、生成AIの社員利用率が高い企業ほど高くなっている。

    デロイト トーマツがプライム上場企業の生成AI活用調査を発表、生産性向上や収益増を見込む企業が増加
    生成AIの登場に伴う人員の配置転換率

    同社は、昨年の調査に引き続き、2年連続で社内での浸透度が高いほど生成AI導入によるメリットが顕著に表れる結果となったとしている。

    関連記事:生産性向上の基本に関して知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
    付加価値生産性を知ってますか?「生産性向上」の真の意味と、2つの視点・成功事例から学ぶ稼ぐ力

  • IDC、国内・世界共にDXやAIの基盤構築・運用に対するIT投資を最優先と発表

    IDC、国内・世界共にDXやAIの基盤構築・運用に対するIT投資を最優先と発表

    IDC Japan株式会社は、国内のITバイヤー企業と世界の企業におけるITおよびデジタル投資の予算動向を比較した調査結果を発表した。

    発表された最新の調査によると、国内企業と世界の企業は共にDXや人工知能AIの推進を重視しており、特にITインフラや運用への投資を優先していることが明らかになった。

    つまり、どのような経済環境下においても「インフラ/IT運用の最適化」「AIおよび自動化」「データ/アナリティクス」「セキュリティ/法令順守」への投資意向が強く、基盤構築および運用を優先的に進めようとしていることがうか。

    一方、国内企業と世界の企業では、IT投資の重点領域に違いが見られた。国内企業は、IT基盤の整備と並行して基幹システムの改善にも力を入れているが、世界全体では、構築したIT基盤を活用し、CX(顧客体験)の向上に重点を置く傾向が強いことが分かった。

    また、別の調査結果によると、AI、アプリケーション、開発・運用プラットフォーム、インフラなど、ほぼすべてのデジタル分野のテクノロジーにおいて、国内企業の方が世界の企業と比較して投資意欲が高いことが確認された。

    この背景には、主要先進国と比べたDXやAI活用の遅れを挽回する必要性や、深刻な人材不足への懸念があり、多くの国内企業がIT投資を急務と認識していることが推察されている。

    IDC JapanのTech Buyerリサーチマネージャーである鈴木剛氏は、「DXやAIへの投資は、今後これまで以上に投資リターンを意識したKPIの設定とともに進めるべきである。また、投資に充てる予算は、すべてが新規の投資額から捻出されるのではなく、既存のIT運用や関連業務の改善や効率化によって生まれた余剰予算も加味し、適切に配分すべきである」と述べている。

  • IDC、2029年には国内ITサービス市場が約9.6兆円規模に成長と予測

    IDC、2029年には国内ITサービス市場が約9.6兆円規模に成長と予測

    IT専門調査会社IDC Japanは、国内ITサービス市場の成長予測を発表した。

    これによると、2024年から2029年までの年間平均成長率は6.6%で推移し、2029年には9兆6,225億円に達する見込みだ。

    IDCは、これらの投資の促進要因は、AI利活用におけるPOCから実践へのフェーズ移行や、AIユースケースの発展だとしている。

    また、2024年の市場規模は7兆205億円で、前年から7.4%の増加を記録した。

    この成長の背景には、幅広い産業分野における既存システムのクラウド移行やモダナイゼーション、デジタルイノベーションのためのシステム構築への支出の拡大による、ITコンサルティングやSIなどのプロジェクトベース市場の成長率が上がっていることが挙げられる。

    一方で、マネージドサービス市場は従来型のIT運用管理が減少傾向にあるものの、マネージドクラウドサービスやサービスプロバイダー向けのホールセールコロケーションサービスの拡大などにより、安定した成長を続けている。

    産業分野別に見ると、官公庁での大型の既存システムの刷新プロジェクトや、地方自治体での自治体システム標準化の本格化を背景に、政府や自治体のIT投資が活発化しており、政府や公共が最も成長率の高い産業分野となった。

    また、金融業、製造業、流通業でもクラウド移行やAI・データ活用などへの投資が拡大している。

    なお、IDCは、2025年以降も国内ITサービス市場の拡大が続くと予測している。その要因として、企業の既存システムのモダナイゼーション(最新化)や新たな価値創出を目的としたIT投資の増加が挙げられている。

    さらに、AI活用の本格化も成長を促す要素となる。これまで多くの企業で試験的に導入されてきたAIが、今後は本格的な業務に組み込まれ、活用範囲の拡張が投資の促進要因になるとIDCはみている。

    IDC Japanのシニアリサーチアナリストである村松大氏は「国内ITサービス市場では、クラウド移行やデジタルイノベーションの需要拡大に加え、システムのモダナイゼーションが本格化する。さらに、AI活用の進展が市場成長を後押しするだろう」とコメントしている。

  • IDC、DX先行企業の8割でデータ活用が浸透するが遅行企業は2割に留まる

    IDC、DX先行企業の8割でデータ活用が浸透するが遅行企業は2割に留まる

    IDC Japan 株式会社は、国内ITバイヤー(エンドユーザー)企業のデータ活用とデータ管理の現状についての調査結果を発表した。

    この調査は、2024年5月に、どの程度データを活用できており、その基礎となるデータやプラットフォーム、組織がどの程度整っているのかなどを、国内の従業員300人以上のエンドユーザ企業のIT戦略や情報システム部門の管理に関わる担当者300人を対象に実施した。

    また、その結果が、企業のDXやデジタルビジネス(以下、DB)の進展や成果の状況に応じてどのような違いがあるかを併せて調査した。

    その結果、DXおよびDBの進展度合いとその取り組みの成果の水準で、データ活用の状況には明らかな差があることがわかった。

    具体的には、国内企業でDXやDBの取り組みがある程度進行し、一定程度の成果を獲得出来ている6割の企業は8割強が一定程度以上データ活用できていると答えた。

    一方、取り組みが遅れており成果も認識できていない2割弱の企業は、一定程度以上データ活用できていると答えた企業は2割強であった。

    IDC、DX先行企業の8割でデータ活用が浸透するが遅行企業は2割に留まる
    国内企業のデータ活用の程度(DXの進展と成果の水準比較)

    この理由についてIDCは、データ活用の取り組みを自社のみで取り組んでいる、もしくは取り組もうとしている企業が多く、財務分析や業務効率性分析などしか取り組んでいないことを挙げている。

    また、実施したDXやIT化で成果が出ておらず外部要員やソリューションに投資ができない、データ活用における知識や組織文化が醸成しておらず適切なベンダーを選定ができないなど、複合的な要因があるとしている。

    IDC Japan株式会社のTech Buyer リサーチマネージャーである鈴木剛氏は、「国内企業は、データ活用の意義を経営計画や事業戦略に明示し、業務活動と連動させる必要がある。実際の活用においては、データの関連性や項目の過不足をのみを明らかにし、データプラットフォームに取り込み、まずは活用を開始することも有益である。それにより、企業独自の状況に基づいた実践的な育成も可能となる」と述べている。

  • IDC、今後5年の国内ICT市場で起きる動向10項目を発表、AIの活用促進が中心

    IDC、今後5年の国内ICT市場で起きる動向10項目を発表、AIの活用促進が中心

    IDC Japan 株式会社は、2025年以降の国内における情報通信技術(以下、ICT)市場に関する10大予測を発表した。

    なお、この予測は、IDCが2024年10月に発行した「IDC FutureScape: Worldwide IT Industry 2025 Predictions 」の各項目を、国内市場の状況に合わせて調整したものだ。

    10個の予測は以下の通りだ。

    1. AI エコノミクス: AI が実験段階から実践、収益化のフェーズへと移行する中でのROI(投資対効果)の明確化
    2. AI 投資の見直し: AIの投資効果が得られない企業による、AI投資の削減の可能性
    3. 広範囲にわたるサイバーレジリエンシー: 規制とAIによって強化されたアプリケーションの可用性確保に向けたサイバーリカバリー、サイバーレジリエンシー
    4. クラウドモダナイゼーション: クラウド アーキテクチャモダナイゼーションを通じたROI の向上、コスト効率、運用効率、持続可能な IT 成果の向上
    5. Data as a Product: データを製品のようにすぐ利用できるように整備することを通じ、データサイロと非効率性の大幅な解消
    6. アプリの変容: AIエージェント活用による新たな自動化の可能性
    7. 推論デリバリー:「マルチ推論」運用戦略の重要性
    8. AIインフラの脱炭素化:データ分析を通じたエネルギー使用量の最適化と、AI導入戦略の策定
    9. 複合AIのための統合プラットフォーム: AI投資の成功のためのテクノロジー基盤とワークフロー整備
    10. 新しい業務の役割: AIによる自動化を通じた働き方変革、新たな業種、雇用ライフサイクル変化

    今回の予測は、AIの活用促進が中心的なテーマとなった。今後18か月で世界の企業の多くがAIの実験的な段階から実践へと移行するとし、それに伴って「AIエージェントの活用」「AI投資の効果を最大化するためのデータ」「インフラストラクチャ」「クラウドのリノベーション」「レジリエンシーやサイバーリカバリーへの配慮」などが必要になるとしている。

    IDCは、上記10項目が今後5年間にわたって国内企業において確実に起き、主流になるものもあるという考えを示した。

    一方、レガシーシステムからの脱却を図れないでいる企業や、インフラやデータがサイロ化している企業、AIを含めたデジタルビジネスへのビジョン策定に着手できていない企業も存在し、そうした企業は、AI投資から確実なリターンを生むために、まずは先に挙げた数々の課題解決に努める必要が出てくるとIDCはみている。

    IDCのグループバイスプレジデントおよびチーフリサーチアナリストである寄藤幸治氏は、「インフラ、データ、アプリケーションといったテクノジー要素に加え、組織文化や人材といった要素を強化することで、企業は広い意味でのプラットフォームを確立することができる。連携、コラボレーションと言った価値を組織内に広め、テクノロジーやワークフローをそれに沿って実装することが、AI投資から効果を得る王道である」と述べている。

  • IDC、国内データセキュリティソリューション市場の動向を発表

    IDC、国内データセキュリティソリューション市場の動向を発表

    IDC Japan株式会社は、国内のデータセキュリティソリューション分野の市場動向を発表した。

    これによると、データセキュリティソリューションの需要は、「管理対象データの多様化」「ITシステムや運用環境の複雑化」「データ駆動型経営の高度化によるデータの重要性の高まり」などの要因から、拡大する流れが継続するとしている。

    特に、このデータセキュリティ市場の促進要因の中で強い影響を持つのは、AI技術の進化だ。これは、AIを悪用したマルウェアの巧妙化、AIによる防御策の強化、学習データやモデルの防御などに加え、精度向上のために機密データや個人情報を暗号化したまま処理する秘密計算技術のニーズまで多岐に渡る。

    2024年に入ると、生成AIの有用性をエンタープライズ用途に生かそうとする動きが活発化し、コードの自動生成によるソフトウェア開発の効率化やRAG(検索拡張生成)の併用による大規模言語モデルの精度向上のためのシステム構築が増加すると予想される。そして、これらの動きも新たなデータセキュリティソリューション需要につながる。

    企業が機械学習導入により、新たなデータを保有し、これまでとは異なるデータ利用を行うため、内部のセキュリティ対策を増強する必要がある。

    これには、資産価値の高い学習用データセットや推論のアルゴリズムやモデルの保護に加え、「プロンプトインジェクション攻撃」や「モデルインバージョン攻撃」への対策も含まれる。

    これらの機械学習に関わる攻撃に対しては、専門知識や新たな防御システムが求められ、ITサプライヤーにとって新ビジネス機会となる。

    また、AI技術導入だけでなく、高度化するデータセキュリティニーズに対応し、運用の負荷軽減と安全性向上を図る新ソリューション分野として、DSPM(データセキュリティ態勢管理)が拡大している。

    これは、クラウド環境だけでなく、オンプレミスを含むすべてのITシステム上の機密データを可視化し、保護する技術である。DSPMの登場以前にはCSPM(クラウドセキュリティ態勢管理)ソリューションが台頭していたが、海外市場では2022年頃から、DSPMの必要性を強調するベンダーが増加し、国内市場にも影響が出始めているのだという。

    IDC JapanのInfrastructure&Devicesリサーチマネージャーである鈴木康介氏は、「データ活用の成果と共に、利用対象のデータ範囲や利用場面は拡大する方向だ。データ運用の複雑さとインシデント対応の即時性要求に応えるには、セキュリティ運用の自動化が効果的だ。そのため、ディープラーニングを中心とした開発競争は今後も活発な状態が続き、セキュリティ分野のAIエージェント実用化が進むことで、ユーザ企業のデータセキュリティ運用に大きな変化が起きるだろう」と分析している。

  • IDC、生成AI活用で国内ローコード・ノーコード開発市場が2028年に2,701億円になると予測

    IDC、生成AI活用で国内ローコード・ノーコード開発市場が2028年に2,701億円になると予測

    IDC Japan株式会社は、国内のローコード・ノーコードおよび、生成AIの開発テクノロジー市場予測を発表した。

    この市場は、開発プロセスを合理化または自動化し、開発者がより迅速に開発タスクを行えるようにする製品や、従来の開発環境でコーディングするための知識を一部または全部抽象化する開発インターフェースを提供し、組織のLOB開発者を支援する製品が含まれている。

    また、多くの製品では、生成AIが既存のローコードやノーコード開発テクノロジーを補完し始めている。生成AIは、ローコードやノーコード開発の自然言語インターフェースとして、そしてソフトウェア開発ライフサイクル全体のインテリジェンスとして、コーディングアシスタントやテスト自動化ツールなどの機能実装が急速に進んでいる。

    今回の予測によると、この市場全体の規模は、2023年には1,225億円に達し、2023年から2028年の年間平均成長率は17.1%で拡大。2028年には2,701億円になるとしている。

    IDC Japanのリサーチマネージャーである木村伸一氏は、「多くのローコード・ノーコード開発プラットフォームの提供ベンダーが、生成AIの活用に焦点を当てた製品の強化を急速に進めている。生成AIの活用は同市場における大きなビジネスチャンスとなる一方で、ベンダーはユーザ企業が生成AIに対する期待と成果のギャップが生じないよう、適切なビジネス目標の設定から効果的なアプリケーションの構築、ビジネス成果の達成までを導くことが求められる」と述べている。

  • IDC 、2023年から2028年の国内ESGアプリケーション市場の年間平均成長率が7.4%と予測

    IDC 、2023年から2028年の国内ESGアプリケーション市場の年間平均成長率が7.4%と予測

    IDC Japan株式会社は、国内ESGアプリケーション市場の予測を発表した。

    この予測によると、2024年には国内ESGアプリケーション市場規模(支出額ベース)が460億円に達し、2028年には658億円に拡大すると見込まれている。また、2023年から2028年の年間平均成長率(CAGR)は7.4%になると予測されている。

    昨今、地球温暖化や多様性・公平性・包摂性といった「DE&I」の浸透など、市場環境の変化から各国政府はサステナビリティに関する法規制を施行し、投資家を始めとするステークホルダーが組織に対して長期的な視点での経営を要求するようになった。

    その結果、サステナビリティに関わる非財務情報の開示が定着した。これは、企業のサステナビリティへの取り組みを定量的に示すデータが企業価値を左右する市場経済に変革していることを意味している。そして、サステナビリティデータを財務情報と同じく正確に開示する必要性の高まりから、国内ESGアプリケーション市場が拡大しているということだ。

    2024年に同市場が拡大した要因としては、環境省が計画した「第六次環境基本計画」が閣議決定され、「カーボンフットプリントガイドラインを踏まえたCFPの取り組み促進」「GX価値の算定/表示ルールの形成(国際的に調和したルール形成を追求)」が推奨されたこと、さらに日本政府が2024年に約3兆円のGX債を発行するなどの国家政策が後押ししたとしている。

    IDC Japan Verticals & Cross Technologiesのリサーチマネージャーである遊亀源太郎氏は「ESGアプリケーション市場は、GHG情報を可視化する単一機能から、環境、社会、ガバナンスまでの非財務情報を包括的に管理し、財務情報と連携して総合的に企業活動を定量的に把握することで、企業価値をデータ駆動型で向上させるプラットフォームへ進化している」と述べている。

    なお、この調査レポートは、IDCのグローバルネットワークが構築したテクノロジー業界別・地域別データや、各企業への取材と各種の公開情報を基に、IDCが定義するソフトウェア市場のうち、国内ESGアプリケーション市場について、2023年の市場状況を検証するとともに、サービスセグメント別に2024年~2028年の市場規模の算出と予測、および動向の分析を行ったものだ。(トップ画参照)

  • IDC、国内デジタルツイン関連市場全体の市場規模が2028年に1兆5,674億円になると予測

    IDC、国内デジタルツイン関連市場全体の市場規模が2028年に1兆5,674億円になると予測

    IDC Japanは、国内デジタルツイン関連市場の予測を発表した。

    デジタルツイン関連市場とは、現実空間の事象やプロセス、物体や人の形状、状態変化、動きに関するデータを、複数のデータソースからデータ基盤に集約し、サイバー空間上での可視化、分析、制御、最適化、予測およびサービスの提供などを行う市場のことを指す。

    デジタルツインのユースケースは多岐にわたるが、主流はCAD、CAE、PLM、IoTなどのデジタルツール活用の延長線上にある。デジタルツイン関連市場の大部分は、これらの既存市場と重複する市場だ。

    近年のデジタルツインへの関心の高まりは、コンピュータ上での設計開発のさらなる高度化や、設計開発プロセスで活用したデータをOT領域へ引き継ぎ、AIやロボットと組み合わせることで生産や社会インフラのためのシステム運用をより高度化しようという機運の高まりによるものだ。

    また、サプライチェーンやスマートシティの構想、防災、GHG排出量、ヘルスケアにおける患者の身体や健康、物理空間と連携した仮想空間での諸活動(販売、エンターテイメントなど)など、新たな領域でのデジタルツインへの取り組みも始まっている。

    IDCは今回、国内デジタルツイン関連市場全体の市場規模が、2023年の7,329億円から年間平均成長率16.4%で成長し、2028年には1兆5,674億円になると予測している。

    IDC、国内デジタルツイン関連市場全体の市場規模が2028年に1兆5,674億円になると予測
    2024年~2028年における、国内デジタルツイン関連市場の支出額予測

    主な成長要因としては、データやシミュレーションに基づく意思決定に対する需要の増加、現実空間で起きていることの把握や分析や制御に資するデジタル技術の高度化と成熟などを挙げている。

    IDC JapanのSoftware & Servicesリサーチマネージャーである小野陽子氏は、「デジタルツインは高度化の途上だ。ベンダーは表現、シミュレーション、最適化といった手法の研究開発に投資すべき領域だ。IoTで取得した現実空間のデータによる機械学習やCAEで活用される物理シミュレーションなど、複数の手法をハイブリッドに組み合わせることで、より精緻な分析や予測が可能になるケースが多い」と述べている。